2022/08/14 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城 天文台」にエファさんが現れました。
エファ > 深夜の王城、その敷地の一角にある天文台。
普段打ち棄てられた塔のような様相をしているそこが、天文台であると知っている者も少ないであろう。いまその塔への小路を、カンテラを手に歩いて行く小さな者がある。

月明りで足元はそれほど悪くないが、庭師でさえ手の回っていない辺鄙な場所だ。夏草が生い茂っていて、小路は見分けるのがやっと。脚を取られないよう慎重な足取りだった。

麓まで辿り着くと、鉄の扉を押し開ける。寂れたような建物にしては軋む音も立てず扉は開いて、小さな影とカンテラの灯りは滑り込むように中に消えた。

そのまま灯りは上へ上へと昇って行く。階段の途中にある魔法の灯りはいつからか機能していない。しかしその足取りが確かなのは、この人物がここへ通い慣れて居る証だ。

やがて月明りのが方々から差し込む最上階の部屋へ辿り着く。
流石に息切れした様子の小さな影は、中央にある机に近づいてカンテラを置くと纏っていたローブを脱いでぱたぱたと顔を扇いだ。
うっすら照らされている顔は、白い肌のせいで薄闇でも頬が火照っているのが解る。

エファ > 休憩もそこそこ、人物―――眼鏡をかけた若い女は窓辺に近づいて夜空を伺う。雲がなくて晴れ渡った夜空に満足げな笑みを浮かべると、近くにぶら下げてあるノートを手に取って、窓辺から身を乗り出さんばかりにして夜空を仰ぎ、またノートへ視線を落としては何かを書き付け始めた。

それを部屋に設けられた窓辺全てで行うと、ひととおり全てで書き付けた事を確認してから中央の机に戻る。
またそこで、脱いだローブのポケットから小さなノートを取り出すと何やら書き付けをして…そのまま思案するように、近くの簡素な椅子へ腰を下ろした。

そのまま幾許か時が過ぎる。
外から夜鳥の声がしてふと顔を上げた女ははっと気づいた表情になると、慌ててノートをローブのポケットに戻して再び着込む。

再度すべての窓辺を廻って夜空を見上げてから、カンテラを手にした影が再び塔を下って行く。最初から見ていたものがあれば、逆回しのような光景に見えたかもしれない。
危なげなく塔を降りた影は再び扉を閉めて、夏草の茂る小路を遠ざかって行った

ご案内:「王都マグメール 王城 天文台」からエファさんが去りました。