2019/01/06 のログ
■ナイン > 思うからこそ。出来るなら利用してやりたい、と。
…何、態々其方の輩にならずとも。それこそ、戦が済んだ後にでも。
そういった連中が此処に居るぞと、大公殿のような人物に、彼等を売ってやれれば良い。
(障害の排除という事象には、興味を抱かずに居られない。
だが、その為の取捨選択には慎重を期すべきだろう――特に。かの【天使長】殿の前に在っては。
売るという言い方はともあれ、少なくとも。悪辣にはなろうと、愚昧にはなるまいと。それだけは言外に。
直に新たな紫煙が立ち上る中。差し出された紙巻きの箱に、謝辞を示して指先を伸ばし。)
っ、は。大公殿に捧げろと命じられるなら。…それが、私にとって有益なら、吝かではないとだけ。
けれど、今宵大公殿と秘め事を交わすなら。躰だけでは足りないとも、思うので。
(そう、男が大公という立場や、断罪者の威を以てそれを命じるのなら。そういった男達に対する覚悟はとうに済ませている。
だが、今は。
受け取った紙巻きへと火を灯す為。煙草同士の先端を触れ合わせる為。
腰を浮かせ身を乗り出し、至極近く、男の貌へと距離を詰め――――囁いた。
「今宵の宴にはおいでにならなかったようですが。随分と盛り上がり、声を上げる者達も居りまして」
――――宴に受かれ、戦に滾り、口を滑らせるような。曰く「そういった連中」が多く居た。
己は、それを聞き覚えているからと…それを提供出来るぞ、と。
今宵の縁を早々に活かし、繋がりを得る算段で。)
■コルガナ > 「………………………」
男は長い沈黙を置いた。相手の唇の隙間から紫煙が流れて天井に上っていくのを長く見ている。
対して既に短くなった男の指に絡まる煙草は、再び灰皿の方に潰れて行った。
「零落した家柄は舐めてかからない方が良い、昔は何度もそういうのに一杯喰わされた。」
「ましてや、この間まで初い小娘を、手段を問わない新鋭の当主にまで仕立て上げた家なら猶更」
追う者の強靭さは甘く見ない方が良い。話に夢中になっているのか煙草を吸う数は増えていく
「あぁ、そいつらが余りにも仕事が遅かったばかりにこうして今ようやく私の仕事を終える事が出来たワケだ」
机の上の書簡を手に取り、少し振りながら
「そうか、随分と盛り上がっているようだな…君の手に余るようなら私も今度は席に赴いてみる事にしよう」
■ナイン > (火を借りる間だけの、至極数瞬。
だが言いたい事は言ってのけた。含ませたい事は含ませた。
窮鼠の一噛みという物も、言ってしまえば、獣が牙を立てる行為に他ならない。
再度座り直した所で、紫煙を挟み浮かべてみせる少女の微笑みは。そんな牙を裏に孕んでいるのだと、伝わったなら幸いだ。
…まぁ、鼠よりは猫に例える方が良いのかもしれない。得てして家猫という生き物は。仕留めた獲物を、主へと自慢気に見せびらかす物だから。)
問わない、ならどれだけ良かったか。
いっそ問える程、多くの手段を講じる事が出来るならと。日々模索しておりますよ。
(剣呑極まる【天使長】殿との接触も、きっと。そんな模索の一部となるだろう。
一本、もう一本、程度で此方は済ませ、それ以上を求める事はせず。
どちらかと言えばその先は。思案めかせる男の表情をこそ。望ましい物として眺めていたか。
やがて、男が。紙巻き以外を手に取ったなら。)
酒が入るにしろ。女に溺れるにしろ。…皆、得てして口が緩くなるようで。
――今正に、己の下で啼いている女に。聞き覚えられているとは思わない…そういう輩、ですよ。
まだ、春節の宴は幾席も有る。別個に各家が催す物も多い。…機会が有るのならば、その時は是非ご一緒に。
(実際に、手に余る事は在り得るだろう。特に、直接の手を下すという事が出来るのは。
それこそ余程限られた――この男のような人物達だけなのだ。
つくづく敵に回すべきではないという事と。だからこそ、賭に出る価値が有るのだという事を再認識しつつ。)
■コルガナ > 「そういった者達はちょっとした使い道がある。だが今は…本当に使えない連中をどうにかしてやりたい
気分だ。城に態々降りてバカ丸出しで豚のような体を晒してる税収官も何人か散見されるというしな。」
「容易に想像できるだろう?」
徴収のついでに立場上逆らえない者に対して貴族の姦淫がまかり通っているのは
常々知られている事だった。そういった連中は何人かは【事故死】しているが
幼い頃に父親の政敵を残虐に殺害した時を思うと、自らの手で殺せた頃を懐かしんだ。
もしも男の目が見えるなら、貴族たちに苦言を呈している時、恐らくは見た事があるだろう目をしていた。
貴族たちが女の身体を求めて下半身を熱くしている時の興奮した目の色に似ていた。
癪に障る相手が残酷に死ぬのを連想させる時、この男はその目の輝かせ方をしたのである。
少女の躰の話では光らなかった目の奥底が
「しかし大きく出た…………私が【結局は噂に過ぎなかった飾り物の政治家】だという可能性は
考えなかったのかな?…そうであればそなたは大負けしたかもしれないというのに」
「確信があったのか…?」
表向き、男もただ椅子に座っているだけの政治家である。
一族の回帰にあらゆる手段を講じる目の前の少女。その振舞を考えれば
噂でコレを持ちかけたのは軽率にも感じるかもしれない
最後の煙草の火を消すと、男は静かに立ち上がる
■ナイン > そういう輩なら。態々外に下りずとも。とうに見飽きる程度には。
染み着いて、身に覚えが出来る程度、とも言えますが。
…有るというなら、その使い道。早い所使い終えて、片付けてしまいたい所です。
(今となっては、そんな逆らえない側に身を窶さざるを得ない事例が多かった。
それこそ、この城で。同じ貴族という者と向き合うのなら。
醜悪な肉袋に貪られ、それでも媚びねばならない…媚びてしまう、悦んでしまうようになってしまった。
こういった現状に対する借りは。何れ返す腹積もり。
…想像出来てしまう、そんな手合いと似た色を。男の瞳に見出した。
だが、決して解らないではない。肉か、金か、戦か、血か――酔い溺れる対象など、人それぞれだ。
虐げて滾る者も居れば、虐げられて悦ぶ者も居る。
少女自身も亦、同一ではないが似通って。頭上を遮る愚物を、如何にして排除出来るかと。
それを思えば先程のように…獰猛に、唇を歪めてしまうのだから。
男が立ち上がれば。此方も、無駄に長居はすまい。
同じく席から腰を上げ。きちんと、吸い終えた紙巻きを始末して。)
――確信ではなく、確証が。
下調べも無い出たとこ勝負は、賭けとすら言えない。愚か者のする事だ。
(見た目だけではない、その裏を。どの程度迄…とは言わないが、皆目知らない訳ではなかったと。
少なくとも、彼の者が血を流す、流させる立場に在る事が。噂だけではない、という程度は知っていたと。
何れ活かせるかもしれない、そんな事前知識が。今日この場で偶々、機会を得たのだと。
最低限己は、「彼等」程愚かしくはないと言いたかったから。この言葉だけは迂遠さも慇懃さもかなぐり捨て、真っ直ぐに。
男を見上げるその貌を。矢張り、喰らい付く為の笑みに綻ばせて。)
■コルガナ > 男はすっと目を細めた。何を感じたかはすぐ分かった。
立ち上がりメガネを外した男は机の書簡を片手に相手を見据える。
「まさか見誤ってはいないと思うが…………誰も彼もそうして殺したいと思っているとは…」
「まさか君なら思わないだろうな…」
喰らいつく相手の表情を見ながら笑う。すると奥から見慣れない装いのメイドが現れると
何も言わず男と少女の灰皿を片付けた。男はただ少し目配せをすると
静かに一礼して去っていく。男が直に抱えるメイドのようだった。
男が向かうであろう先には先ほどまでいなかったコレもまた珍しい、目深にフードを被った黒い軍服に
紅い腕章をつけた男達。そして3,4人の同じく変わった装甲を持つ黒い鎧を纏った兵士が待機している。
その通路だけではなく、ラウンジにあるあらゆる入口からひそめていた気配を露わにすると
少女に対して軽く一礼する。
「もしも…お互いに気分を晴れさせるような機会に恵まれるなら、その時はまた会うとしよう」
「私が目指す物を、私が見る必要はない」
静かに告げると通路を通り、兵士と軍服を伴い去っていくかもしれない。
■ナイン > (一瞬、きょとんと。
瞳を丸く見開き、序で瞬きを二度三度と繰り返す素振りは。
初めてみせる、少女が少女でしかない、その証左だっただろうか。
小首を傾げてみせた後。掌で口元を押さえたのは。きっと、漏れかねない笑い声を押し隠す為。)
っ、――――まさか、まさか。
…仮に大公殿が、そういう御仁だったなら。理由など、法など、論わないでしょう?
(何事にも、分水量という物が有る。それを知らず、或いは見誤る者が。
二人してこき下ろした愚者達であって。だから男が其処に当て嵌まる筈もないだろう。
零れる苦笑を、きとんと殺し切れたかは曖昧だが。どうやらそれを置き去りにせねばならなかった。
何時から控えていたのだろう…ともすれば初めからだったのか。
メイド。兵士。皆々、常々見掛ける者とは別であり。下調べの中に在ったのが彼等なのだろうと…我が目を以て再確認。
彼等を従え男が歩き出すのなら。ドレスの裾を軽く摘み上げ、きっちりとした礼を以て見送ろう。)
――――それでも。どうせなら、一目でも。それが望みという物でしょう。
ならば、私はその一助を。…えぇ、全てが叶うその時とは言わず。それ迄にも、お会いしたい物ですが。
(無論、それは。無償の奉仕を約束する等という、殊勝な物言いではない。
互い、排除すべきを排除しようという、血腥い契約だ。
――出会う、機会は何れ訪れる事になるだろう。男も、少女も。目指す事柄の為、足を止める事など無い筈だから。)
■コルガナ > 「追われる者は追う者を脅威とも思わないだろう…しかして、等しく死が訪れる」
「私と、其処までを望むなら君がその【死】になるのだ…」
「…と、ただのしがない政治家が言っていたと思いながら明日を過ごすと良いだろう…」
挨拶を投げる少女に向けて振り返った男の顔は、ココでのやり取りの中で一番
【生きている笑顔】だった。【死】ではなく生きている人生を過ごした自然な笑顔で
彼女の礼に応えると、そのまま消えていくのだった
ご案内:「王都マグメール 王城」からコルガナさんが去りました。
■ナイン > (最後に残された物言いに。そっと笑った。
仮面でしかないかもしれないが、それでも、叛逆の獣性を押し隠したその笑みは。
紛れもない少女のそれを模っていた筈だ。)
心得ているとも。
秘め事は、秘めるからこそ。価値を増す物なのだから。
(今宵、此処で何が交わされたのか。遠く漏れ聞こえてくる狂宴の中に居る者達が知る事はないだろう…
仮に理解する時が来るとすれば。それこそ、末期の瞬間、悔恨の舞台でだ。
――――彼等の中に戻る気にはなれなかった。
微かな紫煙の残り香を纏った侭、城を辞した少女は。
己の在るべき、己の為の場所への帰路に就いたのだろう。)
ご案内:「王都マグメール 王城」からナインさんが去りました。