2016/11/19 のログ
ご案内:「王都マグメール とある訓練場」に《鋳薔薇卿》さんが現れました。
《鋳薔薇卿》 > ──剣戟や、それに混じって光が明滅する。
室内中央に設けられた決闘場の上では、覆面を付けた1組の騎士が、模造の小剣を手に向かい合っていた。
顔を隠しているが、どちらも貴族とはいえ腕利きの剣士。その試合は技術と技術のぶつかり合いだ。

黙々とトレーニングをするもの、試合を興味深そうに眺めるもの。
緩い規則ゆえか、どちらの騎士が勝つか賭け事を始めるものまで居た。
少し離れた壁際に、『訓練用用具』と札が掲げられた備品の棚がある。練習用のゴーレムや魔道具などに混じり、なぜか花瓶に生けられた黒い薔薇。
花瓶の横には小さな字で、『対獣対魔訓練用魔道具“動く黒薔薇”。いたずら禁止』と書かれている。

(む、向こうに大きな立て鏡があるのに、遠い……ッ!!
これではより美しい姿勢を追及できぬではないか……!!)

じわり、と不自然にならない程度で茎や葉を動かし、静物画の題材になりそうな、美しいポージングを試みる。
そうしながら、この黒い薔薇は試合を眺めていた。

《鋳薔薇卿》 > やがて勝敗が決する。
衣服を眼前に広げて相手がひるんだ隙に滅多打ちにするという、
少々ダーティではあるが、対人戦ではある程度有効とされる戦法がとられたようだ。

(目くらましに帽子や衣服を広げ、それごと切りかかる。
盾を持たぬタイプの剣士に時々いるな。昔の我もそうであったが……)

騎士たちは握手をし、肩をたたき合って互いを賞賛する。
念のため医務室へ向かう戦士たちに代わり、決闘場にはまた新たな一組がのぼっていくようだ。
黒い薔薇は引き続き、様子を眺めている──

ご案内:「王都マグメール とある訓練場」から《鋳薔薇卿》さんが去りました。