2017/12/12 のログ
ご案内:「聖騎士団軍務官執務室」にリゼットさんが現れました。
■リゼット > 「……第一師団の人間兵器が釈放された?」
マグメール王国聖騎士団軍務官の執務室。
補佐官を務めるリゼット・フェリサは多忙な軍務官に代わり部下の報告を聞いていた。
敵ばかりではなく味方にも甚大な被害を及ぼすため地下牢で拘束されていた不死身の黒騎士が先頃釈放されたという。
また自軍に被害が出るのでは、と不安げにこぼす真面目な部下。
しかしリゼットの返答は冷ややかだった。
「問題を起こせば海にでも廃棄してやれば良い。無論、甲冑をつけたまま、な。
奴は不死身なのだろう? ならば死ねないことを利用すれば良いのだよ」
不死身の化け物の対処法など士官学校で真っ先に教わるはずのことなのだが。
まったくこの国はどこまで腐敗しているのだ、と腐敗役人の雌奴隷という裏の顔をもつリゼットは己を棚に上げ、ため息をつく。
リゼットが時折見せる憂鬱そうな表情は、調教済みの雌の顔だった。
しかしそれを知る者は、この執務室の中にはいない。
リゼットの返答に部下はなおも眉根を寄せる。
抵抗するかもしれない、脱走するかもしれない、無差別に危害を加えるかもしれない、と。
リゼットの冷ややかな態度は変わらない。そんなことか、くだらん。そう呟き、愛剣に軽く手を添える。
「奴は呼吸をするのだろう? ならば我が『セイレーン』でその身を封じてくれる」
リゼットの愛剣『セイレーン』は水の精霊の加護を得た魔法剣だった。
剣が使い手に与える魔力は桶一杯分の水を自在に操る程度の力。
金とコネで聖騎士になった女にお似合いのお粗末な剣、と嘲笑う者は少なくない。
しかしリゼットはこの『セイレーン』を卑劣なまでに使いこなしていた。
桶一杯程度の水であっても、自在に操ることができれば相手の口と鼻を塞ぎ、呼吸を止められる。
そうして敵を無力化し、確実に仕止めることで、リゼットは戦果を挙げていた。
ご案内:「聖騎士団軍務官執務室」からリゼットさんが去りました。