2019/01/31 のログ
コルガナ > 白い皿の隅に控えめに乗せられているジャガイモの皮。そして良く磨かれている
長いテーブルに自分の姿が月明かりを反射して僅かに映ると、切れ長の目に何処か疲れたような色を
見せていて。その様に呆れたように笑えば何時もの煙草入れから紙巻きの煙草を取り出し
火打ち石で器用に着火すると、ゆっくりと昇っている煙草の紫煙を吸い込み、静かに天井に向かって
煙を吐き出した。

「っはーーーー…」

すっかり疲れた目をしながら対面する暖炉に目をやりつつ、明日の予定を考える。どこから優先させるべきなのか
煙草のケースをしまうと手の甲に堅い物が当たる。男は何となくソレを取り出した

コルガナ > 取り出したのは白銀の儀式用ナイフだった。禍々しい装飾だが全体が白く光り輝く、この薄暗い部屋の中でも
月明かりが反射し、手前の蝋燭よりも明るい光を放っていた。
男は非常に、何よりも滑らかにソレを完全に取り出すと、椅子に座っていながら全くの隙が無い動きで
ナイフを振り、やがて手元近くに帰って来ればペン回しの要領で鮮やかに手元で白銀のナイフを
くるくると回転させると、また最初の通りに白銀のナイフを握りしめた。

「父の横で【政治】に口を出していた時代が懐かしいな…」

思い出されるのは子供の頃だった。醜い肉袋からはじけ飛ぶ鮮やかな血の赤を考えると心が躍った。
父親の誕生祝に花売りのふりをして政敵を殺害した時の事。思えばソレが最初だった
人間の年齢通りにまだ6歳だった。

コルガナ > だが今や父親もいない。セラス家の全権は全て自分に引き継がれると待っているのは書類仕事だけ
部下達に標的の捜索も任せるようになり、自分はだた椅子に座って文字を書いていることが本当に
多くなってしまった。父はこんな感じだったのだろうか、何か目に入れるにも吐き気がする連中を
今目の前でなぶり殺しにしたいと思った事があったのだろうか。

少なくとも自分はある。人間と同じく今の立場に無くては分からない事もあるものだと
ナイフを振れば無性にあの時の楽しさは恋しくなっていった。

コルガナ > 「今度、少し身体でも動かすとしようか」
運動不足とストレスなのかもしれない、だからといって騎士とやり合うにも乗り気ではないので
今度一人で短刀術の形でもやろうかと思いながら、ジャガイモの皿と書簡を手に部屋を後にした

ご案内:「王都マグメール 王城」からコルガナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城」にアマーリエさんが現れました。
アマーリエ > ――つくづく、この手の機会が落ち着かなさを覚えるようになったのは何時頃だったろうか。

そう思い、直ぐに気づく。この王城に詰める機会が多くなってからだ。
良くも悪くも人と関わる機会が増えてからだ。
純粋に厚意もあれば、そうではない社交辞令として騎士の地位を背負うようになった身として、この手の機会に接せざるを得ない。
詰まりは宴席の片隅に座す、という一見豪華でも落ち着かない事しかない催しにだ。

「……全く」

如何に辺境伯の長子とは言え配慮はされていても、昨今の仕事の合間にとなるとどうしても面倒さを覚える。
だが、挨拶回り等はこなさねば師団の資金繰りにも関わることもある。故にこの手の機会は逃れ難い。
幸いだったのは、ドレスで着飾ってくるようにといった趣旨のものではなかったことだ。
主催者の趣味か。次第に如何わしさすらを覚えてくる趣向を挟むとなると、汚れる前提のものはどうか、ということなのだろう。

王城に数ある広間の一つ、其処に桃色の靄めいた香が炊かれた宴席の片隅で壁に身を預けつつ、酒杯を傾ける。
今回の目玉は手塩にかけた性奴隷を見せ合う、という下りか。
武人にその辺りを解せよ、それとも貴族の嗜みとして覚えるように、という余計な親切心だろうか。
故に遠巻きに眺め遣りつつ、吐き出す吐息は重い。