2016/03/11 のログ
ご案内:「マグメール王城内部」にさんが現れました。
> 「………ほ。」

男は、どこかにいた。
軟化の力を活かし、王城内部に潜入しているその男は、今しがたどこかで誰かに起こった何かを聞いていた。

「……………。」

暗い闇の中で、小さく丸まりながら思案する。
『あの女』は惜しい。実に惜しい。少し押せば崩れるような、危うい心が見えていたのに。

> 「………………。」

それはかつて、あらゆるものを求めていた。
しかし、男が求める『あらゆるもの』は、どこにも存在しなかった。

それが真に求めたものは、『混沌』。
騒乱と混迷の果てに生まれる、秩序のない僅かな時間。
人の欲望、本心がぶつかり合い、血と涙を散らす世界。
そして、その果てに訪れる力の差。別れる敗者と勝者。
その敗北の失意に人が沈む姿を見るのを、どんな酒よりも好む男だった。

「……他の手段も考えておかないといけませんねぇ。」

ぽつりと小さく呟いた言葉は、壁の中の暗黒に沈んで、誰の耳にも届かず消えていった。

ご案内:「マグメール王城内部」からさんが去りました。