2022/11/22 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城/中庭」にセレーニャさんが現れました。
セレーニャ > 王城の庭師たちが丹精込めて手入れをしている中庭には噴水やらガゼボやらがあり、
美しい色とりどりの花が咲き乱れている。
そんな美しい景色の中で、外灯の届かないような草陰でがさがさと密着する男女の姿。
荒い呼吸をお互いに吐きながら、熱と肉がぶつかり合う音、淫猥な水音。
やがてその音も静かになり、衣擦れと数枚の硬貨の音がした後、騎士風の男が先に去っていった。

メイドのお仕着せをきた下級メイド。
乱された服の皺を伸ばして、革袋に硬貨を入れて、何事もなかったように歩き出す。

「…………」

その表情は人形のように感情が抜け落ちて、無機質。
しばらく歩いた後に足を止めて、夜風に長いブロンドの髪が流れていく。
まだ足りない。足りないなら次の客の所へ行かなくては。
身体を売る娼婦らしく、稼ぎにいかなくては。

「…………」

しかし鉛のように重い足は地面に縫いついたように、そこから動いてはくれなかった。

ご案内:「王都マグメール 王城/中庭」にグライドさんが現れました。
グライド > (普段、王城に立ち寄る事は滅多に無い
傭兵なぞと言う、己の立場を鑑みれば、そも、歓迎される物でも在るまい
だが、珍しく王城関係者である知人の、一寸した祝い事への誘いを
無下に断るのもまた、角が立つと言う物であろう

無事に祝辞を告げ、言葉を交わし、終幕した式典の、其の後
折角だからと、軽く立ち入れる場所を観光気分で見回りながらの、其の最中
外の空気が吸える中庭にて、騎士風の男とすれ違い
其の男が出て来た方向へと、何気なく視線を向けたなら
其処に、一人の女を見つける事と為る。)

「――――……こんな時間まで、お仕事かい?」

(かける声に、果たして女がどんな反応を示すか
逃げるならば其れ迄だ、そも、相手が給仕服を着ていたとて
自尊心の高い者は、御世辞にも貴族や王族、騎士と言った雰囲気に乏しい
己の様な、荒くれに近しい雰囲気の者を見るだけで
嫌がったり、立ち去ったりする物だ。 ――王城は、そんな場所だと認識して居る)。

セレーニャ > どれぐらいそこに立ち尽くしていたのか。
時間の感覚すらほとんどなく、夜風が昂った体の熱を冷ましてくれるのを心地よく受け入れて。
数分、数十分、何をするでもなくそうしていた気がする。
ただそれは錯覚のようで、実際にそんなに時間は経っていなかったらしい。
声を掛けられて顔を上げれば、スカイブルーの鮮やかな双眸を声の主へと向けた。

「……どなた?」

高い上背に、鍛えられていることが分かる体幹の良い筋肉質な躯。
褐色の肌、鉄錆の色をした髪と、夜闇のような黒い瞳。
少なくとも、セレーニャの知る範囲では見たことがない人物だ。
王侯貴族とは異なる雰囲気、騎士や衛兵とも言い難いような。
どちらかと言えば、平民地区で見かけそう。と考えて、思考を止めた。
誰であっても、今のセレーニャには気の利いた言葉をかけるだけの余裕はない。

「……仕事、そうですね、仕事です。戻らないと、」

昼の仕事は終わっている。セレーニャが今しているのは夜の仕事だ。
だがそれを男が知っている由もないだろう。
否、よく見ればわずかに乱れたままの襟元やら、白い首筋に見える赤い痕やら、
外の気温に見合わぬ上気した頬や、しっとりと滲む汗を見て取ることも出来るかもしれない。
騎士風の男と二人でいたなら、性に疎くない限りは察せよう。

グライド > 「俺様はグライドだ。 ……なぁに、しがない傭兵でね。
普段、王城何て場所にゃあとんと縁が無い類の人種だが…野暮用でよ。」

(給仕服の女が、どんな時間に働いて居たとて
此処が王城ならば不思議は無い、本来の給仕としての仕事でも
夜の番、と言う物は存在する筈であるから

だが仕事柄――出会った人間の些細な様子は、見て仕舞う
相手の身なりや様子から、僅かでも相手の情報を得る事が
"罠"を回避する為の、最も手堅い近道であると、身に染みて居るが故に
とは言え、目の前の女に其処までの警戒を抱いて居る訳では無い、只の癖だ
そうして、其の身に残る些細な情交の気配を読み取る事が叶えば
仕事、と言うのが何で在るか位は、察せる物だ。)

「―――……次の相手が待ってるんなら、引き留めはしねぇよ。
だが、そうでも無いってんなら。 ……仕事相手にゃ、如何だい?」

(まだ、仕事が終わらないと言うのなら。
自然と、流れる様に、女を誘う。 其れこそ――平民地区の街中で
気に入った娼婦へと、或いは行きずりの女へと、声を掛ける様な調子で
気障な口説き文句も無い、相手が仕事だと言うなら、其れを求めて居ると言うなら
千の言葉より、必要なのは確かな対価の方で在ろうから。)

セレーニャ > 「傭兵……そうでしたか」

疑問がいくらか解消され、王城に忍び込んだ不審人物ではないことが分かれば、
多少は身の強張りも緩む。
とは言え警戒を解くわけでもなく、彼の言葉に耳を傾けていたところ。
数度双眸を瞬かせてから、提案のように誘われた言葉を反芻する。

「……私を買ってくれるのかしら」

改めて、背の高い彼の黒の瞳を見つめ返す。
その表情は先ほどまでの無機質なものとは異なる、妖艶さを持った"商売女"のそれ。
見目が良く映るよう整えた化粧、睫毛は長く唇は美しい色を乗せて。
街角の娼婦たちが異性を、男を誘うように、艶やかに細められた双眸と眼差しを向ける。

「1時間で400、延長は30分ごとに50。寝台つきの部屋なら100追加」

一般的な平民の一日の平均利用額が200ゴルド────とすれば、
やや割高には感じられるかもしれない。
吹っ掛けているわけではなく、セレーニャは自分を安売りするつもりはないという意思。
王城という場所柄、近くに行ける範囲はほぼ高級娼館で、
セレーニャが提示する額よりもはるかに高い。
性欲を燻ぶらせている騎士達はセレーニャを買う。単純に成り立つ需要と供給だ。
平民地区の娼館を利用する者にとっては、それでも高いと言う者もいるが。
にこりと微笑んで、たまたまここに来ていただけの彼にどうするのかを問う。
決して安い額ではないだろう。