2023/04/02 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】 天文台」にエファさんが現れました。
エファ > 春の夜は注意が必要だ。
日中の陽気に気を取られて服装を決めると、陽が落ちてからひどいめにあう。

今日もそんな日のひとつで、風もなく日中暖かな陽射しが降り注いでいた場所は少し暑いくらいであったものが、陽が沈んで一転、しんと静まり返った夜の闇と共に冷たい空気が忍び込んできた。

(…… ちょっと、冷えるな)

王城の敷地内の隅、不愛想な外見ながら一際高く聳える天文台に今宵も控えめな灯りが灯る。
階段を昇って、広い室内に大きなテーブルがぽつねんとあるきりの、その上にカンテラを乗せたのは灰色のローブを纏った人影だ。
階段を昇って来たこととて息を弾ませて、揺れる灯りに照らされた顔は炎の朱い光のせいだけではなく火照っていた。

持ってきたのはいつも通りの観察用のスケッチブックと、今宵は何やら機材のようなもの。
それらをすべて机の上に置くと、ふうと一息をついて手近の簡素な椅子に腰かける。

(……お茶を、持ってくれば良かった)

あんまりにも気が急いていてすっかり忘れていた。とはいえ、今から降りていくのは……思うだけで溜息がでる。

エファ > 時間は等しく過ぎてゆく。
何はともあれ、観察の時間だけは逃せない。

ローブのポケットを探り、じゃらりと鎖付きの懐中時計を取り出して時間を確認すると、ばね仕掛けの様に跳び上がって立ち上がる。
がたん、と室内に音が響いて、ランプの明かりで映る影が揺れる。

画版にスケッチブックをセットすると、窓際の望遠鏡の方へとせかせか歩いて行く。窓際の空気は冷たくて一瞬肩を震わせてから、直接空を覗き込むように身を乗り出して天を仰ぐ。

その日、天文台から明かりが消えたのは空が白み始めた頃だったろう…

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】 天文台」からエファさんが去りました。