2018/08/31 のログ
ご案内:「王都マグメール 屋外訓練場」にバルベリトさんが現れました。
バルベリト > 「よっほっ。よっと。」

王城の庭からは少し外れた場所に有る訓練場。
植物、雑草を素体にしたゴーレム二体を相手にして、ひたすらに回避を続ける訓練。
素材が雑草だけあってゴーレムの自慢の怪力は減じられ、新兵に向いた訓練素材。
木の骨組みに雑草という、吹飛びそうな軽さなのだが、どうやら核の石に重力でも発生させているのか、風で吹き飛ぶようなことは無かった。
大柄な自分と比較して、縦と横の幅の差は殆ど存在しなかった。
バラバラに仕掛けてくる攻撃は剣でいなす事も無く、体術のみで回避を続ける。
足は小刻みに、ステップは小さく軽く。あくまで近接の基本だけを踏まえる動き。

少し時間がたつと思考パターンが変わるらしい。
一体のゴーレムが踏み込んでくる。その背後から飛び上がって此方に蹴りを浴びせようとするゴーレム。
目の前のゴーレムは普通に拳を突き出してくる。
どちらかに気を取られればどちらかを受ける状況が作られ、自分が取った行動は――。

「おぶっ。」

そうそう簡単に回避し続けられる物でもない。
まともに拳を顔で、蹴りは此方の側頭部を捉えていた。
草で作られた物で無ければノックダウンになるだろう。
そして――落第を示す、ブザー音がゴーレムの腹部から聞こえていた。
ブブー、と。

バルベリト > 「だからっ!そうそう思考切り替えられるほど俺は出来る存在じゃねーっての…。」

訓練結果が少し離れた水晶の浮かび上がる。
歴代の高いスコアが並び、自分がどの程度のスコアなのか、ランクなのか。
それが判る様になっている。
――に、しても歴代の他師団長は兎も角、新兵の平均値にすら負けているのは目を覆う結果と言っても良い。

「誰だよこんな訓練思いついたの……うっわしかも今期の新兵と比較して下から数えた方が早いってどうなんだよこれ。
やり直しやり直し!」

高いランクに向うにはコツが有るらしいのだが、そんな物は知らない。
そもそも採点の仕組みだとか、そんなものを目にするだけで頭痛を起こす程の文字アレルギー、数字アレルギーなのだ。
勿論、ここに訪れた理由は訓練だけが目的ではなかった。
此処に名前が記されている筈の、自然消滅することの無い筈の記録を求めて足を運んだのが本来の目的。

なのだが――すっかり目的を見失い、負けん気なのか子供っぽいのか。
何度目かのゴーレムによる訓練プログラムを起動させていく。

「難易度とか選べねぇのかなこれ……」

バルベリト > 尚、城内の騎士のデータベースとも魔術的な接続が有り、難易度自体は師団長等の補正が入る。
具体的には速度、行動パターンの複雑化、ランダム化に出てくるゴーレムの数、といった所。

もう一度、とばかり起動させたゴーレムは、今度は最初から左右に別れ、挟撃の体制を取っている。
拳の速度は速い、身軽な軽装騎士の剣と良い勝負だ。
前に進めば背面にゴーレムを背負う事になる。
よって自分は後ろに一歩。ゴーレムの拳は己の側頭部と、腹部の辺りを貫く機動で振りぬかれていく。

若草が干された、牧歌的な香りが緊張感を解してくれる。
――振りぬかれた拳を、そのままバックブロウ気味に自分のほうに振り回す追撃が無ければ鼻歌の一つでも歌った事だろう。

「あっぶね………」

これもまた頭部と腹部を、今度は軽く掠めていった。
自分はまた、後ろに少し跳んで下がる。一つ一つの行動のキレや速度と言った物は決して侮れない。
バランスを崩す事は承知の上で大きく一歩下がり、次の相手の動きを待ち構えるように訓練用の剣を腰溜めに構えた。
――いや攻撃するつもりはないのだが。

ご案内:「王都マグメール 屋外訓練場」に紅月さんが現れました。
バルベリト > 詰め将棋の様に自分の動ける範囲が削り取られていく。
ゴーレムの頭部に浮かび上がる紅の光点は目の役割を果たしているのだろう。
此方が構えを取り終わる頃に、今度は左前方と右前方から。
両腕を拳闘士の様に構え、無機質な瞳からの指令なのか。
拳による素早い突きが何度か繰り出されてくる。大振りではない速射砲の様な草の拳。

訓練用の剣で、右前方の拳を集中的に払い除け、打ち落とし。
攻撃ではなく回避の為に剣を揮う。
剣から伝わる重さは殆ど無いが、それでも緊張感はある。外せば目論見も崩れてマトモにたこ殴りに合うのだから。

「んにゃろ、このっ。…えぇー…?」

左前方は基本的に体を左右に揺らし、拳の打点を散らせながら少しずつ下がる事で時間を稼ぐ。
――背中に壁が。城壁が触れなければもう少し粘れただろう。
えぇー?と言う疑問符の浮かんだ言葉は、ゴーレムに手玉に取られた事への無念感か、それとも理不尽な難易度への文句か。

「ぼふっ、ぶっ、べっ。」

幾ら草で出来ているとはいえ、顔の皮膚にちくちくと刺さる草の感触は気持ちいいものではない。
しかもギブアップがないので、一定の打点を受けるまでゴーレムの拳が、蹴りが自分を襲い続ける。
髪の毛に混ざる若草や干草が、ファッションの様に自分の頭を彩る頃に、漸くプログラムが終了されるブザー。

…出てくるスコアは察して欲しい。

紅月 > ーーーかつ、かつ、しゃら…

ふらりと何時もの庭園に、ひょっこりと…するつもりだった紅娘、バッタリ遭遇した巡回兵士に挨拶と一言二言の軽口を。
…そうしたら、何やら面白そうな話を聞いた。
なんと、たまにガゼボでゴロゴロしている庭の近くに訓練場があるらしい。

なんでも"ひたすら回避して何処まで避けられるか"っていう、ちょっとした実戦形式のゲームみたいなものだとか。
そんな愉快そうな鍛練があったなんて…是非、覗いてみねば、と。
勇んで来てみれば、先客…せ、先客?
なんかゴーレムにシバかれているゴツい人…見覚えある気がするのは気のせいかしら。

「……バルベリト、様…?」

もしや、と、声をかけてみる。
なんだか御髪が大変なことになってるのは、指摘しない方がいいんだろうか。
…否、どうしても視線はソッチにいってしまうのだが。