2017/03/09 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城地下」にシャーロットさんが現れました。
シャーロット >  
「今日はミレーはいないの?
 本当に最近は少なくなっちゃったわね」

場所にそぐわない豪華な椅子にかけ、胸の下で腕を組むシャーロット
その表情はつまらなさそうな子供のそれで……

組んだ手元でロッドを揺らす

不機嫌そうなお嬢様、
周囲の貴族達はどこか落ち着かない様子である

ご案内:「王都マグメール 王城地下」にアーヴァインさんが現れました。
アーヴァイン > 地上と地下をつなぐ階段、そこからカツン、カツンと足音が響く。
薄暗い階段を、手元に浮かべた電気を纏った魔力の礫で照らしながら進み、彼女達のいる場所へと近づいていった。

「……何か取り込み中だったか?」

彼女と貴族達が視野に収まるぐらいまで近づくと、何やら張り詰めた雰囲気を感じる。
掌に浮かべていた光を握りつぶすようにして消しつつ、薄っすらと苦笑いを浮かべていた。

シャーロット > 「あらごきげんよう♡」

現れた顔ににっこりとした笑顔を向けて

「此処に持ち込まれるミレーが少なくなって、
 みんな少し手持ち無沙汰なのではないかしらね」

くすくすとした笑みはどこか黒いものを感じさせる

アーヴァイン > (「……愛想笑いが上手いものだな」)

此方の姿をみれば、心が伴っていないとは思えぬ笑みを見せる彼女に、心の中で呟きながら、改めて辺りを見渡す。
何か不安そうにも見える貴族達と、王都の地下室にしては随分と開けた空間。
ここを埋めているであろう奴隷の少なさは、空室の牢が多いのですぐに分かる。

「そうか、奴隷の価格が上がると…中々に買い替えも、使い潰しも出来ないだろうな。」

お前のせいだと言いたげな黒い笑みに、変わらぬ苦笑いを見せつける。
どちらも顔に本性を微塵に出していない語らいは、こちらを見やる貴族には胃痛を齎しそうな、剣呑な気配を感じさせるやもしれない。
そんな中、彼女の柔らかな悪態に、そこでと言葉を続けて行く。

「近々、九頭竜山脈の温泉宿と提携して、ひっそりと娼婦たちとひと時を過ごすサービスを開始予定だ。貴族の方や王族の方は、こちらの集落には訪れづらいと伺っているが、この間のプレはなかなかに好評だ。手持ち無沙汰もすぐ収まると思う」

ひっそりとひとときを過ごすとは言っているが、普遍的な交わりに飽きた彼らを満たすだけの激しさも混じり合う。
彼らの需要の増え方も、供給の処方も、想定どおりとでも言うように満面の笑みで答え返した。

シャーロット >  
「ええ、先日見つけた隠れ里のミレーは輸送中に
 賊に襲われて散々なことになってしまいましたしぃ…」

口元に指をあてて、わざとらしいくらいに残念そうな声をあげる

「ふぅん、それ、富裕地区にある娼館とお客の取り合いにならなければいいけど~」

大丈夫?と上目遣いにアーヴァインを見上げる

アーヴァイン > 「それは残念な事だ」

ワザとらしく煽り立てる言葉に仕草。
彼女が望む答えは、自分が何かしらの反応を示すことだろう。
心の中で沸き立つ暗い感情は、諜報をしてた頃のように奥底にしまいながら、まるで些細な不幸程度に薄っすらと笑う。

「取り合いか…元々こちらを利用したいと言っていた層のご要望に答えたまでだ。それに、富裕地区の娼館ほどのブランドものが、山奥で始めた業務で傾くほど柔くはないだろう?」

層がかぶらないと、答えつつも、謙遜の言葉にはほんの僅かに棘を交える。
此方如きにやられるような品揃えではないだろうと、それこそ彼女がそこらの娼館を抱えているのであれば、違うと紡ぐのはプライドが赦さないと見越しての言葉だ。

シャーロット >  
「それ、本心で言ってるぅ?」

深まる笑みを向けたまま、ゆっくりとその椅子から立ち上がる

緩やかな動きでアーヴァインへと近寄ってゆき、目の前に立つとロッドでその胸とトン、と叩いて

「本当の問題は客の入りじゃないのよねぇ。
 そちらの集落に貴族が出入りすることで……この国の支配階級から差別的感覚が抜けてしまうコト。
 それが一番都合が悪いの…♡」

どうしてかわかる?と首を傾げて見せる

アーヴァイン > 「そのつもりだが…それと、お言葉を返すことになるが、そちらの笑みも本心からか?」

お互いに隠しあったまま話しているのだ、深まる笑みに困ったように苦笑いを浮かべて問い返す。
ゆったりと此方に近づいた彼女が、ロッドを押し当てる様子にも特に何も言わず、その姿をじっと見つめるだけだ。

「あぁ…そういうことか」

問いかけた言葉の意味、それに納得したように笑うと小さく頷いた。

「支配する側とされる側、それの境界線が消えれば、家の名も、王の名もただの飾りになっていく。所謂特権やら、権力と言ったものが、最後は失われると言いたいのだろう?」

階級や権力は、その差別化が強く、落差が大きいほどに力を増す。
同時に人の心にも虐げる側と、虐げられる側の心の素地を埋め込んでしまう。
素地が薄れて消えていけば、権力を振り回した横暴もまかり通らなくなるだろう。
合っていればの話だがと言葉を続けると、ゆっくりと口角が上がる。

「だが、この国の貴族や王族の思考から境界線が失われることはない。それが当たり前で、変わらぬものと長い年月を過ごしたからだ。それに…集落に入らずにサービスを提供するために、九頭竜山脈の温泉宿を選んだのもある。身分は捨てたくないが、質のいいものには手を伸ばしたい。そちらの願望と気位の両方を保てていると思うが?」

集落外にある温泉宿の一角での出張サービスには、そんな貴族や王族の捨てることが叶わぬ立場を考えた意図もある。
どうだろうか? と、今度はこちらが問い返していく。

シャーロット >  
「えぇー、それは心外だわぁ」

ショックを受けたような表情、
…これも演技に見えるといえば見えるだろうか

「でしたら富裕地区の私の店舗を間借りさせてさしあげるわ。
 山賊達の出るような街道を通ってそちらの集落に行くよりもよろしいはず、
 当然、お店の管理はすべて貴方に一任させてあげる」

アーヴァインの言うサービスを提供する為にはその場所である必要はない
むしろ道中襲われる危険や、警護の必要性を考えれば無駄なリスクだろう

どう?と再び口元に笑みを浮かべる

アーヴァイン > 「気分を害したのなら失礼した。シャーロット殿も立場として、心の中を晒すに難しいところにいると思っていたのでね」

苦笑いの後に、軽く頭を下げて詫びる言葉も、表面としては尤もらしい理由で取り繕う。
本心か否か、何度か黒い気配をぶつけてきた彼女が、奥底を晒すとは到底思えないのも事実であり、こちらも晒さずに隠し続けた。

「それは嬉しいご提案なのだが……それでは駄目な理由がある」

彼女の言葉はコストや危険性と言った物を廃するには最良の答えだが、申し訳なさそうに緩やかに頭を振った。
彼女の手が及ばないところに置きたいのもあるが、ここで副次効果が力を示す。

「王都には大体のものがあり、貴方がたなら、欲しいものは手に入ると思う。だが、それでも護衛を連れて観光に出ることもある。温泉も、出向く必要なく、王都にあるのにだ。まだ見ぬ場所、何があるか期待をふくらませる瞬間、そして…限られた人間でなければ、入り口すらみえぬ特別感。それはシャーロット殿の店舗では再現が難しいかと思う」

明け方や深夜に、ひっそりと装甲馬車で抜け出し、隠れ宿の様なところで、上等なサービスと女を貪る。
小さな優越感は、常に他者よりも上へ、先へと望む特権階級からすれば、心を擽るだろう。
敢えての場所でもあるのだと、説明するが、苦笑いのまま、しかしと呟く。

「シャーロット殿の懸念は尤もな事だ、困るということであれば、一旦取りやめてもいい」

あまり意に反しすぎれば、余計な矛先を向けられかねない。
敢えて退く素振りで、争う気はないと示しつつ、どうだろうかと問いかける。

シャーロット > 「そういうことね♡」

それ、とロッドをくるりとまわす

「そういったものを求めている貴族達はとっても多いの。
 娼館の質ですとか、そういったモノが劣っていなくても、ね」

今まさにアーヴァインの口にしたそれこそが、先程の言葉への答えそのものである

「娼館の収益が重要なことはご存知のようですしね。
 ───あと、取りやめてもよい、なんて言葉は『無条件で』という言葉とセットじゃないと、
 私はお話しないことにしているの♡」

そう言うとくるりと踵を返し、椅子へと戻り腰掛けた

アーヴァイン > 「その欲求が消えない限り、シャーロット殿の懸念した事が起きる確率は、とても低い」

消えぬ欲望、尽きぬ欲望、そして満たすための権力や財力と言った槌。
彼らが持ち続けるそれを穢す事なく、満たすのであれば、彼女にとっても害はないと思っている。

「無条件か……それはこちらがシャーロット殿に条件をつけねばならない、理由があるからと思っているようだが…境界線を消すこともない、その動力源たる欲望も満たす此方に、何があると?」

無条件という言葉にYesともNoとも言わず、問いを返した。
それに、彼女の望む無条件も、一つの取引の切り札にも化ける。
ただより怖いものはないというものだ。
薄っすらと笑みを浮かべ、腰掛けた彼女の傍へと歩み寄っていく。

シャーロット >  
「だって、あなたにとってただ取りやめるというのは
 デメリットにしかならないでしょう?」

きょとんとした顔で首をかしげる

「そんなものを初手から無条件で切り出すわけがないと思うのですけど♡」

歩み寄るアーヴァインを見上げるように目線をあげて

アーヴァイン > 「稼ぎという点ではデメリットしか無いが、こちらとしても貴族や王族の方々が減るのは困る」

彼女が懸念した道中の危険性、それを廃するのも此方にとって悪い話ではないと告げれば、先程まで何かと笑みを浮かべていたが、いつもの落ち着き払った表情へと戻っていく。

「此方もそちらがいなければ、存在は出来ない。だが、清流が失われれば、濁った池の全てが腐り落ち、死の泉に変わる。清流だけになれば、今度は住みづらい存在がはじき出され、禍根となって清流を破壊する」

濁りの全てを抜くことは出来ず、そして、濁りがなければ清流も存在が維持できない。
淡々と告げた、伏せ言葉の説明は濁った場所を王都、清流を集落と例えるならば、現状と重なるだろう。
清流だけでも、濁りだけでも、国は成り立たないと。

「そういった点では、お互いになくてはならぬものだと思っていたのだが、違うだろうか?」

それならば条件を課す必要がないのだ。
お互いにメリットが有るのであればと、争い合うつもりがない旨を言葉に伏せて紡ぐ。
どうだろうかと問いかける頃には、先程のような笑みに戻っているだろう。

シャーロット >  
「そうね、本格的にやるのなら街道からの賊の排除、魔物の駆逐…。
 色々と前準備がないと…貴族の方々は安全を何より第一に考えますもの」

それからでも遅くないわね、と笑う

「なくてはならないのは階級の差。奴隷とそれを扱う者の差だけよ♪
 ……ま、この話は平行線でしょうけどぉ……そ・れ・よ・り」

一度言葉を切って、視線を向けなおす

「貴方の集落、最大でどれくらいの規模までを想定しているの~?
 徴税監査官としてはしっかり知っておかないといけないことなのだけどぉ」

アーヴァイン > 「それなら、一旦取りやめるとしよう」

既にプレサービスでコネクションは築いたので、凡その目的は果たせている。
そこは一つ引くとして、彼女の言葉には苦笑いをこぼした。

(「それだけでは…国は滅ぶ」)

奴隷が消え、奴隷を扱うものだけが残り、弱者が存在を維持出来なくなった時、絶望を知るのだろうと内心呆れるばかりだ。
話を変え、集落の規模を問われれば、そうだなと少しだけ考える。

「分からない、今のところこれ以上大きくする目処がないからな」

今の集落だけでも、かなりの人員の流動や金の流れがあり、制御しなければならない。
今のところ、拡大化の目処はないと頭をふった。

シャーロット >  
「それでも」

カツン、とロッドが床を打ち鳴らす

「差別されない、迫害のない生活圏。
 それらは貧富の差の激しいこの王国では希望そのものなのよぉ。
 ──キミに増やす気があるかないか、目処の有無の問題じゃないの、わかってるはずよぉ?」

ガリガリと床をひっかき、ロッドが手元へと戻る
そのときには少女の笑みはより柔らかなものへと変わって

「貧民街の人間やミレー達はそんな集落の存在を知ったら、こぞって押し寄せるでしょうね?」

アーヴァイン > 彼女が懸念するようにして脅しかけてきた言葉は、拠点のキャパシティに着いてだろう。
確かに、その可能性はあるだろう。
だが、彼もあまり変わらぬ様子で苦笑いを浮かべれば、その答えを紡ぎ出す。

「集落の商業区や観光区で働くのも一つの方法だが、色んな組織と繋がりがある。それに拠点以外にも受け入れ先はある」

例えば、大きなところだとルミナスの森がその一つだろう。
特に事務作業が出来る人員は、彼らの業務の手助けとなっている。
森の方にも各村があるという、そっちにもその手の人材が必要となれば、受け入れ先には余裕があるだろう。
それに、彼女には伏せるが、扱いとしては村そのものを所有と引き取ったミレー族の隠れ里などもある。
同族ならそちらでひっそりと農業や酪農で過ごすほうが、体にあっているだろう。

「それに、近々平民地区の辺りで、服屋を出店する予定だ。今日はその申請の帰りに立ち寄ったところだ。職や待遇が望みなら、そこでも要件は満たせるからな」

ミレー族はあまり置けないが、貧民街の人間達の問題と鳴る貧困の解消にも小さいながら貢献することとなる。
徐々に店を増やし、職を提供すれば、集落に集中する率は、更に下がるのだから。
だからこそ、安易に広げるより、分散させたことで予定を立てていないのだ。

シャーロット >  
アーヴァインの言葉にうんうん、と笑顔のまま頷く

「そうなると平民地区、貧民地区から人がそちらに流れて地価が落ちてしまうの。
 先日、これまでにない額の徴収の書類がそちらにいっているとおもうのだけど…それを懸念してのことね」

平民や貧民が王国直下の生活を捨て集落へと逃げ込む───
それは直接の税収だけでなく、生活圏として今まで在った土地の価値を著しく落としてゆく

「なぜなら、危険を伴う貴方の集落の内部にどれだけの人間がいるのか、内部調査が行えないから。
 貴方の出す情報だけを鵜呑みにして金額を決定するわけにもいかないでしょお?
 今後も受け入れを続けるつもりなら、直接内部の人口調査をさせてもらわないとぉ」

アーヴァイン > 「だから濁った水だけでは駄目だといったんだが」

彼らの逃げ先が消えるなら、地価が下がるどころではなくなるだろう。
そこに住まう人々が滅んで、価値の全てが失われるのだから。

「その人口調査は…無理だろうな。まず、そちらが集落に入れない、ミレー族と同列に並ぶ覚悟など無いだろう? それに、そもそも難民受け入れと違い、ただの業務斡旋だ。どれが何処から来たかなど、いちいちゲートで調べていたら、物流すら止まる」

拒否ではなく、不可能と告げるのは、彼らの出入りと物流への影響だ。
特に後者は、影響の割りを食うのは貴族や王族になる。
その日のうちに送るべき品物というのは結構あり、鮮度の高い食品や飲料、嗜好品等など、下手なブレーキをかけようものなら物価の上昇にも繋がる。

「そもそも…人員の流動の歯止めが出来ていないのは、失礼ながらそちらのコントロール不足による失態だろう? 此方は寧ろ、それの援護になる王都での業務斡旋を行う。王都で正当な雇用が増えれば、彼らも移動する必要がない」

ミレー族はともかくとしても、内政でのコントロールが効かず、人間がこちらの集落を目指すのは、此方の要因ではない。
そちらに要因があるのだと言葉を突き返すものの、雇用を生み出すことで、それに応えようともしていた。
故に拡大も、これ以上の分散も抑えることが出来ると説明すれば、眼鏡を掛けた少女が廊下を降りてくる。
ベレー帽を被り、組合の戦装束に身を包み、背中には魔法銃をスリングで掛けていた。
少女は、彼を見つければそろそろ戻る時間ですと丁寧に告げる。

「すまない、そろそろ集落に戻って会議に出ないとならない。また今度、話をさせてもらいたい」

シャーロット >  
「言い訳はわかったけどぉ、
 それだと徴収をそっくり上乗せして投げ返すなんて理由にはさすがに遠いわぁ。
 別に貴方達だけに頼らなくても王国には戦力も人出もあるのだから?
 ──モノを知らない王国貴族達はぐうの音も出なかったでしょうけどね」

そう言って自分達の側である筈の貴族達を嘲笑する
彼らとはまた立ち位置の違う存在であることを感じさせながら、その玉虫色の瞳をアーヴァインへと向ける

「じゃあ、またお話しましょう。今度はこちらから伺わせてもらうわぁ。
 あくまで公務としてのお話だから、安心してね♡」

ふふっと可愛らしく笑ってその手をひらひらと振る

そしてアーヴァインがその背を向ければ、その背に向けて一言だけ言葉を続けるだろう

"──この国を滅ぼしたくないって本気で思ってる人間、こんな国にいるわけないじゃない"

それはきっとシャーロット自身を含めて
この腐敗した国の行く末が最も真実味を帯びて見えている少女の言葉はどこまでも冷ややかだった───

ご案内:「王都マグメール 王城地下」からシャーロットさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城地下」からアーヴァインさんが去りました。