2018/06/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城内研究施設」にミリーディアさんが現れました。
ミリーディア > 少女の日常は変わらない。
研究施設内の室長室で寛ぐ姿は王国の騒ぎとは無縁とも思えるものだった。
だが然し…

『メフィストフェレス様のご想像通り、彼等はタナール砦には今だ姿を見せておりません。
ドゥエルにコリンを付けた理由は若しや…』

「あの子の目があれば誰も逃れる事は出来ないのはドゥエルだって理解している。
一人だったら間違いなくタナール砦に突っ込んでいただろう?
そして満足も出来ないまま暴れ回って周囲に不必要な被害を出した筈さ。
面倒事は嫌いなんだ、やりたいと思わせる事はさっさとやらせて戻らせればいい」

白の少女は【空の目】と云う能力を持っている。
其の名の通り空を介して地上を見渡せる能力だ。
彼等がある部隊の一つを手放さない限り、白の少女から逃れる事は不可能なのだ。
そして念話を通しての白の少女からの伝達が届く。
彼等の魔族の国への侵入、其れを発見したとの報告を。

「一度ぶつかればドゥエルも満足するだろう。
コリンが居れば彼等の足止めを出来るし、アルダーが居れば引き際を違える事もない。
エリンとチェンには別で動いて貰っている。
勿論、君にも此の件でもう少し動いて貰う事と為るが…」

『主が望みの侭に』

遣り取りを終えれば手にしていた水晶球からの輝きは消えた。
面白い程に予想の流れの通りに動いている、今の処は。
あの三人には…正確には彼等に挑むのは一人だけだが、前哨戦と為ってくれればいい。
進行不可能に為る程の甚大な被害を与えずに、魔族の国の恐ろしさを身を以て体験させる。
今回の少女の狙いは只其れだけだった。
だが其れでは困る。
少女が望んでいるのは自分の予想を超える流れの揺らぎだ。

ミリーディア > 歩兵隊のみに的を絞り他の部隊には手を出すな。
彼自身が相手を買って出て来たならば相手をする事。
他は無い、後は自由に動けばいい。
其処までが簡潔に纏め与えた指示だ。
どうせ其れ以上に複雑な指示を出しても無駄である。

白の少女には彼等の動向を空から探る事。
最短ルートでさっさと近付き相手をさせる。
其の際、若し彼が出て来たら双方無事では済まないから終わり次第に双方に治癒を施す。
彼だけには万全で居て貰わねば困るからだ。
其れが終わった後はエリンとチェンに合流し、此方の指示を仰ぐ。

団長様は自分で考えて行動をしてくれ。

今の処は此の程度でいい。
何もかもを自分がせずとも、周りが勝手にやってくれるだろう。

「……疲れた」

呟きを一つ零して手元のティーカップに手を伸ばす。
注がれているシナモンティーを一口含み戻して。

「まあ、又次の報告が来る迄寝るか…」

少女は矢張り少女であった。
柔らかな椅子へと身を沈めさせ、再び眠りに付いた。

ご案内:「王都マグメール 王城内研究施設」からミリーディアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城 練兵場」にヴィクトールさんが現れました。
ヴィクトール > 第七師団の進撃に併せ、シェンヤンからの横槍を受けても耐えられるようにと兵士達の訓練が盛んになっていく城内。
練兵も一種の業務と請け負っているのだが、より実戦的にというオーダーに応えて送られたのは遊撃部隊の長たる男だった。
竹で作られた空洞のあるクレイモアを手に、集まった兵士たちに告げたのは、たった一つの命令である。

「動けなくなるまで戦え、ギリギリまでやりあってテメェらの力を理解しろ」

乱暴にも聞こえる言葉を、悪役ヅラでニヤリと笑いながらのたまうと、訓練が始まった。
魔法は使わず、剣技と体術のみの手合わせではあるが、一切の容赦はない。
不用意に踏み込むなら、巨躯の割に素早い動きで踏み込んでの突きを放って鳩尾を穿つ。
じりじりと距離を詰めて様子をうかがうなら、小さいフェイントからの大ぶりで叩きのめす。
彼らが持つ得意技の先、その限界を超えた実力を得させるために、幾度も幾度も偽物の刃を交えていく。

「いい度胸だ、活かして斬ってみろやっ!」

突かれるなら刀身で逸して更に踏み込む、フェイントを掛けるなら、こちらも掛け返す。
徐々に兵士たちが次のステップへ踏み出していくトレーニングも、熱気のままに始まって2時間が過ぎ去る。
流石に全力投球の戦いに兵士たちが大の字に倒れ、熱を逃がそうと息を荒げるのを見やりながら、クツクツと笑う。
彼らの面倒を見させるために連れてきた給仕班の少女達が冷えた水や濡れタオルを手に、労いに行くのを見れば、ちょいと休んでろと手を振り、自身は武闘台の上へと戻っていった。

「あとはペースか……つっても、んなもん身体で覚えるしかねぇよなぁ」

100人組み手の如き稽古をつけたこちらは、多少息を荒くして汗を垂らす程度で、まるでへばってはいない。
丁度ウォーミングアップが終わったかのような心地であり、ぐっと身体を伸ばすように両椀を空へ突き上げる。
ゴキゴキと首を鳴らしながら、つま先立ちで支える身体を降ろすと、大きく息を吐きだす。

ご案内:「王都マグメール 王城 練兵場」からヴィクトールさんが去りました。