2019/09/22 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にリリアンさんが現れました。
リリアン > どくん、どくん、どくん―――――。

まるで全身が心臓になったみたい、という表現があるけれど、
今の己はある意味、それよりもずっと深刻な状態だった。

身体の何処も彼処も熱くて、きっと白い肌は紅潮し切っていて、
何より、頭には白い猫の耳が、お尻からは細長い尻尾が飛び出している。
お守りのようにして、首につけたチョーカーを握り締めてみても、
一向に熱が鎮まる気配は無く―――――

「ぁ、…………ぁ、嘘、っ………」

身体の芯に燈っていた熱が、とうとうあらぬところを溶かしてしまったらしい。
ベッドの上で蹲り、もぞりと擦り合わせた腿の間に、僅かではあるけれど湿り気が広がる。
堪らずに起き出し、寝間着姿でベッドに腰かけると、暗い室内を見回して。

「ばあや、………ばあや」

念のため、と声を投げてみたが、応える声は無い。
溜め息を吐いて立ち上がり、足許へ置いてあった布靴を履いて、ふらふらと部屋を横切る。
辿り着いた扉を、そろ、と押し開けて、顔だけを覗かせ。
静まり返った廊下に、己の知る誰かの姿を探そうとして。

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にジュンさんが現れました。
ジュン > こつんこつんと静かな廊下に足音が少し響く

そこには黒い外套に身を包み顔も隠した青年で
はた目に見てもこの場所には不釣り合いな姿である

「…さて、今日はどんなもんか、と」

などと呟きながら、何かを探すようにして廊下を歩いていると

ふと、少しだけ開いた戸と誰かが顔をのぞかせているのを見つける

リリアン > 夜更けの廊下に、細く伸びる淡い光の帯。
顔を覗かせる白い寝巻き姿の人影、というのは、字面だけならば怪異現象のようでもある。

けれど、覗いているのが白い猫耳を立たせた少女であれば、少なくとも怖そうではなかろう。
しかし、少女―――己の方は、響く靴音に分かり易く動揺していた。

びくん、と肩を揺らし、音の聞こえた方へ視線を向ける。
其処に人影らしきものが見えるや、ひ、と悲鳴を洩らして、
開けていた扉を閉ざしてしまおうとする。
叶うなら此方の姿かたちがはっきり認識される前に、部屋へ引っ込んでしまおうと。

ジュン > 「…チッ油断したな…見られたか?」

少し面倒なことになったと、一瞬見えた少女の姿に舌打ちをしつつ

「…まあ、ある意味丁度はいい…か」

とそのまま閉じられそうな扉を見れば

素早く閉まりそうな扉へと迫り
挙句閉じてしまっても無理矢理開きにかかる勢いで迫ってくる

リリアン > 静かな場所であるからこそ、微かな靴音も響いたのだ。
あるいは普通の人間の耳よりもずっと敏い、猫耳の成せる業だったかも知れない。

―――ただし、己の反応速度は、あくまでも人間の、おっとりした小娘の其れだった。

「きゃ、――――――!」

閉じようとした扉が、恐らくは男の手で押し留められる。
必死に抗おうとしたけれど、男の膂力に敵う筈も無く。

小さな掌から扉が離れ、男の侵入を許してしまう。
閉じようとしていた勢いが余って、寝間着姿の小娘は床に尻餅をついた。
涙をいっぱいに溜めた瞳が、怯え切って伏せられた猫耳の下で、
侵入者たる男の顔をじっと見上げている。
知らない男だ、黒ずくめで、大きくて、何だか怖い。
寝間着の裾から覗いていた長い尻尾が、しゅる、と裾へ潜り込んで隠れた。

「だ、……だれ、っ……?」

たった其れだけ問う声さえ、ひどく震えている。

ジュン > 「やあ、こんばんは」

部屋への侵入が出来ればそのまま後ろ手で扉を閉じる

「誰、というのは…まあどうでもいいだろう?ちょっと散歩をしていた者だよ
それよりも君のことが知りたいなぁ?あぁ怖がらないで、大人しくしてくれたら痛い事はしないからさ、と大丈夫かい?」

自分のことは適当に、相手の様子を探りつつ話しかけ
一先ず少女を起こそうと屈んで手を差し出し
また、何かが裾に隠れるのは見えたがそれが何かまでは視認できなかった

リリアン > こんばんは、なんて普通の挨拶を投げ掛けられても、
相手が侵入者である事実は変わらない。
びくびくと目に見えて怯え震えあがりながら、差し出された掌と、
男の顔とを交互に見比べて。

「よ、……く、ありませ、ん……、
 だって、此処は、私の……私の、部屋で……、

 あ、なたを、お招き、したつもりは、ありま、せんもの……」

王族としての、なけなしの矜持を振り翳し、辛うじてそう反論する。
差し出された手は取らず、ずるずると腰で後ずさりながら、
涙目ながら男の姿を、じっと見つめ続けて。

「知らないひとに、教えることなんか、ありません、っ。
 出て行っ、て、ください、……ひとを、呼びます、っ……」

ジュン > ふーと大袈裟に溜め息をつく

「そいつは残念」

またも大袈裟な様子で困った様なポーズを取りつつも
後ずさる少女にじりじりと近づいていき

「そして人を呼ばれるのも確かに困る、正直見られた時点であれなんだけれども」
「だから折角だ、このまま少し乱暴にさせてもらおう」

とそのまま少女に飛びかかるように覆い被さり上から押さえようとする

リリアン > 「や、――――――っっ!」

近づいてくる男が、いよいよ此方へ飛び掛かろうとしたところで。
鋭く上がった悲鳴を聞きつけてか、扉の向こうで乱れた足音が響く。

たとえミレーの血を引く出来損ないだろうと、王女には違いない。
其の危機に際して駆けつける者のひとりふたりぐらいは居る、というもの。
扉が大きな音を立てて叩かれ、程無くして開かれるだろう。
部屋の主である娘は、恐怖にか、安堵にか、ふっと意識を失ってしまうが――――――
其の後の顛末は、果たして。

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からリリアンさんが去りました。