2020/02/02 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にリュシーさんが現れました。
リュシー > (天井を彩る絵画、窓という窓は鮮やかなステンドグラス、
ランプの拵えも繊細で豪奢な―――図書室の片隅、蟠る闇のなかから、
にゅ、と手を伸ばし、脚を踏み出した。
日ごと夜ごと狂乱の宴が開催されているといっても、
それなりの格好をしていない者が、正面から出入りするのはリスキーすぎる。
ということで、―――能力の出番だ。
無事に目当ての場所へ姿を現すと、はああ、と大きく肩で息をし)

―――――あ、既に腹ペコ。

(書物を求めて渡ってきて、第一声がコレである。
勉強熱心と呼ぶには、あまりにも残念なありさまではあるが、
少なくとも己の視界が及ぶ限り、人影は見当たらない。
もっとも、林立する書架に遮られて、視界はひどく限定的だったけれど。)

えぇ、っと……この前借りたのは、確か……って、あ?

(とりあえず手近な書架に並ぶ本の背表紙を確かめ―――どう考えても、
えっちで悪趣味な内容であるのが丸わかりなタイトルに、
思わず周囲の様子をひとわたり眺めまわして顔をしかめ)

……仮にも、城の図書室だろ、ここ。
さすが、というかなんと言うか、……しょーがないなぁ、ホントに。

(誰の趣味で入れた本なのか、それなりに読みこまれた跡が見える。
そんな有害図書の背表紙をツンと突ついて、呆れ気味の呟きを落とし)

リュシー > (隣、そのまた隣、と背表紙を読んでいったが、どれもこれも同じようなもの。
出てくるべき場所を間違えた、とかぶりを振りながら、別の書架を目指して歩き出す。
目当ての本を首尾良く見つけ出せたか、その前に飽きてしまったか。
いずれにしても、帰りも使うのは己だけの「裏口」である。

書架に並ぶ本が一冊入れ替わっていることに、気づく者が居るとも思えず、
恐らくは誰にも見咎められずに「返却」と「貸し出し」を勝手に済ませ、
書架の陰の暗がりから「退室」するもの、と―――。)

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からリュシーさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にナインさんが現れました。
ナイン > (今日も今日とて。城内は人に溢れている。
宴の料理を運ぶ為か。個々に客をもてなす為か。あくせくと廊下を行き交う侍女達が、数多。

――その内一人が。ひょいと蟻の如き行列を外れ、廊下の隅へと身を滑り込ませれば。)

 ぁ――っは。はは、矢張りこう、存外に。バレない物だよ…なぁ?

(悪戯真っ最中の童女めいて。舌を出し、小さく笑う。
…「姿を変える」力に慣れる為。その使い所を増やす為。今日はとうとう、己が主戦場たる王城にて、用いてみる事とした。
効果を長引かせる為もあり、実の所、自身の造形自体は弄っていない。
唯、髪と瞳の色を黒く。膚にも薄く色を載せ。それだけで、見た目はまるでシェンヤンから召し出されたかの様に。
城仕えの侍女を思わす装束があれば。近頃公主達と共にやって来た小間使い程度にしか思わないらしい。
己の顔も、躰すらも知っているであろう者達ですら。
これなら後々。色々役に立ちそうだ。)

 …しかし。流石に此奴はあからさまじゃぁないか?

(我が身を見下ろし、少々嘆息。
侍女仕えの物、その筈の装束は。どうにも丈が短く襟刳りも広く、やたらに膚を覗かせて…と。剰り実用性を感じない。
侍女。部下。メイド。…奴隷。そう言った者達が、此の城で何の為に使われているか。
実際袖を通す側になると、改めて、実感させられる代物だった。

雑多に紛れる為のような心持ちだったのだが。女目当ての好色漢の目にでも留まれば…さて、どう言われるのやら。)

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にギュンター・ホーレルヴァッハさんが現れました。
ギュンター・ホーレルヴァッハ > 侍女侍従が行き交う廊下に漣の様な動揺と、滑る様な乱れが生まれる。
何と言う事は無い。此の城で働く者が、仕えるべき者。或いは自分達より上位の者に対して無礼の無い様に、道を開け始めたのだ。特に珍しい事でも無く、統率された動きで上位者への道を開けつつ、一礼する従者達。

彼等が道を開き平伏するのは、唸る様な財貨と資産で幅を利かせる王侯貴族の嫡男にして次期当主。傲慢と高慢が豪奢な衣装に身を包んだ様な少年。
深々と頭を下げる従者達に視線を向ける事も無く、何やら思案したまま廊下を進んでいく。

歩みを阻害されず進む少年は、直ぐに廊下の隅に身を置く彼女の元へと近づいていくだろう。

ナイン > (おや、と目を瞬いた。
下々の者の前に、上に立つ者が通り掛かる度。逐次足並みやその場の空気に乱れが生じる。
乱す側として、それ等を当たり前と考えている立場の人間だが…
いざ、乱される側に紛れ込んでみて。変化にも幾つかのパターンが有る事を、知らされつつあった。

例えば。絶対的な強者に対する圧倒的な畏怖、それのみが場を圧する時。
亦例えば。立場こそ異なれど、同じ女であるという共通項が残る故、微かに嫉妬の滲む時。
そして、今し方背後で起きた漣は――どちらかと言えば前者に近く。だがその中に、僅かな期待感のような物も滲ませる。

薄目で窺い、納得した。
…その場を行くのは若い――若すぎると言っても良い、かの公爵家の嫡男だ。
大きすぎる程の力を持ち、浴びる程の金を有し、おまけに妬ましい程に貌も良い。
傅く立場から掬い上げられる夢物語に、焦がれる侍女達も多いのだろう。

――だが。本物のメイド達とは違う、闖入者たる己にとっては。問題、としか言えなかった。
同じ貴族であり、魔術にも造詣が深く――更に、己の貌も躰も知り尽くしているような相手。
正体を悟られる危険性の非常に高い相手が、何故やら、隅の此方へ近付いて来るのだ。

…取り敢えず。貌を隠す為、他の侍女達と同様に。頭を下げてみせるのだが。)

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 龍だったか神獣だったかの革で造られた革靴が、硬質な音を立てて磨かれた廊下を踏みしめる。
己に向けられる視線の意味も理由も十二分に知り尽くしているが故に、王城に相応しくない――或いは、最も相応しい――熱を帯びた視線も特に気にする事は無い。
此れでも、幼少の砌には戸惑いや幼い熱情を少なからず覚えた事もあったが、そんな事が数えるのも馬鹿々々しい程に続けば日常の風景の一部でしかない。

己にはもっと考える事が。思案すべき事が。為すべき事があるのだから、その様な些事に囚われている暇もない。
今は近日開かれる軍務官僚達との会合の事で頭を悩ませている真っ最中。それ故に、方向感覚が僅かに乱れ、廊下の隅へと足取りが向かう事に気付いてはいなかった。

漸くそれに気付いたのは、黒髪のメイドが此方に頭を下げるのが視界に入ってから。真直ぐ歩く事もままならぬか、と幾分疲労の籠った吐息を吐き出して其の場を通り過ぎようとしたが――

「……其処のメイド。顔を上げる事を許す。その貌を、私に晒してみよ」

違和感、というか既知感というか。恐らく公主と共に訪れたであろう黒髪のメイドに妙な思考の引っかかりを感じ、幾分疑念の籠った視線と共に言葉を告げるだろう。
今はまだ、己の感じた違和感を貴族としての警戒心が感じたものだと認識している。それは、彼女の貌が伏せられ、視界に捉えられていない為。だが、足を止めて彼女を眺めるその視線がその顔を捉えた時、どの様な反応を彼女に返す事になるのだろうか。