2016/08/11 のログ
ご案内:「王城内 庭園」にツァリエルさんが現れました。
ご案内:「王城内 庭園」にヴァイルさんが現れました。
ツァリエル > 穏やかな陽気の午後、ツァリエルは王城内にある庭園の一つに足を運んでいた。
ここはあまり他のひと目につかず、一人で過ごすにはちょうどいい場所だったからだ。
今は着慣れたお仕着せの貴族の衣服を少し引きずりながら、芝生の上を歩く。
手には食事に出されたパンの切れ端を持って、鳥達が集まる場所へちぎって与えてやると待ってましたとばかりに鳥達が芝生の上へ降り立ってそれをついばんだ。

ヴァイル > 鳥たちの集まる芝生に、どこからか入り込んできた黒猫が押しのけるようにして近づいてくる。
夜闇になら紛れでもしようが、陽光の下ならくっきりと浮かび上がるような毛の色だ。
その背にはなにか、握りこぶしほどの大きさのぼろきれの塊のようなものが乗っている。
ここを訪れる途中でなにかのきっかけでひっついてしまったのだろうか?

ツァリエルがその猫に視線を向けると、背中のぼろきれがむくりと立ち上がる。
うずくまることをやめたそれは人の形をとってりるようにも見える。
そしてツァリエルに向けて何か声を上げているようにも見える。

「ツァリエル。おれだ。拾え」

ぼろきれの間から覗いたのは覚えのある陰のある相貌だ。
これほど小さくはなかったにしても。

ツァリエル > 猫にびっくりしたのか鳥達が飛び立ったりそそくさと離れていくのでいやでも闖入者に目が向いた。
よくこの庭に忍び込む黒猫だ。鳥達にまじってパンの切れ端をねだる図太い感じの猫だった。

その猫の背にボロ布がひっついて、しかも自分の名前を読んで動いているとなるとさすがに驚かざるを得なかった。
それが見知った顔を覗かせていたにせよ。

うろたえるようにかがんで猫の背からぼろきれを両手で拾い上げる。
まるで小人か妖精のような小ささに目を丸くした。

「ヴァイルさん?!どうされたのですか……」

ヴァイル > 「とりあえず影になってくれないか?
 日光浴には向かない体質でね」

ツァリエルの手の上、驚いた様子の彼の声にうるさそうに顔をしかめながら、手短に説明する。
仇敵との戦いで激しく手傷を負い、消耗した魔力の節約と
目眩ましを兼ねてこの姿になったはいいが、戻れなくなってしまったらしい。
姿の変化だけではなく、普段まとっている強大な気配が感じられないことも
ツァリエルにはわかるだろう。

「静養と補給が必要だ。しばらく匿え。寝床も借りる」

有無を言わせない口調で薄笑いを浮かべる。
無力化されていても媚びや遠慮などというものはない、
いつもどおりと言わんばかりの態度だった。

「服もほしいが、まあ贅沢は言うまい」

ぼろきれの間から白い素肌が見える。
この布以外は何も身に着けていないようだった。

ツァリエル > 「わ、わかりました……」

”夜歩くもの”のヴァイルにとってこの日差しは辛いものなのだろう。
こんなに小さく弱々しくなってしまった理由はよくわからないにしても
とりあえずほうっておくわけにはいかない。
上着の胸ポケットへヴァイルを滑りこませ、きっちりと光が入らないように合わせを閉める。

残りのパンの切れ端を連れてきた黒猫の前に置いて、足早に庭園を抜けて城の中へと戻った。
長い廊下を通って、あてがわれた自室へと戻る。
誰にも気取られていないか確認をしてから扉を閉めて、窓のカーテンをひき、部屋の中央にあるテーブルへとヴァイルを降ろした。

「服……ええと……」

なにかいいものがないかと頭を巡らせると貴族たちがおべっかで送った数々の贈り物の中に精巧なドールハウスと子供が喜びそうな人形が放置されていた。
本来女児用のおもちゃのそれが何故ツァリエルに贈られたのかはわからないが(馬鹿にされているのかはたまた飾りとして置いておけということか)
その人形を一つ手にとってヴァイルのそばに置いてみる。
身丈はほぼ合いそうだ。豪奢なピンク色のフリルとレースのふんわりした夜会ドレスというのを除けば。

「……着ますか?」

恐る恐るそれを見ながら尋ねてみる。

ヴァイル > 「なんだ。用意がいいじゃないか。
 ツァリの玩具になれということかな?」

ドールハウスや人形とツァリエルを見比べてそう口にする。
馬鹿にしているのか感嘆しているのか微妙に区別のつきづらい表情。

「できれば動きやすい服のほうが望ましかったが……」

それ以上文句を言うこともなく、テーブルの上でぼろきれを捨てて、
少年の身体のまま、人形のドレスの袖に腕を通していく。
普段は三つ編みになっていた髪は解かれ、下ろされている。

「どうかな」

特に求められているわけでもないのに、胸に手を当ててポーズを取る。
そのままテーブルの上をつかつかと衣装のモデルのように二周ほど歩く。
この手のものを着なれているのか、気品を感じさせる振る舞いだ。

ツァリエル > まさか着るとは思っていなかったドレスに素直に袖を通すヴァイルをまじまじと見る。
元から整った体躯と顔立ちなので、人形衣装を纏えば本当に生きた人形が動き回っているようにしか見えない。

ぱちぱちと何度もまばたきをしてポーズを取るヴァイルに不思議な感嘆を覚え

「に、似合うと思います……」

素直にそう告げる。可愛いとは思うもののそう言うと怒られてしまいそうなのでそれだけは飲み込んだ。
とりあえず代えの衣服も必要だろうと乱雑に置かれていたドールハウスと他の人形も引っ張りだしてテーブルの上へのせる。

花柄のワンピースやらフリルのたっぷり入ったゴシックドレスやらを人形から剥いでヴァイルのそばに置き、
倒れていたドールハウスの家具を設置し直す。
一人がけの椅子が丁度あったので、それもヴァイルのそばに置いた。

「別にお人形で遊びたいわけじゃないですけど……
 他になにか必要な物はありますか?
 補給、ええとご飯とか……血、とか……?」

自分もテーブルのそばへ椅子を持ってきて腰掛ける。

ヴァイル > 「ふぅん」

戸惑ったようなツァリエルの褒め言葉に、どこか見透かしたように目を細めて笑む。
それでも一応その言葉に満足はしたようだった。

「王宮暮らしは退屈だろう、人形遊びに付き合ってやっても構わんぞ。
 そう急くわけでもないしな」

からかうような口調。ちょうど相手になりそうな人形も出てきた。
用意された人形用の椅子に腰掛けながら、わたわたとドールハウスを整える
ツァリエルの姿を優雅に眺めていた。

「何もかも足りていない、貰えるものはなんでも貰おう。
 食事も、血も、それに精もね」

唇を舐める。

ツァリエル > 王宮ぐらしは退屈かという言葉には困ったように笑う。

「最近はそうでもないです……。立派な王様に少しでも近づけたらいいなっていう目標ができて
 それにむかって色々と勉強しているし。
 もちろんなれなくてもちょっとでもこの国を良くしていける力に慣れればいいなって思っていて……」

最後に細々とした靴やバッグ帽子、それから陶磁器で出来た食器類のミニチュアなどを箱ごと持ってきてテーブルの上に置く。
ヴァイルが自分で具合のいいものを選んで使ったほうがいいだろう。

「精って……」

その言葉の意味するところと唇を舐めるヴァイルの様子にさっと頬が赤く染まる。
さんざん既に交わった後の相手に言われてまだ動揺する初さがあった。

「と、とりあえず……色々用意しないといけないですね。
 食事は夕食がこの後ありますから、僕のポケットに忍んで一緒に食べればいいし、あとお風呂とかかな。

 ええと、じゃあまずは血……」

椅子から立ち上がり、文机の引き出しから小さなナイフを持ってくる。
鉛筆を削るためのものなのだが、それの先で自分の人差し指を傷つけた。
小さい切り傷から赤い血の珠がにじみ出る、それをヴァイルの目の前に差し出した。

「どうぞ……」

おずおずと飲みにくくはないだろうかという様子で。

ヴァイル > 「ほう。知らない間に立派なことを言うようになったな。
 見くびってすまなかった」

眉を上げた。表情には僅かに喜色が混じっている。

ツァリエルが自らの指を傷つけ、差し出すと
テーブルの上を、小さな靴のヒールを鳴らしてそれに近づく。

「ん……」

人差し指を両腕で掛けて、身体を曲げて血の珠に口を付けてそれを飲む。
続いて直接傷に唇をあて、小さな舌をそれに沿わせて血を啜る。
奪われる量は、普段に比すれば当然ながらひどく少ない。
餓えているためか、ツァリエルが見下ろすなか、焦れるほどにその貪りは無言のまま長く続く……

ツァリエル > 別段立派なことを言っているつもりはないのだが、
ヴァイルに褒められているような気がして同じように僅かに喜んだ。

差し出した人差し指から血をすするヴァイルを見つめ、じっと動かずにいる。
ヴァイルが他の人間をこのように小さくしたことを間近で見たことがあったが
まさかヴァイル自身が小さくなってしまうとは思わなかった。
手のひらに収まるほどの大きさになってしまった彼を見ると、自分がちょっとでも乱暴にしたら容易く傷つけてしまう不安と
あんなに尊大で恐ろしかった相手が今は跡形も無いことに何とも言えない気持ちになる。

傷口から熱心に血を求める小さな舌が、なんだか虫に食われているようでむず痒い。
いや、虫は失礼かと思いつつ頭のなかで小動物に置き換えようとして失敗した。

とりあえず相手が満足するまでは人差し指を離すこともないだろう。

ヴァイル > しばらく待てば、指から唇を離し顔を上げる。とっくに傷から血は滲んでいない。
血に汚れた口元を拭い、ツァリエルの指に寄りかかってくつろぐ。
もともと頑強な体格というわけでもなかったが、今日のヴァイルには厚みも重さもない。
血を得てひと心地ついたか、すこしばかり微睡むように目を細める。

「今や小鼠のようにツァリの手や服に隠れなければいけないとはな。
 そういえば、人の血を飲む我らのことを蛭などと蔑む連中もいるな。
 ……蛭とどっちがマシやら?」

自嘲するような言葉だが、ヴァイルはむしろ楽しそうに口にする。
ツァリエルの抱いているような不安などどこ吹く風のように見える。

ツァリエル > 満足した様子のヴァイルが自分の指にもたれかかってくる。
体温の低い相手がことさら人形のように思えた。

内心を読まれたような言葉に少しだけバツが悪そうな顔をする。

「でも、すぐ元に戻るでしょう?
 ……どれくらい時間がかかるのかわからないけれど。
 蛭は虫であなたは魔物です。優劣がつけられるはずもない」

それからしばらく、指先でヴァイルの喉元をくすぐるようにあやしていたが、
やがて何かを思いついたようにそっと指を離して立ち上がる。

「すぐに戻りますから」

そう言ってぱたぱたと部屋から出て行く。
しばらくして戻ってきたツァリエルの手にはバスケットが抱えられていた。
再びテーブルに戻るとバスケットから琺瑯引きのポットを取り出し、
ドールハウスに備えていた陶器の猫足バスタブを引き寄せ中身を注ぐ。
人肌に温められたミルクがなみなみとバスタブに注がれた。

「こんな贅沢、大きいままじゃできないかなって思って」

そういって、ハンカチをバスタブの下に敷きヴァイルに風呂を勧めた。
自分はさらにバスケットから皿にもられたクッキーを取り出し、別のポットから紅茶を取り出して注ぐ。
午後のティータイムといったところだ。
ヴァイルの分も小さく砕いたクッキーをミニチュアの皿の上に、紅茶を小さなティーカップの中に注いでおく。

「こんなことしたらまたご自分で用意するなんてはしたないって
 侍女に怒られちゃうんですけれど、仕方ないですね」

だってヴァイルさんに気づかれるわけにはいかないものと、いたずらっぽく笑う。
どうやら今回だけでなく度々厨房の使用人たちと仲良くなってやっていることらしい。

ヴァイル > 仔猫をあやすような指の動きを、ヴァイルはされるがまま無防備に、心地よさそうに受けていた。

「へえ」

ツァリエルの思いつきに、目を何度か瞬かせると
承知したように頷いてまとっていた衣装を目の前で脱ぎ、裸身を晒し
乳白の浴槽に身体を沈めた。
長い髪をまとめてくくり、ミルクに浸からないようにする。

「思いの外要領よくやっているらしいな。
 良いことだ」

浴槽の縁に肘を置き、ぼんやりとどこかを眺めたあと
瞑目して小さく笑みを形作る。
ぱしゃ、とミルクを掌で掬い上半身や顔を洗う。

「さて、どれぐらいこの姿のままでいる必要があるんだろうな。
 もし戻れなかったらどうする?」

今日の天気のことに関してのような、なんでもない口調。

ツァリエル > ミルク風呂を堪能するヴァイルの横で自分は紅茶を嗜む。
風呂から上がった後のネグリジェやタオル代わりのハンカチなども衣装箱から取り出して
そばに置くとクッキーを一つ摘んでかじった。

「戻れなかったら……うーんヴァイルさんは困らないのですか?
 だって宝物を探さないといけないのでしょう。
 僕のそばに居てくれるならそれなりに面倒は見れますけれど……」

ネズミ程度の量の食事ならごまかせるし、当面の衣服や住処の問題も一応解決できているわけだ。
ヴァイル一人この場に置いておくのはさして難しくはない。
ただそれでヴァイルが満足するかどうかまではわからないが。
そう言いながら首を傾げた。

「ヴァイルさん、こんなことはもしかして初めてというわけでもないんでしょう?
 何かに変身して戻れなくなったということは以前もあったのですか」

ヴァイル > 「ああ。獣やモノに変じて戻れなくなりかけたことはあるよ。
 変化の術を修めたばかりに本来の自分を忘れ見失うというのは、
 笑い話にすらならないありふれた話さ……」

ミルクの中でゆったりと脚を伸ばす。
クッキーを齧るツァリエルを見て、くい、と顎を引く。
食べさせろ、と指図しているのだ。横着であった。

「困る困らないで言えば、困るが……どうしようもないことだってあるさ。
 この身体でだってできることはある。
 ……一応意地悪を言ったつもりだったんだがな。
 ツァリが困らんと言うのなら、別におれはこのままでも構わんよ」

ツァリを守ってやることはできなくなるだろうけど、と付け足す。

「それとも、このままのほうが都合が良いか? きさまにとって」

ツァリエル > 皿から小さく砕いたクッキーをつまみ上げ、風呂の中のヴァイルに差し出す。
お行儀が悪いなどとはこの際いいっこなしだった。

「元に戻れなくなる……。怖い話ですね。
 それでも何か別のものに変じるのは魅力的なのでしょうか」

自分にはわからない感覚であった。
今だって自己がきちんと確立しているかといえば10数年生きたばかりの
自分では未熟すぎてわからないことだらけだし、
何か別のものに変わってしまったらきっとたちどころに元の自分など見失ってしまうだろう。

「……都合がいいとかそういうのじゃなくて……
 だってヴァイルさんは小さくたって別に僕の好きになんてさせてくれないだろうし……」

どことなく歯切れの悪い物言いをしながら困ったように眉根を寄せた。

「ヴァイルさんが困るならちゃんと元に戻れる方法を探しましょう。
 あなたが困っていると僕も困ってしまうし……その、

 ……同じ大きさじゃないとあなたを抱きしめたり抱きしめられたりできなくなっちゃう……」

最後の方は照れと恥が混ざったような真っ赤な顔をしてうつむき、小さく消え入るような声だった。

ヴァイル > 「翼を得たり、若返ったり、性別を変えたり……
 変身とはすなわち魔道。
 魔道とはすなわち外れた道。
 定命の秩序に背いた行いが、蠱惑的でないはずはない」

相変わらずの持って回った言い回し。
差し出されたクッキーをそのまま首を伸ばして齧り、頬張る。

「なんだ、こんな小さな者を好きにできないのか。
 そこまで弱いとは知らなかったな」

赤面して絞り出された声を聞けば、ようやく満足したように首を縦に振る。

「不条理な変化というものは得てして不条理に終わるものだよ。
 案ずる必要はないさ」

泰然と言って立ち上がり、脚は湯槽につけたまま縁に腰掛ける。
手の甲や二の腕に付着したミルクを舌で舐めとった。

「拭いてくれ」

ツァリエル > 「ヴァイルさんも魅力的に感じたから
 人の道に外れてもその魔法を修得したかったのですか?」

彼が何故そうまでしたのかきっかけについては何も知らないのだ。
純粋にヴァイルが何を思って魔道へと入ったのか、知りたかった。

「体の大きさだけじゃなくてヴァイルさんは魔物だし……
 ああもう、なんでもありません」

好きな人を無碍に扱うことなどできないと言いたげだったのだが
それを素直に告白するのは照れくさすぎて言葉を打ち切ってしまった。
小間使いのようにツァリエルを使うヴァイルに少しため息をついて
ハンカチを広げ、そっと体を拭おうとする。

だが、少し拭いただけで指先の動きはとまり、少し悩んだ様子でじっとヴァイルを見下ろす。
やがて両の手でヴァイルを風呂から引き上げ、顔の近くに持ち上げるとぺろりとその体を舐めた。

ミルクの味と匂いに漬け込まれたヴァイルを味わうように静かにちろちろと舌先でくすぐる。

ヴァイル > 「さて、今やごく当然のことのように使っているものでね……。
 さっきはああ言ったが、おれの場合はグリムに命じられて修得したものだからな。
 この力を以ってグリムに仕えられるということがおれにとっての魅力だった」

懐かしむように語る。

黙したツァリエルに見下され、どうした、と問う前に
身体が持ち上げられ、唇から覗いた舌に撫でられる。

「っ……」

目をかたく瞑り、息を詰まらせる。
舌の動きに、ミルクに温まった身体をくねらせるが、逃げたり拒んだりする気配はない。
あちこちくすぐられているうち、次第に脚の間に垂れるちっぽけな肉鞘が
身じろぎするように反応した。

ツァリエル > グリムに命じられたから。

自分の尊敬する、親愛の情を捧げている相手にそう言われてしまえば
どんな難題もこなしたくなる気持ちは確かにわかる。
だが魔道に入った魔物が元は自分と同じ気持を持ってそうなったということは
いずれ自分も同じようになってしまうということなのだろうか。

ヴァイルの身がこわばるのを感じれば、多少引け目があったのか
少しだけ動きを止める。が、逃げも拒みもしないのならば
最初より熱心に、丁寧にその小さな体を舐め、背中や腹にくちづけ吸い上げた。

ヴァイルの足の間にある雄の象徴が起き上がるのを見て取ると
こんな体でも発情はするのかという興味と、どうやって快感に導けばいいのかという悩みで
多少困惑した様子ではあったがここまでしてしまったのだからと
より丁寧に壊れ物を扱うような慎重さでヴァイルの股の間を舌先で刺激する。
あまり強くすると潰れてしまうのではないだろうかという心配もあったがだんだんとツァリエルの眼差しも熱を帯びて夢中になりはじめているのがわかるだろう。

ヴァイル > 「ふぅっ……」

ミルクの匂いが、ツァリエルの唾液に上書きされていく。
抑え気味の喘ぎ声が、舐め、吸われているうちに甘さを帯びてくる。
股座を舌で弄り始めると、よりその反応は強くなり、
ツァリエルの手の中のヴァイルの身体がぐにゃりと柔らかくなり、
雄茎はぴんと突っ張って主張する。

「つ、ツァリ……っ」

自分から腰を舌の表面のざらつきに押し付け、振り始めるまでには
そう時間はかからなかった。
やがて、小さく痙攣して――乳白の熱液をツァリエルの舌の上にぶちまける。
指先ですくいとれるほどの、僅かな量だ。

ツァリエル > ヴァイルの喘ぎ声で彼が快感を得ていることがわかれば、
幾分か心が嬉しそうに揺れ動いた。
自分の手のひらの上で、舌で責められて乱れる姿にツァリエルも興奮してきたのか
座ったままの自分の足の間をもじもじとすりあわせる。
到底それだけでは物足りないのだが、今はヴァイルが満足させるほうが大事なのだからと
唾液をまぶし、より固くなった男根を刺激する。

やがて自分の舌の上でヴァイルが果てたことが分かれば、吐き出した精をおずおずと飲み込む。微かな青臭さが鼻孔をめぐる。

火照った頭を冷やすまでじっと手のひらにヴァイルを乗せていたが、
それも終わるとそっとまたテーブルの上に彼を降ろしてハンカチで唾液を拭う。

「ごめんなさい、せっかくお風呂に入ったのにまた汚しちゃった……」

やや申し訳無さそうにそう言いながら片手でハンカチを握り、もう片方の手でまだ興奮冷めやらぬ股の間の膨らみを隠すように衣服の裾を引っ張った。

ヴァイル > 「……ふう。余計な体力を使ったな」

ヴァイルもしばらく脱力していたが、
少し経てば興奮のピークも過ぎて、意地悪そうににたりと笑う。
怠惰な猫のようにツァリエルの手に身体を預け、目を細める。

「なんてな。悪くなかった……詫びる必要はない。
 ……今度は一緒に湯に浸かるか?
 それとも、……徹底的に汚してみるか?」

鷹揚に拭われるに任せたまま、ツァリエルの股の間へと視線をやる。
情欲の篝火は瞳の奥にまだ残っていた。

ツァリエル > 優しくヴァイルの体を拭っていたハンカチの動きがぴたりと止まる。
ヴァイルの情欲の視線に晒されればぶるりと背筋が震えるが、
だが明らかな体格差に恐れて戸惑っているのか困惑した表情で尋ねる。

「……お風呂、この部屋に用意すると侍女にお湯を持ってきてもらわないと駄目だし……
 でも、汚すってどうやって……?」

ごくりとつばを飲み込む。期待に震える様子で性器がなお一層張り詰めたように固くなった。

ヴァイル > 「世話が焼ける。
 言わなかったか? おれはツァリの精がほしいんだよ」

そう言い放つと、ツァリエルの手をすりぬけて動く。
体格の違いに恐れを抱いているのが大きい方だというのも不思議な話だ。
そして俊敏に跳び上がると、服の裾を掴んでぶらさがってしまう。
そこまで接近すれば、衣服の下で突っ張っているものは隠し切れない。
すんすん、と鼻を鳴らしておかしそうに笑う。

「ずいぶんと大きくしているじゃないか。
 触ってほしいのか、それとも押し付けたいのか? どっちでも構わんが」

言いながらツァリエルの衣服を観察する。入り込めそうな隙間を探しているように見えた。

ツァリエル > 止めるまもなく、するりと自分の衣服に取り付いてあられもないところを見つめられれば
恥ずかしそうに身じろぎした。

衣服の隙間を探すヴァイルに、とうとう観念したのか小さな彼をつまみ上げて一旦テーブルの上に戻すと
自分からのろのろと衣服を脱ぎ捨てる。
ほとんどローブやごてごてした服で隠されていた下半身は腰帯を説いてしまえば
するりと前で開けるようになっている。
下着を足首に落とすと、椅子の上で股を恥ずかしそうに開き自分の猛ったものをヴァイルに見せた。

「……触って……きもちいいこと、してぇ……」

情けない格好でいることが辛いのか涙ぐみながら懇願する。
再びヴァイルを手のひらに乗せて運ぶと、自分の腹の上に優しく降ろした。

ヴァイル > 自ら服を下ろし、恥ずかしい格好になって見せつけるツァリエルの姿を
楽しそうに眺める。

「えらいえらい」

軽佻浮薄にそう言うと、足の裏でツァリエルのお腹をふにふにと踏みしめて
そそり立つ幹へと向かう。
下着に閉じ込められていた高揚の熱と湿気、性臭にむわりと包まれて、
ヴァイルの雄茎も力強さを取り戻し始めた。

焼けつくような男性器に裸身で抱きつき、
小さな手でぺたぺたと撫でるように触れ、
滲んでいる先走りを掌で伸ばしていく。

ツァリエル > 「えらくなんか……」

自分の浅ましい欲望を他人の前でつまびらかにすることの恥ずかしさ。
一歩一歩軽い足取りで自分の上を歩いて行く様子にこれから起こる
快感への期待でややつま先立ちになるように開いていた足が震える。

このまま身動ぎしたらヴァイルを振り落としてしまう緊張もあって
やけに硬く体を強張らせていた。

「んっ……」

未だ幼い性器にヴァイルが触れれば慌てて片手で口元を抑え、もう片方でたくし上げた衣服を握りしめる。
ネズミが自分の上、敏感な場所でくすぐっているようなむず痒さ。
いつもとは違う、小さな刺激が伝わればもどかしそうに腰を揺らす。
徐々に伝ってくる先走りの量が増え、裸身のヴァイルを再び体液まみれにするだろう。

「先っぽ……剥いて、いじめて……っ」

抑えた指の隙間から、小さく欲求を訴える。

ヴァイル > ツァリエルの震えは何倍にもなってヴァイルに伝わり、
いじらしく快楽を堪えていることがわかる。
興奮を増したツァリエルの先走りに全身が汚れても怯む様子もなく、
要求に応え、皮の内側に手を突っ込み、ゆっくりと強引に剥いていく。
鮮やかな先端部分が露わになれば、より匂いも強くなる。

鈴口を掌で撫で回したかと思えば、肘をぐりぐりと押し付けて責める。
そうしながら、先走りにまみれ、泡だった身体で幹を抱きしめた。
ツァリエルの身動きが激しくなった時、振り落とされないためでもある。
側面にすっかり起ち上がったヴァイルのものが押し当てられているのを、
感じ取ることができるかもしれない。

ツァリエル > 「ひぅ……っ」

剥かれた先端が空気に触れればぴくりと震えて反応する。
さらに小さな肘が先を責めれば、ひときわ大きく腰が浮き上がりそうになるのを必死で抑えた。

椅子の背もたれに体をぐったりと預け、時折体を引きつらせながら喘ぐ。
自分の男根にヴァイルがしがみつき、ヴァイル自身も興奮しているのを微細な感覚で感じれば、
どこか嬉しそうに口元を歪めた。

「ヴァイルさ、っきもち、い……?」

肌と肌が触れ合うだけでも心地よさを感じられているのだろうか。
相手の両手が自身のものに回っているのをよしとしてその無防備な背筋を人差し指でなで上げる。
やがて声を抑えていた手をのろのろと下ろすと、よりはしたなく開いた足の、
その奥、自分の尻穴に指を伸ばしてぐにぐにと慰め始めた。

ヴァイル > 「うん、気持ちいいよ、ツァリ……ん、あ……っ」

不意打ちに背筋を撫でられて、身体を強張らせて鋭敏に反応する。
尻を突き出し、強く肉棒を抱きしめ、声を漏らす。

「ふふっ……そっちも触ってほしかったかな?」

ねっとりとした口調で、ツァリエルの行為に言及する。
菊門に指を伸ばして弄るのは、股座に取り付いた小人からも見える。
巨大な淫靡なショーが彼の前に展開されていた。

「もっといやらしくなっていいよ。
 我慢しなくていい。声も、身体も」

囁くような言葉。
両腕で猛る幹を上下に揺らしながら揉みしだき、
尿道に顔を近づけ、舌を這わせ……スリットに挿れ、
血を舐めた時のように熱心に分泌液を啜り上げていく。

ツァリエル > ヴァイルの心地よさそうな声に気を良くしたのか、背筋を何度も指の先で撫でる。
次第にその位置が腰から尻に移っていくやや強めに下から性器と尻とをもみ始める。

「うん……っ!あのね、……っヴァイルさんと触りっこ、してるとねっ……
 んぁ、おしり、なんか……むずむずしちゃうのっ……」

とろけてだらしのない顔を晒しながら、そう答える。
後孔に出入りする指は本数と激しさを増し、もはや刺激に跳ねまわる体を抑えることもできない様子で腰を振る。

ヴァイルの声を皮切りに、それまで遠慮していた分を吐き出すかのごとくより淫らに喘ぎ、快楽に体を震わせる。
それはヴァイルにも強烈な振動となって伝わるだろうし、彼を責めるツァリエルの指もより強いものになってゆく。
もはや小さなヴァイルを気遣う余裕もない乱れぶりであった。

「あ、ヴァイルさぁんっ……!きもちいっ……ぜんぶ、すきっ……!
 うあ、すきっ……きもちいいの、すきぃ……っ」

自分の鈴口へヴァイルが舌先を突っ込めばひときわ甲高く啼いて腰が跳ねた。
椅子からずり落ちそうになりながら背筋をそらし、やがて無意識にヴァイルを手のひらで押さえつけ、自分の性器とともに握りしめる。
尻穴に回した指が自分の最も感じる場所を突いて、最後のひと押しとなった。

「でりゅっ!ヴァイルさ、……いっ……イ、ちゃっ……!」

ろれつの回らぬ口でそう吐き出すと、ツァリエルの男根がびくんと脈打ち、ぷしりと熱い精を放った。
顔を近づけていたヴァイルにもその飛沫は激しくかかるだろう。

ヴァイル > 「うあ……っ!」

滑やかな指による責めに、より強く下半身を責められて上げる声は強くなる。
腰がかくかくと揺れるが、ツァリエルの尖った肉からは腕を離すことはしない。
暴れ馬もかくやという揺れに振り落とされそうになりながら、自分の身体をこすりつけ
ツァリエルに少しでも快楽を与え続けようとする。

「ツァリっ……」

ツァリエルの身体から落ちそうになったところで、
彼の手に幼勃起もろともに握りこまれる。
熱源に強く押し付けられたのをとどめに、肉柱に自身の精を放つ。
続いて吐き出されたツァリエルの、融けそうなほどに熱く白いほとばしりに、
ヴァイルごとそれは飲み込まれてしまった。

「っ、はぁ、はあ……」

白く染められながら、精を溢れさせ続ける巨大な肉の器官を
愛撫するでもなくぎゅうと抱きしめ続けた。

ツァリエル > 強く陽根にヴァイルを押し付け、白濁まみれにさせたままぐったりと体を椅子に預け、息を整える。
真っ白に染まった意識をなんとかやり過ごせば、我に返り
握りしめてしまったヴァイルを慌てて離す。

「っあ、ごめ、ごめんなさい……っ夢中になっちゃって……」

おろおろと姿勢を正し、自分の性器からヴァイルを引き剥がすと精液に濡れたヴァイルを手のひらに乗せ、顔に近づける。
もしかして窒息してしまってはいないかと、青い顔をしながら
己の汚したものにも構わずヴァイルの体を再び舌で舐め清める。

正直いい気分はしなかったが、自分で汚してしまったのだから後始末くらいは自分でつけなければいけない。
子犬のように懸命にヴァイルの顔を、腹を、四肢を舐めて己の精液を飲み込む。
非常にまずかった。

ヴァイル > 「随分と好き勝手汚してくれたな」

舌を這わせているとヴァイルが顔を上げてそう口にする。
ツァリエルの様子に反してけろりとした表情だった。声色にも恨みがましいものはない。
舌で清められて刺激されたのか、股間のものが甘く勃っている。

自身の髪にこびりついていた精液の珠を取って口に入れ、飲み込む。

「そんな顔をするな。
 ツァリに命を奪われるほどおれもマヌケじゃない……。
 それに、乱暴するのも好きだが、されるのも好きだし……」

言葉の途中、ふう、と溜息を一つ。
皮肉げな笑みをやめ、そっぽを向いて、あー、と、天を仰ぐ。

「……ごめんね、ツァリ」

聞こえるかどうか、微かな声で詫びを口にした。

ツァリエル > 「な」

微かな声がもしかしたら幻聴ではあるまいかと疑うような言葉だった。
しおらしく自分に謝る言葉がヴァイルの口から出るわけがないと思い込んでいたため
ひどい衝撃を受けて目を見開いた。

あまりにびっくりしすぎて二の句が告げられず、口を開けたり開いたりと無様な様子を見せていたが
首を振って正気を取り戻すと、勢い込んで喋る。

「なんでっ、別にヴァイルさんが謝ることなんてなにもないけど?!
 ……えっと、よくわからないけど僕は怒ってないし……
 とにかくヴァイルさんを潰しちゃったりしてなかったなら本当によかった……」

そこまでいってほっとしたのかへなへなと椅子にもたれかかる。
テーブルの上にヴァイルをおろし、残りの汚れをハンカチで拭い
自身の着衣をきちんと直す。
精液の青臭い匂いがなんとなくこびりついているような気がして袖口をくんくんと嗅いでしまった。
自分はともかくヴァイルは食事前にもう一度風呂に入れたほうがいいだろう。

「あの……、お湯、持ってこさせるのは悪いから、大浴場の方に行きますか……?」

人の目に触れられる可能性があるので避けていたが、隅っこに入ればもしかしたら気づかれないかもしれない。
恐る恐るそう尋ねてみる。

ヴァイル > 目を白黒とさせる。
あたふたとしたツァリエルの様子にヴァイルも逆に驚いたようだった。

「さてどうかな。
 良識に照らし合わせれば、
 おれはツァリに謝るべきことばかりしているはずだがね」

小馬鹿にするような笑いは、謝罪の言葉を口にした者のものとは思えない。
それ以上、真意のようなものを言うこともなかった。

「いいね。王城の浴場には少し興味がある」

ツァリエルほど自身のべとつきや匂いは気にしていないようだったが、
彼の提案には二つ返事で答えた。
ヴァイルはこの状況を完全に楽しんでいるようだった。

ツァリエル > 「なんか……ヴァイルさんらしくない気がするから。
 ううん、それよりもヴァイルさんに良識があったんだなぁって……」

皮肉ではなく素直な気持ちでそう言ってしまう。

たぶんすっかり彼の横暴に慣れてしまったため過去にされた仕打ちすら
仕方ないで済ませていたのかもしれない。
思えばヴァイルとの出会いもまたひどいものだった気がするが
その分なんだかんだと彼は窮地に陥った自分を助けてくれた。

今この王城にいるのも少なからず彼のおかげやあるいは影響があるわけだから。

椅子から立ち上がると、ままごとの後片付けもそこそこにヴァイルにネグリジェを着せてから上着のポケットへ彼を匿う。

「とても広くて大きいから流されたりしないように気をつけてくださいね」

移動の最中見つかるかもしれないとひやひやしながらそう小声で声をかける。
そっと足音を忍ばせるようにして自室の扉をくぐり抜けると、誰もいないことを確認してから扉を閉めた。

その後はそそくさと大浴場へと移動してヴァイルの体を今度こそまともに洗うだろう。

ご案内:「王城内 庭園」からツァリエルさんが去りました。
ご案内:「王城内 庭園」からヴァイルさんが去りました。