2022/10/23 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城 天文台」にエファさんが現れました。
■エファ > 王城の敷地内、北の隅にひっそりとたたずむ塔。
舞踏会やら夜会やら、ひとびとが集まる場所からは遠く、いわば裏庭とも言えそうな場所は、日当たりも悪いせいか下栄えもさほどにない。
細い踏み分け路がひとつ続いているだけで灯りもなく、この秋の夜は虫の音で満ちているなか聳える姿は廃墟のようでさえあった。
その高さだけは城の建物の中では群を抜く塔の中、天辺の部屋に女がひとり。
部屋は調度品と言えば中央の大きな机だけ。ただ窓だけは周囲に巡らせてあって、その一つに女はいま取り付いていた。
「うぅん……」
(あれは……昨日と色が少し違う気が……)
窓の傍に設えた望遠鏡を何度も覗き込んで、手元の紙を月明りの下で目を凝らして見て首を傾げる。
果たして星の色が変わったのか、それとも全く新しい星なのか。
女に取っては大問題で、それを如何書き付けたものかを迷っている風だった。
室内は他に誰もいない。
がらんどうの部屋に、机の上のランプが一つだけ。
始めて訪れたものがいれば、灰色のローブ姿の女の事を幽鬼かなにかと勘違いするかもしれない。
■エファ > ひとしきり首を左右に傾げ
うんうんとうなってから
手元の紙に暫し夢中になって書き付ける。
それからもう一度望遠鏡を覗き込むと、独り頷いて
身を翻して中央の机に進む。ランプの明かりの下、机に広げていた大きな図面にも何かを書き足す。近くを夜鳥が過ぎって行ったがお構いなしだ。
その静かな夜が更け、天の星が霞むまで
部屋に灯りは灯ったままだったろう―――――
ご案内:「王都マグメール 王城 天文台」からエファさんが去りました。