2019/05/22 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にテイアさんが現れました。
テイア > 帝国からの公主が続々と王家や貴族に降嫁するのに伴い、或いは降嫁する相手を見つけるために王城では宴が途切れる日がないといっていいだろう。
今宵もまた、豪勢なシャンデリアで照らされた城の大広間の一つで夜会が開かれている。
煌びやかな衣装に身を包んだ女性達が、音楽にあわせて男性にエスコートされて舞う。
楽団の音楽や、歓談の声に賑わう広間の入口の大きな扉が開くと、一瞬場から人の話し声が消えた。

「さ、どうぞお嬢様。」

緊張に震える華奢な手を、優しく引いて広間へとエスコートする。
シャンデリアの光を反射させて、煌くような銀髪はオールバックに整えて後ろで短く束ねられ、装飾豊かな詰襟の礼装姿は夜会に出ている男性の姿が霞んでしまうほど。
ほぅ、と夜会に出席している女性陣からため息の音が聞こえてくる。
不慣れで緊張した面持ちの少女の手を、自らの腕へと誘い腕を組んで扉を潜れば、再び夜会の賑わいが戻ってきた。

「どうか背筋を伸ばして、堂々としている方が女性は美しく見えるものですよ。」

賑わいが戻っても、注目されていることに少女の緊張は更に深まってしまったようで、テイアは少し身を屈めると少女の耳元にそっと囁く。

テイア > 『あら、お久しぶりですね、ルミナス卿。貴女が夜会にいらっしゃるのはいつぶりでしたかしら。』

「ご無沙汰しております、クローマー夫人。中々王都に戻ってくる暇がないもので。本日は、こちらのお嬢様のエスコート役でして。」

広間の奥まで足を踏み入れると、背後から年配の貴婦人が声をかけてきた。
夫人へと、テイアが礼をとると少女も慌ててドレスの裾をつまんでカーテシーを行う。
緊張に固まってしまって、決して優美とはいえないがそれが社交界デビューの初々しさを感じさせる。
少女が自己紹介すると、夫人はなるほどと得心がいったように頷いた。

貴族の子女はある程度の年齢になれば、こうやって夜会などに参加して貴族同士の交流、時には外交を行い、時には結婚相手を見つける。
社交界で、有力な王族、貴族に見初められるなどすれば、力を持つ家は更なる権力を、下位の貴族であれば玉の輿を狙えるため娘の社交界デビューは重要なものだった。
しかし、その反面…特に昨今、王城内ですら安心とは言えない状況にある。
暴漢に襲われる危険性というよりも、権力にものを言わせて右も左も分からないような少女が慰みものにされる事があるからだ。
たとえ、王族であってもそういった危険があるため、年頃の娘を持つ家は頭を悩ませているらしい。

テイア > 夫人としばらく話した後、少女をともなってダンスホールへと出る。
楽団の調べは、夜遅くまで続き、少女のエビュタントも恙無く終わった。

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からテイアさんが去りました。