2021/04/20 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にリーアンさんが現れました。
■リーアン > 夜更けの城内、夜会の賑わいからは遠い、居室ばかりが並ぶエリア。
異母妹の部屋を下がり、与えられた居室へ戻った時、己は疲労困憊していた。
公主に与えられている部屋よりは幾らか手狭だが、小さなバスルームがついており、
ほぼ、寝る為だけに戻る己に、特段、不満は無かった。
手早く着衣を脱ぎ落とし、湯浴みをするのにかけた時間は、恐らく、
身仕舞いにとかく手間のかかる姫君たちより、ずっと短かったと思う。
素肌に白いバスローブを纏い、腰のところで軽く結びながら、
寝台とライティングビューロ、小さな椅子程度の家具しか無い居室へ、
一歩、足を踏み入れて―――――ぴくり、肩を震わせ立ち止まる。
先刻まで髪を纏めていた簪を、ローブの袷からそっと抜き出しつつ、
「―――――誰か、居るのですか」
低く、抑えた声を投げ掛けるのは、風に揺れるカーテンの辺りへ向けて。
部屋に戻った時、確か、窓は閉じていた筈だ。
閉じたままならカーテンが揺れる筈は無く、つまりは誰か、
己がバスルームへ居た隙に、入り込んでいることになる。
入り込んで、出て行ったのなら未だ問題は無――――くもないが、其れよりも。
入ってきて、今、同じ部屋に居ることの方が、ずっと厄介だった。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にウォルスターさんが現れました。
■ウォルスター > 「こんばんは―――リーアン皇女様。」
慇懃無礼に、老執事はカーテンの影からぬるりとその大柄な巨躯を見せつけるように姿を現す。
恭しく胸元に手を添えて一礼しているものの、その笑みは邪悪な獣のような牙を剥き出しにした笑み。
素肌に白いバスローブ姿の彼女を視姦しながら、普段では絶対に入り込まないプライベートスペースへと。
皇女の部屋に老執事は初めて足を踏み入れたのであった。
「いえね、少しばかり最近は何処かへお出かけしていらっしゃるようなので。
つい心配になってお声をかけにきただけでございますよ。」
何もかもを知っており、その行動は全て観察しているという風な老執事の言葉。
だが、此処でこれ以上の会話をするのも時間の無駄であろうと。
胸元から懐中時計を取り出して時刻を確認する。
今夜は少しばかり風変りなパーティーが開かれている為に、今夜はそのお誘いに来たのであった。
カツ、カツと、わざと足音を鳴らすようにして皇女の方へと歩み寄り―――
「ちょっとしたパーティーが開催されておりましてね、お時間はございますか?」
皇女を、女を見下ろしながらニヤリと下卑た獣の笑みを浮かべて尋ねて―――
■リーアン > 其の声が聞こえた刹那、背筋を駆け上った感覚を、何と呼べば良いだろう。
悪寒、などという生易しいものでは無い。
もっとずっと深いところへ、鋭い爪で、牙で食らいつかれるような、
生物としての本能に訴えかける感覚だった。
「―――――――、 しら、じらし、い」
辛うじて絞り出した声がひどく掠れているのも、其の男が現れた途端、
喉をぐっと締め上げられているような、視野狭窄を伴う息苦しさに襲われた所為。
けれども、其れでも―――――――
果たして、身支度をする時間は与えられるのだろうか。
濡れた洗い髪とバスローブ、パーティに参加するような格好では、無い、筈だが。
其れでも数分の後には、部屋は無人になっていた、という。
部屋の主の姿も、招かれざる来訪者の姿も、何処かへと――――――。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からウォルスターさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からリーアンさんが去りました。