2022/01/14 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にオリアナさんが現れました。
オリアナ > コツ、コツ、コツ、とヒールで歩く音が響き渡る。
煌びやかな廊下は、月明かりに照らされた王城のフロアの1つ。
背後には、パーティ会場となっており、様々な貴族や王族が無駄話をしていた。
そこから抜け出したのは騎士服に身を包んだ、緑のかかった黒髪のポニーテールの美麗な顔立ちの女。
蒼い目は強い光を持ち、真っ直ぐな姿勢のよく、規則的な歩き方をしている。
しかしその表情は、不機嫌さを隠していなかった。

「まったく……。みんな何を考えてるんですの……。
毎日毎日、堕落に浸って税金を無駄に使ってパーティばかり……。
王族や貴族として、あんな姿でいるなど、ありえませんわ!」

ブツブツとそう呟きながら、先程まで自分がいた会場を思い出して。
下品な視線や下卑た声をかけてくる輩。あんな奴らと同じ空気など吸えるかと思い。
しかし社交辞令だけはして、結局その空間にいるのが耐えられずに抜け出してきたのだった。

「はぁ……。みんな、どうしてそんなに自堕落な生活を送れるというのですか。
そんなだからこの国は王すら決められずに、こうして追い詰められているというのに。
嘆かわしいことですわ……」

廊下の手すりを掴んで、夜空を見上げた。

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にミシェルさんが現れました。
ミシェル > 「やぁこれはこれは!ハイドリヒ王家の姫君ではありませんか」

そう声を掛けたのは、仕立ての良いウエストコートとスラックスでお洒落にキメた、見るからに貴族の男装麗人。
彼女は足音もなく現れ、遠慮なくオリアナの隣の手すりにもたれかかる。

「おっと、ちゃんと自己紹介をすべきだったかな?
僕はエタンダル男爵家現当主、ミシェル・エタンダル。宮廷魔術師を務めております」

そう言うと女男爵は、己の胸に手を当て、仰々しく一礼し。
オリアナに魔術の知識があれば、彼女が名門魔術師一族の者であることがわかるだろう。
もしくは、社交界の知識があれば、彼女がオリアナの言うところの、自堕落な類の貴族ということも知っているかもしれない。

「して、姫君は何を?パーティー会場は向こうですが…」

オリアナが元居た会場を、女男爵は目線で示す。

オリアナ > かけられた声に、少しだけ顔を横に向けて声の主を見る。
身なりから記憶にある人物を考えた。確か、宮廷魔術師だったか。
男装で身を固めたその姿は、下手な男よりもずっと似合っているように思える。

「……エタンダル卿ですか。噂にはかねがね」

少しだけ冷たい声で、そう伝えて。
しかし、学ぶことを学んでいるだけで自分は結局魔術を学ぶ気にはなれなかった。
だから知識以上には彼女らの事を知らないが……女ばかりの貴族という話は聞いている。
男社会でよくもまぁそんな貴族が生まれるものだ。と考えてから。

「姫君、というのはよしてくださいまし。
ただのハイドリヒ卿でいいですわ。エタンダル卿」

そう言って、微笑みを浮かべるが内心は少しだけ不機嫌なまま。
特に、噂で聞くミシェルの話は、あまり自分個人としては好みの人だとは思えなかった。

「外の空気を吸いたかっただけですわ。あそこにいると、皆様のかぐわしい香水で息が出来なくなりそうでしたから」

ミシェル > 「噂…はは、良い物だといいのですが」

ミシェルは苦笑しつつ、オリアナの声色の微かな冷たさに、まぁそういうことも無かろうかと思う。
どうにも目の前の姫騎士は堅物らしい。

「僕は臣下で貴女は王族ですよ?ユアハイネス。
ただまぁ、命令と仰るならハイドリヒ卿とお呼びしますが」

ある意味騎士めいた、魔術師の仰々しい口調からは敬意と言うよりからかいを感じるだろうか。
見透かすような澄んだ青い瞳が、オリアナを興味深げに眺める。

「なるほど…ハイドリヒ卿は、社交の場は苦手ですか?」

オリアナ > 「えぇ。まぁ、いろいろ、ご友人が多いのだとか」

腕を胸の下に組めば、溢れんばかりに服を押し上げて自己主張する。
そうして背中を手すりにもたれながら、彼女の方を見て。

「お願い。ですわ。王族であってもこの身は騎士。
であれば、こうして呼ばれる方が慣れてますもの」

と、言いながら彼女の所作を観察する。
……逆に、観察をしているのはこの女の方か、とその視線を感じて。ため息をつき。

「苦手ではございませんわ。ただ、お召し物を用意するのを忘れてしまったので。
そのことをからかわれたのですわ。だから少し落ち着こうと思っただけですの」

と、騎士服であるままの理由を告げて。

ミシェル > 「パーティーでの人付き合いも欠かさないですからね。お陰様で」

また、からかうような笑みを向けながら、ミシェルは答える。
実際貴族らしく友人も多いし、それ以上の関係の女性も多いのだが。

「成程…ではお望み通り新米騎士として扱うことにしようか、オリアナ嬢。
僕も畏まった礼儀作法は嫌いでね。特に君みたいな麗しい女性相手には」

遂には無礼なまでに砕けた言い方をし始める。
オリアナが何か言い返そうとすれば、人差し指を立ててそれを制する。

「おっと、騎士なら上下を決めるのは戦場にどれだけ長く居たかだろう?
僕は魔術師だが、君より戦場経験はあるつもりだよ」

宮廷魔術師は魔術のスペシャリスト。故に召集されれば戦場へも赴く。
特に、ミシェルのような魔導機械の研究家は発掘した魔導兵器のテストのためによく前線に行くのだ。

「召し物かい?騎士なら今度は鎧を着て行くといい。戦傷のとびきりついたものを。
そうすれば、からかう人間もいなくなるだろう」

オリアナ > 「なるほど。まぁ、私よりは賢い生き方なんでしょうけど」

など、軽い自虐の入った毒を吐いて。しかしそれを微塵も羨ましいなどとは思ってなどいない。
だがまぁ、それが自分には本来持つべき生き方だったのだろうがとは思う。

「……っ」

ナメれられている、そう思った瞬間、頭に血が上りかけるが。
ミシェルが立ててきた人差し指を見て、次の言葉を聞いて首を横に振る。

「……えぇ、そうですわね。何より、あなたは私よりも年上でしたわね。
ならこれが正しい関係ですわね。別に気にしてませんことよ?えぇ」

早口でそうまくし立てる姿は、未だ齢20にも行っていない女性として非常に子供っぽかった。
もっとも、元からミシェルからすれば10cmもの身長差もあれば子供にしか見えないだろうが。

「それは逆に見せびらかしているようで嫌ですわ。
第一、野蛮人だと言われるのが目に見えてますし、馬鹿みたいに思われますわ」

他者からどう思われるか気にしない生き方を出来るならばしたいものだが。
いちおう、家の名に恥じないようにしなければならない。だってそれが絵本で見た騎士の姿だったから。

ミシェル > 「馬鹿には貴族は務まらないからね」

パーティーの賑わいをちらりと眺めながら、ミシェルは呟く。
この国の乱れようでは、貴族とて生き残るのも一苦労だ。
そして、社交パーティーの場というのは、そうして生き残った猛者たちの集う場でもある。

「はは、まぁ別に年上だからどうこうなんて思わないさ。
そんなの気にしてたら、人間はみんな長命種に頭を下げなきゃならなくなるよ」

だからそっちも気にしなくていいんだよと、笑いかける。

「その通り。そういう戦働きは勲章にして、その服の胸に付けておくのがスマートだ。
ま、魔術師から見れば剣を振る人間なんて殆ど野蛮人だけどさ」

オリアナ > 「えぇ、それは違いありませんわね」

だけど、自分が憧れる生き方でもなければ、好きな生き方でもない。
彼らもまたそういう道で生きてきたのだろうが、中にはぬくぬくと育った者もいる。
自分もその一人だが、それでもそれでいいとする姿勢が許せなかった。

「なるほど。ユーモアのセンスはおありですのね。
少なくとも、私に話しかけてきた人達よりは面白いですわ」

どこか呆れながらも、これも助言のつもりかもしれない。とミシェルに少しだけ柔らかい顔を見せて。

「そうかもしれませんわね。魔術師も戦士も、互いへの偏見やらが多いですもの。
けど、その言葉は素直に受け取っておきますわ。
もっとも、その勲章がこの胸の上になるか。あるいは棺桶の上になるかもわかりませんが」
なんて、冗談のつもりで言ってみながら。

ミシェル > 「名高き騎士は皆ユーモアに秀でているものですぞ、若き騎士よ。
ついでに言えば、老獪な魔術師の仲間も付き物」

芝居がかって、ミシェルは言う。
騎士道を題材にした物語はいくつか読んだが、まぁ大体人付き合いが得意なタイプが主人公だ。
彼女の柔らかくなった表情を見れば、にんまりと微笑んで。

「棺桶の上に置くのはやめときなよ勿体ない。
ちゃんと生きて帰って、服の上にビシっと付けて、パーティーでさりげなく見せびらかして、ご婦人の手に口付けしながら口説くんだ。騎士はみんなそうする、僕もそうする」

冗談なのか本気で言っているのか、ジェスチャーも交えながら、ミシェルは語る。

オリアナ > 「そうですわね。ユーモアについては勉強ではどうにもなりませんものね。
……あら、これは私がスカウトするべきなのかしら?それでも弟子入り?」

なんて、言いながらフフと笑う。
こういうセンスは天性のものか、あるいは彼女自身の経験なのか。
どっちにしろ、噂と同じように面白い女なのは間違いないなと思って。

「そうですわねぇ。まぁ、服の上に乗るのが一番なのはわかっておりますわ。
けれど、そういう勲章が常に手に入るとは限りませんもの。
あーあ、どこかに言葉だけでもいいから手解きしてくれる親切な魔術師でもいないかしら。
……ま、口説かれるのはいつも私ですわ。もしかして今もそのつもりなのかしら、エタンダル卿?」

クスクスと笑って、そう探るように見上げる。

ミシェル > 「それは違うな、ユーモアとは文化であり教養だよ。
物語を知っているから芝居が出来る、歌劇を知っているから引用できる。
上手い事を言うには教養は不可欠だ。つまり、君も物事をもっと学べば上手い事が言える。
あぁ、古のある名高き老魔術師は当時の王に三回懇願されてやっと臣下となったらしいね」

ついには笑い声を漏らした彼女を見て、ますます得意気にミシェルは語る。
偏屈者も多い魔術師にしては、頭も口も回る。そんなユーモアのスキルが、
彼女が今まで地位を保っている要因の一つでもあるのだろう。

「まぁ、そこは剣の腕を磨くしかなかろうね。
……おや、騎士なのに口説かれる側なのかい?名高き騎士は見初めた姫を口説いて忠誠を誓う物だよ?こんな風にね?」

言うがいなや、ミシェルは片膝をつき、オリアナの片手を取ると、その手の甲にそっと口付けた。
唇を離すと、にい、と笑いながら、彼女の顔を見上げる。

オリアナ > 「確かに。ジョークのセンスのある方は賢い方ですものね。
それを活用できる人間も知識が必要、ですわね。勉強になりますわ。
なら、まだまだ戦働きだけでなく、もっと本やらを読むべき、か。
勉強するべきことが多くて時間が足りませんわねぇ」

感心しながらそう頷き。いつの間にか彼女の話聞き入っていた。
なるほど、確かにと頷く部分もある。彼女は自分よりもずっとものの見方が多方面なのだろう、と。
魔術師だからと侮っていたわけではないが、こういうスキルがあるから彼女は友人も多いのだと納得して。

「あら……ふふ。じゃあ、これで忠誠を誓われたのかしら?」

手の甲に唇を当てられて、その柔らかな感触と共に、ミシェルの視線を受けて。
確かに、こういう行為こそが騎士の本懐かもしれないと思い出す。
自分がなりたいのはこれを受ける側だったのか、あるいはする側だったかは別として。

「まぁ、懇願するにしても私はまだ功を立ててない上に実績もございませんからね。
あなたを私から口説きに行くのはいつになるのやら……」

ミシェル > 「とはいえ、僕だってまだまだ付け焼刃だよ。
まして、君は僕より若いんだ。人生はまだまだ長い。焦らず進めばいいのさ」

義務にしちゃいけない、興味のあることからやればいいと、彼女を諭す。
実際、年齢は2歳しか違わないのだ。見る者から見れば、自分も十分青二才だろう。

「はは、君は騎士だろう?それとも僕の前では姫でいたいかい?
それとも、口説き方ついでにご婦人を満足させるベッドテクも学ぶかい?」

ミシェルは立ち上がると、悪戯気に笑う。
生憎、彼女が忠誠を誓う女は多いのだ。

「そちらから口説いてくれるなら、いつでも歓迎するとも。
ただ、他の人間に王族としての君じゃなく騎士としての君に忠誠を誓わせるなら、それ相応の功を立てる必要はあるだろうね。
それまでは、誰かの下に付くべきだろうかな」

オリアナ > 「付け焼刃、ね。焼いているとは言っても、その内立派になりそうなものですわね。
ま、いいですわ。その言葉には頷いておきましょう」

そう言って、手すりの上に両手の肘を乗せて顔を支えながら。
ミシェルから視線を外して、もう一度夜空を見上げる。

「口説き方を学ぶのは参考になりますわね。お姫様気分も嫌いじゃないですわ。
けどベッドに関しては、まだまだ実践はしておりませんの。
どうせなら婦人も、殿方も、意中の相手がどっちであれ満足させられるようになりたいものですわね:

ミシェルの悪戯な笑みに、自分は彼女には言葉では勝てないな。
などと思って。

「そうですわねぇ……。ま、その前に私に与えられた領土を穏やかにさせないといけませんから。
それもままならない内に、あなたを口説くことなんてできませんわ。
その後なら…ね。フフ」

と、意味深な言葉を吐いて、こちらも笑みを浮かべて。

ミシェル > 「あぁ、よく考えたら口説き方を学ばれるのは困るな。僕が口説きたい娘を先に口説かれちゃうかもしれないし。
ベッドテクに関しては…まぁ実践あるのみさ。
抱かれてもいいなって相手を見つけて何度も抱かれてみるもんだよ。そこから始めて抱けるのさ」

自分の経験を思い返しながら、ミシェルは語る。
彼女とて最初からこんな調子では無いのだ。
それ相応の経験が、彼女を形作っている。

「地固めか。王族は大変だね。
一応、こんな歳でも当主だから、何かあれば相談ぐらいは乗るよ。
その後は…まぁ、楽しみにしてようじゃないか」

意味深な笑みを見ながら、こちらも笑みを返す。
と、遠くのパーティーの雰囲気が変わったことに気付く。そして、貴族達が何人か廊下へと出てくる。

「君が居た宴もお開きらしい。帰るなら帰った方がいいだろうね。
……騎士なら見送りはいらないかな?」

そんなことを言いながら、手すりにもたれかかる。

オリアナ > 「ふふふ、まぁ、私は口説くのも口説かれるのもまだまだお早い身ですわ。
だから、その時が来るのはまだまだ先の話ですわよ。
……。なるほど、そういうものですか。参考になりましたわ」

先達の話は、やはり参考になるものだ。
特にこの王城に自分より長くいることが多い彼女の話は。

「ま、大変なのは上に立つものの勤めですわ。へっちゃら、とまでは言わないけれど。
その時は、ご相談させていただきますわね。
ふ……先に口説かれる方が来るかもしれませんが」

そう言いながら、背後の足音が聞こえてきて。
そろそろお開きかと思って。

「えぇ、大丈夫ですわ。……ごきげんようエタンダル卿、楽しかったですわ。
また会いましょう。ちゃんと生きて、ね」

と、儀礼に則ったお辞儀をしてから、背中を向けて歩き出す。

ミシェル > 「縁起でもない別れの挨拶だなぁ…。
僕は君とベッドに入るまでは死ぬ気は無いからご心配なく。
それじゃあ、またね」

お辞儀に対して手を振り返し、彼女とは反対側、会場から出てくる貴族達のほうに向けて歩く。
そのままミシェルは、相手を変えてまた世間話をするのだろう。

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からミシェルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からオリアナさんが去りました。