2018/09/07 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城」にイヴリールさんが現れました。
イヴリール >  
「…はい、一人でも大丈夫です…。お城の中、ですから……日が沈む前には、戻ります」

そう言って自室の扉をそっと閉める
……扉の向こうがわ、召使いはきっと良い顔はしていないだろう

いつものように扉の前に立っている衛兵さんに小さく一礼して、廊下を歩き始める

心なしかいつものと少しだけ、様子が違うような気がした
お城の中にいる兵士達が少ない……のかも、しれない

「(お城の外で、何かあったのかな……)」

そんなことを考えながら、小さな歩幅で中庭へと向かって歩いてゆく

ご案内:「王都マグメール 王城」にシュネルさんが現れました。
シュネル > (城を歩く。先日来続く魔導機械との戦闘。
諸々の戦果や報せを携え、然るべき場所への報告を終え。
――さて、この後は。別命有る迄待機か否か、というタイミングに有る。
出向前はほぼ常に詰め、今も定期的に行き交う城の中。勝手知ったるに等しいこの場を歩いていれば)

 ――…?今の、確か…

(廊下の一角。すれ違った人影には、少しばかり見覚えが有った。
王族。王女。そう呼ばれる中の、一人だった筈。
…色々な噂が付き纏い、それ故なのか、あまり姿を見る機会は無かったが。
半分は物珍しさに惹かれたように。漠然と、その姿へ振り返った)

イヴリール >  
すれ違った相手に視線を引かれることはなかったのか、
変わらぬ小さな歩幅で廊下を歩いてゆく

「…?」

向かう先は中庭だったが、その背に視線を感じ、こちらも振り返る

その服装から王国軍の人間であることはわかった、互いの目があって、小さく会釈をする

シュネル > (ぁ、と小さく。
よもや先方も此方へと振り返るとは、思ってもみなかった。
後ろ姿を見遣るだけのつもりだったが――目が合った。
彼女の方から頭を下げられ頬を掻く。…此処暫くで。そんな、当然の儀礼からですら、遠離っていた)

 …ごめん。いや、失礼。
 確か――そう、イヴリール・フォン・カルネテル。…イブリール、様。
 こういう所でお見かけするのは…珍しいと思った、もので。

(実際、そういうイメージが有った。
良くも悪くも。箱に入れられた、お姫様――同じ血を引こうとも、剰りに違いが有るその存在に対しては。
踵を合わせ、遅れて此方も。頭を下げてみせようか)

イヴリール >  
「はい。…少し、城内を散歩に……。
 そうですね、余り、お部屋からは出していただけないものですから」

小さな声、王女の一人であるというのにそこに堂々とした様子はなく、
どこか一歩引いているような…そんな雰囲気を纏っていた

「王国軍の方、ですよね…。
 お城の外で、何かあったのでしょうか…いつもと、城内の様子が少し違うように思えて」

自分が知ったところで何かできるものでもないけれど、
ただの小さな好奇心から、そう尋ねた

シュネル >  考えてみれば。おかしな話、だけど。

(仮にも王女なのに、だ。常々の疑問でもあれば、自然と口を突いてしまった。
…無論、この国の王族が、一般的なそれと大きく掛け離れている故であり。
王家の物であるべき王城ですら、魔窟に等しい事を考えたなら。
仕方がないのかもしれないと…そんな現実も、解ってはいるが)

 ――シュネル。一応は、カルネテルの。…名は、継いでいないけれど。
 あぁ、そうか…伝わるのかな…やっぱり。
 不安だ、と思わせてしまっているなら。申し訳無いと思い――思、う。

(同じカルネテルであろうが、此方は末端。
王女と呼ばれる彼女に、然るべき態度で接するべきなのだが。
何故だろう、虚を飾らない声音の方が口に出る。
……相手が、らしくないのだ、と。要ってしまえばそれまでかもしれないが。
決してそれだけではない、筈だ)

 色々と。魔族との戦は小康状態になっている…けれど、また違う問題が。
 遺跡や平原に魔導機兵、そう呼ばれる手合いが跋扈して。
 其奴等がシェンヤンの干渉による物なんじゃないかと、彼方此方に調査が―― …っと。

(一気に捲し立ててしまった口を閉ざし。首を振って自制する。
対外秘な情報も有るだの、剣呑な話を聞かせる相手ではないだのも有るが。
…まるで己が、得意なときだけ饒舌になる、調子に乗った子供ではないかと考えた故)

イヴリール >  
「…シュネル…」

自身のおかれている立場、その閉塞的環境
同じ王家の血に連なる者であっても、互いのことは露とも知ることはなく

「では、はじめまして…ですね。
 ───そう、ですか。魔導兵器……」

そんなことが、と僅かに俯く
本当に自分はこの世界で取り残されている─

「いえ、構いません。外の世界のことは、私はもっと知らないと…」

…同じカルネテルの血を引いている者同士なのに、
かたや国のためその身を以って働いているものと、ただ鳥籠の安寧に甘んじる者…

シュネル >  …残念だけど。あまり、良い理由…というか。
 貴女に聞かせて、嬉しい理由じゃぁないと、思う。

(少し。眼を細めた。今になって考えてみる。
物を知らぬと語る彼女は。何故こうも閉じ込められるのか。
不義の噂も伝わってはいるが、価値が無いなら――大事に仕舞い込み等すまい。
そうでなくとも…)

 自分も。――其処迄多くを知っている訳じゃ、なくて。
 必要な事、自分の為の事。それを知って実践する…だけで、手一杯だ。
 …そう、知りたい事、で今でもいっぱいいっぱいになる。

 ――――外の、って。この城の外?それとも。

(少し言い淀んだ。だが、問おうとした言葉は多分明白。
城の外なのか、籠の…加護の外なのか。彼女にとって、「外」とは現段階で何処迄を表すのかと。)

イヴリール >  
「…そう、ですか──」

そう言われれば深く追求することもせず、
俯かせていた視線を再びシュネルの顔へと向けなおす

「あ……ごめんなさい、いえ、いいんです。
 どうせ私が多くを知っても… …え?」

その最後の問いかけは少し意外だった
そういう部分を気にする相手は今までいなくて…

「…えっと…」

僅かに口籠る
本音を言えば、自分のおかれた環境への不満を口にしてしまうことになるから

「お城の外、のことです…テラスから望遠鏡で眺めるくらいしか、できないものですから──」

シュネル >  城の外は。…違うな、王都の外は余計に。
 貴女のような人には見せたくないって。そう思うような事が…凄く多くて。

 ――知らない方が良かった。
 そういう事も。この世界にはきっと、たくさん存在するんだから。

(彼女のような存在を見て。願わくば、と考えてしまうのも。
彼女自身にとっては、束縛であり、檻を構築する一要素なのかもしれないと。
なまじ思い当たる分、言下に秘匿事項だのといった一言で、切り捨てる事は出来なかった。
何処か手持ちぶたさに。前髪を指で触れ。)

 それだけじゃない。――貴女が、その外に触れた時。

 知れば知る程。それを、どうにも出来なくて。
 どうにかする場所や機会が欲しいのに、出て行く事が出来無くて。
 …手に入らないと、その事をこそ知ってしまって。
だったら最初から知らない方が良かった、なんて。そう思うかもしれなくても?

(…口籠もった瞬間を見逃さなかった。
意地が悪いと自覚しつつも。その間隙を突きたくなる。
侭成らない、という現実は己も良く知るから。敢えて)

イヴリール >  
「………」

シュネルが自分を気遣っていること
それが痛いほどに伝わってくる

「…ごめんなさい。困らせてしまって」

しゅん、と少し気落ちしたような表情を見せるも、ちゃんと前を向いて

「貴方の言う通り…知ってしまったところで何もできないかもしれません。
 そして、おいそれと口にしてはいけないこともあるのだと思います…。
 知りたいというのも、単なる私の我儘でした。…どうか、気を悪くなさらないで…」

そう、言葉を返す
その謝罪は口籠ることもなく、まるで言い慣れたようだった

シュネル >  …我儘は同じ、さ。
 そういう顔をさせるような…嫌な事は。
 だったら、最初から教えない方が良いんじゃないか、なんて。
 そう考える連中が、貴女を籠に入れているのかもしれないのに。

(無論。彼女の外的な価値を守る為。…彼女を遠からず誰かが利用する為。
そういう意思が働いている公算の方が大きいが。
良からぬ意図の故だけではないと思いたい。
…それこそが、逆に今の彼女を形作っているのだと。
今もこうして口を噤ませてしまう、意思を削いでしまうという事も。
解ってはいるのだが)

 ――でも、そう。我儘だって。自覚はしているんだな。

(一度首を振り。息を吐いた。…柔く、固まった物を吐き出すように)

 そんな事思っていない、端から願ってすらいやしない、とは言わないんだ。
 自覚した上で、それでも……後は、それを肯定さえ出来ればか。
 …っは。少しだけ――安心した。

(籠の鳥。さりとて、鳥は鳥なのだと。
最初から羽根を持たない存在ではないのだと。其処の所は得心がいったから)

イヴリール >  
「貴方のそれは、気遣いから来るものだと思います。優しいのですね」

そう言うと小さく微笑みを浮かべて

「──…そう言ったほうが、私の周りは平穏に済むのだと思います。
 なので、私はいつも侍女や周りの人間を困らせてばかりです」

今日もこうやって、無理を言って一人で散歩に出ているのですよ、と続けて

「……安心、ですか?」

少しだけ、首を傾げた