2018/09/02 のログ
ご案内:「王都マグメール 第八師団師団長室」にバルベリトさんが現れました。
バルベリト > 「―――んじゃもう物流も安定はしたから、交戦しないギリギリのライン見定めてくれ。
犯罪組織についちゃ手出し無用。
ウチの個人戦力であんまし藪を突きたくねぇし、そういうクッソ厄介な組織は情報だけでいい。
後で戦力のある師団に回して対処してもらうからよ。」

厄介事ではあるが、まだ相手が機械であれば気は楽だ。
治安が一部悪化しているが、どっち道根元の組織をつぶさない限りいたちごっこの図面を描くのは想像出来る。
それよりは自然地帯のほうが喫緊の問題とも言える。
遺跡については、冒険者の方が詳しいだろう。既に王国から依頼も出ているとの報告も受けていた。

よって八師団の行動は地味なものになる。
基本的に危険性を発見したら周囲に伝達。民間人がいれば避難させ、可能なら近くの師団に連絡して討伐依頼を出す。
自然地帯故に非戦闘員も、民間人もいる。薬草や茸、果実等を売り物にする商売人も居るからだ。

ミレー族も少なくない数を抱えている為の物理的な意味での索敵能力を活かして危険を減らす事。
危険だと判断する前に逃げる事。手柄を欲張り命を捨てることは無しとする事。
…相変わらず地味だが、身内ともいえる師団の仲間が命を落とすのは避けたい意識が強かった。

「いやー金属ボディじゃなきゃなー俺も仕事するんだけどなー残念だなー」

バルベリト > 「しっかし神の使いねぇ。だとすりゃ神様ってのは何を考えて居るのやら。って、はいはい?」

部屋に置いてある通信用の水晶玉が光った。
――あんまりこのタイミングの通信に良い予感はしないし、面倒だから居留守を使おうかと思ったが。
水晶玉から追加データが有る旨の連絡が入る。
データの送信かと安堵の表情を浮かべた自分が後悔するのは数秒後。

よりによってそこの文字強調するのっていう呻き声と共に、水晶球から生み出された紙の資料。
其処には簡潔な一文が抜き取られ、しかも拡大され、強調され。
サボる事が許されないような怨念が込められていた。様に見える。

『魔力には高い耐性があるので物理的な攻撃でよろしく』

「…………………。」

絶句。
問い。金属を効率的につぶす方法は?
解答例そのいち。
くっそ重たいハンマーで殴りつぶしましょう

バルベリト > 「……へい、いってきます……。」

その声は無限の悲しみで彩られていた。
投擲用のダガーの代わりに要請する装備は網が球体に閉じ込められている投擲網。
空を飛べないという情報から、視点の高さが数メートルを想定して翼竜ではなく、近場までは馬で向う事にする。
空を飛ぶのは早いが、見つかりやすい。

相手の警戒網に引っ掛かり、光線や熱で近付く前に蒸発するとか笑えないのもあるが。
念の為金属でも切れる細身のナイフを数本。これについては一部の部品等を採取して研究班に回す為。
どの程度硬いかはぶつかってみないと判らないだろう。

バルベリト > 自爆する前に部品を採取するのは難しいが。

―――やれるとすれば完璧に破壊をする前に懐に潜り込んで切り取る?
切り取った瞬間自爆しそうなのでやっぱり、これも数をこなしてみないと判らないだろう。
人差し指で顎から映えている不精髯をなぞりながら段取りだけ頭の中で整えていく。
表情が難しくなるのは、シェンヤンとの開戦中にこの事態が起こされている点。

それより何より、シェンヤンが感知している、関与している様に見える情報が都合良く転がっている点が腑に落ちない。
シェンヤン国境沿いにいる騎士も優秀な筈であり、そこの導師が抜けてくる様な事をそうそう見逃すだろうか。
まして全長数メートルならまだしも、10メートル超えの巨躯もあると聞く。

そんなものを遺跡に押し込めている?近くに展開させているというのは人の手を超えた何かの存在が関与している様に思うが、それが何かは生憎判らない。
ミレー族の神の使いという言葉が妄言とも限らない。

何れにしろ――また、面倒な事に放り込まれることは確定してしまった。
翌朝までに師団長と数人の目や耳の優れた騎士数名と並び、王城から出発する事になった。

ご案内:「王都マグメール 第八師団師団長室」からバルベリトさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城」にスイさんが現れました。
スイ > 「――――では、姫様……どうぞ、ごゆるりとお休みなさいませ」

枕元に水差しを運んできた銀盆を胸元へ抱え、室内へ深々と一礼をして、
背後にある扉を静かに開き、滑るような身のこなしで廊下へ出て扉を閉める。
今は己の主、である姫君の部屋の扉を背にした其処で、思わず溜め息が洩れてしまう。
王族の居室が固まっている区画ゆえ、深夜を迎えれば廊下を照らす灯りは多くなく、
己の溜め息の音さえ際立って聞こえるほどに、周囲は静まり返っていた。

『貴女は何も知らないのだから、気にしなくても良いのよ』

そう、姫君は言ってくれたけれども。

「……確かに、何も知りません、姫様。
 でも………」

己が全く嘘を吐いていないかと言えば、嘘になってしまう。
彼女も、彼女の父親も、帝国民である『と思われる』己を庇ってくれているけれど、
果たして、此の儘で良いのだろうか。
――――銀盆を抱える手を左手のみとし、右手で己の胸元を押さえる。
其処に隠し持っている護符の存在を、確かめるように指先を添わせて、
またひとつ、深く息を吐いて俯いた。

スイ > 今日の昼間も、己の恩人たる人の所へ、内々に事の真偽を尋ねに来る者が居た、という。

内々に、で済んでいるうちは未だ良いだろう、しかし、もしも己に対して、
本当に何らかの嫌疑がかけられることになったならば――――

「……ご迷惑は、出来ればおかけしたくないわ」

そう、強く思う。
ならばさっさと暇乞いをすれば、いや、いっそ黙って立ち去れば良いのだろう。
頭では理解している癖に、思い切ることも出来ないのは、己の甘えでしか無いのだろう。
だが――――
知らず、護符の入った守り袋を服の上から掴む手に力が籠ってしまう。

スイ > ――――気がつけば、随分と長いこと、此の場に佇んでいたようだった。

明日も朝早くから仕事がある、せめて与えられた仕事はきちんと熟さなければ。

銀盆を胸元へぎゆっと抱え直して、廊下を歩き始める。
先ずは盆を然るべき場所へ返し、其れから向かうのは―――――。

ご案内:「王都マグメール 王城」からスイさんが去りました。