2019/04/06 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城 第三師団長執務室」にカテリーナさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 王城 第三師団長執務室」にレオーネさんが現れました。
カテリーナ > カテリーナはそわそわと室内を歩き回っていた。
彼女には珍しく、焦燥感をあらわにしている。

「――何も問題ありませんわ、何も」

お茶は最高級品、茶菓子も良し、面倒なものは全て片付け、シャワーも浴びたし室内には気にならない程度に香も炊いた。

そう、これから来る客は、そこまでしてももてなすべき人間なのだ。

そして、目的の人物がやって来る。

「――いらっしゃいませ、レオーネ様」

レオーネ >  
執務室のドアが開き
重厚な鎧を着込んだ第一師団の兵士が先導して、蒼髪の女性が部屋へと立ち入る

「どうも、突然の申し出を受けてくれて感謝しているわ。カテリーナ第三師団長」

一度復帰した彼女とはゆっくり話をしてみたいと思っていた
自分が第一師団の師団長の座へとついた頃から、手厚く援助をしてくれた存在──

「ご苦労様、お部屋の外で待機していて」

言葉を受け、兵士は騎士礼を挙げて部屋外へと退散する

「さて…堅苦しいのは抜きにしましょうか」

元々、年の近い女同士でもある
とりあえずは、そう言いつつにっこりと笑みを向けてみる

カテリーナ > 「――はい」

なるほど、堅苦しいのは抜きに。
すなわち、かつて政争をした者同士、その格付けをついにしに来たという事だろうか。

カテリーナは覚悟する。
彼女に勝つ事は出来ないと、心の底から思っている。
なので、大抵の要求は受け入れるつもりでいた。

「――よろしければどうぞ」

クッキーとお茶をすすめる。
もちろん、毒など入っていない。彼女相手には見抜かれるだろうから。

レオーネ >  
「ありがとう」

笑みを讃えたまま席へと腰を降ろし、お茶を頂く
この国では貴重な上等な茶葉だろう
クッキー1つをとっても、嗜好品としては高級なものだ
口当たりが良く、お茶によく合う───

「山積みの報告書をまとめていたら、貴女の名前があったものだから。
 私達ってタナール方面にはほとんど顔を出さないでしょう?
 撤退戦を演じたみたいだけど、強力な魔族を単騎で圧倒したとか……」

ほぅ…、とお茶の美味しさに漏れる吐息
部屋に漂うお香の香りと共に、心身ともにリラックスさせてもらえている
こういう気配りができるのも、流石だなあ…と内心思いつつ

彼女が自分を政争した相手などと思っていることには、全く気づいていない

カテリーナ > 口に合ったようで良かった。
王都の最高級店から取り寄せた甲斐があったというものだ。
脳内の思考とは裏腹に、愛想笑いを作ってみせる。

「お恥ずかしい限りですわ。
軍神たる貴女なら、もっとスマートに済ませたのでしょうが……」

お世辞ではない。
彼女――蒼雷の軍神の手際は、王国軍の中でも隔絶している。
自分如きではかなわないと、カテリーナは納得していた。

軍事の手腕も、政争の手際も。
彼女はカテリーナが、王国で唯一叶わないと認める人物なのだ。

「――それで、本日はどのようなご用件で?」

自らもカップを傾けながら尋ねる

レオーネ >  
軍神、という言葉が出ると一瞬硬直する
周りが勝手に言っているだけのことでうにゃうにゃ…と言った感じなのだが、
第一師団の長としては象徴的に誇示できるものも必要かもしれない…ということで放っておいたら何だか尾鰭背鰭が
…と、言った事情や様子も、きっと彼女の眼には違うものに見えている

「ええ、最近の王都のコトで…というのはまぁ建前なのだけど、
 こういう機会を設けないと、なかなか貴女に直接お礼が言えないだろうから…」

はにかむようにして、勿体ぶる
実際には昔のことなので切り出すのが少々照れくさいだけなのだが

「ほら、私が師団長を拝命した頃から、貴女の名前で色々と援助というか…、
 その後も戦勝をあげるたびに祝いを頂いていたでしょ?」

そのうちそのうち、と思っている間に時間は過ぎて、
彼女は一度その第三師団の長の席から離れてしまった
こうやって戻ってきて、こういう機会を設けられたのであれば直接お礼を言うことも出来る
照れくさいので微妙に回りくどい言い方になってしまっているが、彼女の眼にそれがどう映るかまではレオーネはまるで考えていない

カテリーナ > 「――わざわざ恐縮ですわ」

なるほど、理解した。
つまり――確認しに来たのだ。

『第三師団長への復帰おめでとう。
で、誰が主人なのか、もちろん分かっているのだろう?』
と。

そんな事は全く無いのだが、あらためてカテリーナはレオーネへの畏敬を新たにする。
ただ、ひとつ幸運なのは、きちんと心付けを彼女が受け取り、それを覚えていてくれるという事だ。
きちんと礼を尽くせば、それに見合った扱いはしてくれる。
そうである以上、彼女の派閥に身を置く事は間違いではないだろう。

「この国が今、こうして平和を享受できるのもレオーネ様のおかげ……どうか、お役立て下さい」

殊勝に言いながら笑ってみせる。

「足りない物があれば、どうぞお申しつけを。金銭でも、土地でも、物資でも――必要とあれば、この身でも」

嘘ではない。
もしカテリーナはレオーネに命じられれば。
この場で裸になり、彼女の爪先にキスする事すら厭わないだろう。

レオーネ >  
「平和…というのも表向きだけれどね」

苦笑を浮かべる
それに、そんな表向きの平和だって、自分が貢献できているかどうかはともかくとして、
頑張ってくれている各師団や騎士達、大勢のこの国の人の力あってこそである

殊勝な物言いと心掛け、大したものだなあと改めて思う

「? え、ええ…不足を感じた時は遠慮なく頼らせてもらうわ」

金銭も土地も、もし国家戦線が大規模に拡大した時には必要になる
そして彼女自身…カテリーナの名高き個人戦力も……と、真面目なレオーネは考えつつ

「にしても、不思議ね。
 こうやって話してみても、貴女に妙な噂が立っているのが理解できないわ」

カチャ、とティーカップを置いて溜息とともにそう言葉を漏らした
いわゆる、第三師団長としてのカテリーナに関する悪い噂
かつての第七師団との確執や、それによる告発からの解任、そして再び復帰した現在に至るまでの…
火のないところに煙は立たないというけれど、とても目の前の女性にそんな側面があるようには見えなかった

カテリーナ > 確かに平和は表向きだ。
シェンヤン、魔族、そして王国内の不和……
不和といえば、カテリーナもまた、不和をまき散らす一人であった

「ふふ、人は一面だけで生きるものではありませんわ。わたくしも王国貴族――綺麗なだけでは、生きられませんもの」

そう、ずいぶんとここに来るまで大量の人間を蹴落としてきたものだ。
そして、これからも――

にしても、自分の暗黒面など彼女はとうに承知のものと思ったが、はて?

レオーネ >  
「そうよね、特に女の身では…この国で成り上がろうと思うと大変だわ」

言いつつ小さく肩を上げる
綺麗なだけでは生きられない───
きっと、綺麗なだけ、綺麗事ばかりでは獲って喰われてしまう
そんな女性を、この国の闇の部分を全く見てこなかったわけではない

彼女に対する悪い噂も、きっと傑物である彼女を蹴落とそうとする者の仕業なのだ
実際はどうあれ、レオーネはそういうことで一人納得するように頷いていた

「私は貴女の味方よカテリーナ・グラッドストン。
 ──第一師団としても私個人としても、貴女の行いは絶対に忘れないから」

表情を緊張感のあるものに変えて、そう告げる
そう、第一師団が、その数重なる厚遇と援助に結果として助けられた時もあったはずなのだ

という意味だけの言葉であったが、何か意味深にもとれるよう聞こえるのはきっと運命のいたずら
それはまるで、悪い噂なぞ微塵も立てずにやれ、と言っているようにすら聞こえるかもしれない
…もちろんそんなことはまったくないのだけれど

カテリーナ > 「……ええ」

クズのような貴族に体を求められる事もあった
男ではないという理由で家督を求める事も出来なかった

それでも、自分はここまで来た。
そして、目の前のこの女性も――

その時、目の前の彼女からかけられた言葉。
自分はお前の味方だ、お前の事を、私だけは分かり、そしてその行いを赦すという言葉(実際はそこまで言ってない)

「――それ、は」

カテリーナは感じた。

選ばれたのだ、自分は。
目の前の彼女に。
蒼雷の軍神に。
共に並び立ちはしなくとも、その覇業を支える存在として――!
(別に彼女は覇業など行おうとしていない)

「――はい、レオーネお姉さま!」

その目にあったのは、信仰。
この瞬間、カテリーナ・グラッドストンはレオーネヴァルト・メリッサ・ファン・ヴェイングハーデンの忠実な僕となった。かなり一方的に。

レオーネ >  
「(お姉様?)」

なんだか目の前の女性に妙なスイッチが入ったような、という直感を感じて少したじろぐ
ほんの数瞬で済んだのは第一師団の長として在るためにという常日頃からの研鑽の成果であろう
自分の努力が実った気がしてほんの少し嬉しい、ような気がする

「お茶とお菓子、ご馳走様。
 ふふ、よい休息になったわ、ありがとうカテリーナ師団長」

微笑み、立ち上がる
一時の休息といえど、長々と享受するには多忙の身
それはきっとお互いによくわかっている

「今後もお互い頑張りましょう、この国のために…もちろん、自分自身の為にも」

にっこりと笑みを浮かべて、その手を差し出すのだった

カテリーナ > この国の為。
すなわちそれは、この国を支える己の為に、その力を振るえと。
かなり暴走した思考なのだが、カテリーナはそう受け取った。

「もちろんですわ、レオーネお姉さま」

うっとりしながら手を取り、その片手に軽くキスする。
もはや信仰どころか崇拝、しかも愛情まで注がれている可能性もあるが……

「いつでもお出で下さいませ、ね?」

少し艶っぽく言いながら見送る

レオーネ >  
パタン

執務室の外に出て、ドアを締める

「………え、私なんで手にキスされたの?」

握手を求めに手を差し伸べただけなのだけれど
レオーネの頭の中が???で埋まってゆく

「…ま、まぁ…なんだかすごくやる気が出てたみたいだし…いっかな……?」

鼓舞できたのならきっと結果オーライ
まぁいいかなと結論づけてレオーネは自室へと帰ってゆくのだった

照れくさいからと曖昧な言葉を使うと勘違いは加速する
天運に愛された彼女は相変わらず他人の勘違いをあらぬ方向へとぶっ飛ばしてゆくのだった

ご案内:「王都マグメール 王城 第三師団長執務室」からレオーネさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城 第三師団長執務室」からカテリーナさんが去りました。