2017/07/12 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城2」にローレディアさんが現れました。
■ローレディア > (連日にわたる大宴会。文官としてはその準備期間から忙しくしていたのだが、開催後は貴族の娘として社交に忙しい日々。今夜もこの日の為に仕立てたドレスを纏い出席していたのだが)
「人が多すぎるというのも、考え物です…」
(眩暈を感じて宴の席から離れた庭の東屋へと避難してきた少女は小さく呟いてため息をついた。幸い周囲には誰もいない。少し外向きの仮面を外しても、問題はない)
ご案内:「王都マグメール 王城2」にマティアスさんが現れました。
■マティアス > ――少し、道に迷ったか。
王城を歩むのは初めてではないが、記憶通りにならないところもある。
所々改装されたのだろうか? それとも、何がしかの幻惑でもかけられたのか。
まぁ、いい。最悪通りかかった衛兵にでも聞けばいいだろう。
そう思いながら、歩む先に遠く見えるのは東屋と思しい建物の影。
「こういう場所もあった、とはね」
大体どの位置に当たるのだろうか?
周囲を見回し、現在位置の大まかな算段を立てながら歩む先に見える処に進めば。
「おや。――……失敬。お邪魔だったかね?」
先客が居るらしい。
ローブの裾と腰には佩いた剣を揺らしつつ、東屋に至る手前に気づいて足を止め、声をかけてみようか。
■ローレディア > (宴のざわめきは遠く耳には届かない。しばらくは木々のざわめきに耳を傾け、夜風に吹かれていようか。そう思っていたところに聞こえた誰かの声。
元々今回の宴会は身分差なく客が招かれるものだ。ローブ姿からすると、魔術師だろうか?そんな彼の問いかけには軽く首を横に振って)
「いえ、そんな事はございません。貴方も休憩にいらっしゃったのでしょうか?」
(貴族らしい笑顔を浮かべて問いかける。あまり自分の周囲にはいないタイプの人間だけれど、今ここには他の貴族の目も、使用人の目もないのだ。淑女としての礼を保ちながらも、興味津々に相手の事を問いかけて)
■マティアス > 「それは重畳。……ふむ。休憩半分、好奇心半分といったところかな?
この城も初めてじゃないが、存外忘れているところもあって、見回っていたらこの辺りまで来てしまったよ」
ローブの襟元に付随するフードは被らず、最初から脱いでいる。
鼻先に乗っかった眼鏡を押し上げつつ、先客の姿に会釈と共に答えよう。
記憶にあるものと、目の当たりにする現実の差異の穴埋めの作業に興じていたら、ここまで至っていた。
困ったという風情はない。冒険者として「迷う」という出来事は、何度も直面するものだ。
「其方は見たところ、――ん、女官さんかな? 間違っていたら申し訳ないけれども」
失礼と断りながら己も東屋の屋根の下へと至り、柱に背を預けて一息つこう。
視界の前に配された硝子板越しに見遣るドレス姿はまだ新しいが、着慣れていない風情はないように思う。
貴族の子女か。それを前提としてさらに考えるならば、どうだろうか?
■ローレディア > 「まあ、そうなのですか。こちらは位置的にいえば、中庭の外れになりますけれど、主要な建物からは遠いのであまり知られていないのでしょうね」
(毎日城に上がるおかげで、こういう隠れ家的場所はいくつか心あたりがある。今回はそれを利用しての休憩だったけれど、どうやら迷い込んだらしき相手に、後程案内いたしましょうか?と首を傾げた。口で伝えるよりは同行したほうが分かりやすいだろう)
「はい、文官見習いのローレディアと申します。初めまして。
お名前を伺っても宜しいでしょうか?」
(席を立ち、軽くドレスの端を摘まんで礼を取る。乱れのない動きに、淑女としての教育は済んでいると察せられるだろうか。
今夜のドレスは胸元は詰まっているものの、夏も近い季節の夜会とあって、涼し気なレースを何枚も重ねたスカートに、地の記事は滑らかな光沢を持った藍色。耳元を飾るピアスに指輪と宝飾品の意匠も夏の夜に合わせた品で、高位貴族であろうことは察することが出来るはず)
■マティアス > 「成る程。
……うんうん、言われてみると大体見えてきた気がするよ。
良ければ教えていただけると、とても助かるよ。色々と覚えておくことは多そうだからね」
古きを新しきに改める作業が必要だ。
子供の頃の記憶も多少は当てになるが、年月が経っていると風化と虫食いが生じるのも避けられない。
それに、案内もしてくれるというのならば余計に願ってもない限りだ。
「此方こそ初めまして、だよ。ローレディア嬢。
僕の名前はマティアス。マティアス・クラインシュミットという。以後、お見知りおきを」
見立ては大体合っていたか。見える所作と装いに散りばめられた要素から拾うに、位のある貴族の出であろう。
だから、己もそれに相応しい所作を以て答えよう。
旅塵に塗れたローブの裾を払い、淀みない所作を以て一礼を見せよう。
家を出てから長いが、意外と身体に染みついた作法とは忘れないものらしい。
名乗る姓も知っていれば知っていよう、という程度のものだ。貴族位を持つ国に仕える魔術師の一族の一つ。
■ローレディア > 「私もここには休憩に来ただけですもの。今は城への人の出入りが多い時期ですし、呼んでも誰か来てくれるとは限りませんから」
(宴が大規模になればなるほど、裏方の人間は忙殺される。間違っても王家や貴族の品格を下げないため、おもてなしに手を抜くわけにもいかないのだ。だったら、道案内くらいは自分がしようと微笑んで)
「マティアス様ですね?クラインシュミット家といえば…確か、魔術の長けているとお噂を伺った事が御座います。マティアス様も魔術を嗜まれるのでしょうか?」
(家名を聞いて記憶を掘り返す。城に上がるようになってから主要な貴族の家名と派閥くらいは頭に入れていたので、その家名は魔術師のものだと思い当たった。
己には全くない。だが、生活する上で不可欠な魔術…少し話を聞いてみたいと先を促し、はっと顔を上げて)
「そういえば、私席も勧めずにお話なんて失礼でしたね。どうぞお座りくださいな?
誰か通りかかれば、飲み物をお願いするのですけど…」
■マティアス > 「そうなると、衛兵の類も望みがたいというコトかな。……それはそれで不用心極まりないねぇ、全く」
実際にこの場で仕事をしている人間からの情報とは、値千金とも言える。
道理ではあるのだ。この時期は王城に詰める人間は誰しもが忙殺されうる。どこかに死角が生じるのも承知の上で、という状況なのだろうか。
そう考える。思考を巡らせる。何がしかの依頼を受けて王城を見て回るなら、役立ちそうだと記憶に留めて。
「ただのマティアスで、いいよ。
僕は家を出奔(で)ている身でね。それでも其方の言う通り、少しばかり心得はあるとも。」
出奔している身でありながら、家名を使い続けるのは一重に実家に対する嫌がらせも少しある。
だが、名乗っておけば貴族名鑑でも頭に持っているような御仁には、通りが良いということも皆無ではない。
このように、とデモンストレーションとばかりに簡単な術を示して見せよう。
発動体を兼ねる右手の中指に嵌めた指輪を示し、親指の爪で弾けば音が響く。世界を震わす音は呪文として、簡単な術を生む。
青い翅の蝶の形状を模した魔力の光が、東屋の天井近くまでふわりと浮き上がって光の粒を鱗粉代わりに散らして舞う。
「では、お言葉に甘えて。失敬した酒ならないワケではないけど、……ラッパ飲みは無作法かな?」
そんな蝶をちょっとした明かり代わりに腰の剣を鞘ごと外し、肩に立てかけるようにしながら備え付けの椅子に座そう。
ローブの内側を漁れば、くすねた小さな酒瓶が手に触れる。中身は、どうだったろうか。