2023/06/23 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城内訓練場」にメイラ・ダンタリオさんが現れました。
メイラ・ダンタリオ >  
 王城での一幕 午後
 アスピダ帰り 混血故の体か 傷跡を覆うテープが良く見られるメイラでも
 それは愛用する鎧から露出した部位や鎧越しでも受けた一撃による打撲が多い
 普段見える部位は数日もすれば既に覆うものを剥がし、深い傷跡以外は残ることもないだろう。

 そう、帰ってきても数日もすれば弱ったところなど何もない体
 稽古で期待できることなど向こうからしたら何もないのだ。


   「―――隙がありすぎますわよボケぇッ!!」


 右手には木剣を持ちながら組手を行うメイラの姿
 黒で統一されたいつもの身なり 稽古用の皮の鎧を身に着けている者や鎧を纏う者に対し
 身のこなしの向上や重さに慣れる理由を前に、簡単に力押しで鍔競り合い、掴み、投げる。
 人間離れした攻撃の仕方 騎士道を唾と共に吐き捨てるやり方。
 壁に叩きつけられてせき込む者に、次の者を投げつけたりもする。


   「決闘をやっているつもりなら引き籠ってなさいな。
    ―――これは殺し合いでしてよ!」


 口調はよく見かける装飾過多な生娘と変わらない
 しかし簡単に投げ転がし、片腕を掴まれるだけで投げ飛ばされる。
 人ではなく魔物やタナールを想定した稽古は力の差と一部を得させるだけでも拙いこと
 それを明確に知らせていた。
 死に場所で生き永ら続ければ強くなっていく。
 しかし実践だけでは足りず間に合わないからと、学院卒業生
 所謂身分混合クラスの出身者も交えた若手達を鍛える側に回っているメイラの姿
 赤瞳 ギザ歯 時折浮き上がる黒髪姿は、魔を彷彿とさせ人と戦っていると思わせない。
 痛みと苦しみと差と魔と力への慣れは、十二分に与えられるだろうか。

 

ご案内:「王都マグメール 王城内訓練場」にエリシエールさんが現れました。
エリシエール > いつものように政務……そしてつまらぬ共食いが裏で繰り返される王城の日常。
だが、本日はどうにも妙な噂で賑わっていた。

軍と直接的な繋がりは持たない王侯貴族でさえも一目置く……どころか
真の意味で”恐れられる”と表現した方が正確であろう、武の名門ダンタリオ家。
その筆頭たるメイラ・ダンタリオ……狂犬、怪力令嬢、悪鬼羅刹、悪魔……
あまりの勇名の影で、時に獣とさえ形容される恐るべき戦いぶりと凶暴性は、
権力だけの王侯貴族ごとき安易にその手を伸ばせば食いちぎられんと怯む程。

その彼女が、”帰って”きた……否、”帰ってきてしまった”と呼ぶべきか。
直接その暴威に触れる事はなくても、王侯貴族は意識せざるを得ない。

そんな恐ろしい存在を、一目見に行こうと訓練場に好奇心半ば訪れる王女が一人。
しっかりした理由はもちろんある。何でもコネクションだけで軍入りを
果たしたボンボン共が彼女を恐れて本来いるべき場所に足を運ばないようだ。
彼らを恐怖させる存在の正体を、訓練場から遠目に眺めていれば、一瞬で納得する。

「……なるほど。我が国の軍が精鋭強固である訳です。」

訓練の型を成さない、圧倒的暴力で若手たちを萎縮させながらも戦場の真理を
その身に叩き付けんとする後進育成に励む漆黒の令嬢の姿を恐ろしくもあり、
どこか美しい……実物の印象に気圧されながらも、微笑ましく腕を組んで眺めている
場違いな気品を漂わせる女一人。

メイラ・ダンタリオ >  
 大男でも簡単に背中から両手で持ち上げる。
 持ち上げる瞬間 掴まれている場所 回避できる行動
 それができるようにするためにはどうすればよいか
 手慣れた者 体格差までは学ばせることはできなくても、両足を狙え 顎を穿て
 首を搔け 眼を潰せ といった基本要素を手慣れた者と交えながら教えていく様子。
 騎士道精神よりも実践術を教え込む姿は、此処では綺麗も汚いもない
 清濁含めて騎士なのだと言えた。

 雑な切り口 清廉な殺し方などの差は真面なってからやれ である。
 背中を戸惑うことなく射貫け 斬れ と教える姿は容赦がない。
 魔族を殺さなければ何も始まらないのだと
 クシフォス・ガウルスが携わった者らを人間と思うなと、剥き出しの白い牙連なる口元
 苺色の舌がそう伝える様子。


  「関節を決めるのは無駄ですわ。 力量があれば抵抗が勝る。
   外より内側の腿を狙うほうが柔らかく斬りやすい 貫きなさい。
   膝を壊せないと思ったら手指足指を切り潰しなさい。
   わたくしは一手で殺せても、お前達は二手三手で殺るとして工夫せねばなりませんわよ。」


 鎧が守る場所以外を徹底的に狙えと教えながら、力がある者は斧や鉈のような武具
 それらで頭を割れと教えつつ、近接には柄頭を扱って鎧通しを、というところで誰かがガシャンと音を立てる。
 音に振り向く者ら それらが鎧と革の音を立て、全員が一度膝をついて礼を構える中
 中には老練な者もいた中 メイラだけが立ったまま方向を見た。
 ドミノの中で一枚だけがそうしているような光景。
 メイラは腰に両手を付ける姿をとる。 ジッと赤い瞳が見れば眉を曲げる。


   「―――噂のビッチじゃありませんの。」


 王以外 皆平等
 その精神は傍にいる者らには慣れていても、身分混合から来た若手らは
 メイラの在り方に共感を覚える部位はあれど、目の前にすると冷や汗が止まらない
 目の前にいるのは貴族ではないのだ。 アレに対しメイラは堂々と痴女と言ってのける。
 誰かが ヒュッ と呼気を細めた。

 メイラの在り方を知る者は、メイラに愚痴をこぼすこともある。
 全裸徘徊を趣味にする王族がいて困るのだと。
 容赦なくげんこつをしそうなメイラに救援を求めたことがあれど、メイラは首を縦に振ることがなかった。
 そんな者もいるのだな、と思ったくらい。 腐っているというより トんでいる。 といったところか。
 遠巻きに後日あれがそうだと小話を振られたこともあり、互いにあっていなくても存在認識はできていた。

  

エリシエール > 王国の平穏と威厳を守り抜くためには童話や伝説の騎士道だけではまるで足りない。
軍隊教育と言えど、見世物の訓練などではなく実戦を想定した苦痛と恐怖を伴う
命のやり取りの指導。

騎士という身分の建前を剥ぎ、血と鋼の戦場で幾重に続く殺し合いを生き延びる為の
訓練は未だ戦場を知らぬ予備兵にも数えられない若手たちにはある種の試練でもあるだろう。
王宮さえ恐怖させるメイラ・ダンタリオの放つ威圧感に中てられてなお、そこから逃げ出さぬ
だけでも戦を知らぬ者は勇敢であったと大袈裟に称えるに違いない。

そんな命の駆け引きを学ぶ者達の時を瞬時に止めるように、場違いな女が通りかかる。
みな一様に膝をつき畏まる中、一人だけ時空を切り離されたように立ったままこちらを
一瞥する黒々とした令嬢。

「失礼。卿の職務に水を差すつもりはございませんでしたが―――」

にこり と微笑を浮かべて、慎ましやかに腹の前で両手を重ねて穏やかな所作は先ほどまで
戦場での姿の片鱗……とは言っても一割も発揮していなかっただろうが、戦の世界を生きる
漆黒の令嬢とは打って変わって清廉……のような第一印象を与える。

だが、彼女が発した”ビッチ”は核心を射ていた。
その言葉の意味を知る兵士は恐ろしいものを聞いてしまったと視線が互いを行き来するが
無礼千万では済まされない蔑称を受け止めた王女エリシエールはいたって涼しい顔。

「卿らと違って戦場で武具を振るわない我々は……”運動”をせねば容易く……
 丸々と、”豚”の如く肥えてしまいます。……それだけでございますよ?ダンタリオ卿」

王城で徘徊する一介の少々高貴な娘など眼中にもないとばかり思っていたが、存外
自らの存在は知られているようだ。
眉を顰める事もなく、微笑を絶やさぬまま”雌豚”それも屈指の色物が近づいて来る。
愛想よく微笑みかけ、”お話しませんか”と優雅に誘う王女の声を、爛れた悪趣味への誘いと
捉え跳ねのけるか、敢えて乗るかは漆黒の令嬢次第。

メイラ・ダンタリオ >  
 戦場の空気 圧倒的な力
 剣筋は読まれ目線で察せられてしまい 怒気や殺気で足をすくませられてしまう。
 教えながら 死ぬな と 生き残れ と 逃げろ 勝て と口に出すメイラの空気が
 王族の登場で一息で変わってしまう。
 汗をかく鎧が重い体はアドレナリンと反射的動作で傅く。
 その一幕に冷たい風を流してしまうメイラでも、王族娘がさらりと流してしまえば周囲は一息つく。
 メイラ・ダンタリオを罰しなくても、周りに八つ当たり気味に罰する可能性すらあったのだ。
 しかしそれをしようとすれば、メイラも動くだろう。
 この場所はメイラがいるから危険で安全という、矛盾めいた場所になっている


   「ストレスを感じる中で発散しなければ、肥え豚貴族と同じになると?」


 肩をすくめて返すメイラの言葉。
 欲望に塗れるだけの存在ではないと返されてしまえば、納得を見せている。
 メイラ自身、幾人もの女を侍らせていることは周知なのだ。
 なるほど堂々とした清濁含めた王族だと認識を少し改めている様子。
 貴族よりも王族にそう返されるとかえって気持ちが良い。
 周囲を一度見渡せば、近づいてきては談笑を求める存在の肩に気安くポンと手を置いた。


   「全員覚えておきなさいな 守り甲斐があるのではなくって?」


 まだ肥え豚貴族よりマシでしょう?と返す中 周囲は再度姿勢を改めた。
 こんな奴らの為に戦うなど御免だ と思わせたら王族は終わりである。
 もっともメイラからしてみれば違うが。

 クルっと向き直ると、“どむっ”とお互いの胸元が押しつぶれるくらいに向かい合う現状
 誰かが すげ と零すと隣で傅く者に脇腹に一撃を食らって震えた。
 

   「まぁいいですわよ “噂”より真面そうですし 興味がでてきましたもの。」


 訓練を続けなさいな、と言って怪力令嬢とビッチが出ていく様子
 周囲は、怪力令嬢が割と好感触で接したことに、一定の信頼を王族娘に見せた。
 後になってから、アスピダに向ける人員不足に憂いを抱いている一員でもあると知り
 やる気を見せたといえる。 金と忠誠は、互いに多いほどいいのだ。

エリシエール > 自らが単なる紙切れ一つで死地へと簡単に追いやる事の出来てしまう騎士達。
時にはそれが無為で私情めいた目的の為に死ねと告げられるものであったとしても、
命令下で抗う事は許されない―――

投降、出奔、誇りを捨てて命を取る為の術は数多くあるが、今まさにこの怪力令嬢が
兵達へ説くのは「生き残れ」という正攻法であり最大の力の証明たり得る手段。
王女エリシエールには武装した者達が威信をかけて戦う世界など無縁。
だが、己らに代わって戦う者の命の重みを知らぬ愚か者では決してなかった。


「ふふふ、それもまた間違いではありませんが……。卿も”淑女”なれば
 要らぬ肉を余らせたくはない……その苦悩、お分かりいただけまして?」

単なる”ダイエット”に過ぎない あくまでこの狂王女の主張はそこに留まる。
かたや武人、かたや王族という違いはあれど武具を取り訓練で汗を流す怪力令嬢は
恐ろしくもあるが、それ以上に美しい女である。
性別を同じくするが故にやんわりと理解を求める王女がメイラ・ダンタリオの
放つ威圧感や迫力に全く怯んでいないのは、やはり彼女もまた”トんでいる”からか。

程なくして、兵達に発せられる声……意外にも己を立てるものだった。
周囲が改まって畏まる様に、王女エリシエールも集中する視線に、そっと瞳を閉じて
にこやかに浅く頭を下げた。
せめて、これからの国の未来を護り、また切り拓かんとする勇ましき者達に敬意を示し。


―――己の誘いに快く応じた漆黒の令嬢の豊かな乳が、白と銀の儀礼服に閉じ込められてなお
開放を求めんと自己主張する爆乳とむちっ と重なり合う。

その光景に、水を差す一言をうっかり零してしまい制裁を浴びた兵を口元を押さえて笑って
眺めれば「手厳しい方ですこと」と目と鼻の先にいる怪力令嬢へ微笑を向ける。


「卿のお眼鏡にかなったのは光栄なお話でございます。…………」

すんすん と鼻を鳴らし、黒一色の令嬢の顔をちらと見つめる。
汗の香り。先ほどまで兵士たちに戦闘の極意を叩き込んでいればさも当然であろうか。

「……汗で潤う卿も美しくはありますが、我々は女ですので」

そう言って、湯にでも浸かって女同士ゆったりと腰を下ろして話そうと怯む様子なく語り掛ける。
…………互いに歩調を合わせて歩む中、周りに人の気配が失せればつり目気味の青い瞳を
シリアスに細めて「ご無事でよかった」と意味深に語る。

それが、アスピダ攻略を巡っての怪力令嬢への労いからくるものか、このような美人が
戦場で散る事などあまりに惜しいという艶めいた下心からくるものか、或いは……

その真意は、二人が裸になった時にでもきっと明け透けになるのだろう。

ご案内:「王都マグメール 王城内訓練場」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城内訓練場」からエリシエールさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にエリシエールさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からエリシエールさんが去りました。