2021/05/02 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にフランチェスカさんが現れました。
■フランチェスカ > 普段は存在自体、秘匿されていることの多い『人形』だが、時折、
亡き姫君の居室に導かれ、姫君の為に整えられた天蓋つきの広く柔らかな寝台に、
その身を横たえるよう、命じられることがある。
――――――今夜はちょうど、そういう夜、だった。
『姫様』と呼ばれ、枕元の小卓に置かれた燭台の灯火を消され、
もう居ない筈の『フランチェスカ』として微睡み始め、さほど時も経たぬ頃。
姫君の褥に、本人の許可無く訪れることを許され、
眠る姫君を手籠めにすることすら見逃される立場の誰かが、
静まり返った暗い寝室に姿を現す。
王族、貴族、あるいは彼らにとって、何らかの利益を生む誰か。
ひとり、とは限らないが、とにかくそんな誰かの為に、
『フランチェスカ』は用意された供物だった。
微かに寝台を軋ませ、寝返りを打って仰のいた拍子、――――ふと、違和感に瞬いて。
「………どなた、か……そこに、いらっしゃるの……?」
今の『人形』は、姫君『フランチェスカ』である。
声の調子は普段よりはっきりしており、僅かな警戒心すら滲ませていた。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にトーラスさんが現れました。
■トーラス > 王侯貴族絡みの決して表舞台には出せない裏側の仕事。
正規の騎士に命じる訳にも行かず、素性の不明な傭兵に依頼する事も叶わぬ、
そんな面倒な案件を持ち込む先として、貴族の肩書を有する冒険者というのは相応に重宝するらしい。
引き受ける側としても、跡目を継ぐのが嫌で出奔したと言っても、
生きる為に先立つ物が必要な事には変わらず、冒険者ギルドにて支払われる額に比べて
破格の報酬を差し出すパトロンの存在は有り難いものに他ならない。
その為、ずるずると持ちつ持たれつの関係を早十年は保ち続けていた。
本日もまた反王族派の腐敗貴族が一人、不審死を遂げる羽目になり、
仕事の報告と報酬を受け取りに王城に足を運んだ所、事前に約束した金銭の他に、
追加の報酬があると王宮奥の一室に案内されて、室内に足を踏み入れた結果、
「へぇ、……、お姫様が報酬とは、随分と羽振りがいいもんだ」
昏い寝室にて、褥に用意された報酬の存在に口端を弛め、
彼女が目を醒ましたならば、寝台に乗り上がり、その身体に覆い被さろうとする。
■フランチェスカ > 一人で眠るには広く、ふかふかと柔らかい、寝台が不穏な軋みをあげた。
まだ眠たげに幾度か瞬き、ようやくぼんやりと見上げた眸に、
背の高い誰かの影が映り込む。
誰何の声を重ねるよりも、身動ぐよりも早く、
覆い被さられて近づく距離。
どくん、と、胸の奥でつくりものの心臓が跳ねる音を聞いた。
「どな、た……貴方、いったい、どう、して、ここに、
―――――――ばあや、……ばあや、……来て、ばあや」
叫んだつもりだったが、声はひどく掠れて、細い。
零れ落ちそうに見開いた瞳が、瞬きも忘れたように闖入者を凝視し、
次いで、この部屋で唯一の扉の方へ流れる。
本物の『姫君』の部屋ならば、次の間には『ばあや』が控えている。
夜更けに、見ず知らずの男が入り込むことなど、許される筈も無かった。
なのに、何故、という、戸惑いは本物、に見える。
実際は全て、仮初めの芝居でしかなかったが。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からトーラスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からフランチェスカさんが去りました。