2018/09/25 のログ
■ノワール > 「そう思うだろう?…だがな、これが意外とハマるんだ。
ある日、突然一気に強くなれる。…そこは信じてくれて構わないぞ。」
経験談だからこそ、自信を持って言えた。
ずっと、女もこの少年と同じような悩みを持っていたのだから。
だが、ある日突然剣から重さが消えた。そして、突然こんなことが出来るようになった。
その時の感動は、言わずもがな。
「そうだな……、体力に自信がないなら基礎体力をあげるか、もしくは君の言う通り剣を軽くするか。
しかし、軽い剣は重さがない分、フルプレートを着ている相手には分が悪いだろう?
そういった相手は、鎧の隙間を攻撃させてくれるとも限らない。」
だから、女は思う。剣は早さよりも重さだと。
別の国では、軽い癖に切れ味よくフルプレートですら断ち切ることが出来るものがあるらしいが…。
この国ならば、早さよりも重さを重視したほうがいいだろう。
「ああ、その時はぜひ私を打ち負かしてくれ。
その時は快く、第十二師団団長の座を明け渡してやることを約束しよう。」
■ブレイド > 教えられたことを意識して、剣を振ってみる。
「そういうもんかね…ん、でも…アンタが教えてくれてるコレ…
さっきよりもちょっと楽かもしれねーな」
剣の重さを使う、バランスをあえて崩してコントロールする感覚。
剣を振るうに関しては、ただぶん回していたときよりもだいぶ楽だ。
今回もらったきっかけは、彼女のような『突然』を体験させてくれるのだろうか。
「そりゃ確かにそうだ。
だけど、鎧ごと叩き切れるってなると…むー…
悩みどころだな…。このやり方なら、多少は重い武器でもイケそうだけど」
真面目に悩みつつ、自身の得物に視線を移す。
もう少し長めの…通常の長剣位のものにするべきだろうか?
そうなると、少し取り回しを考えなければならない。
考えを巡らせてはいたが、続く女の言葉には驚いたようで思わず顔を上げる。
「………師団長が何やってんだよ。
暇なのか?つか、団長になんざなる気、いまんところはねぇぞ」
半目で睨めつけつつ。団長と知っても無遠慮なのはもともとそういう性質なんだろう。
■ノワール > 「そうか、それなら何よりだ。
基礎的なことは私よりも、君が所属している部隊に聞けばいい。
私が教えられるのは、アドバイスだけだからな。」
基礎的な鍛え方は、男と女に違うところもあるだろう。
ただ、彼が何かをつかんでくれたらならそれで構わない。
それが何かしらのきっかけになれば。
「…ああ、それは無理だ、私のこれだって旨く往なされればすぐにはじかれる。
この国の剣では、鎧を割くのは不可能だ。」
だから、切るというよりも殴るというイメージでやっている。
自分のものに合った剣を探すのも、面白いかもしれない。
こんな世界にきたのだから、楽しむことも大事だ。
だが、次の言葉には笑って見せた。
「ああ、別に暇というわけじゃないさ。
私のところは便利屋だからな、団長でも働かされるんだ。」
■ブレイド > 「怒ってると思ったらアドバイスくれたり…
アンタ、変なやつだな。
最初。別の奴らみたいに笑いに来たのかと思ったぜ」
だからこそあんな態度で返事をしたのだが…
どうやらそれは誤っていたようだ。
手元で剣をくるりと回せば鞘に収めて。
「アンタならできそうなもんだけど…そういうもんか。
剣で殴りつけるって感じになるのかね。
つか、便利屋にしたって部下に任せりゃいいのに…そこまでいそがしいもんか?
団長ってのも大変だな」
大きく伸びをして顎の汗を拭う。
「だいぶ汗かいちまったな。ありがとな、えーと…団長さん」
■ノワール > 「…強くなりたいと思ってる少年を無碍にするほど、私は腐っちゃいないさ。
むしろ、君がなぜ強くなりたいのかを考えてみたが…目を見ればわかる。」
女の感というやつだ、とぼかしたが…。
「………私は庶民の生まれでな。
こうやって、力を誇示しないと…この師団はすぐにでも解体されるかもしれない。
何しろ貴族にはかなり嫌われてるからな…。」
だから、団長でもこうして働いているわけだ。
力があれば奴らは絶対に、牙を向けてこない。
牙を向けてこなければ、こっちからかみつくこともないことを、彼らは学習している。
それを維持するためには、こうして強くなるしかなかった。
それをずっと続けていただけの話だった。
「私は、維持するために強くなりたかった。……それだけの話だよ。
ああ、礼はいい…そっちの師団にもよろしくな。」
軽み右手を振って、その場から離れた。
笑って待っているその団員たちは、決して馬鹿にしている様子はない。
むしろ、目がこう言っていた…「がんばれよ」と。
ご案内:「王都マグメール 王城・修練所」からノワールさんが去りました。
■ブレイド > 「ふぅん…そっか、なんか、悪かったな…」
話を聞けば、おそらくは…
彼女は自分と同じような理由で強さを求めていたのかもしれない。
そうならば、自分のことはそれこそいじけたガキにしか見えなかっただろうし
言っていることはガキの言い訳にしか聞こえなかっただろう。
少し、反省する。
「いや、いわせてくれよ。それくらい…えっと、またな」
礼はいいという女性に苦笑して。
ひらりと手をふりかえして彼女を見送る。
彼女の視線にうなずいて、再び案山子に向き直ろうとするが………
「あー…これ、どうすりゃいいんだ…?」
彼女に切り倒された案山子を見てしばらく呆然とするのであった。
ご案内:「王都マグメール 王城・修練所」からブレイドさんが去りました。