2017/10/20 のログ
ご案内:「王都マグメール 庭園宴会場」にコニーさんが現れました。
■コニー > 王城の広い庭園。毎日の手入れも、ただ庭師に仕事を与えるために行われているわけではない。
現に今、王族の誰かが宴を開いているのだ。さて、その目的は戦勝祝いだったか、子息のお披露目だったか……
数あわせに声をかけられている者には、詳細に説明などされていないし、こちらも、興味はなかった。
「は……ふ」
つい、あくびが漏れる。楚々とした動作でそれを隠すのも、なれた者だ。
薄明かりの中でもくっきりとその色合いと艶がわかる若草色のドレス。金の長い髪はゆるやかに波打ち、花の飾りを着けられている。
まるで、森の中から花の妖精が歩み出してきたような……そんな姿。ただし、退屈そうな表情をのぞけば、だが。
(どうせ数あわせで呼ばれただけだし……)
視線は、庭園の中をさまよっていた。興味を引く何かがないか、探しているのだ。
王族が主催のはずだが、変わった客の姿も見える。よほど人脈が広い主催者なのだろう。
あまり目立って気にされるのも面倒だ。……もともと、目立つ外見と、そして趣向をしているのだから。
(……客室は自由に使っていいって言われてるんだし、誰か、連れ込んだってかまわない、よね♪)
そうして、少女……のような少年は、秋の空のような青い瞳に、いたずらな光を宿らせ。ゆっくりとした動作で、宴席の客の合間を縫うように歩き出した……。
■コニー > (面白い相手がいればいいんだけど……)
表面上は、宴を楽しんでいるように……しかし、慣れない人前で疲れてしまったかのように、うつむき加減でゆっくりと歩を進めていく。
普段は深窓で愁いに沈んでいる姫君が、珍しくもやってきたのだ……そう、見えてもおかしくない。
しかし、視線だけはその退屈を紛らわせるためにあたりを漂い、目につく相手を探している。
この宴会の主催者はよほど、多くの客を呼んだらしい。
先ほどから口先だけの挨拶を交わす相手の中にも、見慣れない者が多くいる。
貴族らしき格好をしてはいても、家紋を掲げていない者も少なくない。
王族は概して、このように宴を催すときは見栄を張りたがるものだ。
(家名だけは立派でも、悪評まみれの王族を呼ぶくらいだもんね……)
貴族につてを作りたい平民もたくさんいる。どんな身分のものが紛れ込んでいても不思議ではない。
ご案内:「王都マグメール 庭園宴会場」にヴァレリーさんが現れました。
■ヴァレリー > 正直、社交界は好きではなかった。
愛想笑いに媚びた笑み、誰ひとり本音で話をしない上っ面だけの打算塗れの時間。
そんな時間を過ごすくらいなら屋敷に閉じこもっている方がマシとも言えるだろう。
しかし、王家に連なる者としてそういったモノにも付き合って行かなければならない義務がある。
「こんにちは、ヴァイス卿。奥方様の具合は如何ですか?」
将来家督を継ぐことを考えると有力な貴族との付き合いは欠かせない。
小さな身体をきっちりと礼服で包み、笑顔で談笑する少年は己の義務を果たしていると言えるだろう。
「と、失礼。」
ふと、視界の端に入ったのは少し気分が悪そうに見える少女の姿。
小太りの貴族に一言断ると途中他の貴族に捕まりそうになりながらも笑顔で交わし、少女へと近付いていく。
「如何されましたか?ご気分が優れないように見えますが。」
そっと少女に寄り添うよう身を寄せ、心配そうな声音で語りかける。
その声は、それだけを聞けば女子と間違ってもおかしくない甘い小鳥の囀りを思わせるものだった。
■コニー > 「いえ……平気です。少し、疲れただけで」
……と、口にしながらも、実際に疲れは増していた。退屈な時間をただ漫然と過ごすのは、下手に体を動かしているよりも疲れるものだ。
長手袋を着けた手を振って、距離を離そうとするけど……その動きが止まる。
高い声音と、小柄な体つき……おそらくは、王族だろう。家紋をさりげなく確かめながら、そうっと体を向けた。
「でも、ありがとうございます。知らないひとばかりで、不安になってしまって」
そっと、桃色の唇で笑みを作った。長いまつげ越しに青い瞳で顔を見つめ、細い胸元に手を当てる。
これだけの仕草でほとんどの男が……時には、女も……警戒を緩める。
自分の外見の使い方を心得ているつもりだ。
「よかったら、お名前を聞かせてください。一人くらい、お友達がほしいですもの」
今度は、冗談交じりの言葉。どうかしら、とばかりに顔を見やりつつ、長い裾をつまんで一礼。
「わたくしは……コニー、とだけ。お父様に内緒で来てしまったの」
もちろん、嘘ではない。父との連絡など、年に何度もしない程度の関係なのだから。
■ヴァレリー > 「そうですか。では、少し休める場所を用意させましょう。」
少女に寄り添いながら静かな甘く高い声で答える。
その自然な言葉遣いは、少年が幼い見でありながら人を使うことが当たり前である高い身分の者であると示す。
「そうですね。私も最初はそうでした。大人ばかりの中ではどうしても息が詰まるものです。」
少女の可憐な笑みにドキッと胸を高鳴らせながら、ほんのりと頬を染めて先程より少し早口で答える。
そういえば同年代の相手と話をするなどそうそうあることではなかった。
少女の仕草一つ一つに視線を奪われながら、少し照れたようにはにかんだ。
「コニー様、ですね。私はヴァレリー・エスカロッテ。どうぞ、お見知りおきを。」
片手を胸へと当て、優雅に腰を折って見せる。
ゆっくりと顔を上げると少女と見紛う甘い微笑みを向ける。
■コニー > 「ありがとうございます。ふふ、エスコートしていただけますか?」
若々しい少年の振る舞いは、どうやら王都で生まれ育った王族だろう、と知れる。
そういう相手を、からかって楽しむのもいいかもしれない……
ほっそりとした手を差し出し、白い手袋に包まれた指を軽く広げてみせる。
「ヴァレリー様、ですのね。こちらこそ、お近づきになれて光栄です」
礼を交わして、甘やかに答える。
見目麗しい者は見慣れているが、純粋な者を目にする機会は多くない。楽しげに、口元がほころぶのを止められない。
「ヴァレリー様は、こういった宴席にはお慣れですの?」
さあ、どうしてくれよう、と考えながら。探りを入れるように問いかけた。
■ヴァレリー > 「もちろんです。どうぞ、ご婦人。こちらへ。」
小さな手を差し出されると少しはにかんだ笑みを向け、白い手袋に包まれた手を取る。
そして、人混みを掻き分けながら部屋の隅へと逃れると控えていたメイドに彼女が休める部屋を準備するよう命じる。
「こちらこそ。同年代の方とお話する機会は少ないので、嬉しいですよ。」
メイドが部屋の準備が終わるまで、壁際で握った手はそのままに少女を守るよう佇み微笑みを浮かべる。
「そうですね。もう何度目かですので慣れました。余り慣れたくはないのですけどね。」
少女の言葉に苦笑を浮かべつつ、少し肩を竦めて見せる。
そうしているうちに部屋の準備を整えたメイドが戻ってくる。
■コニー > 「まあ。私なんかを、レディ扱いしなくてもいいのに」
口元に手を添えて、はにかむフリ……こういう演技は、すっかり板についたものだ。
純情そうな少年に、本性が見抜かれる恐れは……よほど、彼が疑念を抱かない限り、なさそうだ。
「準備なんて……すぐに、連れ去ってくださっても、かまわなかったのに」
部屋を準備、と言っても、宴のために集まった客のための部屋はすでにあてがわれているはずだ。
そうそう、時間はかからないはずだ。
……そして、案の定、準備は整ったらしい。メイドの示す方へと向かいながら、振り向いて、
「ありがとうございます、ヴァレリー様。これは、ほんのお礼です」
言って、重ねた手を引くと、相手の手の甲に軽く唇を触れさせる。もう一度礼を送ると、用意された部屋へと向かっていったのだった。
ご案内:「王都マグメール 庭園宴会場」からコニーさんが去りました。