2017/06/15 のログ
■ラフェル > 「それにしても…」
ここでの今すべき事は終え、後は離れるだけ。
そうなのだけど、その視線が王城内へと向けられた。
以前にも増して自分には渦巻く黒い感情がその目に見えてしまう。
それが気になって仕方が無いのだ。
「自身の事ばかりに目を向けず、足元で苦しんでいる方々にもっと目を向ける事が出来れば…
身に余る力は、どこまでも心を曇らせてゆくのだと気付くのはいつなのでしょうか…?」
苦笑交じりに呟くと、その目を再び閉じる。
「気付く日が、きっとすぐそこにある事を祈ります」
組んでいた手を解き、たたんでいた翼を大きく広げる。
■ラフェル > 今日のところはここが限界かもしれない。
それに、今のところは声無き声は聞こえていないようで。
それなら後はどこかで体を休めようかと考える。
休むなら、あの森林の中にある空間だろう。
最近見付けた休憩場所、夜空へと舞い上がれば、その場所へ向かうのであった。
ご案内:「王都マグメール 王城」からラフェルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城:庭園」にミカエラさんが現れました。
■ミカエラ > 今日は王国の行事の一つを祝い、広い王城の一部が解放され庭園
では催し物が開かれている。色とりどりのランタンにライトアップされた
庭園は美しく、子供のための演劇などもも催されている。
むろん貧民などは入れないが、精いっぱいに身なりをただした
市民たちに交じり、貴族たちの姿もちらほらと見える。
そんな中、階段をしずかに降りてくる白づくめの女騎士が一人。
ミカエラ・ルエ・シュルトリンデ
シュルトリンデ家は旧い家柄である。
隆盛を誇っているわけではない。家の名を聞けばだれもが知っているが
詳しく説明ができるかと言えばそういうわけでもない。
利権も少なく、衝突も少なく、ただいつの時代もその家は存在してきた。
そんなシュルトリンデ家にも、数年前人の口に噂が上るようになった。
「長男も次男も相次いで死んだ、家が絶えるかもしれない」
と。
結局は、次女がその家を継ぐことになったが、いまだに未婚であり
先の見通しは立っていない。
ミカエラ・ルエ・シュルトリンデ、その家の当主である女騎士は、瞼を伏せしずかに庭園を歩いていく。
天性の美貌は、そのいでたちと調和のとれた凛々しいもので、立ち居振る舞いも落ち着いている。
一時は存続を危ぶまれたシュルトリンデ家のうわさも、その新当主の姿が現れるや消えていった。
(今日は冒険王コモロ・キッドの公演があると聞いたのだけれど)
ただし、外面と内面が一致するとは限らない。
■ミカエラ > わぁ、と歓声が上がる。子供達の声だ
(ああ、あそこか)
やはり身なりのいい子供たちは品がいい。貧民街でやれば、ほとんど
絶叫か猿の奇声かわからないような声で埋め尽くされるだろう。
なるべく、貴族や商人の少なそうなルートを慎重に選ぶ。
まかり間違って知己に声などかけられてはたまらない。あの歓声からすると
すでにクライマックスの大立ち回りに差し掛かっているのかもしれない。
だがミカエラは仮にも貴族である。しかも名だけは旧く重い。
まかり間違っても足早に子供向けの演劇に駆け寄るわけにもいかず
露骨に知己たちを避けて歩くなどもってのほかである。
ルートは少なく、思うように前に進めない。花に目を向けるふりをして
視線をそらし、飲み物を受け取るふりをして足を止める。
気持ちだけが焦る。ああ、あぁ面倒な毎日
■ミカエラ > ミカエラ、と自分を呼ぶ声に心の中で神を呪う。決して聞こえないふりなどできない相手の声だ。
「ラファエド様、ご無沙汰しております」
そこに立っているのは頑健そのものといった大柄な老騎士。ボタンが弾けそうな
張り詰めたシャツの内側には、典型的な武門の騎士としての歴史が肉となって詰まっている。
亡き父の友人である。ある種ミカエラの後見人ともいえる人物だ。
彼が自分に子供のころの様に小父様、と呼ばれたがっているのはわかっている。
だが一応は場内でありそういうわけにもいかない。
白い歯を見せながら公の場ではない、そうかしこまるなとラファエドが促し、小父様、お久しぶりですと言いなおす。
毎回のようなこのやり取りもいい加減飽きてきたが、この”小父様”はやはり心の許せる相手である、むげにはできない。
『本当はドレスのほうが似合うだろうに、鎧を着ることになったことがつくづく残念だ
しかもその姿も板についてきただけにな』
ラファエドはそばを進む貴婦人を一瞥しながらやや悲しそうな顔をする。
いいえ小父様、私は穴の開いたズボンとよれよれのシャツが一番大好きです。
取り留めのない話をしながら、ラファエドの仕事、王都の治安維持の仕事にそれとなく誘導する。
残念ながら「紅き旋風」の名は出てこない。もっと頑張らないと。
ため息が聞こえたのか、ラファエドは心配そうに悩みならぜひ言ってくれ
いつでも訪ねてきてほしい、と私の肩に手を置く。心配させてしまったかな?申し訳ない。
この後見回りがあると名残惜しそうに言いながら背を向けるラファエドを見送る間に
歓声のトーンが上がっていく、明らかにクライマックスに突入した、口惜しい。
半ばあきらめながら、ラファエドの姿が消えれば身を翻し、念のため周囲を見渡す
ご案内:「王都マグメール 王城:庭園」にルインさんが現れました。
■ミカエラ > ようやく目的地に着く。大人たちが子供たちのために開けたスペースの外縁
まだ背の低い子供たち越しに、トレードマークのおんぼろのフード付きの服をまとった
おそらくは小柄な女性……が濁声を作りながら、トンボがえりをして悪党の
斧を交わすと、木製の件のおもちゃでしたたかに悪党の脛を打ち付け
アクトは悲鳴をあげながら愉快に地べたで転がりまわる。
本当は快活な少年なのだが、小柄な女性が演じるのははやりそれなりの危険があるからだろう。
注目し続けるわけにもいかない、子供たちを慈愛を含んだ目で見守るふりをしながら、視線を舞台に向けて熱心に干渉する。
■ルイン > 久方振りの王城 それも一般開放日に合せて、人の姿を見繕い愛用の楽器を携えて仕事に勤しむ。
何の仕事かって、楽師、演奏家である為に庭園の背景と化すかもしれないが、音で貴族や一般民を癒してこいと今に至る。
庭園は広い為に何処で音を奏でてもさしあたり問題はなかった。これだけ広いのだ、ヴァイオリンのささやかな音色なんて
あちらこちらで行われている催しには負けようが、その弾き手はかろやかで優美な音色を辺りに響かせる。
時折 弾いている途中で音色や旋律が変わるのは 弾き手の周りにいるだろう観客たちのリクエストに応じて変えているらしい。
優美だったり、悲愴だったり、のどかなものだったり、柔らかかったり技巧を凝らしたものを即興で弾きこなす技量を駆使し、
今暫く 音を奏でている。
■ミカエラ > ああ、終わってしまった。
間に合ったのか間に合わなかったのか、判断は難しいところ。クライマックスの
クライマックスには間に合ったとはいえ
好きなシーンのほとんどを見逃してしまった。倒れた大男に足をかけ木剣を振りあげる主役に
心の中で惜しみない拍手をしながら、そっとその場を立ち去る。
少年心に中途半端に火が付いたまま、体を持て余して庭内をうろついていると快い音楽が
響いている。今は軽やかな旋律だ。
いつの間にか足が向いており、やがてルインの前に白づくめの女騎士が姿を現し
目を細め、心地よさげに軽やかな旋律を聞いている。
■ルイン > ルインは楽譜を持っていない、つまりリクエストのすべてに応じ、持てる術をすべて使いこなして旋律を奏でている。
基本的に暗譜が出来ないと実の所出来ない所業なのだ。総譜にしろ一つの曲は数枚にも上る音調。
一つですでに膨大、幾重にも及ぶ限りなく無限なリクエストから瞬時に選び弾きこなしていく。
それも持った技量で的確に一つのミスもなく。まるで人と言うか悪魔に魂を売ったような演奏を周りに聞かせている。
また一人 その旋律を聞くお客さんが来たようだ。
弾き乍ら ちらっと眩い白尽くめの女騎士(ミカエラ)へと深紅の瞳を伏し目に向けながら 問いかけよう。
「そちらの方、リクエストを賜りますよう?」
今の音色は軽やかで長閑な旋律だ。節目節目だったら曲は変えられる。
会話をし乍ら 弾きこなす辺り そこいらへんの演奏家レベルではない。
■ミカエラ > ミカエラは貧民街のアパートメントの一室を借りており
そこで売れない画家としての仮初の日常を時折送っている。
貧民街にもシェロ弾きのような楽師はいるが、こう幅広い客層のリクエストにこたえられる
者はなかなかいない。できない注文をされれば、愉快な返しをして場を和ませる
のが大道楽師の腕の見せ所だが、彼女にはそんな必要はないようだ。
楽譜も見ていない。なんだか見れば見るほど和むどころか鬼気迫るものを感じる。
見た目もこんなに愛らしい
「こほん……そうだな、海にちなんだ曲があれば聞かせてくれないかな?」
声をかけられて驚くも、動じないふりをして咳ばらいを一つ。
とっさにこんな言葉が出るあたり、少し里心がついてきたのだろうか?
そんなことを考えながらリクエストをして
■ルイン > 対して ルイン 実は人ですらない。吸血鬼であり表向きは演奏家、
裏は言えない事をして、所謂二重生活をしてしまっている。
父は冒険者であり富裕地区で屋敷を構えている。此度の仕事もその繋がりで仕事を得たのだ。
父やその知り合いからの頼みで無ければ此処には来なかっただろう。
持てる全てを使いこなしてこその技量である、何事も全力…いや手加減をしてこそだった。
幅広い客層だろうが 階級があろうが リクエストにミスはない。全てにおいて答え弾きこなし 時折チップを頂く。
楽譜はない あるとしたら 少女の頭の中だ。幾重にも積み重なる経験と努力の賜物を以て弾く。
「海で御座いますか、今の季節はおだやかでしたね。
日の光も日に日に高くなり、帆船が風を受けて進む様を弾きましょう。
リクエスト …賜りましたよう。」
軽やかな旋律が曲の節目で違和感ない様に自然に切り替わった。
情景が浮かぶように 編曲をし、旋律を奏でていく。どこかの港町をイメージした調べだった。
■ミカエラ > 「ああ、よろしく頼む」
相手の言葉に嬉しそうに顔をほころばせて。領地の港町の光景が脳裏に浮かぶ。
雨の季節が終われば空は高くなり、雲は暑くなり、海は丸く広がるだろう。
目を細め、うっとりと聞きほれるうちにようやく少年の心も沈下してきた。
演奏が終われば、拍手の代わりに一枚の金貨をそっと落とすとルインに声をかけて
「まるで生地に帰ったような気分になれた、ありがとうこれは楽譜を覚えれば
弾けるものなのかな?それとも、あちこち旅を?」
思わずぶしつけな質問をしてしまうほど、見事な演奏だった。
■ルイン > 王都マグメールではない どこかの地方の港町をイメージしていた。
恐らくだが此処よりも南方の海だっただろう、海と言えばのイメージがそれだけだったのだ。
こう大型船が行き交う遠洋的な港町しか思い浮かばなかったため あんな旋律に。
リクエストは海にちなんだ曲だった これが 北方の波が極度にせり上がり暴れる極寒な海の曲だったら、
此処の空気が多少低くなったことは言うまでもない。
(チップが…金貨一枚!? え、多すぎますよう…)
旋律が余韻を残して止まった、曲の調べが終わりを告げたのだった。
観客たちは各々チップだったり拍手であったり様々だった。ルインは弓を片手に、楽器も持ちつつ会釈でもって答える。
暫く休みたいので 腰をかがめて ケースの中に投げ込まれている硬貨を布袋に入れながら 問われた事を答えてゆき
「御傾聴感謝致します。
楽譜を暗譜をしても…情景を写し取るには 出来るだけ旅を勧め致します。私はまだ、王都近辺までしか赴いておりませんが。」
王都近辺で既に弾いていた曲は先ほどまでの曲を合わせると二桁だった。
それも全て旋律とジャンルが違っているという、記憶力が良くても難しい話。
■ミカエラ > 「やはりそうか……憧れるな、私は所領と王都を行き来するだけの日々だ」
ついでにこの重い鎧も重い口調も作った声も取っ払って
自由気ままに旅行にでも行ってみたい。
「まぁそういうな、またぜひ来てほしい、また新しい土地を見るための足しにでもしてくれ」
そういう意味でのリクエスト代だ、とそのままルインに持たせて。
「しばらくは王都に?」
どのあたりで普段は演奏しているのだろうか、と尋ねて。
■ルイン > 「貴族様でしたか、領土を陛下より賜り得る方とすれば。
所領と王都の行き来旅にも 何気ない風景が広がっており 日々の季節ごとに山肌や生き物たちの鳴き声等
創作しうる調べが御座います…リクエスト代 賜りましたよう」
白い騎士さまの顔色が優れぬ様子。お疲れでしょうか?
布袋に全てのチップが収まった。弓と楽器もケースの中に入れて、布袋はケースの邪魔にならない場所に収納し、
ケースの蓋を閉めて鍵をした。これで今日のお仕事はお仕舞だった。
「そう、ですね、王都には暫く居ります。今日の報告を父上に致さねばなりませんし、
次の旅の準備も御座いますし。この姿で旅は無理が御座いますので、変装も致さねばなりませぬし」
普段は富裕地区にあるホールを兼ねた貴族会館的な場所で演奏しているのだ。それか父の住まう屋敷か。
■ミカエラ > 言葉遣いが丁寧なのはわかるが、父上、という言葉にもしかして、名のある音楽家の家なのかな?
武者修行?なんてふと思いついて
「変装……?まぁ確かに、旅をするならもう少し目立たないほうがいいとは思うが」
心なしか目をキラキラさせながらどういった変装を?と尋ねる。
あのホールか、今度足を運んでみよう。
■ルイン > 言葉遣い自体は地だった、演技ですらない。格好だけは今日に限れば数少ないドレスを選び着てきただけ。
普段は全く違う格好なのだ、それもその格好で動くか普通、な。
「ええ、変装。いえ、私目立ちますので 寧ろ敢て目立った方が…面倒な事も全て方が尽きます。
どんな変装…東方に伝わるキモノという民族衣装とこちらのドレスを足した格好ですが?
然し乍ら 分かりにくいので…次回にお見せ致しましょう。」
今の露出度高い格好ではない 肌を極力隠した格好で普段過ごす。
その格好で日々を過ごし 時折その格好で冒険者紛いをする。
説明しても難しいので 次回と言う機会があれば見せましょう、と答えよう。
■ミカエラ > 「?」
ややぎこちない笑顔を浮かべて小首をかしげる
むしろ目立ったほうが?面倒なことも?ど、どういう意味だろう。真意は測れない。
キモノ?とつぶやきながら、あの少し動きにくそうな、と思い出す。東方文化は
本当に異質だ。それだけに興味深い。今度私も着てみようかな?
「私も少しキモノというものは興味があるな」
人目をはばかった後、やや声を落としてそう微笑みかけて見せる。
それにしても……洋装と民族衣装の組み合わせか、考えてもみなかったがそれだけに興味がある。
「ああ、今度ぜひホールにも立ち寄らせてもらおう、帰り道は気を付けて。」
そういって本来の笑顔で微笑みかける。
■ルイン > 「ふふ、こればかりは 秘密なのです」
ふふっと少し艶やかで怪しげな笑みを浮かべるのだった。
敵対したり 狙ったりするものを誘きよせて一網打尽にする、それは引き寄せて―釣って撃ち取るという
一種の兵法紛いな軍事行動其のものなのだ、真意としては言葉では測れないだろう。
此方には時折 キモノを纏った人たちがちらほら見かける。
アレは生活環境が物語る衣装だ、慣れないと息も出来ないというから恐ろしい衣装なのだ。
東方文化は此方の文化からしたら 異質だろう。多分。
「キモノは奥が深いですよ…」
「ええ、お待ちしておりますよ、ああ、申し遅れましたが、私はルイン=ディバンと申します。それでは御前失礼致します。」
ケースを持ち上げ、深々とというか淑女の礼を以てミカエラに挨拶をし、
去る間際に名前を名乗ってから 改めて去っていったという。
ご案内:「王都マグメール 王城:庭園」からミカエラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城:庭園」からルインさんが去りました。