2017/07/25 のログ
ご案内:「王城 祝宴会場の廊下側」にチェシャ=ベルベットさんが現れました。
■チェシャ=ベルベット > 肇国節――国の「肇(はじまり)」を寿ぐ日、期間。
それは、悠遠の初代国王の時代に始まったと言われるマグメール王国の祝祭日。
マグメール初代国王が即位し、王都マグメールを都として定め、マグメール王国の「肇国」の王として即位したことを祝うものである。
マグメールの民なら誰でも知るお祭りの期間。
城は民衆に大いに開かれ誰もが入れる場所となっている。
チェシャもまた堂々と入城した民衆の一人だが目的はお祭り騒ぎを楽しむためではない。
主人のために王国や王侯貴族たちの必要な情報を掴み持って帰るのが目的である。
とはいえ場になじまなければ怪しまれるというもの。
普段の装いよりも華やかな出で立ちで宴の中に紛れていたが
あまりの人の多さに少し辟易したため宴会場とは静かな廊下へと避難していた。
飲み物を配るメイドからグラスを受け取り、一口飲み干す。
上質なシャンパン。民草の税がここに注がれているかと思うとなるほど高い味わいである。
■チェシャ=ベルベット > ふと、気になって周囲を伺えば密会として便利なのか大広間から逃れてきたカップルがちらほら。
どの組み合わせも楽しそうに歓談している。
その様子を見てちぇ、と舌打ちをする。
チェシャだってできればこの祭りを一緒に祝いたい相手がいたのだが
最近とんと姿を見ていない。
お人好しの脳筋バカがまたどこをほっつき歩いているのやら
心配で手紙も出してみたがろくに返事もないわけで
便りがないのは元気な証拠とはいうもののちょっとは寂しいし心配だ。
もんもんとそんなことを考えていると視界の隅でカップルが一組
人気のない庭の方へ去っていく。
たぶんあいつら移動して一発ヤるんだな、そうチェシャの直感が告げていた。
「けっ、いーよなー相手がいるやつは」
ご案内:「王城 祝宴会場の廊下側」にヴィールさんが現れました。
■ヴィール > この期間だけは城が一般に開放される、国を挙げた祭典。
王侯貴族の動きも当然活発で、それは自家とて例外ではない。
人でごった返す宴の会場で波に揉まれていたが、流石に限界を迎えて廊下の方へと避難してきた。
乱れた衣装を整え、小さく舌打ちをする。
自分がいなくなったことなど父は気にも留めないだろう。
これ幸いと辺りを見渡せば、密会を楽しんでいるカップルに混じって何やら、見たことのある顔が紛れていた。
「………げっ」
久々ではあるが、何もこんなところで…と、そんな思いが脳裏を過る。
周囲に隠れるようなスペースはなく、相手から丸見えの位置取りで困ったように立ち尽くしている少年貴族。
■チェシャ=ベルベット > まるでいたずらを見つかった子供のような声を上げた相手をきょとんと見つめる。
みればいつもの平民としてのラフな出で立ちではなくいかにも豪奢な仕立ての衣服に包まれたからかい相手が
隠れる場所もなく立っていた。
「ははーん、お久しゅうございます。お坊ちゃま。
さてはお家の挨拶回りに嫌気がさして逃げ出してきたな?」
つまらなさそうな表情から一変、にやりとチェシャ猫の笑みを作ると
片手に持ったシャンパンのグラスを揺らしながら相手に近づいていく。
「いつもの服よりソッチのほうがずっと似合うじゃん」
くくくとからかい混じりに相手の衣服の裾をつまみ上げてためつすがめつ
上から下まで目に焼き付けた。
■ヴィール > 丁度良いおもちゃが見つかったと言わんばかりの笑みを浮かべ、近づいてくる相手にもう一つ舌打ち。
からかわれるだろうとは思っていたが、まぁ今の自分の服装を考えると仕方無い。
裾を摘まれるのもされるがままで、辟易した表情を見せた。
「うっせぇよ。俺がいてもいなくても変わらねぇし、別にいいだろ」
挨拶回りは父や兄に任せておけば良いと、よく整えられた頭を掻く。
だが似合うと言われれば顔を顰めた。
「冗談だろ。この服を着てると気も休まらねぇよ。……そっちは、なんでこんなとこにいんの」
■チェシャ=ベルベット > 「つれないなぁ。そっちのお家事情は知ったこっちゃないけど
まぁこういうときぐらいおもちゃになっておけよ。
いずれ、顔を売らなきゃならなくなることだってお前には将来ありそうだもん」
それは貴族の家系に生まれたものの定めだろう。
ヴィール本人は嫌っているのだろうが、逃れられないものでもある。
くるくるとヴィールのまわりを回って一通り一丁前の貴族のお坊ちゃまを堪能すると返答。
「何故って折角王城が開かれているから美味しいものを食べに♥
あとは可愛いお姫様とか貴族のイケメンとかからかいに来た。
こんな時でもなければ僕なんか城に上がったり出来ないしね」
嘘か本当かわからないようなことをニヤニヤ顔のまま告げる。
ついでに傍を通ったメイドの盆からヴィールの分のシャンパンを取ると
彼に渡そうと差し出した。
「そんなしけた顔しないで飲めば?お坊ちゃまはもしかしてお酒に弱い?」
■ヴィール > 「今までそっちで散々おもちゃになってたっつーの」
そして逃げてきた先で今度は顔見知りにおもちゃにされている。
しょうがないか、と割り切る為に一つため息をついた。「いずれ…ねぇ」と小さく呟いて唇を閉じる。
貴族の家系に生まれた定めということはわかっている。
が、上に兄が二人いるせいで実感は薄かった。この通り、一丁前の少年貴族の格好をしていてもだ。
歳を重ねると自然とわかってくるものなんだろうか、と一人溜飲を下げる。
「ふーん。ま、どうでもいいけど。で、からかい甲斐のある貴族のイケメンはいたのか?」
差し出されたシャンパンを思わず受け取る。果実の香りが鼻先を漂い、柔らかく鼻腔を擽った。
表情は変わらないものの、すい、とグラスを相手の方に傾ける。軽い乾杯の仕草。
「別に、弱くはない。飲む機会はあまりないけどな」
■チェシャ=ベルベット > カチンとグラスが打ち鳴らされる。軽い乾杯。
それから一口また飲み干す。炭酸のほどよい爽快感が喋った喉を適度に潤した。
「それが全然、娼館を丸々買い上げた宴会場とかもあるらしくて
めぼしい男は皆大体そっちに鼻の下を伸ばして行っちゃったよ。
それよりお坊ちゃまのほうがそういうコネがあるんじゃないの?」
といってもしきたり嫌いのヴィールでは縁もあったものではないかと問うてから自分で納得してしまった。
大体、イケメン貴族がいたらどうするというのだろうこのお坊ちゃまは。
まさか自分と一緒になってからかうわけではないだろう。
「そ、旨い酒が飲めるのも今のうちだけだし味わっておくべき」
自分と同じ年頃のヴィールがグラスの一杯でぐでんぐでんに酔っ払う姿も
何処かで期待していたが、弱くないとなれば話は別だ。
さっそくグラスを干したチェシャは脇に置かれたテーブルからシャンパン丸々一瓶持ち出して器用な手つきで栓を開けた。
「折角だし無礼講と行こうぜ。それとも……
もっと別の息抜きしたい?」
しゅるりと襟元に飾られたリボンタイを抜き取って襟をくつろげる。
細い首、素肌を晒してちらりとヴィールを見た。
■ヴィール > 打ち合うグラスが軽やかな音を立てる。
一口飲めば、爽やかに弾ける炭酸が喉を通っていく感覚を覚える。
「あ、そう。娼館丸ごととはまた贅沢なこった。
俺よか、兄貴達の方がそういうコネを沢山持ってるだろうさ」
イケメン貴族をもし見つけたとしても、流石に揶揄うといったことはしない。
向こうに目をつけられたら面倒だし、せいぜい遠目で眺めて終わりだろう。
貴族同士だからといって縁を作る気も別にない。
続けて此方も、グラスの中を空けてしまった。
相手がシャンパン一瓶を開ける様子を横目に眺めながら、微かな酒気を帯びた吐息を零す。
弱くはないが、飲みすぎるなら話は別だ。自身をぐでんぐでんにさせるにはそれくらいしか方法は無い。
「ま、こうなれば身分の上下も関係ねぇしな。
……別にイイけど、もう少し飲んでからにしようぜ。それともチェシャは、むしろそっちの息抜きを御望み?」
細い首、素肌に視線が向く。笑みを浮かべながら、揶揄うような声音で問うた。
■チェシャ=ベルベット > 「なにそれ!兄弟かぁ、兄上様がたのほうに縁をつなぐべきだったかな。
もういっそその兄貴達でもいいよ。紹介してくれたらめっちゃイケメン達に出会えそう!」
ヴィールの見目だって悪いわけではないのだし、その兄弟たちといえばそこそこな部類なのではと
余計な考えが浮かんでのことだった。
酒の勢いも手伝ってか、けらけらと楽しそうにそんなことをのたまった。
空になったヴィールのグラスにシャンパンを注ぎ入れ
自分は瓶から直接口をつけ飲む。行儀が悪いことこの上ない。
だがそれを咎めるものも今は周囲に居ないだろう。
眉をひそめるものはいるかもしれないだろうが。
「んふー、じゃあもう少し飲んでいこう。その後はお城案内してよ。
僕よりはここに詳しいでしょ?そういうことが出来るスポットとか知ってそうだし」
酔が回ったのか平素より赤みの差した頬で相手の頬に擦り寄った。
相手の首に、肩に腕を回して抱きつくように顔を寄せる。
■ヴィール > 「アホか、そんな簡単に出会えるわけねーだろ。まぁ確かに…兄貴達はイケメン、といえばイケメンだし、伝手も色々知ってるだろうけど」
とはいえ自身の兄と目の前の彼が交流を持つというのは、弟からしてみれば何とも微妙な心地ではある。
まぁ紹介しないのが吉か、と勝手に自分の中で纏めた。
注がれるシャンパンを飲めば、徐々に酔いが回ってくる。
気がつけば辺りのカップルは各々、今宵の睦事と洒落込んだのか姿を消していた。
無礼講か。と小さく呟くと同時、抱きつかれて思わず瞬く。
「ん? ……あぁ、一応知ってるといえば知ってる。…そうだな、もうちょっとしたら行こうぜ」
頰を擦り寄せるようにして抱き合い、くつくつと酔いに頰を染めながら笑う。
貴族の衣装が乱れようとも、そんな事に構う素振りはもう見せなかった。
■チェシャ=ベルベット > どうやら兄たちには紹介して貰えそうにない雰囲気を感じ取って
ケチー!とヴィールの首をじゃれる程度に締め付ける。
もう廊下には自分たちしか居ないのだろう。
めぼしい人影もなくなった廊下には宴会場の笑い声だけが響いている。
少し寂しくなってヴィールの背中からより体温を知ろうとするように密着する。
本来ならシャンパン程度で酔が回るわけがないのだが、
どうやら感傷的な心に酒が染みたらしい。
「やっぱり、無理。人肌恋しくなっちゃった。
連れてってよお坊ちゃま。二人きりになれるところ……」
そっと酒気帯びた吐息とともに相手へ唇を押し付ける。
それからするりとヴィールから離れると片手に彼の手を握って
もう片方の手に後何本かの酒瓶を抱えた。
「飲みながらすればいい。我ながら頭がいいね」
さ、行こうというように握ったヴィールの手を引いて案内を頼んだ。