2018/05/03 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城/来賓室への渡り廊下」にベルナデットさんが現れました。
■ベルナデット > 諸外国からの賓客達へと充てられる来賓館へと続く渡り廊下には涼しげな風が吹き抜けていた。
すでに日は高く昇り、渡り廊下の屋根がその日差しを遮り影を作る。
そして、備え付けられた長椅子には背もたれへと背中を預け静かな寝息を立てる純白の少女の姿があった。
昨晩も王国高官との”交流”を行い、解放されたのは日が昇りかけている時間だった。
侍女に軽く濡れタオルで拭ってもらっただけの身体は熱く火照ったままで、お気に入りのこの場所で少し涼んでから部屋に戻ろうと思ったのが油断だったのだろう。
静かな寝息を立てる少女は、しっとりと汗ばんでいるせいでドレス越しに身体のラインが浮き上がり、乱れたままの純白の髪が頬や肩口の晒された肌へと貼り付いている。
完全に意識を手放しながらもきっちりと膝を閉じ合わせているのは少女の育ちの良さ故だろう。
ご案内:「王都マグメール 王城/来賓室への渡り廊下」にエズラさんが現れました。
■エズラ > それは、まったくの偶然であった。
王城に駐屯するいくつかの騎士団――そのうちの一つに所属する新兵訓練官は、とある傭兵団で一時的にくつわを並べて戦った仲であった。
そんな彼から、時折個人的に依頼を請け負うことがあった。
臨時訓練教官として、剣術指南にあたる、というものである。
早朝から続いた猛訓練もようやく一区切りがついて、今は自由時間――
滅多に足を踏み入れることのない王城ではあるが、臨時とはいえ簡易ながら教官服を身につけているため、ある程度自由に散策することが可能であった。
そんな折、であった――その、あまりに非現実的なものを目の当たりにしたのは。
涼しげな風の吹く渡り廊下の長椅子に腰かけながら穏やかに寝息を立てるその姿は、何か一種の魔的なものすら感じさせる容貌である。
「……お、おお……――」
白いドレスの向こう側――それを想像せざるを得ない、艶めいた少女の前で、男は暫し、視線を外せずに立ちすくんでしまう――
■ベルナデット > 長椅子に腰掛けた少女は目の前に見知らぬ男が立っていることにも気付かず静かに寝息を立て続ける。
涼しげな風が吹き抜けていくとは言え、すでに日も高く気温も上がっている。
直接日差しを浴びて日焼けする心配はないと言うものの、北国育ちの少女には適温よりも上なのだろう。
じっとりと寝汗が滲む肌が艷やかに輝き、薄いドレスはその下の肌色をうっすらと透かせて見せる。
きちんと整えられているべき純白の髪が乱れ肌に貼り付いているのは明け方までの役目の後に湯を浴びることも出来ていないが故。
本来ならば絵画の中から抜け出してきたかのような景色の中、じっとりと汗ばんだ少女は確かな生を感じさせる。
■エズラ > 気づけば足が二歩三歩、少女の側へと男の身体を運ぶ。
出で立ちは神聖なものであったが、どうあっても隠しきれない豊満な胸元の谷間や、露わになった首筋には玉のような汗が浮き、目の前のそれが蝋人形ではないことを理解させる。
次いで薫るのは、肉の身体を持った人間のもの――そこに混じる、ほの甘く淫靡な芳香。
途端に、男の脳髄にしびれのような感覚と、背徳の思考が迸る。
今すぐにでも、この少女を攫ってしまいたい――
そんな考えをふり捨てるように頭を左右に振って――緩やかに手を伸ばし、その頬へ触れようとして――肩へ。
柔い力で少女の身体を揺らし――
「――起きなよ、お嬢さん――眠るなら、部屋に戻った方がいいぜ――」
恐らく彼女は、この王城に住まう者であろう。
賓客か、はたまた王家の血筋に連なる者か――いずれにせよ、その身に纏う高貴な気配を感じ取り、ともかくもそう告げて――
■ベルナデット > 「……。」
肩へと触れられると小さく身体が震えむずかるように首を巡らせる。
そして、楚々と閉じ合わされていた膝をスカート野中でゆっくりと肩幅よりも大きく開く。
それは意識があれば状況を考えて決して行わない行為ながらも、役目を果たしている際は行うべき当たり前の行為。
意識を手放している少女の身体は条件反射的に意識を手放す直前まで行っていた行為を繰り返していた。
「……。」
そして、外部からの刺激に意識は少女の中へと戻っていき、渡り廊下の隅へと顔を向けたまま、ゆっくりと空色の瞳を開いていく。
あれ?ここは……?そんなことを思いながら首に力を込めるとこの国へとやってきてからは毎日通る渡り廊下の風景が視界に入り、両手を猫の手の形に目元を擦る。
ネてしまったのか……そう思いながら両手を顔から離すとすぐ目の前に見知らぬ男の姿。
「!?」
思わず声を上げそうになり、慌てて両手を口元へと当てて堪える。
自分の肩に手を置く男……空色の瞳を大きく見開き見つめても見覚えはない。
そして、起こしてくれたのだと気付いた少女は、寝顔を見られてしまった恥ずかしさとこんな場所で寝てしまったドジを見咎められたことにみるみる顔を真っ赤に染めていく。
■エズラ > 「ん……お……――」
身をよじりながら少女が意識を覚醒させていく。
その途上、不意に眼下に目をやれば、閉ざされた扉がゆっくりと開いていくように、少女の両膝が左右へ開いていくではないか。
嫌でもそれを凝視していると、本格的に目を覚ましたらしい――
「あ、いや、驚かしてすまねぇな――」
少女の反応は、大方こちらの予想通りであった。
男も反射的に両手を自身の胸の前に突き出し、怪しい者ではないというアピール。
身につけてている衣服の胸元には、王国紋と騎士団章が小さく縫いつけられているので、少なくとも(現在のところ)部外者ではないことは伝わるであろうか。
それにしても――先ほどまで触れていた場所から感じた、しっとり汗ばんだ肌の熱といったら――
未だその感触が手に残り、男の胸を高鳴らせている――
「とりあえず――脚、閉じた方がよかねぇか」
頬染める少女の足元を指し、苦笑しつつ告げる――
■ベルナデット > 何か男のほうも慌てている。
見た目はどう見ても騎士には見えないものの、よく見れば騎士団章を付けているのだから、騎士団の関係者なのだろう。
自分を害する気もなく、ただ親切心から起こしてくれたのだろうことがようやく推測出来、口元を両手で抑えたまま挨拶代わりに目元に微笑みの色を浮かべる。
かなり長い時間寝ていたのだろう、じっとりと汗ばんだ身体が少し不快に感じる。
少し身体を動かすだけでもドレスが絡みつき動きづらい。
「……?」
男の言葉と視線、それに釣られて視線を下ろしていくととても貞淑とは言えないほど広げられた股が視界に入る。
それを見た瞬間、再び顔が真っ赤に染まり、俯いたまま、そそ、そそっとさりげなく股を閉じ合わせ、両手を膝の上へと置いた。
■エズラ > 「アハハ……いやま、オレとしちゃさっきのままでもよかったんだがよ――」
恥じらいながら脚を閉じ、真っ赤に頬染める姿が可愛らしい。
寝息を立てていた時は天上から現世に迷い落ちた天使かなにかではないかと真剣に疑ったりしていたが、こうして見れば、年齢相応の少女、という風である――
「オレは――ああ、そうそう、これだこれ――」
ごそごそと上着の奥へ手を差し込んで、少女の眼前に一枚の紙を広げて見せる。
そこには男の名前と、一時的な身分――騎士団新兵訓練教官と書かれており、王国の印章が捺されていた。
「さっきまでガキどもをしごいてやってたんだがよ、ちょっと暇になったもんでな――お城ン中、見て回ってたんだ」
男の口調は、貴い者のそれではなく、粗野で乱暴さを感じさせるもの。
明らかに彼女とは住む世界の異なる人種であると容易に知れた。
「……随分、汗かいてるがよ――悪い夢でも見てたのか?」
■ベルナデット > 「……っ。」
からかう男の言葉に上目遣いに精一杯睨みつけながら唇を尖らせ、威圧感など欠片も与えられない抗議の態度を示す。
もっとも自分の不注意であることはわかっているし、誰かを本気で怒ったことなどない少女はすぐに表情を緩める。
「……。」
差し出された紙片をじっと見つめる。
どうやら一時的に城へとやってきた客分と言った所らしい。
子供の相手をしていたと告げる男の言葉は普段聞き慣れない表現が含まれており、異国の少女には少々聞き取りづらい。
それでも悪い人ではないことは感じ取れ、聖女として外交官として不足のない温和で控えめな微笑みを浮かべて見せた。
『ベルナデット・クェルハと申します。』
右手をゆっくりと上げ、目の前で細い指先を踊らせる。
指先の軌跡がそのまま魔光の軌跡となり、この国の文字で自己紹介を紡ぐ。
男から見て正確に読めるということは少女側からは鏡面文字になるはずだが、淀みなく描かれる文字は少女の身体にその行為が染み付いていることを示す。
「……?」
夢……?
夢を見ていたのだろうか、よくわからない。
何か見ていたような気もするけど……。
とりあえず、汗を掻いてしまっている理由はわかる。
はにかんだ笑顔を浮かべ、そっと渡り廊下の屋根越しにぽかぽかと照り付ける日を指さした。
雪国育ちの少女には、この街は少し暑い。
■エズラ > 「おおっ……」
空中によどみなく綴られる魔法の文字――彼女の名前。
攻撃魔法を発動させるために宙に魔方陣を描く、といった光景を見慣れていたため、少しだけ警戒してしまったが――
なんということはない、自己紹介であった。
「ベルナデット、か――」
――そういえば、彼女は先ほどから一言も言葉を発していなかった。
何ごとか察した――ただし、それは真実とは異なっているのだが――男は、少しばつが悪そうに宙へ視線を踊らせる。
「あー……なるほど、今日は暑いな、午後からは特に――」
季節に相応しくないほどの陽光は、いささか以上にその強さを誇示していた。
そこでふと――男の脳裏に、考えが浮かぶ。
無論その考えとは下心に基づくものであり、ムフフ、と意味ありげな笑みを浮かべる。
「……なぁベルナデット、もっと涼める場所を知ってるンだがよ――一緒に行かねぇか、よかったら――」
少女の前にわざとらしく跪くと、慣れた様子で手を差し出す――
■ベルナデット > まだ暑くなるのか……。
男の言葉に少し憂鬱そうに嘆息を漏らす。
部屋に戻れば少しはましだろうか。
湯よりも水を用意してもらうほうがいいかも知れない。
そんなことを考えていると目の前で跪いた男に手を差し伸べられ、きょとんとその姿を眺める。
涼しい場所……というのにも関心はあるが、毎日城の中の同じような場所しか通らない少女にとって、それは冒険のお誘いのようにも見え胸が高鳴ってしまう。
「……♥」
まるで子供がイタズラの誘いに乗るような笑顔を浮かべ、そっと男の手の上に小さな掌を重ねた。
■エズラ > 差し伸べた手に、少女の小さな手が重なる。
その顔には、抑えられぬ好奇心を含んだ、楽しそうな笑みを浮かべている。
ようし決まった、と純白の少女をエスコートするために、ゆっくりと立ち上がり――
「さ、行こう行こう――」
――なるだけ、誰にも見られないうちに。
そこまで口に出すことはないが、高貴な彼女と、身に纏う衣服のおかげでかろうじて不審者のそしりを免れているに過ぎない自分が連れ立っているところなど見咎められたら――
その結果がどうなるか、火を見るよりもなお明らかであろう。
奇妙な二人連れの姿が、王城を後にする――
ご案内:「王都マグメール 王城/来賓室への渡り廊下」からエズラさんが去りました。
■ベルナデット > 差し伸べられた手を取った少女は男に連れられ王城を後にする。
思えば一度故郷に戻った後にこの城に部屋を与えられて以来初めて城外に足を踏み出した瞬間だった。
ご案内:「王都マグメール 王城/来賓室への渡り廊下」からベルナデットさんが去りました。