2023/07/12 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城 訓練場」にブラン・オルグレンさんが現れました。
■ブラン・オルグレン >
王城 屋外訓練場
午後 晴天
晴天の時期 日光が肌を焼いていく感覚を感じ取れるそれは年を重ねた者ほどキツイ
しかし若々しさ溢れる者らは逆に、肌の熱を感じようとものぼせることもなく精を出す様子がうかがえる。
皮の装具と木剣 者によっては盾を構える者がいる中で、集団稽古
走り込み 型を刻み込む為の反復練習 そして実践稽古
全員が一丸となって取り組む中でも、互いが向かい合えば打ち合う音は清廉としている。
差を感じる者 対等な者 厳しい者 耳に聞こえる木剣の音と踏み込む土の音
それに対し、壁側の日陰で眺める老剣士がいた。
椅子に腰を下ろし、左手には杖のように飴色に仕上がった節目模様のある白鞘を携えている。
白灰色の全体的に厚いと思える装具ながら、汗一つない姿は精神性の賜物と、枯れ果てた体
どちらとみるか次第だろう。
周囲の若者らは、その老剣士が壁際で眺める事 それが視界にあるからこそより高め合う姿勢を見せている。
『―――やはりこちらに居られましたか。』
目の前で稽古を積む者らに比べ、やや年を重ねた子を持っていてもおかしくはない年代
身を整えている者がスッと腰を下ろしている老剣士の隣で控えるようにしている。
「―――良き子らだ。
王城で肥えている騎士達に、あの子らの剣の錆でも煎じて飲ませたいものだな。」
王城という異質な空間で堂々と佇む老剣士は、未だ腐れた現実を目の当たりにせず
騎士という造形に希望と夢を抱いて励む様子の若者らを見て瞳を細めている。
隣に立つ中年剣士は、苦笑いを浮かべながら共に稽古を眺めているだろう。
その木剣が打ち合う音は、学院の身分だけの若者や騎士には耳に痛いと思える音だとわかる。
■ブラン・オルグレン >
老剣士の姿は布地面積が大きく、装甲と思える場所は首当てや足元程度だろう。
鎧を身に纏う一般的な戦士に比べて軽装と言うべきか軍人服の様に仕立てられている。
鋭角な皺と外見が身分を彷彿とさせるものの、実際には剣士らを束ねる旅団でしかない。
身分や高格な騎士団とは違う 剣の集い。
老剣士の身分は騎士団と比べるべくではないものの、此処に訪れるのは武人繋がりや教え子らの輩出先になっているせいか。
「ところで、考えてくれたか。」
老剣士は、教官らが教えているだろう稽古に励む若者らを眺めたまま傍に控える中年剣士に問いかける。
その中年剣士は、笑みを浮かべたまま聞かれても、まるで聞こえていないかのように微動だにしていない。
「儂の所を出た後でもと、熱心に富裕地区を警邏する者らの兵長から誘いが来ておる。
ここでの教官としてもベテランが欲しいと先ほども問われたぞ。」
中年剣士の行く先 騎士団よりも騎士団らしく
剣士の中でも剣士らしく 魂と剣に脂肪を纏わせた者に斬れる道理は存在しない
そう謳う老剣士の在り方は、騎士団同然に憧れを持たれるだろう。
酒を飲み女を侵し、強さこそ全てとは謳わない。
強さがあるからこそ曇らせるなと教える姿は、中年剣士を自身の巣から出そうとする言葉だった。
「死にゆく場所に固執せず、いい返事をしてやったらどうだ。」
磨いた後にこそ、良き場所に誘われるのならば、それがいい
そう老剣士は投げかけるものの、中年剣士は魅力を感じていないらしい。
育った場所を離れ自立し、また一人の剣士として観られるということ
それに魅力を感じていない様子で笑みのまま、老剣士に答えを変えず出す。
『今はまだ、どうか団長の御傍に。』
老剣士は、それに薄く溜息を出す。
子でもできれば追い出せた者を、出世先だけでは動かぬ鈍足ぶりには老剣士も皺を緩ませない。
ご案内:「王都マグメール 王城 訓練場」からブラン・オルグレンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にミシェルさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にエリシエールさんが現れました。
■ミシェル > 王国の中心たる王城には、王族の政務を円滑にするため無数の応接間が存在する。
そこで王族同士、あるいは王族と貴族との会合が行われるのだ。
基本的には、有力な王族には専用の応接間が与えられている場合が多く、
それらは万全なセキュリティが為され、内部の出来事が表に漏れることは普通はない。
(と、ここかここか…)
今回、そこを訪れたのは王城で働く宮廷魔術師。
あるいは女好きの女男爵、ミシェル。
とはいえ彼女も王族と謁見する時にはそれ相応の装いをする。
普段より数段グレードを上げた服の上から、正装たるローブを羽織る。
(まさか僕にあの高名なヴァエルフィード家の王女様からの呼び出しが来るとはなぁ…)
友人たるある騎士を狙った陰謀。それを阻止する為に快く協力を承諾していたミシェル。
しかし、協力者は他にもいた。しかも王女様だ。
ミシェルもヴァエルフィード家のエリシエール王女については知らないわけではない。
才ある魔術師としても、またその奇行っぷりも。
ミシェルは一瞬入るのを躊躇したが、淑女を待たせるのはよろしくない。
約束の時間きっかりに、女男爵は扉を叩く。
「失礼します。エタンダル男爵ミシェル、只今参上いたしました」
入室の許可が出れば、使用人が扉を開けるか、彼女自らが開けて入ることだろう。
■エリシエール > 応接間の豪華なソファで、手鏡を見つめながら髪の分け目などを整える王女。
これからの会合は余所行きの社交の場でもないのだが、身だしなみは乙女故に気を遣う。
(さて……想像以上に事が動き始めました。あの御方の迅速な働きぶりは天晴なものですが……)
内心では己にも少なくない波紋が及んでいる事に、若干引いた様子でありがたい一方困っているのも事実であり。
尊い臣下たちが無用な犠牲となる事を防ぐべく己が持ち掛けた密告によって端を発した騒動。
王城内は普段に増して騒々しい。多くの王侯貴族にとってはなるべく戦場へと追いやり、引き離しておきたい名家……
その中でも筆頭たる一騎当千の奇将が叛徒クシフォス・ガウルスを前にアスピダへ赴かないのはある陰謀を知った故。
己の接触が無ければ、今もアスピダでその暴威を遺憾なく発揮していた頃だろう。
不意に、扉をノックする音が聞こえる。手鏡をしまい、ちら とシックな装飾があしらわれた扉を一瞥。
時計の針を眺めれば、予定通りの時刻だと感心して、静かに立ち上がる。
「お待ちしておりました、エタンダル卿。どうぞお入りくださいませ」
無事に接触を図れるようだ。ひとまずは安心する。
何せ、彼女は宮廷魔術師……ヴァエルフィード王家とは少なからず近しい距離感を保っている機関に名を連ねる者。
魔術のスペシャリストたる彼女の存在は非常に重要な存在となる。
陰謀が蠢く中で彼女も決して安全な立場とは言えない。
用心を重ねたうえでようやく会話の機会を設けられたことに王女は内心で、まずは第一歩 と進展を喜んだ。
お互い、生きているだけでも神経を張り巡らせていなければならない難儀な立場なのだ。
■ミシェル > 扉を通れば、待ち受けていたのは王族の礼服に身を包んだ、気品ある女性。
ミシェルも宮廷勤めの身、彼女の破廉恥な噂話を耳にしたことが無いでもないが、
目の前の王女はそのような噂からの印象など微塵も感じさせない。
(つまり、あの噂は何か目的があって流している嘘なのだろうか…?)
そういうわけでもないのだが、ミシェルはそう推測しつつ、
立ち上がる彼女の前で膝を着き、首を垂れる。
自分は並大抵の女性より背が高い。故に、ミシェルは王族の女性相手にはすぐに膝を着くようにしている。
「本日はこの不肖めをお招きいただき誠に光栄でございます。
この日は我が生涯終わるまで忘れられぬ日となるでしょう」
瀟洒に口上を述べるミシェル。
エタンダル家は政争とは距離を置いてきた魔術師の家系であり、
そもそも高い能力を持ちながら低い爵位なのもそのような姿勢ゆえ。
王族の誰をも対等に敬い、深入りするかは熟慮に熟慮を重ね決める。
それがエタンダル家の処世術。
「して、殿下。本日この魔術師めをお招きいただいた理由をお聞きしたく」
よく通るハスキーボイスと朗らかな笑顔で、ミシェルはエリシエールに問う。
■エリシエール > 室内に迎え入れたのは宮廷魔術師として多大な成果をあげるエタンダル男爵。
技術開発において代々王国に尽くしてきた名門家系。
……ここまでは立派なものだが、女癖の悪さでも王城内で噂になっている好色家。
腐敗して久しい王国ではさして珍しいものではないが、彼女の場合は立場と実績もあって
何とか目を瞑り、あるいは文句を許していないのだろう。
そんな彼女と対談の場を設けたのは、決して艶めいた時間を共にする目的ではない。
己も一枚噛んでいる、陰謀阻止を巡って改めて共同戦線を張る事になるであろう彼女と改めて認識・情報を共有する為だ。
「日夜、寝食を惜しみ魔導の発展に尽力いただく卿の時間をいただけますこと、
こちらも光栄でございますエタンダル卿。御多忙を極める中恐れ入りますが……」
穏やかに微笑み、静かに右手を差し出して握手を求める。
彼女の担う研究の過酷さを外聞ながら耳にしていた王女は、低頭するエタンダル卿にはささやかではあるが労いの言葉をかけた。
「ふふふ……性急で申し訳ありませんが、早速本題に入りましょうか。
……どうぞ、御掛けになってくださいませ」
立ったまま話すのもナンセンスだ。日中も己の職務を全うしていたであろう彼女の疲労を慮り、
ソファへ腰かけるよう促す。
自らもまた、静かな足取りでローテーブルを挟む反対側のソファにゆったりと腰かければ、ふぅ と一息つき。
「……アスピダ攻略作戦を巡る魔導機械。……卿や、我がヴァエルフィード王家も関わっている件です。
高出力魔導機械……これらの試運転にあたって、良からぬ思惑を持ち込む輩が現れました。
……■日の運用計画会議には卿も出席されていたはず。……単なる噂ではないと既に御認識いただいてるのでは?」
にこやかに本題へ入る王女。
戦功を独占したいが為に試運転という免罪符のもと、既にアスピダで血を流し死闘を繰り広げる同胞であり、
戦果を争う好敵手たちを意図的に”誤射”して弱体化を図るという私欲にまみれた利敵行為……。
当然、意思を持たぬ巨大な力の塊たる魔導機械に関与するエタンダル卿の存在は魔導機械が最終的に辿り着く形の行方、
ひいては巨大な開発計画の内情そのものを左右しうるキーパーソンとなる。
■ミシェル > 「いえいえ、魔導の発展に身を尽くすことこそ私と一族の義務なれば。
しかしその働きをお褒め頂けるとは身に余る光栄。この魔術師の助力が必要であれば何なりとお申しつけを…」
そこに、差し伸べられる手。
顔を上げれば、穏やかな表情でこちらを見る王女の姿。
ミシェルは彼女に笑みを返すと、その手を取って……軽く口付けた。
「これは、エリシエール殿下からの信頼に対する忠誠の証。お受け取りください」
そう語れば、ゆっくりと立ち上がり、エリシエールの対面に腰掛けるだろう。
そして、彼女の語りに、しばし耳を傾ける…。
「……えぇ、私もその会議に出席しておりました。
私の担当はあの兵器が戦場に出るまでの開発と調整。
実戦試験には軍と縁の深い別の魔術師達が従事します。
しかし、言われてみれば…彼らの説明に味方を巻き込むのではと懸念を覚えたものです」
とはいえ、実戦試験とそこでのデータ収集はミシェルの担当ではない。
口を挟むのは越権行為であり許されるものでもないだろう。
ミシェル自身、こうしてそこに仕込まれた陰謀を聞かされるまでは、
一刻も早くこの強力な魔導兵器が実戦で火を吹くのを望んだものだ。
「しかし、我々宮廷魔術師の殆どにとって政争など知ったことではありません。
多くの魔術師が研究の後援さえ得られればそれでよく、最も好条件を出した者に味方します。
特に、貴族の魔術師はだいたいがそうです。それ故に我々は能力を持ちながら睨まれることなく存続が許されている」
政争に関わらないようにしているのはミシェルだけではない。
殆どの魔術師がそのような”くだらないこと”に関心を示さない。
故に彼らは極端に中立的で、故に妨害や取り潰しを受けることなくその才を発揮できるのだ。
「と、なると軍部、あるいはそこに影響を持つ貴族や王族。そこに黒幕が潜んでいることでしょう。
ただ…殿下もそうであるように、王族の魔術師、というものも今回の魔導兵器開発には参加しております。
彼らは我々貴族層と違う論理で動いていても不思議ではない」
■エリシエール > 己の手に、そっと触れる柔らかくぷるぷるとした感触。
仄かに暖かみを感じる唇に、王女はくすりと微笑んで忠誠の証を喜んで受け取った。
王族相手でもなかなか肝の据わった大胆さだが、此処までなら噂に聞く程の節操のなさは感じられない。
何を隠そう、王女からしてみても眼前で畏まるエタンダル卿は美しい。
些末な用件であれば、それを二の次にし冷め止まぬ衝動と情欲で互いに肌を重ねる事となっても不思議ではない程に。
……生憎ながら事は深刻を極める。
互いに好感触から始まった対談の場は、一転して静かに張り詰めた様子を醸し出していく。
「ふむ……確かに我々の職掌柄、実際に作戦へ適用される以後については支援……助言の域が限度というもの。
エタンダル卿へ直接、運用への関与を強いるのは無理があり不適切と判断いたします。
卿には引き続き、本来の立場にて存分に辣腕を振るっていただきたく」
魔術師の性質は己も遠からず血筋がそうさせたのか、探究心の満足……そして研究の実現。
その多くは学者・研究者気質を強く持ち合わせた者であり、著名な者ともなれば時に狂気的とも呼べる探究心に支配されている。
己が生み出した兵器の”出来栄え”には強い関心を示そうとも、その矛先が何処へ向くかは眼中にない者ばかり。
「はい。卿の見立ては正しいです。宮廷魔術師をはじめとする研究開発機関……その内の殆どは動機はともあれ、
魔導機械の開発に明け暮れる上でそのような政治的な駆け引きなど煩わしいものでしかありません。
白状すると、卿を高く買っていらっしゃる兄上……オルフェウスもまたそのような者の一人」
エダンダル卿の言葉通り、王族階級の魔術師も多数参加している。
特に実兄はカルネテル王家を蹴落とす事に執心しており、アスピダ攻略作戦においても息のかかった魔導師団たちを
贔屓し武力面で影響力を握ろうとしている。
「卿に改めてご協力願いたいのは、日々の職務において……ほんの僅かで結構です。研究に携わる者の数々に
目配りいただけれればと思います。私はヴァエルフィード王家の一族に名を連ねる身ではありますが、積極的な
関与はしておりません。直に内部まで深入りすれば単なる気まぐれでない事は容易に推察されることでしょう。
……また、我が盟友は”外”の存在。……魔導機械の開発に直接参入する事は困難を極めます。
卿の御力が、必要なのです」
■ミシェル > 「そもそも私も学識を高く買われてはいますが、中核にいるわけではない。
そこには私ですら近づきたくないほどに…狂気に満ちた魔術師が存在する。
彼ら彼女らであっても私の言う事はおろか殿下のお言葉すら届かないでしょう」
只々その能力の高さゆえに存在を許されているような危険人物。
それもまた、この王城で働く魔術師には珍しくない。
あらゆる手を使ってでも研究を進める狂気の魔術師を、ミシェルも知らないわけではない。
「オルフェウス殿下もですか…お噂はかねがね。その行いについても、です。
評価して頂けることは光栄でありますが…こうして殿下とお会いした以上、
これからは睨まれるやもしれませんね?」
冗談めかして笑いつつ、ミシェルは言う。
目の前の王女に対するその兄の敵対的姿勢は、王城では広く知れたもの。
ヴァエルフィード家に近い者の間ではいつ決定的に決裂するやとヒヤヒヤものだ。
「成程…つまりは内偵ですか。怪しい動きがあれば殿下に報告せよと?
ですが…私も魔術師の端くれであります。口説く以外で同僚の観察などする暇があれば、
目の前の魔導機械に集中したいもの。
更に私は貴族です。確かに貴族は王国と王家の臣下です。しかし一領地と領民の主でもあります。
軽率な行動で家を取り潰されれば、先祖にも家臣にも領民にも申し訳が立たない」
ミシェルは真摯な眼差しで語る。
確かに友人に関わることであり、彼女が死ぬとはミシェルには到底思えないが、
それでもミシェルが動かなければ被害が増えることは確かであろう。
しかし、目の前の王女に協力することでもしかしたら起こり得る己への不利益を思えば、
義侠心のみでは首を縦に振るには足りない。
「ですが私は既に殿下に忠を尽くすと誓った身…。
殿下は相応に報いてくださると信じております」
ミシェルは、にい、と笑った。