2018/09/08 のログ
シュネル >  単純に、優しいならそれで、全部許されるのかって。
 そう考えると…世の中の侭ならなさを思い知るよ。

(事実。その気遣いが、先程彼女の顔を曇らせたのだから。
そして彼女も、優しいから。周囲を気遣うから。そんな顔をするのだろうに)

 ――限度さえ知っているなら、我儘言って、困らせれば良いのさ。
 貴女は、王女なんだから。

(それがこんな風に扱われ、こんな表情を見せるのだ。
つくづく、この国の特異さを思い知る。見上げられたなら、彼女の前に。差し出す手)

 自分を持っていない者に。…願いの無い者に、叶えられる代物なんて有るものか。
 ――籠の外に出たいとか。王位に即きたいとか。
 それを我儘として押し通そうとする位の気概を見せてくれるなら。
 多分、貴女の籠に。外から差し伸べられる物は増えるから。

(こうやって。…などと付け足す一言は。余計だっただろうか。
我ながら、らしからぬと。手を差し出しつつも、些かばかり膨れっ面)

イヴリール >  
「…全ては許されないかもしれません。
 でも、それで救われる人もきっとたくさんいる…と、思います」

とんだ甘い言葉、なのだろうけれど…
少女がそう思っている、そう思いたい…それもまた事実で

「………ええ、と…。
 ──そんな、ことまでは…私は、ほんの少しだけ、自由があれば、って」

王位を…その言葉はとても重く伸し掛かる
継承権が一応与えられているだけの、名ばかりの王女が───

差し伸べられた手を、おどおどとした、困惑の瞳で見つめていた

シュネル >  ……そういう風に慮ってくれる貴女も。充分に優しいと思うよ。
 何だか。…何だか、少なくとも今この場で最低一人は。貴女に救われた気分でいる。

(久しく。こんな会話などしていなかった。血と泥にまみれていた。
城に戻っても消えない、否、城には城で権謀詐術が横行し。異なる腐臭に飲み込まれ。
…今だけは。其処から掬い上げられていると思うから。

王女らしからぬ王女に。…いや、彼女という一人の人間に。
今は、手に手が触れる事はないが。まぁ良いだろう。
少し、姿勢を正してみせれば)

 それでも良い、さ。今は。
 …我儘、言いたくなったら言ってくれれば。教えてくれれば。
 ――その為の掌は開けておく、から。

イヴリール >  
「ふふ、ではふたりとも優しいということで」

困惑した顔を綻ばせて小さく笑って見せて

「…ありがとう。お部屋の外で、貴方を含め色んな人に気遣っていただきました」

ぺこり、と小さく頭をさげた
長い金色の髪が靡くように揺れる

最後に求められるのは、自らの勇気
──…一番難しい問題だなあ、と内心苦笑してしまう

「じゃあ、その時はシュネルに我儘を言ってしまおうと思います。──また、会えますよね?」

シュネル >  ふたりとも。…か。まぁそういうのも…

(実に言われ慣れないが。それはそれで悪くない。
只、こそばゆい事は確かだった。落ち着かない、と首の後ろを掻いてから)

 そう、したくなる相手だからさ。貴女が。
 …周りを自然と惹き付けるっていうのは。貴女の優しさ故だから。きっと。

(それを。彼女はもう少し誇っても良い。
…難しいのだろうと己も思う。だが、その勇気を。鳥が翼を拡げる瞬間を。
叶うのならば見てみたい)

 あぁ勿論。……次に会ったら何を言われるか。覚悟して―― 
 …期待しておく、から。

(それは。とても、とても楽しみだ。
軽く頭を下げ返し、止めていた歩みを戻す。
赴くのは再び、城の外、或いは内、いずれにしろ争いの場だが。
今暫く、救われた心持ちで。歩む事が出来そうだった)

イヴリール >  
「良かった、それではまた…ご壮健で」

別れを告げ、ドレスを翻し踵を返す

中庭に着いた時には日暮れ近く…今日はあまり城内の散策はできなかったけれど
それに余りある出会いがあった

鳥籠へ、己の部屋へと帰る少女の足取りは今日はほんの少し、軽やかだった

ご案内:「王都マグメール 王城」からイヴリールさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城」からシュネルさんが去りました。