2016/12/06 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城2」にステファンさんが現れました。
ステファン > 王城の何処かにひっそりとある執務室
鉄火場を超えて今しばらくは平穏であり、応接用のソファで官給品の王国軍服の上着を掛け布代わりにし、
身体を横たえて眠っていた
ここ数日の激務もようやく一段落し、ようやく横になれるとソファに倒れ込んだきりである

王都にある屋敷まで帰ってもよいのだが、急な呼び出しや緊急を要する事態に対応する為、
執務室を離れられることがなかなか難しい…
否、屋敷に戻れば最後、仕事に戻りたくなくなってしまいそうであったというのもあるし、
代理、とは言え一応将軍職という事もあったれば、所在不明、という訳にもいかない

夢の中でも事務仕事に追われているのだろうか、時折、うなされながら、ソファの上で身動ぎをしながらも
すー、と寝息を立てており王城内で繰り広げられているであろう陰謀劇とは無縁であるようだった

ご案内:「王都マグメール 王城2」にティアリシアさんが現れました。
ティアリシア > 「第18師団…ここか」

王城のとある執務室の前で立ち止まり扉に刻印された文字と手元の書類を見比べた。
軽く身なりを整えた後軽く4度ノックをする。
ここの師団長…代理だそうだが、彼が着任する前に騎士団を抜けてしまったため顔を合わせるのはこれが始めてになる。

(師団長なんて大体いかついおっさんか欲深そうなエール樽に髭が生えたのと相場が決まっているが……さて)

なんて大変失礼なことを考えつつ室内からの返事を待つ。

ステファン > ドアをノックする音にゆっくりと起き上がる
緩慢な動作で顔を撫で、髪についた癖を手櫛で整えながらドアの向こうへ返事を返せば、上着を羽織り立ち上がった
ドアの向こうから慌てる気配は無かったから、緊急を要するものではないだろう、とは思いはするものの
久方ぶりの安眠(うなされていた気はするが)を邪魔されひどい顔をしてるであろうことは想像がつく
むにり、と己で顔を解しながら、姿見で一応の身だしなみを整えて、いざ―――

「開いています、どうぞ…」

そう、ドアの向こうへ告げる
癖毛ぎみの髪の髪を撫でながらドアが開かれればやや疲れた笑みを浮かべた

ティアリシア > 「失礼します」

扉の向こうからかけられた声に引っ掛かりを覚えながらゆっくりと扉を開ける。
ソファに腰掛ける人物は思っていた以上に若く、おっさんでも髭が生えたエール樽でもなかった。
酷い寝癖がついているところを見ると眠っていたところかもしれない。

「お休み中申し訳ない。18師団の備品についていくつか申請、が…」

その男性を見つめながら切り出していくと頭の中でとある人物と合致する。
随分と役職と印象が一致しないためしばらくぴんと来なかったが

「え、リュング家の次男坊さん…?」

思わず素で間の抜けた声をあげてしまう。

ステファン > 凛とした返事がドアの向こうから返る
伝統的に男も女もなく、貴族たればその実力を持って騎士の叙勲を受けることの出来るわけだが、
不思議と18師団に女っ気は皆無であった…まあ、貴族から嫌われている部署であって、
招集兵が大半占めているから、当然といえば、当然なのだけれども

「備品ですか…では、早速、書類を拝見しましょう…」

燃える瞳。その視線を身に受ければ自分が上手く笑えていただろうか、と不安になった
その視線から逃れるように書類を受け取れば、まずは彼女を室内へ招き入れた後、書類に目を通す……――

「…確かに、リュング家の次男です、が…」

上がった声に書類から視線を彼女に向け直す
長身に中性的な顔立ち…幾分、育ってはいるようだが主張の激しい女性らしい体格…

「…ティア嬢…?スカーレット家のティアリシア嬢…?」

眼を丸くしてマジマジと彼女へ視線を向けてしまった

ティアリシア > 「お久しぶりです。何年前だっけ…初対面でゴリラとか思われた可哀そうな騎士です」

次に言ったらぶっ飛ばしますけどね…と暗に瞳に力を込めながら扉を閉める
確かあまり派手さのない次男らしい性格の人だったはずだ。それが代理とはいえ師団長とは…

「軍時代に置いて行った備品が18師団の管理備品となったと聞きまして、その回収申請に。
…ちゃんと寝てます?クマがひどいですよ」

のんびりと笑いながら口にする。
表情こそ笑っているものの瞳の奥では激務を気遣っているような色を宿していて
それを向けられた貴方も気が付くことができるかもしれない。

ステファン > 「ああ、そんな事も……――」

いや待って欲しい。初対面で彼女を魔物と称したのは兄であったはずである
兄が耳打ちにそんな事を言うものだから、ゴリラなんて言ったら失礼です、と自分は諌めたのだ
それを偶々、偶然、彼女は耳にしてしまったのだ…言い訳したい、そして兄の罪を詳らかに告発したい

……――死んでしまった人間はズルい。いや、本当に

「……ん、ああ、そういう事なら、倉庫辺りの筈ですが…
 中々、忙しくてね。屋敷にも帰れない有様だ」

苦笑がちにそう返せば、彼女をソファへ促し、自分は執務を取る机に付いた
気を使ってくれるのに気が付かぬほどでは無いが、最初の文言が恐ろしすぎた
彼女は自分などとは比べるまでもないほどの実力者であるという話である
書類に目を通せば、少し調べてみるから、と書類棚に向かい彼女の備品が何処で管理保管されているか、
束になった資料に目を通し始めた

ティアリシア > 「ああ、一応サインするだけにしてあります。元とはいえ外部者ですから書類通るまでが長かったですが。
あとは許可さえあれば回収できるので勝手に回収しておきます。お手を煩わせるまでもないかと」

本音は師団長に対する偏見からできるだけ接触時間を短くしようと考えていたのは内緒。
思いの外話が通じそうな相手で心からよかったと感じていて
その安心がいつも以上に気さくな雰囲気を醸し出していた。

「ええ。どうぞご自愛ください」

彼には優秀な兄や父がいたはずだけれど…あえて追及はしない。
寝癖がついていますよと手をひらひらとさせて、そのまま腰かけていても大丈夫と伝えた

ステファン > 「それは手回しの良い事で…では、許可する書類を書くんで少しお待ち下さい」

彼女が手筈を整えておいてくれたようで、此方としてはありがたいばかりである
机に戻れば手慣れた様子で書類を作成していく。寝癖の事を指摘されれば、すまないね、と笑って
ペンを持つのとは逆の手で癖の付いた髪を撫で付けていった

「…昔のよしみでティアと呼ぶけれど、薔薇騎士団を止めた後はどうしておいででした?
 スカーレット卿がずいぶん、気を揉んでいたようですが、息災でしたか?」

彼女が薔薇騎士団に所属していた事までは知っていた
…のだが、風の噂に彼女が騎士団を辞めた、というのを聞いたが最後、それきりで今の今まで忘れていた
特に深く聞くつもりもないが、なんとなく世間話程度にそんな話を彼女に降る
器用な事にその間もさらさら、とペンは慣れた様子で紙面を走る

ティアリシア > 「ありがとうございます」

ゆっくりと近くの椅子に腰かけ微笑んだ。
根回しがかえって良い形になったのは喜ばしい限り。
疲れた様子でペンを走らせる彼を見ながらその心中を思う。

「それなりにいろいろと。騎士団を抜けたおかげでコレに関してはあまり気にならなくなりました。
父は…あれはもう気をもむのが仕事のようなものですから」

苦笑する。
父が気にしているのは娘の身ではなく世間体なのだから。
それに比べたら目前の彼の家庭のほうが少しうらやましく思えたほどだった。
彼には彼なりの苦悩があるはずだけれど。今も、昔も。

「そちらはずいぶんとお代わりで…正直部屋を間違えたかと少し迷ってしまいました」

苦笑交じりにのんびりと返す

ステファン > 大した饗しも出来ず申し訳なく思いながら手を動かす
彼女も18師団の噂くらいは耳にしているだろうから、許してもらうことにしよう
あそこは訪ねていっても茶の一杯も出さない、と吹聴されようが今更なのである

「それなりに、ね…麗しの三薔薇騎士もたいそう、残念がったらしいけれど、君が元気ならそれが一番だね
 ははは、スカーレット卿も大変なご息女を持たれたものだね…息災そうだった、と機会があれば伝えておくよ」

視線をちら、と上げれば彼女が浮かべた苦笑に此方も肩を竦めてみせる
彼女も騎士団から離れて、良いこともあれば苦労することもあったのだろう
ましてや女性の身である。世間体はあるだろうが、彼女の父上もそれとは別に心配なのだろうと思う

「そうだね…私も騎士などさっさと辞めて、宮廷やサロンで下手な詩作三昧の日々を送ろうと思った矢先に、
 これだからね…いや、人生はままならないな、本当に…」

わざとらしく嘆息などをして見せながら世間話に興じる

ティアリシア > 彼が忙しいことはもう目に見えて伝わってきていた。
突然訪ねてきた外部者にお茶も何も出しようがないのは補佐官すらいないこの部屋が
何よりも物語っている。本当に最近まで忙殺されていたのだろう。
その少しの休暇を邪魔してしまったことが少し申し訳ない。

「はは…あの方々は放っておくと奔走しそうですから、むしろ先を越されたと悔しがっていましたよ。
ただ…、また今回も顔も見せずに出かけることになりそうですので…
あまり煩わせてしまうのも心苦しいですのでお手すきの際にご連絡いただければ」

窓際師団なんて呼ばれていることは耳にしていたけれどそういった場所だからだろうか。
やわらかい連帯感や親近感が漂っていてお堅い軍に比べれば比較的好ましい印象を受けた。
肩の力は抜けている位が丁度いい。
家のことは…少なくとも当分戻るつもりはない。

「軍を抜けた私が言うのもなんですが…確かにそういった生き方も有りかもしれませんね。
芸術に浸ることが許される国というのは魅力的です」

そういえばずいぶん昔に詩のようなものを口遊んでいた気がする。
名誉よりもそちらのほうが興味がありそうなこの人が今や師団団長代理なのだから
確かに世の中ままならない。

ステファン > 彼女の言葉を聞けば手が止まり笑い声が溢れる

「あの三騎士を悔しがらせる人物なんてそうはいないだろうね…その点、ティアは誇っていいんじゃないかな?
 王国史に残る珍事だ…あの三騎士が…ねえ」

元、とはいえ彼女の上司であった人物である
こほん、と咳払いを1つし笑いを誤魔化しつつ、式典などで稀に顔を合わせることもある、
黄薔薇騎士辺りの耳に入ったら、と思ったらゾッとした。無害そうなのが怒らせると一番怖い

「…私も中々忙しい身だからね
 折を見て、という事になるだろうけど心配しないよう言い含めておくよ」

あーっと、書類…なんて態とらしく零して先程の失態を更に誤魔化そうとする辺り、武門にありながら
才能なし、と言われる所以かもしれない。当人は全く気にしてはいないのだけれども

「中々思うようにいかないものだから、寧ろ、家を飛び出した君を私は少し羨ましくも思うよ
 なに、ティアの人生さ、君の思うがままに生きれば良い。私は応援しているよ?」

何処か疲れた表情であるが柔らかな表情を彼女へ向けて、そんな風に伝える
さらり、と最後に署名をすれば間違いがないか、紙面を眺めて