2023/06/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にエイガー・クロードさんが現れました。
エイガー・クロード > 相変わらず、この城に住まう悪鬼は魔族だけではない。
この城の至る所に、その腸をえぐり出した先に潜む悪意はどこまでも続く。
醜い本性に仮面をして、女に目を付け、あるいは権力の為にすり寄る王族を探して。
混乱極まるこの国にはどこまでも、自分の仕事が終わることはない。
そして今日もまた、自身の足場を整えつつ、家の本懐を果たしたところで。

「……本当に、ここの空気は変わらないわねぇ」

そうぼやきながら、城外の渡り廊下を歩く一人の貴族であり騎士である青年の姿。
つい先ほど。”一仕事”を終えたばかりだが、彼の仕事を知る者は今やほとんどいない。
今しがた始末を終えた相手も、自身の存在など露ほども知らなかったのだろう。
今日もまた、この国の醜い枝を1つ切った。だが……もうそれではどうしようもないのだ。

「…………根は、もうどうしようもないのかしら」

沈みゆく太陽へとふと目をやって、大きくなり過ぎたとすら言えるこの国の現状を考えて。
権力争い、次の王、蜜を啜るもの。それらを追って、追って、追って。
そこまで考えて青年は眩しそうに夕陽から目を逸らして。

「他人のことなんて言えるはずもないか」

と、締めくくり。

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にベルナデッタさんが現れました。
ベルナデッタ > そんなエイガーの前から、そちらに向けて歩いてくる一団があった。
物々しい雰囲気の完全武装の兵士が数名。
その装飾から、王国直属の騎士ではなくノーシス主教配下の聖騎士であることが分かるだろう。
そして、その先頭を歩く修道服姿の女。

「あら…もしかして御高名なクロード卿でしょうか?」

その女はエイガーに気付くと、にこやかに挨拶をする。
主教の知識があれば、彼女の所属にも気付くかもしれない。

「異端審問官のベルナデッタと申します。お見知りおきを」

修道女、ベルナデッタは穏やかな笑みを浮かべながら名前を名乗る。
しかし、その視線がエイガーが歩いてきた廊下の先、彼が今しがた始末した標的のいる方向へ向かうと、
少し困ったといった風に眉をひそめる。

「……もしかして、先を越されたのでしょうか?」

どうやら、エイガーが始末した標的に彼女も用があったようで。

エイガー・クロード > 少し目を横にやれば、向かってくる、というよりは歩いている一団の姿。
先頭を歩く修道女の、その胸元を見て。その視線はこの王城にいる男ならばどこかしらねっとりとしたものを感じる。
だが、この貴族の青年はどこか鋭い。というよりは、見ているのは修道女の肉体ではない。
その服の、ノーシス教のシンボルそのものだった。

「御高名とは、大袈裟ですわ。私はただの貴族騎士でございまして」

そのにこやかな挨拶に。目を糸のように細めながらこちらも笑みを浮かべる。
そして自身を斯様に言うということはつまり、自身の役割を知っているということなのだろう。
最も、知名度は低いが故に知っているということは……。個人的に調べたのか、あるいは。

自分がノーシス教にマークされているか。であるが。

「噂にはかねがね聞いておりますわ。仕事熱心という話をよく耳にしておりましてよ。
お嬢さんに名乗られた以上はこちらも名乗らないと失礼ですわね、ベルナデッタ。
エイガー・クロード。覚えていただけて光栄ですわ」

そして青年の口から出てくるのは、見事なまでな女言葉。
流暢に出てくるのは演技ではなく。これが普段からなのはよどみない口使いからわかるだろうか。
その声も、衣類も、すべては男物。だがその言葉遣い及び、僅かな化粧が異色さを見せて。

「あら。これからお仕事でしたので?であればこちらを」

と、取り出したのは真っ二つに割られたとある貴族のシンボル。
……即ち、根伐りが完了されてこの国から家名が抹消された証である。

ベルナデッタ > ベルナデッタは主教の修道女らしい、穏やかな表情を浮かべ続ける。
それは鋭い視線を向けられても、その異様な口調と化粧を間近で見ても微塵も変わることが無い。
それがかえって、肩書に相応しい不気味さを感じさせるかもしれない。

「……困りましたね。色々と聞きたいことがあったのですが」

エイガーが取り出したシンボルを見て、ベルナデッタはそう言う。
物々しい手勢も、その貴族を生きたまま捕らえるために用意したものだ。
彼女が振り向いて何事かを告げると、聖騎士達は踵を返して城外へ歩いて行く。
そして異端審問官は再度、エイガーの方に向き直る。

「まぁ構いません。死んでしまったのであればそれまでです。
私達の行動が遅かった、それだけです」

ベルナデッタはため息をつく。
実際のところは、他の王国組織に通達はしていたのだが、
クロード家には情報が行っていなかったようだ。

エイガー・クロード > どうやら、根回しをしたうえでの仕事であったらしい。
となると、どうしてもクロードの家には自分以外の血がいない以上。
自分の耳に入るモノは自分で調達するしかない故に情報が入りにくいが故に不都合が起きてしまったようだ。
穏やかな表情はそのまま、しかし何やら事情があるならばこちらにも責任はあるというもので。

「他にも根回しをしていたようね、こちらの行動が早すぎたようで申し訳ない。
いちおう、家の備品とかは壊してないから何か見つかるかもしれないわ。
まぁ……横繋がりがありそうな書類は、こっちで確保したけど……いる?」

などと聞きながら、他の聖騎士達がいなくなったのを見て。
とはいえ、そこそこな人数がいた以上はそこそこな何かを起こすつもりだったのだろう。
邪魔をしてしまったのはどちらかというとこちらだ。
少々不気味さこそあれど、彼女らが正しき行いをしているのは事実。
なにより、今のクロードの家よりもずっと手が広く仕事も熱心である。

「私でよければ、粛清直前に何をしていたとかは言えるし、聴取なら同行するわ」

ベルナデッタ > 「ありがたく頂いておきましょう…家の方にも、後で人を向かわせます。
それでも欲しい情報の全ては得られないでしょうが」

全てを何かに書き残していたり、悪事の証拠を分かりやすく置いていたりするのは余程間抜けな貴族ぐらいだろう。
やはり、直接問いただすのが一番手っ取り早く、正確なのだ。

「……もしかすると少しばかり、件の貴族とは無関係の事で長引くかもしれませんが、よろしいですか?」

エイガーの申し出に、ベルナデッタは一瞬少しばかり目を見開くと、静かな声でそう伝える。
視線の先には、彼の右腕の籠手。
確信とまではいかないが、異端審問庁はエイガーの血筋に幾分かの疑いを持っているのだ。

「私の前でそれを外せるのでしたら、何の心配もいらないとは思いますが…」

エイガー・クロード > 「まぁ、そればかりは少し仕方ないわね。私も早くに動く過ぎたわ。
とはいえ、今まで連携している訳でもなかったわけだし。今後は連絡を密にしたいのなら、別に私としては構わないのだけど」

と、そこまで言った後の彼女の質問。視線の先にある、自分の籠手そのもの。
それを感じて、次に飛んでくる質問にはすぐに気付いた。

「…………」

微笑みを浮かべて、その籠手を着けている右腕…の、肩の服をはだけさせる。
いづれはそういう疑いがどこからかむけられるのは分かっていることだ。
とはいえ、素直に見せるという訳にも行かないが、ここで断るのはそれこそ疑ってくださいと言っているようなもの。
ならば。

「ちょっと待ってね。外す時、ちょっと汚れちゃうかもしれないけど…………」

そう言って、はだけた肩は筋肉質で如何にも鍛えられた騎士の肌と筋肉と言ってもいい。
問題は、その籠手を着けている部分に留め具がない。
籠手が覆っている腕をよく見れば、その部分の腕。つまり素肌に籠手を着けているのがわかる。
その肩の部分から外そうとすれば……ぶちぶちと、肉が千切れる音。
同時に、垂れてくる血。痛みを感じているのか、微笑みはそのままに頬は痙攣して冷や汗を浮かべて。

「昔、魔族のブレスを受けて肌に籠手が焼き付いちゃってね……腕の肌と鉄が癒着しちゃったの。
それ以来、戦うのは問題なかったから外してなかったんだけどね。
ちょっと待ってね。なにしろ数年ぶりだから……」

と、さらに続けて”真っ赤な血”を流しつつ外そうとしていく。
皮のない、筋線維が見える腕の肌が僅かに覗くだろうか。

ベルナデッタ > 相変わらず微笑みを浮かべ、表情をさほど変えずにエイガーに接していたベルナデッタ。
しかし、彼が肩をはだけ、籠手を外そうとしたのを見れば今度ははっきりと目を見開き、
次いであちゃあ、とばかりに顔に手を当てた。

「……どうにも上手く伝わっていなかったようですね。それ以上外さなくて結構です」

そして、溜息を吐きながら、申し訳なさげな顔をエイガーに向ける。

「神聖都市の本部で取り調べればそんなことでは誤魔化せませんよ。
ですので今のはそういう提案はやめておいた方がいいという忠告のつもりでした」

他の異端審問官であれば、嬉々としてエイガーの提案に乗り彼を取り調べに連れて行ったかもしれない。
だが、ベルナデッタにはそのつもりは無かった。

「これでも神々に仕える身ですので、多少は見ただけで察せます。
ですが…調べる限り、貴方はこの国を良くしようと働く希少な貴族です。
ただでさえこの国の先行きは不安なのに、そんな貴族に異端の疑いをかけるのは私個人は望みませんよ」

エイガーのある意味誠実な行動に観念したように、ベルナデッタも己の考えを素直に述べていく。
彼に向ける眼差しも、少しばかり人間味のあるものになっていた。

「ですが…異端審問官にも色々な者がおりますので。
次からは迂闊なことを言うのは避けてください」

そして、真摯な眼差しで忠告する。

エイガー・クロード > さすがに感づかれていたか、と内心で思いながらも。
とはいえ、無駄な事をしてしまったな、とはだけた服を戻して。

「なーんだ。分かっていたのね。ごめんなさい、変なの見せちゃって」

見逃されている。そのことは分かっていたつもりだったが。
こうも言われると、いつから、どこまで、とも考えるがもう意味のない事。
それらの思考を外して、今は彼女の言葉に素直に頷こう。

「その言葉に感謝させてもらうわ。それに、個人の私と組織のあなた達じゃあ、差も大きいしね。
とはいえ、あなた以外に気を付けるって言うのも難しいからね……。
どうにか、信用してもらいやすくなる方法とかあったらいいのだけれど」

と、悩むような素振りをみせつつ。

「まぁ、組織ともなれば十人十色。あなたが聡明な人で助かったわ。
……今後とも、よろしくしてくれる?」

そう言いながら、真摯な瞳を見つめ返して、左手を差し出す。

ベルナデッタ > 「治癒魔法の一つでも使えれば良かったのですが…生憎からきしでして」

はだけた服を戻すエイガーを見ながら、ベルナデッタは申し訳なさげに。
聖職者としてその手の魔法が使えないのは自分でもどうかと思うが、
神々の加護が彼女自身にも魔法を使わせないのだ。

「信用ですか…王国のみならず私達主教の為になる働きをすれば心証は良くなると思います。
勿論、わざとらしければかえって怪しまれますが…」

結局のところ、自分達に利のある存在であれば多少の怪しさは気にしないものだ。
ベルナデッタ自身、主教の信徒でなくとも主教のためになる存在はなるべく守るつもりでいる。

「えぇ、こちらこそよろしくお願いしますね?」

そして手を差し伸べられれば、その手に握手を返す。
本心からの微笑みを彼に返しながら。

エイガー・クロード > 「魔法なんていらないわ。これぐらいすぐに治るもんよ」

そう申し訳なさそうな彼女に気にしないように声をかける。
聖職者が必ずしも癒し手でいる必要はないのだ。時には、それ以外を伸ばしたっていい。
鍛えているのも伊達じゃない以上、この程度の怪我はどうということはないのも事実だ。

「なるほどね。だったらある程度はいつも通りでも大丈夫そうね。
まぁ、これからもう少し意識してみるわ。ごめんね」

そう彼女の手を、ごつごつとしながらもちゃんと手入れをしているエイガーの掌。
優しく握った後、ゆっくりと離して。

「それじゃあ、さっきの話の続き。どこかでお茶でもしながら聞く?
こんなところで話したら……どこに耳があるかわからないし、ね」

そう、仕事をする顔つきになって。とはいえ、それほどまで時間はかからないだろうが。

ベルナデッタ > 「そうですね…富裕地区に良いお店があるので、ご案内しましょう」

そう言うとベルナデッタは歩き出す。
王城を出て、そう遠くない位置だ。さほど時間はかからない。
今日のうちに情報交換は終わることだろう……。

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からエイガー・クロードさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からベルナデッタさんが去りました。