2018/04/12 のログ
■ベルナデット > おねだりの後、赤く染まった頬を貸してもらったマフラーで隠し所在なさげに遊ばせていた空色の視線をちらりと少年へと向ける。
仮面で表情はわからない。
怒らせてしまっただろうか……?
不安が胸の中へと拡がっていく。
言わなければよかったかな……そんな後悔が沸き上がって来た頃、少年が頷いたのが見えた。
「――💛」
素直に嬉しい。
マフラーを貸して貰っていてよかった。
だらしなく緩む頬を隠せるから。
人の温かさに触れるのは一体どれくらいぶりだろう。
故郷にいた頃は常に触れていたはずのそれが今ではもう霞にかかってしまったかのように思い出せない。
そそっと身体を寄せ、はにかんだ笑顔の目元だけを見せる。
――ベルナデット・クェルハ――
少女の細い指先が宙に二度踊る。
最初は故郷の文字、そして、続けてこの国の文字。
■ゼロ > 彼女の護衛を引き受けるというのは良いけれど、さて、どうしたものだろう。
どこに行くのか、それを聞いてからではないと動くことはできそうにない。
が、彼女は顔を赤くしながらもじもじと、どこか、どこかを見ているようで、見ていないようで。
注視しているのが恥ずかしいのかもしれない、と考えるも、仮面だし視線があるわけではないとも思う。
「…………」
少しばかり、彼女の様子を見守ることにする。
彼女がどこに行くのか、いろいろ考えているのかもしれない、もしくは、城の広さに慣れていないのかもしれない。
言葉を迂闊に放つのは高貴な相手だと失礼になるから。
「貴女のお名前は、ベルナデット・クェルハ。
僕の名前は……ゼロ。
第七師団に所属してます、訓練兵のゼロ、といいます。
苗字はないのでご了承を。」
彼女が近づき、文字を書き上げる。
最初の方を流麗に読み上げて、次にこの国の文字を読み上げる。
人名だと、直ぐにわかった。
だから、名乗りを返す。
所属の部隊と、あわせて名前を明かす。
ただ、実験体だったし、名前だけしかないのでそれも先に伝えておこう。
そもそも、『本当の名前』は、思い出せないし。
■ベルナデット > ――ゼ・ロ。
声は信じる神へと捧げた。
だから、マフラーで隠した唇は少年の名前の形に動くだけ。
何度かそれを繰り返し、嬉しそうに瞳を細める。
でも、ちょっと固いなと思う。
言葉遣いも態度も。
友達になりたいのに……。
夜風で靡く純白の髪を片手で抑えながら、少女はじっと少年の仮面の奥の瞳を見上げる。
「……っ。」
意を決し、少年の肘へと腕を絡める。
腕を組んだまま、じっと少年を見上げ、二人の前に細い指先を踊らせる。
――もっとゼロ様のこと知りたいです――
それは北方の文字。
何となく気恥ずかしく、伝わらなくてもいいやと控えめなおねだり。
自然と押し当てた柔らかな膨らみ越しに少女の鼓動がほんの少し高鳴る。
■ゼロ > やはり、喋れないのであろう。
呼気が溢れる気配があるだけで音を発している様子はない。
彼女が見るのは、無貌の仮面、つるりとした仮面には、本来は視線を得るための穴すらない。
その代わり、仮面の中からは魔法的な力で普通に周囲を見るのと同じ視界が広がっている。
なので彼女の行動が、動きが分かる。魔法の文字が読めるのだ。
「何かありましたか?」
急に、腕を絡めてくる彼女。
近くになにかいるのか、と周囲を見回すも誰かがいる気配も痕跡もない。
視線を下ろして、見れば見慣れた―――思い出したくもない、文字。
「僕のことは、呼び捨てで良いですよ。ベルナデット様
お聞きしたいことがあるなら、答えられる範囲でお答えします。
ご要望も、出来る限りで対応いたします。」
残念ながら、彼女の柔らかさは、鎧のせいで感じられない。
年頃の男として、本当にそれは残念に思ってしまう。
性に興味はあるし、行為も知っている。
こんな可愛い子に腕とは言え絡まれたらドキドキしてしまうものだ。
でも、そんなこと思ってたら、護衛失格だろうな、と仮面の下で我慢。
■ベルナデット > 「~~!」
少女の頬が不満げに膨らむ。
それは今まで誰も見たことがなかった少女らしい感情の顕れ。
――じゃあ、私も呼び捨てでお願いします――
描く軌跡はちょっぴり乱暴。
そして、年は?趣味は?好きな食べ物は?矢継ぎ早に質問を投げかけるのだ。
それは少年が自室へと戻ることを促すまで続くことだろう。
そして、ようやく与えられた外賓室へと戻った後も少年を離さず質問責めが続く。
それはまるで言葉によるコミュニケーションを完全に封じられた2年間の分を取り戻すかのように……。
それもまた、少年が痺れを切らして打ち切るまで続くだろう。
もっとも……少年が肉体的な触れ合いを求めるのであればあっさりと股を開いたことだろう。
だが、果たして生真面目な少年がそんな大胆な行動に移せたかは……。
■ゼロ > 目に見えて、膨れ上がる。
年相応の、少女らしいむくれっぷりは見ていて可愛らしい。
楚々したそれではなく、好ましい愛らしさにも見える。
不満です、という勢いで書きなぐられた注文は。
「ベルナデット。
歳は18、趣味は……趣味。趣味?訓……れ…ん?
好きな食べ物は、とにかくが多くてお腹にたまるお肉、ここの食堂とかもどれもこれも美味しくて。」
彼女の要望、勢いよく書き綴られていく質問に面喰いながらも、律儀に答えていく。
期待に応えるように、こちらから質問をするまもなく彼女の質問に答えていく。
それでも、すごく楽しくて、仮面の下では、笑いがこぼれる。
友達いないんだな、ということはなんとなくわかった。
自分も友達は少ないし。
自分のしびれが切れるのが先か、彼女が質問に疲れるのが先かはわからないけど。
軍事的な機密があるようなこと以外のプライベートなことは、きっと根掘り葉掘り聞かれて答えたであろう。
そして。
肉体的な触れ合いに興味があるとしても自分の肉体のことをがあるから。
積極的に求めはしない少年は。相手が高貴な人と捉えている相手を。
彼女を抱くという選択肢を持ってはいなかったのは確かだ。
そもそも、初めて出会う相手にそれを求めるほどの性欲はあっても、度胸と思考はない――――。
ご案内:「王都マグメール 王城」からベルナデットさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城」からゼロさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城 訓練場」にオーギュストさんが現れました。
■オーギュスト > 「おら、次だ!」
オーギュストの激が飛ぶと同時に、騎士が3人、一斉に飛び掛ってくる。
オーギュストは木刀を振りかざし、その3人を軽く伸す。
いくら3人がかりとはいえ、太刀筋が単純すぎる。
二人が陽動、本命が後ろから。そんなものは一捻りだ。
「おら、病み上がりの俺くらいとっとと倒してみせろや!」
そう、これは彼の体調管理の一貫である。
いくら待っても出撃許可が下りないので、しょうがなく訓練場で汗を流しているというわけだ。
■オーギュスト > 「どうした、もう居ないのか!」
激を飛ばしながら周りを見るが、寄って来る人間は無し。
憮然として小休止を命じる。
「ったく、相変わらず王城の連中は歯ごたえがねぇな……」
これが第七師団なら、まず間違いなく弓矢を浴びせてから7,8人がかりで襲ってくる。
そういうところには容赦が無い連中だ。
ご案内:「王都マグメール 王城 訓練場」からオーギュストさんが去りました。