2015/12/01 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城 回廊」に魔王ハスターさんが現れました。
■魔王ハスター > 時間は昼。場所は、王城のとある回廊だ。
ふと、おっさんは思った。今日は何か、物ッ凄く暇だ、と。
どれくらい暇かと言えば、耳から尻尾が生えそうなくらい暇だった。
で、実際に右耳の後ろ側からキツネの九尾の尻尾を生やしたらメイド長のエレノアさんに纏めて全部引っ張って千切られた。
痛かった。
小指をタンスの角にぶつけたのと同じくらい激痛だった。
で、ふと暇つぶしに思いついたのが、人間界の王族の姫様とか拉致って遊んだら楽しいんじゃないかって。
「いやぁ…しっかし。あれだなあ。意外と警備も、ザルなんだねぇ。
中級魔術で目を回しちゃうんだもんなぁ。あ、それともおじさんが強すぎるだけ?んっふっふ。」
おっさんは、服装こそイカしていないものの、その立居振舞や身なりは、誰がどうみても貴族のソレである。
もうちょっと上手いこと誤魔化すなら、王族らしい振る舞いにさえ見えるのかもしれない。
御苦労、と衛兵の男どもに手を振ってやれば、向こうは頭を下げる。
その隙にちょちょいのちょいっと催眠の咒いをかけてやれば、
そいつらは、もうおっさんの言いなりに動く様になる。咒術は、とても便利な魔術だ。
つまり、この回廊一帯の警備体制は一見すれば全く崩されていない様だが、既にここの警備兵は魔王ハスターの手中に収められていると言う事だ。
堂々と警備されている廊下をウロチョロ出来る訳だ。
ただまぁ、他の者の私室に足を踏み上げる訳にもいかず、
所謂か弱い姫様とやらが一目姿を見せてくれんものか、
あわよくば凌辱調教拉致監禁と、玩具に出来んものかと腐れ外道な思考をしつつ、
若干気難しそうな顔を作って、王族や貴族の格好で、恰もこの城の住人であるフリをしながら、回廊を巡り始めた。
■魔王ハスター > 「ううん。あれだねえ、皆ティルヒアの件でどっかいっちゃってんのかなあ?」
この辺り一帯の回廊だが、今一つうろついている人の顔ぶれに変わりがない。
おっさんは腕組みして誰にも聞こえないような独り言を溢しながら、
あっちでもないこっちでもないと、やや挙動不審気味に王城内を回り続ける。
ただ、ここの衛兵は殆ど全員支配下に置いているものだから、それを怪しがったりする者はいない。
今日に限って、この警備兵らは全員が男。どうにもツイていない事で。
だがしかし!可愛く高貴なお姫様が来たら、こいつらを差し向けて虐めることも出来るではないかとポジティブシンキングして思考停止しておくことにする。
「…うううーん。」
そうして、おっさんはまた暇気味になってしまった。
何処かの私室から可愛らしい姫様が出てこない者かと、半ば絵空事か夢物語的な思考に明け暮れながら、
少しだけ退屈そうに、だがいつものようにニヤけた顔で、回廊に行き交う者と程々に挨拶をする。
そういえば、今は昼時、食事の時間ではなかろうか。
だから、あんまり目ぼしい人通りもいないのだろうか、どうなのだろう。
■魔王ハスター > こうやって、どうにかこうにか遠回しに物事を行うのにはわけがあって。
一つは、おっさんがこの子にしようかな!と、決めた王族や貴族が居なかったから。
もう一つは、でかでかと王族の敷居をまたいだら厄介事になるかもしれないから。
魔王と言えども、一応アイオーンだかなんだかの加護の下であって、
一応最悪の事態を考えながら、割合慎重にならねばならない。
魔王で逃走することも可能だし、死ぬこともないのだが。
まるで釣りでもするみたいに、すれ違う者の顔ぶれを横目で一瞥し、確かめて。
心中にて溜息を吐く。
あんまりこの辺は王族もうろつかんのかと思って、
ゆったりゆったりと、回廊の表側へと出向きながら辺りを見まわして、
「可愛い姫様はおらんのかねえ…。」
魔王が姫を攫うって何だか古典的だなあと思いながらしょげるおっさん。
警備兵以外に誰かいないものかと確認―――。
王子は良い。王子は良いのだ。か弱く可愛い姫様とか貴族の娘とかがいないか。
おっさんの崇高なる智慧を秘めた脳味噌はそれしか考えてない。盛大な頭脳の無駄遣いである。
ご案内:「王都マグメール 王城 回廊」にルツィアさんが現れました。
■ルツィア > 「……では姉様。私はこれで失礼致しますわ。どうかお元気で。」
(がちゃり。不意に王族たちが暮らす私室の一部屋の扉が開き、其処からでてきたのは一人の娘。
常とは違い王族の姫らしきその姿。淡い桜色のドレスに細身のパンプス。髪を夜会巻きに纏め上げた格好である。胸元が広く開いているそのドレスは白磁の肌も、細い鎖骨をも晒しているが、決して下品には見えない、筈。
扉の前で優雅に一礼をして、静かに扉を閉めて静かに歩きはじめた。
本日は、王城に住んでいる姉を尋ねたところ。ティルヒアの騒動に胸を痛めていると伝え聞いて、所謂ご機嫌伺いにやってきたのだったが、もう用は済んだため、帰ろうとしているところだった。
警備兵や王子たちがまばらに居る回廊を歩いている最中、顔見知りとすれ違えば挨拶や軽い世間話なんかをしたりしつつ足を進める途中、ふと。向こうからやってくる人影の、そのにやけた表情を見つけた。見慣れないその相貌に一瞬、怪訝そうな表情をみせるものの、普段はこの城にいない娘のこと。只単に見知りではないだけだろうと結論付けて。もし目が合ったのならば微笑んでぺこり、と会釈をし、その横を通り過ぎようとするか。
この王城は、常に警備兵に守られているとしっているからこそ、多少怪しい人物を見かけたとしても警戒する様子なんてまるでなく。――まさか、その警備兵皆が件の怪しい人物の支配下にあるなんて思ってもいなかった。)
■魔王ハスター > 「―――はっ。」
男ばっかりだった回廊に花が咲いた。
王族の住まう私室から、物音。
女らしい見た目をした、しかも王族の格好らしいドレスやら、振る舞いの優雅さから、
これこそ夢見たか弱い姫様ではないかとおっさんは思った。
一目見て変質者のソレと分かるだろう、エロオヤジの嫌らしい笑みを口角に寄せて、ニヤけ顔を深める。
おっさんは彼女に合わせて、軽く自身も会釈をした後、通り過ぎようとした彼女に数歩近寄って、
横からじっくりと深紅の瞳を覗いた。
「あー、ちょっとちょっと。可愛らしい御嬢さん。」
陽気なおっさんの声。彼女が拒まないなら、その大きな掌で蒼く光る長い髪を無礼に退けながらも、を肩に置き据えて声をかけよう。
まるでナンパだ。だが、周りの衛兵はおっさんの支配下で、例え今この姫と思しき女性にどのような粗相をしでかそうと、
彼等は何もしない。寧ろ、彼等はおっさんの味方だ。
「もしかしてさあ、アレ?この御城の王族…ってかぶっちゃけ姫様だったりしちゃったりしない?」
彼女から見ての横のポジションをとっていたおっさんは、彼女を中心に超人的スピードにて、
等速演習運動右回り九〇度を行い、彼女の進行方向を妨げる様に前に出る。
ジロリ、とおっさんは彼女にも咒術をかけようとその目を見つめて、密やかに魔法を用いる。
ちょっとした呪縛「おっさんの質問に素直に答えることを強いられる」という、
半ばどうでも良い無駄魔法の一つの呪いをかけようとしていた。
ご案内:「王都マグメール 王城 回廊」にルツィアさんが現れました。
■ルツィア > (にやけた表情の相手に会釈をした際に認めたその表情。例えて言うならば酒場の酔っ払いの様な、セクハラ親父のような。どうみてもお近づきになりたくない系の笑み浮かべる男の横をさっさと通り過ぎようとした。が。
つい呼びとめられるが儘に足を止めてしまった。)
「―――はい?」
(年相応のきょとん、とした表情で。大柄なその相手を小首を傾げながら見上げようか。
肩に手を置かれた時点で僅かに表情が引き攣るも、とりあえずは払いのける無礼など見せはしない。だが、不審を抱いた。普通ならば、認められた者以外は立ち入ること等できはしないこの王城で、しかし決して王族や、貴族らしさの欠片もない男の行動を目のあたりにすれば当然の不審だと思いたいところ。
――この男は、何者だろうか?
それでも、警備兵が男を見咎めないのならば不審人物であるはずがないという思い込みから、逃げる等の行動はしなかった。)
「―――え、えぇ、出奔した身ではありますけれど、一応、小王家の血を引いてはおりますわ。
……それが、何か?」
(何時の間にやら娘の前にいた相手に少しばかりひきつつも。実際に片足を一歩後ろに下げつつも。問いには素直に答えようか。それは、相手の呪いが成功したのか、娘が只素直なだけだったのかは判断が付き難いところ。
答えるついでに、“この城にいるならば貴方もそうでは?”そんな問いを込めた視線を男に送ろうか。)
■魔王ハスター > やっぱり誰がどうみてもこのおっさんはエロオヤジであった。
悲しいかな、大罪内魔王でもこのおっさんはイケてない。
一先ず彼女の肩に手を置き据えたなら、付かず離れずと言った具合に手を後ろ首に回して、進路も退路も防ごうと試みよう。
ずんぐりとした巨躯の筋骨隆々な変質者のおっさんは、彼女の体を舐め回すように見つめる。
この世界にセクハラ上司、或いはその類の者がいるとすれば、おっさんは間違いなくその代表格になれるだろう。
ぐへへって笑いそうだ。っていうか今ぐへへってわざと声に出して笑った。
咳払いして、彼女の答えを聞いて、頷く。
「ふむふむ。ああいや、別にそこは、重要じゃあないんだ。」
因みに、服装はイケていないが、このおっさん、身なりは貴族と言って間違いのない格好だし、
金持ちそうな外見でもあった。所謂、悪質な貴族や王族というったヤツが思い当たるだろうか。
よもや、暇を持て余して耳から尻尾を生やしてたどこぞのアホな魔王だとは露とも思うまい。
そして、今の質問はただただ確認しただけだからと首を横に。
ついでに引かれた歩幅は、おっさんの大きな歩幅を以って、
プラマイゼロ、むしろマイ、と言った具合にそれとなく詰めておく。
彼女の問を込めた視線には気付いてか気付かずか、全く気にも留めず左から右に流して話を続ける。
「ああ、じゃあですね。可愛い御嬢さんの名前を教えてください。それとスリーサイズと年齢、
あと住所から、所有財産、それから好きな食べ物と趣味とクイズの答えをおじさんに教えてネ。」
これならわかるだろうと、半ば意味不明に綴られた質問の連打。
もし成功していたのであれば、彼女がいくら答えたくなかろうと、彼女の口がイヤでも答えさせてしまうだろうか。
どうみたって不審で怪しいが、然し当然彼等は動くことはない。
魔王であるおっさんの素敵なおまじないの下にあり、決しておっさんの邪魔は出来ない状態だ。
寧ろ、彼女が逃げようとしたなら、彼女の邪魔をするだろう。
■ルツィア > (―――何だこのヒト、気持ちが悪い、逃げたい。そう思うのだが。
やはり娘にとってはいつの間にやら。後ろ首に回された男の手の所為で退路も塞がれてしまい。
嫌な笑い声も、舐めまわすような視線にも怖気が走り、自然、娘の表情は険しくなる。
素直に問いに答えた娘に頷く相手に向ける視線は、“じゃあ何がしたいんだコイツ”みたいな冷たいもの。
たとえ男の服装の、その仕立てが良いものであったとしても、センスと、それを纏う男の行動でいろいろと台無しである。同じ王族に連なるものとは思いたくないから、不審は増すばかり。
何時の間にやら距離を縮められてしまえば、娘の甘い仄かな体臭が男の鼻腔を擽るかもしれず。
次いで綴られる質問の数々。
到底、初対面の、否、見知りであったとしても到底答えたくもない項目も混じっていたが、娘の口は先程同様素直に開いた。)
「――シルツィーア=フォン=アルスメリア。ルツィアとお呼びいただければ。…上から85、57、80、19歳ですわ。住所は平民地区の―――、所有財産?さあ、気にしたこともございません。……好物は果物、趣味は仕事かしら。宝石細工を作ることを得意としておりますし。……クイズ、とは?意味がわかりません、
………あの、私、もう行かなければ。」
(―――何かおかしい。何故こんなことを答えているのだろうか。
答えながらそう思う。思考は疑問に埋め尽くされていたため、自身が何を答えているのか理解しきれていない部分もあった。
答え終われば、流石に不審も限界に達し、別れを告げようと。表情も、露骨に顔を強張らせたものとなっており。叶うならば、一歩、二歩、と後ずさり男と距離を置きたいところ、だが。)