2018/10/02 のログ
ご案内:「王都マグメール 第十二師団執務室」にノワールさんが現れました。
■ノワール > 日々激化している、タナール砦における魔族との激突の報告は、十二師団にも届けられていた。
第七師団駐屯地の視察という名前の厄介払いを終えて、しばらくは王城で本来の任務にあたることになった。
女は交易や商談の不正の監視を終えた部下からの報告を見ている。
やはり自分たちのいない間に大きな商談がまとめられたらしい。
部下を残しておいて正解だった、自画自賛ではあるがそんな内心。
女はその報告書を眺めながら、フルフェイスで覆われた眉間を指先で軽くもむようなしぐさ。
「隠すならもっとうまくやれよ…、裏金が動いたことが駄々洩れじゃないか。」
報告書に書いてあったのは、ダイラスでの輸入品におけるものだった。
明らかに積み荷の量に対して、報奨金の額が破格だ。
中身が何なのかはまだ調査中ではあるが、明らかにあまりよくないものだろう。
それを管理しているのは、とある貴族の狩猟だった。
裏金を作り、税金逃れをしているとみるのが普通だが、この積み荷のほうがなんだか問題な気がする。
武器か、それともよくない密輸物か。
「……シャノーゼ、取引を行っていたのはどこの国かわかったか?」
『はっ…調べたところによりますと、どうやら旧ティルヒアに近いものかと思われます。
経緯は不明ではありますが、現在まだ調査中であります。』
ティルヒアか…、女は少しだけつぶやくように独り言ちた。
ご案内:「王都マグメール 第十二師団執務室」にヴェルムさんが現れました。
■ヴェルム > ここ数ヶ月における、王国軍本部からの十三師団への支援は今までからは信じられないほど潤沢の一言。
その分、体の良い小間使いとしてハテグやタナールを含めいくつもの地域に送り込まれたりしているのだが。
人手不足…なのはどこも一緒だ、他の師団も頑張ってくれているおかげもあって幸いにもまとまった暇を部下たちに出すことができた。
師団長であるヴェルムは城に訪れ、休暇をいただけたことに対する上官たちへの表面的な媚びを売ってきたところ。
「ふぅ、今日のお勤めはこんなもんか…」
城を後にしようかというところで、十二師団の師団長が城にいると耳にした。
以前タナールで手を貸してもらったお礼をしていなかったなと思い出せば、早速彼女のいる執務室へ向かうとしよう。
十二師団の執務室は彼女の部下らにきちんと警護されているが、周辺の廊下には執務室の扉を監視しているかのような兵がちらほらと。
どこの手の者かはわからないが、彼女の確かな仕事ぶりに目を光らせているらしい。
まぁそんなことよりと、執務室の扉をノックする。
「十三師団のヴェルムだ、入ってもいいかな?」
畏まることのない気楽な雰囲気の声を扉越しに投げかける。
既知の仲であり、十三師団師団長の肩書きもあるおかげで止められることなく中に入ることができようか。
■ノワール > 「………十三の?…こいつは珍客だな。」
報告書を机に置き、女はフルフェイスの奥でにやりと口元をあげた。
この城にいる事も珍しいであろう師団の、その団長が訪ねてくるとは。
「シャノーゼ、引き続きその取引のことを調べてくれ。
おそらく次の取引もあるはずだ、その時にどんな物資か、取引相手は誰なのかを調べろ。
いいか、決して無茶はするな。危ういと思ったら中断も辞さないようにな。」
『了解であります、団長殿。……それでは。』
シャノーゼ…まあ、部下なのだが。
その部下を下がらせ、報告書は無造作に机の上に広げておく。
別にみられても構わない、同じ師団のメンツならば。
部下は部屋から出て、軽くヴェルムに一礼すると白の奥へと消えていく。
「久しいな、ヴェルムわんちゃん。入ってくれ。」
何の用なのかは気になるところだが、まずは招くとしよう。
扉の前を守っている部下も、彼ならば構わないといったふうに素通りさせるだろう。
■ヴェルム > 「ああ…ありがとうノワール。
相変わらずの格好だね、夏もそれだったの?」
わんちゃん…という言い方にヴェルムはさぞ変な顔をしたことだろう。
まぁ自分から言い出したようなものだし、貴族の犬とか負け犬とか言われるのは慣れているし、それを気にするほどのプライドは持ち合わせていない。
少なくともここに部下がいたらケラケラ笑っていただろう。
入室を快く許可されれば、彼女の部下に軽く挨拶をしつつ執務室の中へ。
書類仕事ですらいつも通りの格好をしている彼女に安心したような笑みを見せる。
「相変わらず忙しそうだね、貴族連中も十二師団が戻って落ち着かないんじゃない?
今日は様子を見に来たのと、タナールでの礼をしにね」
襟元を着崩した制服を着たヴェルムは、半分オフな雰囲気。
訪れた目的を話しつつ、手土産とばかりに書類の散らばる彼女の机に置いたのはティルヒア産の白ワイン。
その時広げられた報告書にあるティルヒアの文字に、タイミング悪かったかな?みたいな苦笑いを浮かべた。
■ノワール > 「………言うな、正直何度脱ぎたくなったかわからん。
昔の私ならば、こんな鎧さっさと脱いでシャワーでも浴びていたところだ。」
フルフェイスの中では、女は苦笑していた。
両掌を上にあげて、それを表現しつつヴェルムの言葉を肯定する。
この鎧はある意味矜持と威厳のようなものだから、脱ぐわけにはいかなかったとだけ答えようか。
部下たちはその言葉に、笑みを浮かべることもなかった。
団長がこういうことを言うのは、心を許している証なのだからと。
「ふん、貴族の阿呆どもが落ち着かないなら、私はここに根を張ってやってもいいんだがな。
…ああ、いらん。」
あれは別に礼を言われたくてやったわけじゃない。
貴族に言われたから、ともっともらしい理由をつけているが結局は厄介払いに、暇つぶしに付き合っただけ。
そもそも、速攻でこちらは王都に引き返したのだから礼を言われるようなことをしていない。
その視線が報告書に向いたのを見て、ひらりと手を振った。
「いや、大丈夫だ。見られて困るようなものじゃない。」