2017/12/14 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城 ドラゴンフィート派出所」にレナーテさんが現れました。
レナーテ > (ROM数が18と異様なので改めます)
ご案内:「王都マグメール 王城 ドラゴンフィート派出所」からレナーテさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城 ドラゴンフィート派出所」にレナーテさんが現れました。
レナーテ > 表向きは王国軍との契約となっているが、実際に仕事を請け負うところは第零師団経由が殆どとなった。
それでも、王国軍との接続は必要であり、迅速な行動のためにこうした待機所代わりのスペースが設けられて結構経つ。
ついでに試供品だったり、備蓄だったりが少量詰まった倉庫代わりの部屋もあり、さながら小さな派出所といったところか。
事務作業用のテーブルが幾つかに、ティーセットの収まった棚、ソファーやらといったありきたりな調度品が並ぶ室内に人影は一つだけ。
その一人である自身は、板張りの床の掃き掃除を終えたところで、ちりとりにゴミをかき集めていくと、ゴミ箱へちりとりを軽くぶつけるようにしてゴミの処理をしていく。

「ふぅ……」

部屋の隅へ箒とちりとりを片付けると、仕上げにモップを手に取り、床を磨いていく。
ぼぅっと掃除をしながら思い出すのは、数日前の出来事…でもあるが、自身の変化。
性的なことに少しずつ感覚が変わっていき、自分の中にあった嗜虐性に気付いてしまう。
熱が冷めて、こうして掃除の合間に浮かぶのは淡い自戒を思わせる痛み。
弄んだだけではないか、流させただけではないか、と。

(「……私は」)

穢れているのだろうか、心の底から。
普段なら王城という自身を獲物と狙う輩が多いテリトリーで、物思いに耽るなんてスキだらけのこともしない。
どれだけ注意力が散漫かと言えば、床を滑らせるモップの先端をバケツにぶつけてしまい、水面揺れるそれを倒しそうになるほどだ。

「っ!?」

がつんという音にビクリと跳ね上がりながら、慌てて倒れ掛かったバケツにモップを突っ込む。
ばちゃっと水が飛び散ったが、底を抑えつけられたバケツは強引に床に押し付けられて店頭を間逃れる。
ゆっくりと肩を上下させながら安堵の吐息を零すと、掃除途中だというのに、それを隅に片付けてしまった。
何を言うわけでもなく、ただ、無言のままソファーへぽふっと沈むように腰を下ろせば、小さくため息を吐く。
熱気溢れるまま求められることもあれば、なし崩しに身を許し、求められる事もあった。
勿論嫌な記憶も幾つもあるが、それらはどれでも求められる側に合ったことが一致する。
しかし、一歩を踏み出してからは変わり始めていた。
正しかったのか、正しくなかったのか。
そんな事をぐるぐると考えながら、俯くと顔を隠すように両手を当てて黙り込む。

レナーテ > 『別段、雌が雄を組み敷く事はある。蟷螂ともなれば、雄を食らうぞ』

他者には聞こえぬ、脳裏にだけ響く声。
ティルヒアに渡った後、契りを交わした戦人の鳥の声だ。
思念の会話は、もう完全にコントロールできると思っていたが、こうして精神が揺らぐと思考が思念となってしまうのだろう。
幸い、彼にしか聞かれていなかったのはマシなほうと言うべきか。
うなだれていた顔を上げ、掌が解かれていくと、盗み聞きされたような心地のせいで、むすっとむくれた顔をしてしまう。

「ユーレックにはいってないです、それに人の性別の話を蟷螂と一緒にしないでください」

他人からみれば、全くの独り言だろう。
普段なら脳裏で呟くだけにする言葉だが、不機嫌混じりに口から発しつつ立ち上がると、棚の方へと近づいていく。
気分転換にお茶でも入れようと、ティーセットを準備していく合間も、鳥の言葉は脳裏で重なり続ける。
お前が襲ったわけではないだろう、それならそれでいいだろうがと。
違うというように緩やかに頭を振ると、薪ストーブの方へと近づく。
そばに置かれたサイドボードの上へポットと茶葉の缶、匙をを置くと、布巾をヤカンの取っ手に乗せてつかむ。

(「でも彼の言うとおりでも…あるんです、無理矢理ではないです。私の意志も…あの時に垣間見せました。彼だって…分かっていたはずです」)

同意だった、それは紛れもない事実だと。
内容が異様だったからここまでモヤモヤとするのだろうか。
思案顔といえば聞こえばいいが、何処か呆けた様子でポットとティーカップにお湯を注いでいく。

「っと……!」

カップに注いだときには、少し溢れそうになって慌てながらもギリギリでとどまらせれば、ヤカンを薪ストーブの上へ戻した。
ゆらゆらと踊る白い湯気を見上げつつ、心の中に解い続ける。
自分は何に引っかかり続けているのかと。

レナーテ > そのまま紅茶を入れるだけでも四苦八苦しつつも、夜は過ぎ去っていく…。
ご案内:「王都マグメール 王城 ドラゴンフィート派出所」からレナーテさんが去りました。