2018/05/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城 回廊に面した中庭」にマリアージュさんが現れました。
マリアージュ >  
貴族としてのお仕事。
今日は首の後ろで縛った、背中や肩は露わな白いアフタヌーンドレス。
ショールを肩にかけた姿。
ちょっとご挨拶するだけですが、日ごろは騎士として頑張ってる?ので、
緊張をしてしまいました。
無事に終わりましてほっとして、ほわほわとゆっくりと歩いていますと。
ふと気づけば王城で道が判らなくなったのです。

「また違うところ・・・?」

迷子になっているという意識はありません。
あくまで、通路が勝手に変わっただけなのです。
困りましたわ、と。
頬に手を当てましてキョロ、キョロとゆっくり。
あんまり困ったような顔には見えませんけれど。

「・・・待ってましたら、どなたか会えますわね」

判らなくなったら人に聞けばいいのです。
そうして今まで問題だったことは、ちょっぴりしかありません。
佇んでぼーっとしてますと。
日当たりのよさそうな気持ちよさそうな中庭の姿。
お友達(の猫)が来たら、案内していただけるかも、と。
日差しが暖かそうな中庭にと足をおっとりと進めるのでした。

マリアージュ >  
森育ちのマリアージュには、石畳みの小道よりも。
芝生の方が気持ちよく歩けるので、道を一歩外れて足を進めます。

「みゃーん?」

こういう気持ちのよさそうな所はお友達も大好きなので。
何処かで休んでいませんかしら?、と。
木陰や垣根の下を、上半身を少し曲げて覗いてみるのです。
身体を傾けますと、しゃらり、と柔らかく流れます銀の髪。

おられませんわね、と。
きょろきょろっとしながら足を進めまして。
奥の噴水に。
水の流れる音、そばに程よく茂り木陰も作っており。
振り返りますと、回廊の方も見やすいのです。

それでも、焦りません。
もうオトナですから。

噴水の縁に座るにしましても、座り心地の良さや、
縁が濡れていませんこと、木陰の位置、太陽の傾き。
足元に泥溜まりなどないか。
確認しないといけないことは沢山ありますので、場所選びは真剣です。
幾つかの候補場所に頭を悩ませましてから。
ここ、と決めたところに近づくのです。
決め手は噴水の縁の飾り石の形です。

マリアージュ >  
決めた場所に、ハンカチを敷きます。
白に桜色のレースで縁取りしまして、名前も縫い付けてあります。
マリアージュの自作なのです。

裾を抑えながら、ゆっくりと小さなお尻をその上にそろり優雅に。
膝を揃えて背筋を伸ばしまして座り、膝の上に両手を置いた行儀のよい座り姿。
もう一度確認するように、足元や木陰、噴水の水面。
そして回廊を見まして。
自分の選んだ場所は間違いなし、と。
満足げな笑顔で小さく頷きます。

そこからじーっと回廊を見るのですが。
じっとしているのが難しい年頃です。
すぐに注意が反れ初めまして、噴水の水面を見るのです。

マリアージュ >  
「・・・おさかなさんとかおられませんのかしら?」

木漏れ日に銀糸のような髪をきらきらと輝かせ煌かせながら。
澄んだ菫色の瞳が、好奇心豊かに水面を見つめます。
冷たい地下水からくみ上げられている噴水の水には何も澄んでいないのですけれど。
零れる髪をかきあげ抑えながら、身体を少しよじりまして。
まじまじと確認します。
少し首を傾げさせ、その頬にそっと指先を当てて考えますと。
片腕の手袋をゆっくりと脱ぎ、太ももの上に畳んでおきまして。
おっかなびっくりと、細工物のような細い指先を水につけようと。
でも、突然ぱっくり食べられたらびっくりしてしまいますかも。
と躊躇う仕草で、そろりそろりと指を近付けていきます。

マリアージュ >  
ちょぴっと、中指の腹を水に触れさせまして。

「きゃっ・・・」

水の冷たさに、小さな悲鳴が出てしまい。
急いで引っ込めた手をもう片手で握ってしまいますが。
もう一度、と手を伸ばしますと。
指の腹を水に触れさせまして。
それから指先を少し水の中に。
薬指も少し指先を入れまして、ちゃぷ、ちゃぷっと動かし。
波紋を水に広げていきます。

柔らかく微笑んで目を細めている姿は。
物知らない深窓の姫君然とした雰囲気なのです。

マリアージュ >  
しばし、波紋を作り遊んでいた指。
それを持ち上げまして、指先を見ながら。

「・・・どうしましょう?」

と少し首を傾げさせます。
濡れた指先を拭くハンカチはお尻の下。
他に拭ける物は・・・ときょろきょろとしますが、そんな便利なものはなく。
そして日差しを目を細めて見上げましたら、乾くまでこのままで、と。
膝の上に置いた手、その腕に濡れた指先の方の手首を置いて。
目を静かに閉じます。

心地よい日差しを身に浴びて、煌く銀の髪。
ゆるりと流れる風には萌えた木々の青い香りで、白いドレスの裾や長い銀の髪を軽く揺らし。
風を受けた木々の葉がこすれる音。
それを身体で感じて気持ちよくしていましたら。
次第に意識は揺れ溶けていきまして。
 ――すー・・・すー・・・
小さく規則正しい寝息。

マリアージュ >  
白い蝶が番で、はたはたと中庭に入ってきたのが初め。
垣根の上をゆらゆらと飛びながら、マリアージュの近くに。
暫くくるりと周りを飛べば、頭の上に止まり一休み。

チチッ。
彩鮮やかな小鳥が近くの枝に止まります。
小さく啼きながらきょろきょろとしてますと。
その仲間が呼ばれるように、枝にとまりはじめまして。
そして一羽はマリアージュの肩に止まり。
その銀の髪をついばみ遊び始めるのです。

マリアージュ >  
すっかり活発になっている、ふさっと大きな尻尾を持つ栗鼠。
それが3匹、ちょろちょろと走ってきますと。
マリアージュの足下で3匹集まり、その足を何度も嗅げば。
そばの噴水の縁の石を上り、むき出しとなった指先の匂いを嗅ぎますと。
とて、とてとて、と膝の上に上ってきまして。
太腿の上で3匹が丸まり、お休みしだすのです。

そんな栗鼠の後に現れますのは、壁の下に穴をあけて住んでいる兎。
見つかると、壁が崩れる原因になると埋められてしまう巣なのですが、
中庭の奥で見つかっていなかった巣穴から顔を出したウサギが2羽。
ぴょこ、ぴょこっと足元来ると、足に並ぶように座り込み。
目を細めて心地よさそうな表情をします。
耳も警戒を忘れたように寝てしまいます。

マリアージュ >  
垣根の下から、のぞっと顔を出しましたのは。
毛並みの整ったキジトラの猫。
まずは鼻だけが出て動かして顔を覗かせれば。
居た、と言いたいような顔。
王城をナワバリにしています猫の1匹で、
マリアージュが『隊長さん』と名付けている中ボスな猫です。
ゆるりと近づいてくれば、仲良く寝ている様子を見まして。
にゃぁご、と小さくひと啼き。
それに反応したのは、足元で寝ている兎の耳だけで。
でも聞き終わると動かなくなります。

前足でマリアージュの足をむぎゅむぎゅと押したり、
長い尻尾でぺしぺしとしても起きる様子がなく。
噴水の縁に飛び上がり、マリアージュの顔を見れば。
むにゃむにゃと幸せそうな、無警戒な寝顔です。

猫はマリアージュの脇によりますと・・・。
ぐりぐり、頭を太ももと腕の間に入れようとねじり込み。
顎をその腕に乗せまして、ふいー。
一緒に日向ぼっこして昼寝するのでした。

ご案内:「王都マグメール 王城 回廊に面した中庭」からマリアージュさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 小会議室」にバルベリトさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 小会議室」にミリーディアさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 小会議室」からミリーディアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 小会議室」からバルベリトさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城内研究施設」にミリーディアさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 王城内研究施設」にバルベリトさんが現れました。
バルベリト > 自分がここに足を踏み入れたのは何時以来だったか。
――思い出そうとしても思い出せない位には以前。もしかすれば王城内の案内を一度受けた時以来か。
手には一つの紙袋を下げながら研究施設の扉――第八師団の扉と比べればやはりと言うか、重厚な造りに見える。
今日はこの中の住人にして、ある意味主とも呼ばれる一人の存在に頼み事をする為に足を踏み入れていた。

扉の前に立ち、一つ、二つとノック。
軽装ではあるが、相手に失礼の無い程度には整えられた身だしなみと、警戒感を抱かせない意味で大剣は霧状にさせてある。
手に持っている紙袋から立ち上る甘い香り。
、蜂蜜がたっぷりと練り込まれた小麦粉を引き伸ばし、干した果実を混ぜ合わせて焼き上げたクッキーを持っている。
頼みごとをする以上は最低限、手土産の一つも必要かという考えと、ここの主はどうも甘いものを好むらしかった。
舌に合えばいいのだが。

「――第八騎士団長代理、バルベリト。入るぞ?」

ノックをしてから口上。もっとも、入るぞと言う割には中からの返答、合図が無ければ足を踏み入れないのだが。

ミリーディア > この期間、一部を除き研究員で休暇を取る者達が多い。
何時も以上どころか、今日は誰一人として来訪者は居なかった。
残っている者達が、そう云った事の無い者ばかりだったからだ。
そうなれば、勿論この部屋の主がやる事は一つであった。

「ん…?」

この研究施設に何者かが足を踏み入れた、その時点で少女は目を覚ます。
そう、この部屋の主である少女は柔らかな椅子の上で寝ていたのだ。
そして、目を覚ましたタイミングで聞こえるノックと声。
だが、少女は体を沈めている椅子から起こそうともしない。

「珍しい客人だ…ここへの入室は自由としている、気兼ねなく入り給え」

客を出迎えるような感じでもないのだが、少女は扉の向こうの相手にそう答えた。

バルベリト > 「あー、休憩してたか?すまんな、他師団の人間が多忙だとかどういう時間に休息を取っているかまで把握してないからな」

扉を潜り抜けて第一声。椅子に身体を沈めている姿と、僅かだが声の端々から脱力感を感じ取った事からの推測だった。
僅かに扉をくぐり抜ける様に頭を低くするのはクセの一つ。
さらに悪い癖の一つで部屋の中をしげしげと物珍しそうに見回す瞳。
興味を持てばそちらに視線が勝手に向いてしまう悪癖だった。

「――ちょっと依頼があってな。もし良ければコイツでも摘みながら依頼の話を聞いてくれりゃ助かる。引き受けてくれれば尚助かるが、まぁ依頼自体は俺個人の依頼…ってことにしといてくれ。だから断るのも自由だぜ?」

勝手に部屋の中の物を動かすのも気が引ける。だから椅子に沈み込んだままの少女に向かい足を進め、イスの肘掛部分に、トサリ、という軽い音と共に紙袋を置く。
甘い香りが鼻腔を擽る様に、少しだけ開かれている紙袋の口から立ち上る。少女の不興を買わねばいいのだが――。

ミリーディア > 「いや、普通に寝ていただけだ。この時期はここでやる事もそう無くてね?
それでも誰か来ればちゃんと起きれる、安心してくれ給え」

客人が入ってこれば、椅子から上体を起こすくらいはするだろう。
尤も、眠たげな表情から髪の寝癖やら隠す気は無い様子だが。

この部屋に興味を持ち見渡すならば、デスクの上と同じように乱雑に資料が突っ込まれたいくつもの棚。
資料と共に渡されたのだろう、いくつもの小道具等が適当に散らばっている。
整理整頓されているとは決して言えない状態だろう。

「ほう、自身はそう魔法を使わない君が儂に依頼か。
説明が不要で助かる、それならば聞かせて貰おうか?
おっと、椅子はその辺りのを適当に使ってくれて良い」

話を聞く事はするが受けるかどうかは後の判断、前以って何時も聞く事だが今日は相手からそれを伝えられたようだ。
良い香りのする紙袋を手に取りつつ、空いた手で辺りに適当に置かれた椅子を指す。
それを側に置きつつ、菓子には紅茶だが、君は要るかね?と。
脇に置いてあったポットとカップに手を伸ばす。

バルベリト > 「寝る子は育つっていうからなぁ。――そう言って貰えれば助かる。まぁ午睡の代わりと言うにはちょいとばかし不躾な訪問になっちまったけどな。」

棚には無数の資料。見ても恐らく頭による理解が自分には追いつかないだろうな、というのがちらりと見えた無数の文字から得た結論。
書類仕事は得意な訳でも好きな訳でもない。ならばまだ、物珍しい少女の寝起きの顔を見ている方が良いだろう。物凄く失礼な気がするが。

「魔法ってなんであんな複雑な言語とか図式、紋様に魔力の公式とか無数にあるんだろうなぁ……。使わないっていうより、俺の場合は頭の理解がおっつかなくて、殆ど使えないの方が正しいんだけどよ。――んじゃこの辺の椅子借りるぜ。どっこらせ――。」

ずしり、と腰を沈める。軽装であろうとも自重はそれなりにあるので椅子も重量を受け止める際に音は奏でるだろう。椅子を壊すことは無いと思いたいが、壊しては気まずいので背もたれに背中を預けることはしなかった。其の侭、膝をやや開き加減にして膝の上に肘を乗せ、少し頭を低くしたのは相手の視線と自分の視線の高さを合わせるため。

「お、いいね。ありがたく紅茶を。あぁ、柑橘や砂糖は要らないぜ。ありのままの紅茶の方が好きなんだ。」

少しの間言葉が切られる。少女が紅茶を入れ終えるまで、ゆっくりとした時間と。甘い焼き菓子の香りと、紅茶の香りで自分自身の心を癒す時間を楽しむ――。
紅茶が置かれた後――徐に腰に下げていた皮袋から一つの深紅の玉を取り出す。

直径は少し大きなボタンの幅と同じ位。飴玉ならば大粒と評される位のサイズか。綺麗に比率の取れた球体を、指で摘み――そっとそれを少女の方に差し出した。
魔力に通じた人間の少女なら、見ただけで其れが普通の品ではないのが判るか――。
球体なのに歪に入り組んだ石の内面。魔力を反射させ、精密にくみ上げられた魔法という公式を意図的に崩し。暴走させ術者への負担や反動といった物を増やすが、その分だけ魔法の成果――威力。それを引き上げる使い捨ての魔法の小道具――。
手に取れば、禍々しい気配が玉その物からも漂うだろう。

「……コイツに魔法を一発吸収させて欲しい。魔法の種類は攻撃魔法。出来れば範囲殲滅型の……そうだなぁ。高熱を生み出し、周囲2キロ四方位が効果範囲だとベストなんだが。」

ミリーディア > 「寝る子は育つか…確かに成長期の子供は寝れば育つ、儂がそれに該当するならば、どれだけ育っていたのだろうね?
そもそも、この室長室への入室は自由となっている、そんな事を気にしていては苦労が耐えんだろう」

どうやら、今回の客人は文字列を見るのは不得意の様子か。
分かってはいる事だが、視線が周囲からすぐに自分へと向けられた事で確信する。
因みに、自分が見られる事はそう気にしてない、何時もの事だ。

「才能と知識、そして理解、それらを持ってこその魔法と言える、使い手となるならね?
それが当然な人間ならば必須だが、そうでない人間にとっては無駄なものだ、それで良いと思うよ」

覚えた処で、それが何も成す事が出来ねば意味が無い。
魔法も同様で、何かが欠けては使えない、それは仕方の無い事だろう。

どうやら客人は椅子を気にしている様子だが、少女は気にした様子はない。
言ってしまえば、自分が使う椅子ではない、との理由である。

「そうか、甘い方が美味しいと思うのだが…まあ、好みは人それぞれか。
お…中々に美味しそうなクッキーじゃないか、ありがたい」

ポットと2つのカップをデスクの上に、紅茶をカップへと注ぎ、先ずはそれを客人に。
もう片方には何個もの角砂糖を落とし、自分の前に置いた。
そして紙袋から取り出したクッキーを準備した器に入れ、2人の間に置いておく。

1個目のクッキーを口にした処で、差し出されるそれを見る。
明らかに普通の品ではない、その魔力は薄々感じていたが、それだと理解する。
ちょっと失礼するよ、と断りを入れれば、それを見詰める瞳に薄っすらと魔法陣が浮かび上がる。
それが何なのか、その瞬間にほぼ理解をした。

「なるほど…君は、魔法の暴走をどう思っているかね?」

クッキーを頬張り、紅茶を飲む、その動作は止めぬ侭、それには答えず逆に質問を投げ掛ける。

バルベリト > 「身体的な面だけが育つって訳でもないだろ。内面的、精神的な面。頭脳的な面が育つってのもあるんだしな。えぇと、ミリーディア嬢?は身体的な成長は止まってる代わりに、他の面が成長してるって考えられるんじゃないか?こう、胸が育たなかった様に見えてしまうのは残念の一言だが。」

余計な軽口を一つ挟むのも悪癖といえば悪癖。
玉は彼女の瞳の魔法陣は自分が持ち込んだ玉に比べてはるかに綺麗な輝きとも思えた。――噂話の幾つかはどうやら真実のようだ。
少女の前で魔法に関する隠し事は出来そうにも無い。

ゆっくりと紅茶を口に含みながら――向けられた問い。
思案するように一度少女の顔から視線を切り、視線を上に向ける。
――どう答えようかというよりも、予想外の問いかけを向けられたというように瞳は僅かに閉じられていた。

「紅茶と一緒に口にするクッキーは少し甘く仕上げたからなぁ。甘さを楽しむ為に紅茶の渋味まで堪能したい。…っと。本題か。
 暴走については、魔法も組織も同じだとは考えているなぁ。一つの結果を求める為に作られている、整えられている道筋を無視して突き進む。その整えられた道筋を準備する為の先人や、賢人の努力、功績を無視するような行為だとは思うぜ。――急ぎ結果を求める為の愚策だとは思うが。」

少しばかり言葉を選んだ。――数年来のテロ関連の行動も一種の暴走とも捉えているのか。開かれた自分の瞳には、怒りの感情は僅かに混ざりこんでいた。
丁度目の前の紅茶にミルクを垂らした際のような、濁った感情が僅かに浮かび――だがその感情の色は少しの時間を置いて、すぐ隠された。

「魔法そのものについては俺は知識も勉強も足りてねぇからなぁ…。ミリーディア嬢はどう考えてる?」

ミリーディア > 「おや、ちゃんと理解していたのだね、失礼。
そう、睡眠とは身体的にも、精神的にも、健康面にでも必要なものなのなのさ。
身体的な成長が止まっているのが分かっているんだ、胸が育たないのも分かるだろう?」

彼の言葉に何度か頷きつつも、当然と言わんばかりに言葉を返す。
自分の身体的なものは気にしてない様子だ。

クッキーと紅茶は味わいながらも、目を閉じ、言葉に耳を傾ける。
途中、相手の感情の変化には気付くが、気付いた様子は見せずに。
そして、それが終われば、新たな言葉が向けられれば目を開く。

「その考え方に間違いはない、足りない部分もあるがね。
それらが与える周りへの影響…それも同様だと儂は考える。
良い結果が得られる事も確かにあるだろう、だが…それが悪い方向に向いた時、予想外の不祥事が引き起こされる。
魔法に関して言えば、思った以上の被害を被るだろう。
全てを語ろうと思うとこの程度では済まないが、難しくなるのでこの程度で済ませておこうか」

そこまで伝えてから、間を置くように紅茶を一口。

「君は、魔法の暴走に関して、負荷が大きいが効果が大きくなる…そう安易に考えていないかね?
もしそうならば、止めておき給え。
魔法の暴走の影響は、場合に依ってはあらゆるものを崩壊に導く。
自身を、周囲を、そして…理を。
最近の者達は、魔法に対しての考えが浅はか過ぎるのだ。
人間にしても、ミレー族にしても、魔族にしても、魔王にしても…困ったものだ、本当に」

と、言葉をまた止め、軽く溜息を漏らす。

「さて、ここで提案だ。
君が求めている、その魔法は別の形で君に渡してやろう。
代わりに、それは儂に渡し給え、全ての資料も含めてね。
それを受けるも断るも、君次第だ」

真っ直ぐに相手を見詰めながら、そう逆に相手に求めた。

バルベリト > 「そりゃ真逆に図体ばっかし育った例が俺だからなぁ。――だからまぁ、休息がどんだけ大切なのかは少しだけ勉強したからなぁ。」

相手は此方の想像以上に、器が広い様子だった。口にしてから後悔するような事を言った自覚があるだけに胸を撫で下ろす――と言うか肺につまっていた空気を吐き出すことで、幅が広く厚かった肩が少し小さく、そしてなで肩まではいかないが流線型を描く用に少し力が抜けた様子が見て取れるだろうか。

クッキーは表面はざっくりと。中には少しだけ水分が残るしっとりとした仕上がり具合。作りおきが効かない類の物だけに、売られている物ではないくらいの情報が伝わるか。

「――――安易な考えってのは否定できねぇかなぁ。今回の依頼についちゃ何もかもが不足の前提。その上で正に安易な考えに走ったってーのはある。さっき俺自身で口にした先人、賢人への冒涜をしたとしてでも、成し遂げる必要があるって判断をしたからなぁ………。」

相手の言葉に返した言葉は、更に言葉を選んでいる。
明らかに騎士団の人間として。師団の長としてはあるまじき行動を自分ひとりで計画して行動に移している事を示唆、強調するように。

「――そりゃ魅力的な提案だ。俺へのバックファイア――反作用も防げる上で、更にミリーディア嬢の協力が得られるなら、助かることは確かなんだ。――本来なら、二つ返事で受ける。……」

コツン、カチャン、と。僅かにカップを元の場所に置く蔡に、混ざる異音が二つ。短く指で椅子を突く音と、カップを再び机に置く事で起きる音を織り交ぜての―――。
魔法が発達した今では骨董技術ともされる、軍用の符号。
その意図する所は『俺の思考を、そちらに流し込ませる』と言う旨。通じれば幸い。通じなければ悩んでいるかのように見える仕草――。
真っ直ぐに見られる瞳には、勿論相手への警戒などは無い。ただ、自分の瞳に浮かぶ色は逡巡とも取れる色。逡巡、苦悩、懊悩とでも言うべきか。

「はは、ミリーディア嬢は綺麗な目をしてるもんだ。そういう風に真っ直ぐ見られると困っちまうなぁ……。」

ミリーディア > 「なるほどね、ただ、身体面に関しては親の遺伝もある。
相手に依っては努力をしても報われない場合も少なくは無い。
尤も、それを良いと思うか悪いと思うかは本人次第だ」

そういった考え方をするならば、自分は如何なのだろうか?
既に親の顔さえ思い出せない自分にとっては無駄な考えだろう、そう思い至る。

クッキーに関しては、確かにその情報は得られていた。
ふっと後にまた頼んでみても良いかもしれない、そう考えて。

「君が何を考え、何をしたいか、そこまで知るつもりはない。
だが、暴走を利用するに到る様な馬鹿な真似は止めておくべきだ。
それは君の為であり…師団の為にもなるだろう。
おっと、国の為ってのもあったか、それはどうでも良いがね」

行動をするのは、結局は本人だ。
故に自分が出来るのは、その程度の言葉を掛ける程度だろう。
最後の一言が無ければもう少し体面的には良かったかもしれない。

「余程に面倒な事で無ければ、儂は協力を惜しまんよ。事魔法についてならば、特にね。
君が中々求めに来なかっただけさ、何かあれば気兼ねなく来ると良いだろう。
今日みたいに、おまけが付いてくると非常に嬉しいがね」

耳に届く音には特に反応を見せない、見た目だけならば。
代わりに、相手の頭の中に声が響いてくるだろう。
『構わん、やり給え』と。
その間にも、受ける言葉に対してこう返しておく。

「そうかね?鏡も見ない程なんでね、自分の目が如何とか気にした事は無いんだ」

この言葉が、如何に自分自身を気にしていないか理解させるだろう。

バルベリト > 「扉潜る時に頭打ったりしなければそこそこに便利な体なんだがなぁ。中々でかい図体しているとそういうところで不便だ。
 親の遺伝なぁ。―――図体よりももうちょい気配りできる内面を遺伝か教育してほしかったな、俺の場合。」

けらり、と笑う。この言葉が出るまで時間は少し掛かるだろう。
それは少女の是の合図を待った理由がある。
少女に比べれば自分は恵まれているだろう。まだ、親の顔を思い出せるという点においてだが。

「うーん、国についてはまぁ。仮にも騎士の端くれとしちゃ念頭に置きたい所なんだが。結局、今もまだ自律できている人間が居るってのはこの国のシステム自体がそれなりに整ってるってことだしなぁ。―――師団も違うし、俺自身国と権力に尻尾振ってる師団長代理って風評あるだろ?中々声を掛けにくいってのはあるんだが――まぁ、話してみてわかった。ミリーディア嬢は頼れる。そりゃ魔法の知識だけとかではなく、違う意味でもな。」

人が多ければその分だけ意見はある。似たような意見でも必ず別種のモノが混じる意見があるのだ。
少女は、それを頭ごなしに否定せず、言い含めるようにして。
きちんと教えること、伝える事を口にした上で自分を、日の当たる道に導いてもくれるだろう。

「魔法ってか俺の『城壁』の耐久測定はその内やるべきなんだけどなぁ。その時は付き合ってもらうかもしんねぇな。
 ただ、俺ばかそっちに頼りっぱなしなのもな。何かしら用件があれば――って、それは今正にか。クッキーでよけりゃ休暇の折にでも、いくらでも作れるんだがなぁ。……クッキーだけは。」

ミリーディア > 「儂の様に小さな体とて、便利な時は便利なものさ。
…色々と楽しみ様もあるしね。
内面的なものか…環境が大きく左右されるだけに、難しいものだよ」

さらりと答えてはいるが、続く言葉に何か含みがありそうな感じだ。
内面の点においては、自分で言ってもいるが確かに難しい。
実際に自分で例えても、その変化は理解出来る程にはっきりとしているものだからだ。
昔の自分…敢えて伏せてはおくが。

「愚直に国に従っている師団の者が、一体何人居るのやら。
誰しも何か内に持っているものさ、今の国の有様を見れば理解は容易いものだ。
…なんてのは、少し意地悪かもしれないね。
そう思うだけで、何かするのは非常に難しい。
互いに理解し合うのも、簡単なものではない。
そういった点では、今日、こうして話し合う機会を作ったのは悪くないだろう。
君がそうして、儂を前よりも理解出来たように、儂も君が前よりも理解出来た」

実際に席を設けて出会う前から、相手の事は知っていた。
だが、それはあくまでも今までの経歴や、行動を見てだけのもの。
それだけの情報で、さすがに内面的なものまで理解はし切れない。
言葉の通りだ、今回の件で、少しは互いに近付けたのは感じ取れる。

「君のあの能力か、確かに限界を知る事は良い事だろう。
構わんよ、また日を改めて依頼をしてくれれば受けよう。
そう、それだ、勿論このクッキー持参でお願いするよ。
美味しいものってのは、幾ら食べても飽きないものさ」

残り少なくなったクッキーをまた一枚摘み、頬張る。
少女にしてみれば、こうして見合うものさえあれば少しは動くに値すると考えているのだ。

バルベリト > 「―――悪いな、少しばかり厄介になる。」

玉は紅茶に添える角砂糖のように少女のカップの隣へと運ばれていく。
紅の玉。それを少女に預ける事を選ぶ。選び取った理由と、選び取れるだけの道筋を相手は作ってくれたのだから。
歪な内面を模した綺麗な形をした玉。まるで外見だけを取り繕う何かの組織にも似ているだろう。

「楽しみ様ねぇ。そんなナリじゃ甘い物沢山食べるのもきつくねぇか?」

少女の見た目を性的な対象につなげるのはやや難易度が高いのはある。
そして言葉尻を捉えて遊ぶ事を選ぶように。からかうかのような声音で続けたのは胃袋の容量の問題。もっとも、少女の魔法の腕なら些細な問題ですらない事はありえるのだが。

「師団や人間が全員統一した意思、思想をもつなんていうのは難しいだろうさ。国をよりよくしたいからこそ愚直に従う事を良しとしない思想もある。俺にゃそんな頭のいい手段も方法もねぇから従ってるけどな。
 ――借りが出来ちまったか。『今回の件』についちゃ、正直ミリーディア嬢に寄りかかりっぱなしとなりそうだ。」

それが自分の出した結論だ。少女との意思の、意識の交流を踏まえた上で自分の意見も、相手の意見も。相互の意思を尊重出来る結論に至れた以上、少女の言う意見には明確に正当性があり、非の打ちどころの無い正論だろう。――素直に尊敬の念を抱くのは何時以来か。
打算なしに。純粋に頭を下げようと思える相手にめぐり合えた幸運にも感謝はすべきか。


「ウチの領地はそれなりに自然資源が豊かだからな。なら、今度はパウンドケーキか。そのあたりにも挑戦してみるか。……気が向いたら暇な時にでも領地に遊びに来るといい。……歓迎するぜ?」

自分でも一枚。少し造りたてからは時間こそ経過がしたが、その分中で吸い込まれていた水分が少しずつ蒸散して中までサクサクとした食感のクッキー。それと、紅茶の味を楽しむように口元に。
――ポン、と膝を叩いて立ち上がる。
立ち上がるときの仕草に見せるようにして、頭を深々と下げる仕草を織り交ぜながら。

「その内、また茶会の誘いをするかもな。――――ありがとう、ミリーディア嬢。」

ただし、置き土産だとばかり。セクハラをする騎士としての精一杯のイタズラ心でミリーディア嬢の頭に流し込まれていくのは、自分の目から見た少女の瞳の実直さと綺麗な輝き。
自分に余り頓着しない性癖に見える少女に、自分から見えた少女像を返しながら――その手の店で見かけるような、クラシックメイド服や黒のゴシックロリータ服等。それらに身を包んだ少女の姿だった、とか。

ミリーディア > 「その点においては、此方にも少々非があるのでね。
お互いに無駄な気遣いは無しとしようじゃないか」

少女は添えられた紅の玉を、クッキーと同じように摘み上げる。
だが、それと違うのは…次の瞬間にはパキンと澄んだ音を立てて砕け散り、塵も残さず消滅した事か。
何事も無かったかのように視線を相手へと戻す。

「おや、其方の噂は聞いてはいないのか、では幼女趣味云々の話は止めておこう。
そうだね、この体について不満があるのなら、その一つがそれだ。
大食らいな訳でも無いんだ、どうしても全部平らげるのは難しい」

考えの端に浮かんだがそれを避けた様な言葉に意地悪そうに小さく笑う。
敢えてそれを表面にしつつも、それに合わせ答えて。
やろうと思えば胃袋の問題は如何にか為るが、体に無理がいっては意味がない。

「手段が、方法が浮かべば従わないだろう?そういう事さ。
眺めて楽しめる人間が一人消えずに済んだ、儂にはそれで十分だがな。
それを借りとしたいなら、返したいのなら、無駄死には選択しない事だ…良いね?」

長い時間を生き続け、これからも生き続ける。
楽しめる事は一つでもあって欲しいと考えるのは当然の事だ。
きっと彼は自分についてもう少し複雑に考えているだろうが。
尤も、結果は繋がるのだから全く違うとも言い切れないか。

「そうだね、少し遠出をしたくなった時にでも寄らせて貰おう。
勿論、君から誘ってくれれば喜んで向か…いや、送迎を頼む」

残った最後のクッキーを食べ終え、同じく残った紅茶で流し込む。
立ち上がり、頭を下げるならば、自然と此方は見上げる形となるか。
自分から向かうは良いが、誘われた場合は少しでも楽をしたい。
その考えが、言葉から滲み出ているかもしれない。

「それが好みなら、向かう時はその格好にしてやろう。
では、またの機会に」

なるほど、とかなり久し振りとなるか、自分の姿を見せられ肩を竦ませる。
彼が思ったよりも悪戯としては機能しなかった、そう思わせる言葉が返されるのだった。

バルベリト > 「いい噂は半分信じるけどな。悪い噂についちゃ自分で確認するまでは信じない事にしてんだ。―――ミリーディア嬢は可愛いが、そっちの意味で可愛がりたいんじゃなく、普通に年齢相応に甘い物で胃袋を満たして笑顔見せてくれりゃ十分。――あぁ、でも少量で済むのは助かるかな?」


続く言葉に。無駄死にという言葉には特に困ったような表情になるだろう。
普段見せない、ある種特別な――相手を信用しているから見せられる、本当に困った時の表情だった。

「努力はするし、死にたがりでもないからなぁ。極力、そうならないようにする。――送迎って、ウチは機動性重視の師団だから馬にのってもらうか翼竜に乗ってもらうかになるんだが。」

体格的な問題で難しいだろう。そう結論付けるような言葉だった。
少女を送迎するなら、馬車でも設える必要がありそうだ。それも恩人を送迎する為の特注の、だ。

「――――やれやれ、一枚も二枚も上手だな。次の機会には、また違う一面……できれば俺なりに成長した姿でも見せられればいいんだがね。それでは、お休み。ミリーディア嬢。」

扉は閉じられた。そして――重荷は取り除かれ。
少女が砕き、消滅させた玉は二度と日の目を見る事も無かろう。
少なくともこの瞬間、己は少女に救われ、そこには義理が生み出されていた。

ご案内:「王都マグメール 王城内研究施設」からバルベリトさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城内研究施設」からミリーディアさんが去りました。