2022/11/18 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にファラさんが現れました。
ファラ >  
廊下に面した窓から見える空の色は、すっかり宵闇色をしていた。
主からの預かりものである布包みを胸元へ抱え、とぼとぼと人気の無い廊下を進みながら、
お仕着せ姿の女はその色を眺め、そっと溜め息を吐く。

「もう、すっかり夜ですのね……困ったわ。
 きっと、御主人様が心配なさっているでしょう」

行き先が王城であるとは言え、相手が王族であるとは言え、
用向きは単なるお届け物である。
そう時間がかかるとも思えないお使いに、しかし、かれこれ二時間ほど。
とうに用事を済ませているべき女は未だ、届ける、段階すらクリアできていなかった。

「やっぱり、お部屋までは案内していただくべきだったかしら。
 お手間を取らせてはいけないと思ったのだけれど……」

敗因のひとつは、案内を途中で断ったことか。
しかし最大の敗因は、やはり女自身の、方向感覚の欠如にある。
女にとってこの廊下は、美しく磨き抜かれていても、何処ぞの迷宮と大差ないものだった。

ファラ >  
それでも、女は歩く。
何処かへ向かって、届け物を誰かの手に渡すために。

それがいつになるのか、それだけは未だ、誰にもわからないことだった――――――。

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からファラさんが去りました。