2020/10/24 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にカサンドラさんが現れました。
カサンドラ > 「…では、私はこれにて失礼致しますわ」

妃殿下―――そう続けたところ、相手は軽く眉根を寄せて微笑み、
姉様で良いのよ、と囁き寄越す。
開いた扉を背に振り返り、膝を折って他人行儀な御辞儀を仕掛けていた身体を、
その囁きに応じる形でそろりと起こし、少しだけ居心地悪そうに。

「でも、姉様はもう、立派な妃殿下で在らせられるのだし……
 私とは、身分が違うでしょう」

困ってしまいます、そう溜め息交じりに呟くも、頬は淡く色づいて、
俯き加減の表情は幾らか幼げに緩んだ。
貴女は相変わらずね、等と笑う姉のドレスの腹部を一瞥し、

「――…来週にはきっと、母様を一緒にお連れするわ。
 良くお休みになって……どうぞ、御身体御大事になさってね」

姉の胎には今、夫たる王族の和子がいらっしゃる。
幸せそうなその姿を今一度、穏やかに細めた眼差しで眺めてから、
今度はやや寛いだ一礼を向けて、静かにその部屋を辞した。
扉が閉ざされる音を背後に聞きながら、数歩歩いて立ち止まり―――
知らず緊張していたらしい肩から力を抜き、ふう、と息を吐いて。