2023/05/24 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城 修練場」にエファさんが現れました。
エファ > 小雨が降る夜、王城の修練場の片隅にまだ明かりがともっている。
打撃練習用のサンドバッグがいくつもつるされたエリアで、そこに佇んで居るのは鍛錬を怠らない兵士…ではなく、色白で線の細い小柄な姿だ。

「は―――――っ は―――っ」

両手を膝について満身創痍、俯いてあらわになっているうなじ迄火照らせて、肩で息をして呼吸を整えている。

先日ちょっと体調を崩して医者に『体力をつけた方が良い』と言われたこととか
――――今日同僚に、あからさまな嫌味を言われたとか。

「……… んー…」

額の汗を芋ジャーの袖でぬぐいつつ顔を上げる。
目の前にぶら下がる、自分の体よりも1.5倍くらいは大きなサンドバッグを大きな群青色の目でにらむと、見様見真似のファイティングポーズをとって

「―――― やぁっ!」

ぺちっ!ぺすっ!

…こぶしの方が痛い。

エファ > 何度かサンドバックに挑むものの、ぶらさがったそれを揺らすことさえ叶わない。
しばらくぺちぺちと果敢に挑んで、もう頬が真っ赤になったころに今度はその場にへたり込んだ。

体力をつけるなら筋トレとかした方が良いのだろう。
5回も続けられなかったそれを早々に諦めて、やりがいのありそうな方へ取り組んでみたものの全然だめ。

「は――――――っ は―――っ……」

呼吸が整うまで座り込んで、再度立ち上がろうとするけれども力が入らない。
結局サンドバッグに縋りつくように何とか立ち上がって、大きな諦めのため息をつくとふらつく足取りで修練場を後にする。

……すこしは、体力は付いたろうか。
体力を使ったことで、多少の満足感のようなものを得つつ修練場の出口へ向かう。
――――そして、明りが落ちる。

暗くなった修練場を後にする女は明日、筋肉痛で全身が痛むことになる。
日課の観測のため、天文台へ登るのに悲鳴を上げることになるとも知らず――――

ご案内:「王都マグメール 王城 修練場」からエファさんが去りました。