2020/10/19 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」に美鈴さんが現れました。
美鈴 > 昨晩の夜会はひどく退屈で、早々に引き上げ寝入ってしまった。
昼近くなって目覚めれば外は雨、ますます気鬱になりそうな重く暗い空の色。
朝のお茶も軽食も断り、侍女の手を借りてゆっくりと湯浴みをし、
湯上りの肌に薄手のローブの身を纏って、バスルームに備えられた姿見の前。

髪を整えてくれていた侍女が、不意に早口で何事か詫びながら、
扉一枚隔てた寝室の方へ立ち去って―――――既に、十数分。
直ぐ戻るかと思われた彼女が戻らないものだから、生乾きの髪を指先で玩びつつ、
公主たる女はまた、そろそろ退屈し始めていた。

「……おかしいわね、てっきり香油か何か、切らしたものだと思っていたのに。
 此れでは私、風邪を引いてしまうわ」

戻って来ない彼女を咎める色は無く、ただただ怠そうに呟き。
ふう、とひとつ息を吐いて、女はスツールから立ち上がった。

「ねぇ、……何を探しているの?
 其れとも他に、何か用事が―――――、……あら」

やや高めに声を投げ掛けながら、寝室へ続く扉を開き、
―――――其処で、ふ、と口を噤んで立ち止まる。

バスルームへ移動した時、ベッドサイドに灯っていた筈の灯りが無い。
消されているのか、そもそもランプが持ち去られているのか。
先刻、全開にされていた筈のカーテンも降ろされ、室内は不自然なまでに暗く、
目が闇に慣れるまでは、部屋の様子を詳しく知ることも叶わない。

「まぁ、……如何したこと、此れは……もしかして」

何方か、招かれざる御客人が居られるのかしら―――――歌うように呟く声は、
恐怖に、では無く期待に、淡く掠れていた。
其れが人ならざるモノであっても、女の無聊を慰めてくれる刺激にさえなってくれるなら――――。

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にルヴィエラさんが現れました。
ルヴィエラ > 「――――――御機嫌よう、御嬢さん?」

(声音は――ふわりとした、甘い音色で
されど次には娘の背後、伸ばされる二つの掌が、其の身体を絡め取る様に捕えるだろう
未だ其の目が暗闇を映し出すより前に、招かれざる客人の掌は、胸元を、腰元を戒め
そして、其の耳元に――唇が、触れる。)

「――――――声は、立てても構わないよ。」

(――抵抗の為に、逃走の為に、助けを求める為に
或いは――そうでない、意味も含めて。 泣き叫び怯え、喚く事すら許容すると告げながら
くすりと笑い、其の儘、其の身を寝室へと向けて、押して行く
後ろ手に、ひとりでに締まり行く扉が、ぱたりと音を響かせたなら
娘の瞳に映る、完全なる暗闇の中へと――其の身は、連れ去られて行く)。

美鈴 > 「――――――――ぁ、………」

刹那、紅いくちびるから零れたものは、喘ぐように幽かな吐息。
耳朶を湿らせ、鼓膜を揺らし、頭の芯を蕩けさせる、甘やかな男の声に、
抱き込まれた肢体が淡く、切なく戦慄いた。
たった今清めたばかりの身体の、最も奥深い場所が、淫らな予感に潤む程の、
―――――其れは、圧倒的な闇の気配。

仰のく角度に身を撓らせ、首筋を晒し、陶然と伏せた瞼が小さく羽ばたく。
跳ねる鼓動、乱れゆく息遣い、そして、操られたように踏み出す白い足先。

「あ、あ―――――…駄目、駄目よ、貴方、
 わ………た、くし、私は、……――――――――――」

此処を離れる訳には行かない、そんな自由は赦されていない。
そう、呟く声音で訴えたけれど―――――くちびるは緩く弧を描いて。
闇の中、呑まれて消える女の残り香だけが、其の場に暫し留まるも―――――――。

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」から美鈴さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からルヴィエラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城 訓練場」にメイラ・ダンタリオさんが現れました。
メイラ・ダンタリオ > 王城は完全に密閉された城とは言えない
時には貴族が、時には平民が城の中に入ることだってあるだろう “理由”さえあるならば。

「相変わらず、ここは寂れていますのね。」

王そのもの以外ならばな、王族であれ無関係
頭を垂れることすらなく不敬を買えば力で捩じり返す気概でしかない気狂い。
故に避けられることが多いメイラは、黒い布で巻かれた自身の愛剣を手に、戦場以外での時間の一環
訓練場へと顔を出す。 しかし腐敗していると言われている騎士勢

弱肉強食が染みついている中で、武器も鎧もない連中を数と装備で済ませるだけで、戦場以外は大抵足りてしまう
訓練を生真面目に行うのは、過程を乗り越えるための騎士見習い以下の者のみだろうか
そしてそれらは王城へ自ら足を運ぶような度胸もないだろう

両手と履物に備わった、黒鉄色の蛇腹がカチャリと音を鳴らし、幕を外す。
剥き身の両剣を床へ突き刺せば、足元を固定されておかれている廃材
魔導機械の成れの果ての塊を見やる
これは単純な繋ぎ合わせた塊ながら、木偶にまとわせそれっぽくしたものまでいくつか並べられていた。

「こうなってしまうと、これらも形無しですこと。」

コンコンとノックしてもしもし
意識も糞もない成れの果ての塊を見ながら両手両足を解しにかかった。

メイラ・ダンタリオ > 訓練場で、身体を解す
両腕 両脚 関節 それらをする際も身体には半袖の上着とロングスカートの黒い身形
いつであろうともその姿が自然だからと、動きやすい身形にはならない。

やがて体がほのかに火照り、この冷たい石壁の部屋の中でも温まっていると感じる頃
意識して吐き出せば白い吐息すら出るかもしれない中で、両剣の中心に備わる柄を握る
上も下も刃 その半ばで抉れた凹に備わる柄 雅さなんてどこにもない、実用さえ整えばいいと言わんばかりの鉄

持ち上げ、素振りを開始するメイラ
右手構え袈裟 左手構え袈裟
右横薙ぎ 左横薙ぎ 起こすたびに剣圧が空気を小さく巻き上げる

身体ごと廻すような剣と切り込み
歯列を噛み締め、赤い瞳が濡れるように光りながら、凶器を奮う。
見物も、メイラの姿を見たものですら訪れることはない

「ふぅぅぅぅ、ぅ、ぅ……。」

やがて目標回数の素振りを終えたのならば、地面に切っ先を向けて真っ直ぐに保つ
体の中で駆け巡る熱を感じながら、闘争精神を高めていた
空を切り続けることは、筋肉を衰えさせることはないものの、飢えを引き起こす。。