2019/03/18 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城 兵士詰め所」にレオーネさんが現れました。
レオーネ >  
「しゅっ…! ふっ!」

兵士詰め所、その訓練場に一人、大粒の汗を浮かべ懸命に木剣を振る女の姿
乾いた音がリズミカルに、小気味よく鳴り響く

王城に勤務する兵士が巡回に出たタイミングを見計らっての個人鍛錬
黄金の鎧を脱ぎ去り、人目を忍んでの鍛錬、努力、研鑽
これもまた彼女の日課である

レオーネ >  
「ぜあッ!!」

この日一番の音を立てながら、最後の一撃を放つ
合計3000本に渡る打ち込み、それを1時間かけずに完了する
一切の休み無しに渾身を叩き込み続けるその体力は常人を軽く凌駕し、
その体力に裏打ちされた…一切外さず狙った位置を叩く、その集中力の高さも凄まじいものがある

「──ふうっ…」

木人像にその狙いを外していないか確認するようにその手をあて、一息
わずかに乱れていた呼吸も、頬を伝っていた汗も、みるみるうちに落ち着き、引いてゆく

王国軍第一師団の長として、例え出撃の機が稀であろうとも鍛錬を欠かすことはなかった

レオーネ >  
「今日は遅くなっちゃったな…」

木人像にかけてあった手拭いをとり、うっすらと汗ばんだ肌を拭う

誰も見ていない時を見図らないと満足に鍛錬できないのも問題である
もし誰かが見ていたら、必ずなにか別のことが起こる

突然木人形の耐久性が0になって一太刀で消し飛ぶか、
謎の自然発火現象が起こり爆散するか
何が起こるかはわからないが、まあ必ずと言っていいほど何かは起こる

そんなことでは鍛錬にならないし、何より努力と研鑽!といった姿よりも
よくわからない化物、といった姿ばかりが周囲に見られてしまう

「おかげで第一師団長としての私の噂は散々よね…はぁ」

なぜそんなことになるかはわからないが、生まれてこのかた大体そうである
目標に向け努力をしても、かならずその努力以上の成果が自分の力とは別の事象で達成されてしまう

この歳になり、どうやらそれが自分の運命であることを少しだけ悟りつつあった

レオーネ >  
王国貴族の家に生まれて、幼少の頃に見て憧れた騎士になりたいと目標を描けば
弟が生まれ、跡継ぎの問題を簡単に回避できた

栄えある王国軍第一師団に入団するため努力と勉強を続けていたが
特にそんなものは関係なく親と家が金で入団を決めてくれていた

ならば第一師団でのトップを目指そうと息巻いて鍛錬と勉学を徹底すれば
当時の師団長が流行り病に罹り、同期のライバル達は次々と失脚していった

「(…でもまぁ偶然よね、偶然)」

悟りつつはあったけれど、ほんのちょっとだけであった

レオーネ >  
「はーぁ、前の残党軍追撃も、折角珍しく第一師団に出撃の機会がまわってきたのに…」

残党軍の足掻き、自らの力を見せようと全軍にその場で待機を命じ、いざ自分が先陣を、と
白金のハルバードを振りかざした瞬間に極大の落雷が敵軍を直撃し吹っ飛ばした
一点突破の為の密集陣形は粉々に散らされ、まさに一網打尽となったわけだが…
思い出すとちょっと落ち込む
常勝不敗の将軍と言われつつも一度も自分の本来の実力を発揮できていないのだから

それでも、いずれ報われる時が来るはずと信じて鍛錬と勉強は疎かにしないと心に決めていた
でも落ち込むものは落ち込むものなので……

「今日は一杯引っ掛けて帰ろうかな」

富裕層地区よりは平民地区の賑やかな酒場が良い
鎧を脱いで私服で行けばまず第一師団の長である、なんて気づかれることもないし
最近になって覚えたお酒が、自然体で愉しめる貴重な時間だった

レオーネ >  
「~♪」

今日は何のお酒にチャレンジしてみようかな、と若干浮足立ちつつ、兵士詰め所を軽い足取りで出てゆく

途中、見回りから帰還した数名の兵士とすれ違うも…

『今の女、誰だ?』
『え?さぁ…』
『怪しいヤツじゃなさそうだったけど…』

師団長としての装備をしていないとそのオーラのかけらもないため、誰一人として気づかなかったという

ご案内:「王都マグメール 王城 兵士詰め所」からレオーネさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城 第三師団長執務室」にカテリーナさんが現れました。
カテリーナ > 第七師団帰還。師団長サロメ以下タナールへ。

その報告をカテリーナは満足そうに見る。
やれやれ、ようやく帰って来たのか。遊び相手が居ないとつまらない事この上ない。

「私たちもそろそろ動きますか」

第三師団の実力を見せる為にも、近くタナールに出兵を。
第三師団らしい規模で力攻めにする事を指示しながら、カテリーナはもう一つの報告に眉を顰める。

『第一師団、ティルヒア残党をせん滅。損害ほぼ無し』

第一師団長レオーネヴァルト・メリッサ・ファン・ヴェイングハーデン 。
蒼雷の軍神、王国の守護者、不敗の名将。

そしてこの世でただ一人、カテリーナが恐れる人物。

カテリーナ > かつて彼女が第一師団長となった時、カテリーナは彼女に政争を仕掛けた事がある。

第一師団長就任時、当時の第一師団幹部が次々と事故にあったり病に倒れた事があった。
カテリーナは直感した。あの女性は自分と同じ、第一師団を我が物とした傑物だと。
その手腕を見事だと思いつつも、見せた隙は逃さない。カテリーナはグラッドストン大公家が飼っている帝国生まれの密偵――通称「シノビ」を放ち、レオーネが第一師団の幹部たちを陥れた証拠を探した。

もし彼女の弱みを見つければ、自らの家畜として飼いつつ第一師団をも手に入れるつもりで。

結果は散々だった。

カテリーナ > 第一師団幹部は全員不審な事故や病気で次々と引退していた。それは間違いない。
だが、証拠が出てこないのだ。
まるで本当に事故や病気で引退したかのように。偽装工作の痕跡すら見えない、完璧な手管だった。

更に、躍起になってレオーネの弱みを探すカテリーナに、背筋の凍る報告が入る。

放っていた「シノビ」が多数、任務中に事故死したというものだった。
それも、レオーネを調査していた者たちだけが!

カテリーナ > レオーネを調査していたシノビは、その全員が1か月とたたずに事故死した。

ある者は王宮の堀に落ちて水死し
ある者は朝食に当たって食中毒で死亡し
ある者はレオーネを尾行中に事故を起こした馬車の下敷きになって死亡し

そして全員が謎の死を遂げた。
しかも、完璧に、事故死にしか見えない方法で!

当たり前だが、レオーネを調査していたシノビだけが全員事故死するなどありえない。
つまり、彼女からのメッセージなのだ――『お前達の小賢しい動きなど、すべて掌の上だ』という。

カテリーナ > カテリーナはグラッドストン大公に泣きつき、大公と自分名義で第一師団に多額の寄付を行った。表向きは師団長就任祝いとして、裏向きには和解の為の賠償金として。
幸い、レオーネからは『大公と第三師団長の心遣いに感謝する』との返答があった。お互いの領分を犯さぬよう、手打ちにしてくれたのだろう。

以来、カテリーナは決してレオーネに手を出そうとはしない。
それどころか、彼女の悪口ひとつ言わず、戦勝記念を贈ったり第一師団に対する協力を惜しまなかったりと、心遣いを決して忘れようとはしない。

「不敗の軍神の勝利を祝すとの手紙と、記念品を贈ります。出入りの商人に連絡なさい」

カテリーナはため息を吐きながら準備をする。
軍神を怒らせる事なかれ。心に刻まれた唯一の恐怖に命じられるがまま、自らの手で祝勝の手紙を書き始めた。

ご案内:「王都マグメール 王城 第三師団長執務室」からカテリーナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城」にゼロさんが現れました。
ゼロ > マグメールの王城、その廊下を歩く少年兵がいる、一時期は毎日のように歩いていたが最近、とんと見なくなっていた少年兵。
 それが、忘れた頃と言っていいのか、また王城に現れた。
 その兵士は、第七師団の腕章をつけており、それを見れば不思議に思うものもいるだろう。
 第七師団は基本は対魔族の師団であり、タナール砦に駐留し、魔族からの攻撃を跳ね返すのが目的とも言える部隊だから。
 しかし、少年がここにいることは、対魔族という観点から言えば間違いではないのだ。

 なぜならば、王城に巣食う魔族もいるから、である。
 現在のサロメ将軍は、王城の中に居る魔族にとても敏感であった。副団長の頃にこの少年を王城の警備に回すぐらいに。
 そして、少年は、その仮面で魔族を見つけることができる、その魔力の量、変化の魔法の無力化、などの力があるから。
 今回は、王城を回れという命令ではないが―――タナールの方は有能な先輩や同僚、それに将軍がいる。

 それならば、自分は貼り付けにならないことをいい事に国中を巡り、魔族を探し、見つけて倒す。
 それを行うことにしたのだ、それに―――何かがあればすぐ伝令で呼び戻されるであろう。
 だから、少年は王城の廊下を、一人、歩くのだった。

ゼロ > ―――カツン、コツン、と、大理石の石畳の上を少年のグリーブが踏みしめる音が響き渡る。
 王城に住み着くような魔族は狡猾であるから、しっぽを出さないであろう。
 そもそも、少年の仮面にそんな力があるのならば、少年の前に出なければいい、それに尽きるのだ。
 王城は、貴族たちの庭であり、少年のような平民の兵士では判らないことが多々あろう。
 故に、少年から隠れることは容易い、これで遭遇できるというのは。

 物理的に少年を倒せるような魔族か、もしくは、他の魔族や貴族から謀殺を仕掛けられたようなものなのであろう。
 どのみち、少年自身がそれを知ることはなく、唯々、魔族であれば、それを見つけて捉え、殲滅するだけである。

 一個の装置として、少年は歩く。
 かつん、かつん、と静かな王城の廊下に足音を響かせつつ。

ゼロ > 静かな王城、遠くからは何やら笑い声が聞こえる。
 恐らくそちらの方では、夜会なのか、パーティなのかをしているのであろう。
 流石に、そこに飛び込むような愚は犯さない。
 仮面に全身鎧に、そんなのが飛び込んでいけば当然騒ぎになるだろう、魔族が居れば良いが、いなければ、どうなるか分かったものではない。
 しかし、それは行かないという理由にはならないのだ。
 とはいえ、さて、どんな風に行ったものか、少年は声のする方向に向けて足を動かしながら考える。

 邪魔をしてはいけないというのもあるし、魔族を見つけるにはこういうパーティとかを見たほうが早いという考えもある。
 どうしたものだろうか、声はまだ遠く、会場もまた、遠くにあることが分かる。

 今のうちにどういうふうにするべきかをしっかり考えて決めておかないとならないだろう。

ゼロ > 近づくのにも時間がかかる、それはそうなのである、少年の五感は、常人よりもはるかに良いのである。
 それは、そういうふうに作り替えられてしまったが故である、距離だけではなく階層自体も違うのかもしれない。
 アチラコチラの声を聞きながら、少年は静かに王城の廊下を進んでいくのだ。
 廊下を進み、階段を上り。

 そのまま廊下の奥へと消えていくのであろう。

 そして――――一体、貴族に扮した魔族が見つかったという。
 その魔族は、見つけた仮面の兵士がその場で倒したのだった。

ご案内:「王都マグメール 王城」からゼロさんが去りました。