2018/03/26 のログ
ルーシェ > 領地にある大海原を見渡せる丘の上を自身の居住地に選んだものの、広い敷地に比べれば小さい屋敷と開拓されたエリアの少ない庭。
ここらの富裕層の屋敷と庭ぐらいなものだが、実際の敷地は自然公園と言ったような広さ。
魔王ならではといった自慢ポイントを惜しげもなく晒し、満面の笑みで誇る姿は見た目よりも子供っぽいかも知れない。

「どっちでもいいよ~、あんまりそういうの気にしないから。あはっ、あんまり貫禄ないって言われて困っちゃうんだけどね~……って! レヴィアちゃん可愛い顔して何でお胸そんなに見てるのっ!?」

魔王のくせに人とは喧嘩したがらず、領地争いもせず、ひっそりと海沿いの専守防衛。
挙げ句、本人はこんな調子で人里で食べ歩きしているため、貫禄は何処かに放置されているらしい。
乾いた笑い声を零していたものの、表情と一緒に胸を褒められると、僅かに頬に朱色を宿しながら両手で胸元を抱きしめるようにして隠す。
もう一回り大きければ、胸も自慢できたところだが、そうも行かず。
じっと恨めしそうに彼女を見上げながら、視線で訴える。

「やだよっ、痛いし歯型なんてファッショナブルじゃないよっ。触るのも測るのも駄目~! もぅ、レヴィアちゃんお人形さんみたいに可愛いのに、言ってることがちょっとオジサン臭いよ?」

随分と見た目と合わぬアッパーテンションな娘だと思うものの、嫌な思いはしていないらしく、苦笑いを浮かべるばかり。
流石に首筋に噛み跡を想像しても、唆るようなイメージは沸かず、何だか間抜けな感じがして嫌だと緩く頭を振っていく。
そして、続けざまに語られる言葉には少々目を見開いて驚きつつも、一層胸を強く抱いて隠すというよりは、防御に入っていった。
見た目と中身がどうにも噛み合わない。
城の生活で抑圧されて、色々拗れちゃったのかなと妙な心配へ思考は至りながら、近づく様子を変わらぬ苦笑いのまま見つめていた。

「ん~? 何いってるの、可愛いよ? 赤い目と黒い髪の色合いとか綺麗だし、肌も真っ白で綺麗だし。ほら、肌白いと色味の強い服とかそういうの、すっごく似合うんだよ? きっとお嫁さんに欲しい女の子ランキングとかあったら、上位確定だよ?」

びしっと無遠慮に彼女の赤い瞳を指差すと、今度はそのまま上へとずらして黒髪へを指し示す。
そして白い肌と首元のあたりを指させば、最後に胸元へ向けるように黒いドレスを示していく。
合わせて語られる説明の合間、瞳を輝かせながら本人が気づいてなさそうな可愛いと綺麗の焦点を熱く語っていた。
お嫁さんに欲しい少女の中でも最上位、その言葉が指し示す裏として、眼の前にいる存在を完全に少女と認識しきっている事を指し示す。

レヴィア > 手狭な屋敷、書類と執筆中の小説が書かれた紙と授業用の資料とその他諸々で汚屋敷な自分の住まいの様子がちらちらと脳裏に浮かび、それだからこそ余計に彼女のルーシェの屋敷のイメージが良い物ばかりが浮かぶが、その背景が少しだけ気になった。

――…表情豊で愛らしく子供っぽさのある彼女、その中から香る芳しき魔の気配、同族でもなく、でもその同族以上に美味そうな香りは何なのだろうか?

我慢できない……。

ふつふつと湧き上がり始めた吸血衝動、鮮血への渇望。
病的な程に白い喉を僅かに上下させ、無意識に唾液を飲み混むと、距離をまた一歩だけ足を進め互いの体温と腕を伸ばせば触れ合えるほどの距離まで詰めて、ほんの少し湧き上がる衝動に乾いた唇を笑みのまま恨めしそうに見上げる彼女に言葉を返そうか。

「――…でもルーシェちゃん、可愛くて我慢出来そうも無いんだ……ごめんね?」

愛らしい彼女と交し合う言葉と言葉が「ズレ」てお胸の話も歯型の話もおじさん臭いとかそんな諸々の話も全てコクリ……と飲み込んだ2度目の唾液の嚥下と共に溶けて消えて、理性もまた霧霞の如く散って消えた。

残るのは吸血鬼としての顔。
同族や格上の鮮血を好む異端の吸血鬼としての自分。

自らを守る為に細腕で身体を抱き、胸を守りかくして苦笑いする彼女に庭園に咲く乱れる薔薇の如く鮮やかに艶やかにニコと笑みの形にその血色の良い唇を歪めると、小さく口を開き、飢えで滲み滴る唾液でぬらりと輝く鋭い牙を見せつけ、唇をゆるりと彼女の首筋へと近づけていく。

可愛いと綺麗だと自らの可愛いヲ追求すル為に拘るポイントを褒めラれて嬉しイ、筈なノニ、月明かりよりも不可思議な程にギラギラと輝き始メタ真紅の眼には美味しそうな彼女の首筋しか見えてイナイ。

病的な白さ、綺麗だといわれた真っ白い肌をした両腕もまた幽鬼の如くゆらりと薔薇の香り漂う空気を撫で混ぜて、彼女の身体を守りの為に自ら抱きしめる腕ごと抱きしめようと伸ばした……。

「……凄ク美味シソウ。ルーシェはナアニ?貴女ハ何者?」

濡れて熱い吐息と恍惚に満ちた音色を含んだ声色でお尋ねしながら、もう一度咲いた赤い薔薇のように声色と同じくらい恍惚に満ちた笑みと共に笑った……。

ルーシェ > 自身の魔力そのものや、正体を思わせる瘴気を感じ取った相手が警戒したり、刃を向けてくることは多々あった。
けれど、彼女のように欲望に変えてくるケースは今までになく、熱に浮かされたような様子にキョトンとしたまま無警戒に彼女を見上げている。
我慢できない、そのフレーズにやっと背筋に淡い悪寒を覚えるものの、喉を鳴らした瞬間に魅せる微笑みは捕食者の笑みそのもの。
驚きに満ちていく瞳は、徐々に冷静さを取り戻し、紫色が落ち着き払って彼女を見つめる。
胸を抱く両手を解きながら、牙を晒してそのまま抱きしめようとする彼女はそのままに……右手を彼女に額へ近づけていく。

「だーめ、吸血鬼にもなりたくないし、従えられのも面倒だからヤダ。レヴィアちゃん、吸血鬼だったんだねぇ、びっくりしたよ?」

問いかける言葉、相変わらず困ったように微笑みながらたっぷりの魔力を載せたデコピンを額へ叩き込むだろう。
当たれば、見た目とは裏腹な破壊力で頭を仰け反らせるぐらいのパワーは優にある。
人外とわかった時点で、多少強めにしても平気だろうと大雑把なさじ加減は魔族らしいかも知れない。

「もぅ、人の里では名乗りたくなかったのになぁ。私は魔王ヴェパール、海を統べる魔王。今はこんなナリだけど、本当は足は海蛇わっしゃーな、スキュラさんだよ?」

クスクスと微笑みながら、小さく魔法の一節を歌うように口ずさむ。
その瞬間、周囲は濃厚な霧の海に包まれていき、二人を白の空間から切り離していく。
中庭全体を包んでしまったので、あとで絶対に騒ぎになるなぁと、がっくりと肩を落としながら、欲望に暴走する彼女を苦笑いで見上げていた。
魔王と名乗っても、見た目相応な少女を装っても、穏やかに微笑む姿は変わりない。

レヴィア > ――…べち、とかベキ、とかきっとそんな音がしたのだろう、額に走るのは重たい衝撃と魔力の波動、そんなのを防御もせず受け止めるのだから、首がガクと思い切り仰け反り、美味しい鮮血を啜る為に開いた口はガチンっと空を切り、齧れたのは庭園に広がる薔薇の香りと美味しい誰かが……いや彼女が漂わせる気配くらいなもので、モゴモゴと口を動かしたところで何の味気もない。

が、理性を取り戻すには十分で……。

「……うぐ、吸血鬼になんてシナイよう。従うなんてとんでもないよぅ。ほら美味しいモノを前に我慢が出来ないって言う吸血鬼心と、折角だから押し倒して骨の髄まで味わいたいって男心だよゥ……。」

言葉が高さと低さが混沌と絡みあうブレた声色で空気を齧った唇でモソモソと言い訳がましく紡ぎだすと、それでも逃がすまいとする欲望を総動員して彼女の腰に両腕を絡めて、ちょっとだけ力を込めて抱き寄せようと……。

でも込めた力は獲物を捕縛する為ではなく、抱きしめたいと言う思わずぽろっとこぼした男心によるハグ的な力の込めで、見た目に真っ白く細い腕以上の力はなく、でも両手は掌は指は彼女の腰とお尻の曖昧な境界線を撫で、指先をくねっと動かしてその下まで触ろうと悪戯を始め。

「でも魔王かー我慢できなくなるわけだ。でもダメ?先っぽだけカプっと、痛くしないよ?最初の一回は痛いかもしれないけど、後は気持ちいいよ?」

と魔王の一撃を受けて仰け反る首を戻し、まだ幾分真紅の瞳に吸血衝動の残滓を輝きを残しながら、ジーっと穏やかな微笑を浮べる紫色を吐息混じりあう距離で覗き込む。

でも言葉は十分セクシャルな境界線を思いっきり踏み抜いて、穏やかな笑みに返す笑みは酷く悪戯めいた笑みの形に唇を緩めていた。

――…銀縁の眼鏡はあのでこピンでも無事である。
ので遠慮なく彼女の瞳を覗きこむ、言葉通り宣言どおり彼女を魅了する心算も傀儡とする心算もないし、そうであっても魔王とスキュラと名乗る彼女に効く気はしないけど。

切り離された空間、そんな力は自分にはない。
ないのに衝動に理性を吹っ飛ばしてしまった事は今後反省しないとダメかもしれない……ちょっと背筋が寒くなるのは本能的に彼女の力の強さを感じてで。

ルーシェ > 「ぁ、すごい仰け反っちゃった……! ごめんね、大丈夫?」

首が折れず、即死させない程度に加減したつもりだったが、思っていたより勢いよく仰け反るのを見ると、驚きに口を大きく開きながら瞳を瞬かせた。
少しあわあわしながら様子を伺いつつ、唇が蠢く様子に両手が忙しなく彼女の周りでどう触れたものかとさまよっていた。

「ホントに~? 吸血鬼って、好きあらば血を啜って、相手を従えてやる~とかしてくるから、油断ならない……ぇ、えぇっ!? 男の子!? こんな可愛いのに!? もう取っちゃいなよっ! アレ!」

吸血鬼にもよるけれど、騙して吸って、従える悪どい輩もいる。
面倒という辺り、従える力を発揮しても振り払えるだけの力は蓄えているのだろう。
じとっと半目閉じた疑いの眼差しで見上げていたのもつかの間、男と知った瞬間に素っ頓狂な声を上げながら瞳を幾度と瞬かせる。
右から左から、その姿を確かめるように覗き込むも、少女のような姿にやはり男とは思えず。
不思議なものだと悩ましげに瞳を閉ざしながら、顎に片手を添えたところで、身体が抱き寄せられていく。
そんな強引な仕草に、男の子だなと思えばクスッと微笑みながら、目を細め、グロスの掛かった桜色の唇の端がゆっくりと上っていった。

「魔王か~っていいながら、魔王のお尻を無遠慮に触ってるレヴィアちゃんも肝据わってるよねぇ…可愛くなかったらグーパンしてるもん、本気で」

並の魔族なら消し炭レベルのパンチである。
花咲くような微笑みで宣うには随分と物騒な言葉を並べながらも、紫色の瞳は穏やかに紅玉を見つめていく。
臀部を撫でる指の感触に、んっ と鼻にかかった吐息を零しつつ、それより先に行こうとする掌を、太ももの合間に挟んで阻もうとした。

「ちゃんとキモチイイことも出来るかな~? 痛いだけは嫌だよ? あと、ガツガツされるの嫌いじゃないけど、置いてけぼりなエッチはヤダよ?」

気持ちよくエスコートしてくれるなら、子供っぽく純粋に微笑みながら、魔族らしい欲望に忠実な問いを投げかける。
パチンと指を鳴らした瞬間、霧の世界は更に変貌していく。
ベンチが流砂に飲まれるように消えていき、地面は石レンガや芝生の中庭の床ではなくなっていった。
代わりに薄紫の珊瑚礁の様に変わっていき、スポンジ状のそこは、ベッド代わりにはちょうどいい地面となるだろう。
血の代わりというように、ゆっくりと瞳を閉ざしながら自ら顔を近づけ、愛らしい唇へこちらの唇を重ねていく。
重ね合わせるだけの、甘くじゃれるようなキス。
ちゅぷっと小さなリップノイズを響かせながら唇を離すと、子供のようにあどけない微笑みを浮かべつつ、しよっか?と軽く切り出した。

レヴィア > 普通の物理的な接触であれば身体を霧に真紅の蝶に変えて回避する事は出来たが理性が飛んだ状態で魔力の宿る一撃は回避するには難しく、心配されながらも大丈夫だとほんの僅かグラつく首を縦に振りたいが、今やると間違いなく頭突きになりかねないので、ニコと笑むだけで大丈夫だと仕草で答える。

「うーん、敵対者とか関わってて鬱陶しい相手とか、ならカプっとするけども……あっ自分の手元にずっと置いておきたい相手とかは危ないかな?うん……。」

男の子ですから?と言葉の終りにとってつけると、愛らしい魔王様のお尻を腰とギリギリのラインを指先で進軍して越境し、ふわっと柔らかそうなお尻の丘を指先を這わせて、両手でそろっと撫で上げて、笑う、彼女のクスっと笑む微笑みと似たような、吸血鬼の欠片もない、人と同じ笑みをにこーと浮べて、視線は紅色の眼は桜色の唇に落とし、別の意味合いでタベタイ衝動を堪えて隠して笑って……。

「魅力的なお尻とお山は触らない方が失礼だと思わない?グーでパンチは怖いけど、本気はやめて欲しいけど……。」

今は両腕で自分よりも小柄で可愛いを体現した魔王で女性でスキュラな彼女を抱きしめているから、きっと絶対に本気でパンチされたら避けれないし、生きている保障はない……。
仮に生き延びたとして肉体を復元するまでどれだけ時間が掛かるかなんて想像もしたくない……ダメ絶対。

「……ん、出来るよー出来るし、ルーシェちゃんが離れたくないお嫁さんにしてっ、て言うくらい出来るよ?でもその時は是非ともデートして食事の後で……。」

グーでパンチに関してはもう想像もしたくないのでそれは吸血衝動と唾液と共に飲み込んでしまおう。
といき交じり合う距離なら伝わるか生唾を飲む白い喉の動きと共に鼻の下がちょっとだけ伸びてしまっている事を。
そして王道らしくわかりやすい口説き文句でじゃれ付こうとしたその言葉は最後まで紡がれる事なく、指先のなる心地良い爆ぜた音と共に世界が一変した事で「ホワー」っと変な声色でしめくくってしまった。

視線は周囲に向け、られない……。
魅了する筈の吸血鬼の瞳一杯に映るのは子供っぽい無邪気で純粋で今この世界の何よりも純粋な彼女の微笑に捕らわれて……避けそうにも紫色の瞳を閉じる顔に距離を詰められて、ふわりと軽くて甘い唇同士が触れ合う感触を……。

甘くじゃれあうようなキス、小さな音、瞳の先のあどげない微笑み……。

返したのはくふっと緩い笑みとフワと彼女の額に送り刻む、彼女の鳴らした小さなリップ音とは違う、ただ触れ合わせるだけの額への口付け。

「……モー……甘い砂糖菓子を目の前にして食べれないのは泣けてきちゃうケド、今夜は我慢するよーダイエットだよ……。だってほら折角世界を変えてもらったけど、バレたら怒られてしまうからねーって私が言っていい言葉じゃないけども……。今度はもう少し早くルーシェ見つけて、ここの庭園と同じくらい綺麗な薔薇を用意して、改めて口説くから、今夜は逃げても許してくれる?」

彼女の額から唇を離してから、ほんっともう残念そうに少しだけへこんだ低い声色でもそっと名残惜しさを冗談にしてその冗談を一杯に交えて言葉にして返答を返すと、ダメ?とカクと長い黒髪を揺らしながら、尋ねて返した。

ルーシェ > 「ほらやっぱり~。ん……ぁっ、もぉ、そんなに触らないでよ~。感じひゃぅ…」

臀部を撫でる掌の感触は、徐々に面積を広げていく。
細い体付きと相反して、少し大きめの臀部は形良く柔らかな感触を指先へと押し返し、ラインをなぞる刺激にふるりと腰が震えた。
声が上擦り、否が応でも熱が瞳に灯ってしまい、とろんとした視線で彼女を見つめながら窘めるも、本気のようには見えないはず。

「そぅ……かなぁ、私…んっ、そんなに……お胸もお尻も、育って…な…っ、いし」

身体が小刻みに跳ねながら、声もそれに合わせて震えていく。
子供っぽさとは裏腹に、快楽を楽しむ魔の存在の一面を見せながらも、コンプレックスな体付きには表情を曇らせながら俯いた。
しかし、自信満々に口説き落とすといった様子の彼女の言葉に、影はすぐに消えてしまう。
パンチは本気でする気もなければ、少女のようで男な彼に興味も湧き、今は自身の魔術に驚く彼の唇を奪うのみ。
グロスの掛かった桜色の唇は、その見た目通りに柔らかく、しっとりとした感触を彼の唇に与える。
長めに、濡れた感触を彼の唇に置き土産しつつ、唇は離れていった。

「……そっか~、じゃあまた今度だね? そんなに気合いれなくて大丈夫だよ~。今みたいにキスして、可愛いって言ってくれて、魔王じゃなくて、ルーシェだって思わせてくれれば十分」

するりと彼の背中に腕を回し、自らもその身体を抱きしめていくと、あやすように軽く背中を叩いていく。
とんとんと心地よくリズムを刻んだ後、改めて頬にキスを重ねてから離していき、周囲の景色は再び歪んでいった。
珊瑚礁は石レンガと草地に変わり、そびえ立つ珊瑚も元の薔薇園のアーチへ。

「魔族の国で会うなら、海沿いの領地に来てね?直ぐ分かると思うから、この辺なら……そこら辺、美味しいご飯求めてウロウロしてるかな」

魔王と貴族娘の一面を教えながら、その合間も霧はゆっくりと晴れていく。
それが消えてしまったら、恐らく少しの合間に何が置きたか、間抜けな衛兵たちも気づくだろう。
しかし、霧と共に腕の中にいたはずの自身の姿もゆっくりと薄れていく。
バイバイ と変わらぬ満面の微笑みで手を振ると、霧が張れると共にその姿は消えていった。
霧の中で見る夢幻、彼の唇に確かな現実の証拠を残しながら、今宵の幕は降りるだろう。

レヴィア > 唇に残るは柔らかな弾力の名残、頬に触れるのもまた彼女の唇のぬくもり、両手にもそれ以上の感触が残るが分かれの間際くらいは格好付けたくて何も言うまい、と表情を笑みから引き締めようと思ったら、背中に感じる心地良い衝撃で――やっぱり表情は笑みの形となってしまうのだった。

「……んっ約束。ダメだよー指輪を買うのを我慢してるくらいだから……って冗談だからね?行き成り結婚を申し込んだり花束を用意したりってしないからね?さすがの吸血鬼でも其処までしないからね?」

冗談だからと何度も言葉を紡いで、彼女が満面の笑みで手を振り霧の如く消えていくのを見送りながら、夢のような一夜からまた現実へと足を進める。

脳裏を過ぎるのは汚屋敷に積んである筆の進まない小説達。
大きな溜息と共にパンプスの踵からホロホロと赤い蝶になり輪郭が崩れてふわりと爆ぜるように蝶の群れになると、闇夜へ消えて風に揺られてどこかへ消えて……。

ご案内:「王都マグメール 王城」からレヴィアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城」からルーシェさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城」にステファンさんが現れました。
ステファン > 有力貴族の夜会の誘いを断るのは億劫な仕事である
どの派閥にも属していないと慣れば尚の事…これまでは軍務多忙につき、と断っていたが
それも何度もとなれば断ることも出来なくなり…とうとう、とある貴族の夜会に参じなければならなくなってしまった

ホールで諸々の貴族や世話になっている官僚、その他の地方領主などに挨拶を済ませれば
慣れぬ社交の仕事にぐったりと疲れてしまい、最低限の挨拶だけを済ませればそそくさとホールを離れ、
庭園の見下ろすことが出来るテラスにまで逃げてきた。一応の教育は受けてきたつもりだが、
ダンスなどもっての外。貴族たちも未だ何処の派閥にも属していない自分を取り込もうと、
声を掛けてくるものだから美味珍味も喉を通りそうにない

「……これなら仕事をしていたほうが幾らもマシだな」

窓の向こう、権謀渦巻く夜会の光景から篝火に照らし出された庭園に視線を向けて息を吐く
唯一の救いは軍人であるから官給品の制服での出席が認められていることくらいな物である
自分以外の貴族、貴族の抱える騎士団の騎士たちは着飾っているから疎外感を感じるに苦労はなかった

ステファン > 夜の外気は会場の熱気に火照った身体を冷ますの丁度よい
人目から逃れるようにしてやってきたテラスでようやく人心地が付いた
すると不思議な事に会場内を行き交う人々を観察する余裕が生まれたりする

色々と観察をしていれば有力貴族の来場があったらしく、会場内がざわついた
色めき立つ貴族や諸侯を見るやいなや、逃げ出すには今しかない、とテラスからホールへ戻り…
来場した貴族が作り出した輪の外をそうっと、隠れるようにして城の執務室へと逃げ帰るのであった

ご案内:「王都マグメール 王城」からステファンさんが去りました。