2023/06/25 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にエリシエールさんが現れました。
エリシエール > ざわめく王城―――

「血の旅団」を巡る有事で何処も立て込んでいる中、馬の目を抜かんとばかりに
アスピダ攻略作戦に乗じた看過できぬ不正がまたしても露わとなる。

首謀者全てを捕らえる事は叶わなかったが、中心となって暗躍していた疑いのある
有数の王侯貴族たちの潔白を巡り裁判が繰り広げられていた。
隙を晒せば悪徳貴族の毒牙にかかるのは言うに及ばず。しかし、それは邪心を胸に
暗躍する者にとっても全く同じ事が言えよう。

利権と欲に目が眩んだところを、あなや迂闊。もみ消したはずの証拠、生きた証人が
何故か法廷に姿を見せた様子に仰天、言葉を失った大貴族の動揺は彼が”クロ”である
事をより決定的なものとする。

『何故だ、何故だ!!』

『私ではない、どうか弁明の機会を!!』

……その、弁明の機会を与えられたはずの法廷で己の信を完全に喪った者は、もはや
この王城では死せる身も同然。彼の”犯行”は金を巡るだけのものであればまだしも、
これまでに闇へ葬られし者の命や未来、そしてこれから大勢喪われる事になるであろう
忠実な臣民たちの数を思えば爵位の剥奪などでは済まされず

―――死刑。

彼は長らく上手く立ち回って来たのだろう。だが、傲慢が己の命を刈り取る結果となったのか。
それとも”内”に敵を作ってしまったか。彼の最期は惨めで見苦しいものだった。


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「…………大きく出たものです。まるで、黴の生えた壁を壁面ごと切り出すかの如き荒治療。
 魔導機械の改良を巡る、意図的な同胞殺し……。その計画が真偽を問わず王宮に知れるとなれば、
 運用に向けた工程も……人員計画も大幅な見直しは否めないでしょうね」

はぁ と、疲弊した様子で汗を拭う王女。
このような堅苦しい場は好かない。庭園を目指して靴音を響かせながら歩みを進め、
あわよくば裸身で暖かな日光でも浴びようかと考えて。

エリシエール > 未然にその計画を挫いた事は誉れ高いことなのは間違いない。……が、タイミングが些かよろしくない。
情勢が芳しくない中、魔導機械の改良を鈍らせている暇はないのだが
この国の良心と呼ぶべき部分は未だ健在、かつ働き者のようでそのような
状況を言い訳とする事も許さず決定的な不正を暴くに至った。

国の財であり、また守るべき臣民でもある大勢の兵士たち―――
軍部もまた一枚岩ではなく、無数の師団や表に出てこない軍隊……彼らは
共に国を守る朋友であり、また戦功を争う競争者でもある。

また、各々の軍の背後に控える王侯貴族もまた十人十色。
悲しいかな、泥沼の政争や利権を巡る諍いは王宮内部のみならず外に赴く
軍にまでその波紋は及んでいるのだ。


「……無為な流血を未然に防いだ……それは誇らしい事です。
 欲を言えば、ここまで”派手”さを求めずとも良いはずですが」

せいぜい、上告にまで持ち込まれる悪足掻きは誰もが想定したことだろう。
だが、彼に与する者と思わしき勢力どころか敵対勢力さえも冷や汗をかき
動揺を隠せぬ程に揃えられた証拠の数々は、天晴を与えたい一方でその後始末に
追われる文官たちのうんざりとした様子は筆舌しがたい。

また、つまらぬ執務室へ閉じこもりになる―――
精神的には独房に放り込まれたにも等しい窮屈で厳かなあの部屋の景観を思い浮かべると
憂鬱と言わざるを得ない。

庭園に向かって歩みを進める王女は気分転換がしたい。
同じく言葉にできない疲労感や重苦しさにどんよりとした様子で散開する傍聴人たちは
裏で監視の目に怯えながら今後の身の振り方を相談しあうのか。

それとも政敵の失脚に祝杯でもあげるのか。

……どちらでもなかった王女は、今後の激務に憂鬱な様子でただ風を浴びに行く。
声なき自然の香りと息吹が、よしよしとあやしてくれる事だろう。

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からエリシエールさんが去りました。