2017/07/19 のログ
■レナーテ > 元々は、ミレー族も客として招かれていた宴だが、その事実を知るものはもういない。
ただ、組合長はそんな日が来るといいと、偶然な夢物語を過去の事実に重ねていた。
宴が始まって間もない頃の夜、その日のために準備した事を思い出すと、自然と口角が上がっていく。
「皆、大変でしたからね」
年頃の少女たちが和気あいあいと語り合う世界、所謂貴族たちの嗜みのようなものは知らなかった。
自分は過去にそういうところへ連れ出されたことがあったから、教えることが出来たが…四苦八苦する様は失礼ながらに可笑しくて、クスクスと笑ってしまう。
少女達には、笑うなと不機嫌顔で突っ込まれたわけだが、教えた甲斐あって、粗相無く終わったと花畑で聞いた時には、少々安堵したものだ。
そんな思い出に少し意識を巡らせていると、手に宿した魔力を光に変え、合図をするように振る仲間の姿が見える。
なんだろうかと首を傾げながら、隣で眠りこける少女を揺さぶって起こすと、眠そうな彼女の手を引いて光の下へ向かった。
「……これはひどいですね」
でしょ? と呼び出した少女達が苦笑いを浮かべる。
呆れたようにため息をつくレナーテの視線の先には、酔いつぶれた男の姿があったのだ。
貴族なのか平民なのか、もしかしたら王族か。
なまじ、それなりの格好をしているので判断がつかず、対応に苦慮するといったところか。
軽く辺りを一瞥すると、3人へ振り返り、シワの寄った眉間に指を当てて考え、それから口を開く。
「見張り台が誰も居ないのはマズイので……ミシャちゃんは見張り台に戻ってください。カルラちゃんとヘカテちゃんは、ミシャちゃんの周囲で見張りをお願いします」
わかったと頷くものの、レナーテはどうするのかと言う問いに苦笑いを零す。
自分が運ぶと告げれば、一人残すことを不安そうにしていたものの、相手は酔っ払いだし、深夜だ。
悪党が飛び込む率も少ないと考えたか、ムリしないでねと告げて、少女達が去っていく。
「さて……すみません、ここで寝られると風邪を引きますから、何処か部屋へ」
トントンと軽く肩をたたいて様子を見つつ、優しく声をかける。
こういう時に揺さぶると良くないというのは、受け売りに覚えていたことだ。
変に吐かれても困るので、あまり振動を与えないようにしつつ、声を掛け続けた。
■レナーテ > 深夜の酔っぱらい対処は、卒なく終わり、平和な夜が過ぎ去っていく…。
ご案内:「王都マグメール 王城」からレナーテさんが去りました。