2017/12/26 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城」にリンデ夫人さんが現れました。
リンデ夫人 > 「御機嫌よう、リンデ夫人」
「今日もまた貴女のお美しい姿を拝見できるとは、なんたる幸福!」

そんな周囲の貴族たちの賛辞を受けながら、彼女は柔らかな微笑みを浮かべるだけに留まる。今日は王城の図書館で、夫―自分より40歳も年上の―の為に読み聞かせるための歴史書を探しに来たのだ。

彼女の夫はもう目も耳もすっかり使い物にならなくなっている。もちろん、使い物になっていないのはそれだけではなく―

『あの方、まだ未通女ですって? お若いのに気の毒ですわね』

どこからかそんな陰口が聞こえてくるのは気のせいだろうか。そうに決まってる。現に今、彼女の周囲には崇拝者である貴族や王族たちが集まりつつあるのだから。

「リンデ夫人。またお抱えの楽師が増えたそうですわね、今度ご招待いただきたいですわ」
「素晴らしい。美しさだけでなく、知性も教養もある夫人だ。芸術にも造詣が深くて尊敬に値する女性だ」

それに対し笑顔でうなずきながらも「あの、皆様。申し訳ございませんが通してくださる? 夫の為に急いで図書館まで行かねばなりませんの」とやんわりと制する。
するとまたそれはそれで「よくできた夫人だ」と浴びせられる賞讃の声―彼女はあくまでも優雅さを失わずに高級だが地味なドレスの裾を翻し、その場から立ち去ろうとする―

ご案内:「王都マグメール 王城」からリンデ夫人さんが去りました。