2017/07/13 のログ
ローレディア > 「本来受け入れられるべき人数を大幅に超えていますもの。とはいえ、王命であり祝い事でもあるのなら、それに応えるのが家臣の務めでしょう」

(身辺に気を付けている貴族であれば、この宴には家から側仕えや護衛を連れてきている。自分の場合実家には頼みづらかったので一人で来ているけれど、不用心と言われれば返す言葉もないのが現状)

「ではそのように。道理で知らない方だと思いました。マティアス様の年頃でご実家にいらっしゃるのなら、夜会などでお見掛けしているはずですもの」

(回数こそ多くないけれど、自分だって貴族令嬢の名に恥じない程度には社交をこなしている。彼とはそんなに年齢も離れていなさそうだし、一度は見かけていてもおかしくはないはずだったが、流石に家を出ているのであれば知り合うはずもなかった。
指ではじくだけで蝶を生み出す様子には、まぁ…とぽかんとした顔を見せる。令嬢として、あまり適切ではない間抜け顔を見せて)

「コップがあればよかったのですけれど…ここには御座いませんし。仕方ありませんね。
この刻印は…今年の白ワインですね。西の辺境伯のものですから、良いものだと思いますよ?」

(酒の知識も社交の一環。実はアルコールには強くないので、ジュースに近いほど若いワインであることにはホッとしながら、今年のかの産地の評価はどうだったか思い返しながら口にする。
ラッパ飲みに関しては、うるさく言わない方針で微笑みを向けて)

マティアス > 「恒例の仕来りなら、仕方がない――か」

もう少し時期を考えるべきではなかったのか、と思わなくはない。
昨今の情勢を思えば不用心が過ぎると思う。国政にかかわる以前の身でも、街の様子を眺めていれば思うはある。
好きに生きるには、一波乱があっても困る。
この地自体を塗り替える波乱があっても、次第によっては今より悪くなることもまたあろう。

「ははは、そうだろうねぇ。僕の兄か親父とかならどうかな。顔を出しているのかもしれないね」

出来れば遭いたくはないが――、と。内心で言葉を紡いでは、複雑な面持ちで唇を歪める。
遭ったときは遭った時だが、その時は遠慮なく他人のフリを貫くだろう。
もっとも、研究者気質が強い家柄でもある。こんな時期でも表に出る可能性が低いという予測も立つのが救いだが。
簡易儀式を以て創成した蝶は、まだまだしばらくは持つ。明り取りに足る光の下に見える表情に、少し愉しげに目尻を下げて。

「じゃあ、仕方がないね。おまけに回し呑みになって申し訳ないけど、まずは君からどうぞ……と」

取り出す瓶のラベルを確かめ、嗚呼と脳裏の片隅の知識と彼女の紡ぐ言葉を照らし合わせる。
では、と。今度は微かに呪句を少し紡いで、とん、と。封されたコルクを突いては吐き出させるように抜こう。
ころん、と掌に転がるコルクを確かめ、レディーファーストとばかりに瓶を差し出し。

ローレディア > 「慣例通りの宴にすると、多くの民が省かれてしまうというのが、こういう形式になった理由と聞いています。何しろ前例のない事でしたから、本当に大変で…」

(いくらこの国が君主制とはいえ、他の貴族もいるのだから議会の存在も無視できない。頭の固い貴族は当然こんな形式には反対するし、日和見も多くて会議だけでもかなり紛糾したと聞いている議事録を任された同僚が死んだ目をしていたくらいには、大変だった)

「我が家とは直接交流はございませんけれど、お見掛けしたらご挨拶させていただきますね?
あの、その場合…マティアス様の名は、出さない方が良いのでしょうか?」

(家を出たというなら、実家に関わるのは不本意かもしれない。念のため伺いを立てる。研究で籠っているというのなら、一番平和に物事が片付くのだけれど)

「はい、ではお先に失礼致しますね?」

(ぽかんとしてしまった顔を取り繕うようにして、コルクを抜いたワインに口をつける。ラッパ飲みは初めてだったけれど、直接口へとワインを注がれるような感覚。幸い咽ることもなく飲み終えて、テーブルに瓶を置いた)

「美味しい…まるで本物の葡萄を食べているような味ですね。お酒が好きな人なら、少し物足りないかもしれませんけど…」

マティアス > 「成る程。……大変だろう? 色々最近良いことばかり聞かないから、余計にね」

国政にかかわりない身だからこそ、直に見分する機会が多い側に立てば余計に思うこともあるだろう。
やはり、大変そうだ。平民の不平不満を聞く機会が己には多いが、それと同じかそれ以上に苦労の種はあるのだろう。
続く言葉には少し考え、ゆるりと眼鏡の下の表情を消しては首を横に振って。

「ご挨拶程度でいいよ。……――いや、言わなくていいけど、面倒事になったら出してもいい」

そう、研究熱心なのだ。貴種の血統をどう絶やさずに保ち、その濃さをより高めればいいのかどうか腐心する位には。
他所の血を取り込んでその純度を上げる、さらなる変化を起こそうと考える位の事はやる。
そんな家風に辟易して、家を出た。好きに生きることもできないから、見限った。つくづく子供同然の動機だが。

「どうぞ、遠慮なく。……ふむ。感想を聞くと、僕も少し気になるね。
 酒というものは、人と同じように個性がある。だから、合えば愉しめる」

そして、コルクを卓の上に置きながら聞く感想に興味深そうに眼を細め、己も瓶に手を伸ばそう。
間接的な口付けになるが、然程気にすることなく一口。さらに二口。成る程、これは、悪くない。

ローレディア > 「私はまだ新米ですので、重要な役職についていない分、楽をさせていただいています。
あの、私街にはあまり出ないのですけれど、不穏な噂でも?」

(貴族同士の関係性や国政に関する事なら、少しは情報を持っているけれど、平民の方となるとかかわりがないので全く知らない。ここは彼に聞くべきかと興味津々で問いかけて)

「では失礼のないようにいたしますね?」

(自分は文官で、そちらは魔術師の家系。関係性はないので本当にご挨拶程度になるだろう。向こうから見ても、魔術の素養が全くない自分など、挨拶程度の価値しか感じないだろうから。
はふ、とため息をついて頬を染める。ほぼジュースという味と風味でも、ワインはワイン。わずかな酒精は顔を赤くする程度には効いているようで)

「私、ラッパ飲みなんて初めてです。でも…これはこれで、なんだかおもしろいですね?」

(そんな会話をしながら、酔いが回り切る前に彼を案内して庭を歩くことになるだろう。
自分はといえば…馬車で帰るのが辛いので、城の客間で夜を明かすことにしようか)

マティアス > 「少しでも気苦労がないなら良いのだけどねえ。……ん? 嗚呼、どこから語ったものかな。長くなるよ?」

やれ、何処ぞの大貴族が魚色が過ぎた趣味に走っている、かの御用商人が不当に買い占めしている、等々。
小耳に挟む程度の情報から、興味本位で直に見に行ったものまで、色々と持ちネタはある。
だが、いずれも問題なのは祭りの夜の肴とするには少々どころではない位に、華に欠けるということだ。

「うん、その程度でいいと思う。すれ違ったら挨拶してくれるくらいで全然構わない」

魔術の素養があれば、否応に食いつきにかかったろうが、そうでもないならば然程心配はあるまい。
そういう家だ。権力争い等には興味がない。あるとすれば、現在の地位を保つことに腐心する位か。
そんな過る実家に対する評価を、口にする酒の味を以て押し流そう。
呑みやすい。総じて、この一言の評価が似合う。気軽に幾らでも杯を重ねられる分、女性を酔わすには足るか。

「割と、ね。はしたない位がかえってちょうどいいのかもしれないね。もう一口、如何かな?」

自分ばかり呑むのも、不公平だ。一旦瓶を置き、交互に呑めるようにしながら会話に暫し興じよう。
酔い潰れることはないが、帰ったらぐっすり眠れることだろう。その程度に酔いを重ねて――。

ご案内:「王都マグメール 王城2」からローレディアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城2」からマティアスさんが去りました。