2018/10/29 のログ
ご案内:「マグメール 王城/図書館」に紅月さんが現れました。
■紅月 > ―――――からころ、からころ、しゃら…
柔らかな陽射しの射し込む城内、廊下にて…ふわふわゆらり、紅の髪を秋風に揺らしながら歩む異国の装いの女がいた。
「んーと…これで執務室のお茶と茶菓子は揃え終わったし、一通りやりきったかな?」
第六師団の執務室、特にその団長の執務室には珍しい銘柄の紅茶が常備されており…特に命じられた訳ではないが、その仕入れや手入れなんかの雑務全般を何となく引き受けているのがこの女。
"客将"治癒術師の紅月。
「あっ、巡回お疲れ様!精が出るねぇ~」
城に居るときは庭園のガゼボでのほほんとしているか、軍馬や飛竜辺りと戯れているか、はたまた第六師団の関連施設に入り浸るか…ひょっとしたら師団員に御手伝いさんか何かかと思われていそうな己であるが、ヒーラーの出番なんて無いに越したことはない故、むしろその方がいいとすら思っている。
…そんな己が何故、例に挙げた何処とも関係のない廊下を歩いているかと言えば。
「あったあった、図書館!」
そう、ひょんな事から調べてみたい事柄が出来てしまったからである。
ギィ…と扉を開けば、ふわりと香る古い紙の匂い。
右も左も本、本、本。
本好きには幸せでしかないその光景に胸を踊らせかけるも…違う違う、今日は目的があるのだ、と、首を軽く振って気持ちを切り替える。
■紅月 > 「すみません…第六師団の者ですが、奥を使わせて頂いても?」
司書に声をかけ、奥…少々重要な物や特殊な物が並ぶ棚の閲覧許可を貰う。
師団の腕章を見せれば手続きはトントンと…しかし程無くして奥からふらりと舞い戻る紅は、宗教の棚の前にて立ち止まる。
そうして本を手にとっては流し読み、戻し別の書を手にとっては流し読み…それを繰り返し繰り返し。
「……ふぅ…さすが一神教の国、やっぱりヤルダバオートの記述しかないなぁ」
うーんうーんと暫くは本の頁を捲りながら唸っていたものの…パタンと閉じると同時に溜め息をつき、諦めたように呟く。
「そりゃそうか、異端になっちゃうんだっけ…他に神様が居るって言ってたら」
持っていた本をスッと棚に戻し、また独り言ちる。
正面の棚から一歩離れ、しげしげと古めかしい背表紙達を眺めながら…首を傾げて。
「……、…これはもう、別の視点から調べるしかないかねぇ?」
■紅月 > 「よし、そうと決まれば…」
ひとつ頷いて呟いた時だった。
…くきゅーるる……
まるで決意に応と告げるかのような腹の虫。
「……あらあら、嫌だ私ったら…鳴っちゃった。
何処かでお茶でもしてこようかしら」
ぽ、っと淡く染まる頬を困ったように押さえながら、誰にともなく呟く。
…クスクスと愉快げな司書さんがオススメのお店を教えてくれたし、今夜はそこでご飯にしようかしら。
ご案内:「マグメール 王城/図書館」から紅月さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城」にラキアさんが現れました。
■ラキア > 城内の広間で、あるいはテラスで、ときには庭園で。
昼夜を問わず宴が催されていることは、決して珍しくない。
けれどその夜、奥まった部屋で行われている夜会は、少しばかり異彩を放っていた。
まともな格好をしているのは男たちばかり、女の数はそれに比して、まず、異常に少ない。
その数少ない女たちも、ある意味では着飾らされているものの―――
下着を身につけずにスリットの際どいドレスを纏っていたり、
いっそ裸身であった方がまだ良いような、卑猥な格好をさせられていたり。
虚ろな表情と上気した肌、無骨な拘束具やグロテスクな玩具で彩られた彼女たちの中に、
魔族のしるしである羽根と尻尾を封じられ、ほかの女たち同様に着飾らされた己も存在していた。
オフショルダーのドレスを纏い、白銀と黒鉄、ふたつの首輪に細い首を戒められて、
やけに豪奢な肘掛け椅子に腰かけて、己の足許辺りをぼうと見つめ―――
通りすがりの男が一人、不意に己の左乳房を無遠慮に鷲掴み、捻り上げる強さで揉みしだいてゆく。
かくん、と喉を仰け反らせ、深く眉根を寄せて紅く濡れた唇を開けば、
そこから零れるのは苦悶に満ちた泣き声、では無く―――。
「ん、ふぁあ、んっ、ん………!」
甘く、鼻にかかったような喘ぎ声。
周囲に居た男たちが、下卑た笑い声を浴びせて来るのさえ、いっそ心地良く感じられるほど。
白銀の首輪は己の羽根や尻尾だけで無く、理性や感情すら封じ込めてしまった。
残るのはただ、淫らな玩具として玩ばれる雌に相応しい、本能、だけである。
玩具を持ち寄り、好き放題に愛で壊すための宴。
この国の暗部の一端が顕在化した宴は、まだ、始まったばかりだった。
ご案内:「王都マグメール 王城」からラキアさんが去りました。