2023/06/22 のログ
■アマーリエ > 「しかし、しばらくは……――休めると思いたいわ。
タナール砦への出前も断ろうかしら。どれだけ仕事して、どれだけ損耗が上がっていると思ってるのよ」
取り敢えず、ここしばらくの出征の要因となった対応は片がついた。強引にでも片づけた。
最終的に算出されるだろう損耗は、そのためのものであることを否定できない。
故に疲弊しながら帰還した兵や騎士、そして竜を昨日今日ですぐに動かすのは、たとえ要請があっても断る。
そう決める。そう決めた。その撤回を命じるなら、王の命令書でも持ってこいというのだ。
何かと兵を動かす要因、きっかけとなるタナール砦への出撃もそうだ。
また、内憂の如く続いている城塞都市の案件も未だ解決を見せていない。まるで瀉血を強いられているような有様ではないか。
この位は、自分たちのような立場の者だけではなく、市井の識者なども考えていることかもしれないが。
「ねぇ。茶、持ってきて。それも一番いい奴。……時間かかっても良いから」
愚痴めいたことを吐き出していれば、少し喉が渇いてきた。
のっそりと身を起こせば、胸元で微かな金属音が生じ、肌の間に零れるように落ちる感覚を覚える。
身なりは整えているとはいえ、少し寝癖が立ったような髪を手櫛で梳きつつ、バルコニーの入口で待機する侍従に命じる。
かしこまりました、と会釈する姿を見送り、テーブルの上に目を落とす。
半分近くまで飲み干したが、温くなった紅茶のカップと茶請けの焼き菓子がまだある。
■アマーリエ > 「……今のところ、まともに動けそうなのは私とトルデ位か」
さて、しかし。どうしても。どうしても出撃せよ、出張れ、ということであれば。
将たる頭を動かさざるを得ないか。
兵棋の遊びに譬えるなら、再前衛たる兵の駒が半数以上欠け、騎士や城兵の駒も取り除かれているようなものだ。
やがて補充されるにしても、直ぐではない。コンディションがまだ良い、動けるものを動員せざるを得ない。
真っ先に浮かぶものとすれば、ここは自分自身と騎竜のコンビであろう。
出征中、本拠に残したものも数騎居ても、情勢の変化を鑑みれば交代で国境の周回に当たらせたい。
今は一番強い駒であっても、いずれやがてと考えるなら、命を惜しむようなことは出来ない。
「あーあ。せめて、何かごほーびでもあれば……無いか」
無いものねだりをしても、始まらないししてもいられない。それでもついつい、零すものである。
卓の下、ばたつかせるように動かす足を組み、温くなった茶が揺れるカップに伸ばす。
侍従に申し付けた補充を呑み終えたら、執務室に戻ろう。そう心に決めて。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からアマーリエさんが去りました。